幻想再帰のアリュージョニスト二次創作「コルセスカさん変形する」【togetterでも投稿中】   作:鳳卵

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第25話(20~21の途中まで)

「なんですか?この『ディスペータ』とアキラ様の征く道を遮る理由が、貴方などにあるのですか?」

 

しかし、その決意の決起は、あっさりと妨害されることになる。

左腕(まじょ)が言葉と発すると同時に、唐突な突風が巻き起こったのだ。

その勢いは、嵐に等しかった。

 

そして、宣名に伴って発生した死臭混じりの風によって、地下アイドルは排除された。

 

「う、うわー!!」

 

決然と立ち上がったはずの"興行主"ラリスキャニア。

だが彼女は、台風実況を超える風圧によって、まるでゴム毬のように飛ばされていってしまったのだ。

 

哀れ、夜の民は見事に吹き飛び、その場に残るは触手たちのみ。

 

零落したとはいえ、やはり神(メインキャラ)と地下アイドル(アマチュア)の差は覆せなかったのか!?

 

「さあ、アキラ様、続きをしましょう。賃貸で狭苦しいですが、ここを私たちの愛の巣にしましょうねー」

部屋の主が退場したと見るや否や、即座に態度を切り替える魔女の左腕。

 

だが、

 

「待てと…言ったはずだ!」

舞台袖に響く声。

そう、"興行主"は、再度立ち上がったのだ。

 

「これ以上、お前たちの好き勝手にはさせ、あイタタ…」

ただし、その身体はどこからともなく取り出したマイクスタンドに寄りかかっており、ボロボロの姿ではあったのだが…。

 

「まだいたのですか。貴方は、私たちの愛の巣を演出していればそれでいい。自分で再演した私に怯えているようでは、地下アイドルですら続けていくことは出来ませんよ」

 

にべもなくラリスキャニアを切り捨てんとする左腕(ディスペータ)

 

だが、地下アイドルは、なおもそこで食い下がる。

宣名の突風で吹き飛ばされたばかりの彼女は、見るも無惨なばかりにボロボロだ。

空間を折り畳む技術によるものか、いつの間にか丈夫そうなマントを羽織り、杖のようにマイクスタンドにすがっているが、その消耗は隠しきれない。

 

そんな彼女は、それでも自分と対立する役者に、悪魔(アキラ)の左腕に語りかける。

 

「はっきり言って、お前たちの関係にはあまり興味が無い。アイドルとあまり関係無いからな。だが、一つだけ言わせてもらおう。さっきのエンタメについてのネガティブで大雑把な発言、それは不正確だ。」

 

「おや、何か反論でもありますか?アイドル迷宮にひきこもってネット漬けになっていたというだけで、私に意見できる資格があるとでも?」

「確かに、ボクは迷宮にひきこもっている世間知らずに過ぎない。けど、それでも、いやだからこそ!アイドルについての知識と愛だけは、誰にも負けない!」

 

「アイドルにしたところで、同じところです。その輝きは、他の誰かを踏みつけなければ、決して産まれません」

「その点は、否定出来ないかもしれない。けど、悪などなくてもアイドルは輝けるんだ!」

 

「それは違います。美しさとは、どうしても比較の上に成り立つもの。そしてたとえ競争しないとしても、アイドル自体が一つのショウという商品であることに違いはありません。評価の対象となり、楽しみや喜びを与えるということは、すなわち消費されていくということ。そして消費とは他者による操作に他なりません。愛すると言うことは、必然的に相手を消費し、衰えさせるということなのです。現に、貴方自身も評価を求めるあまりに苦しんでいるのではないですか、地下アイドルのラリスキャニアさん?」

 

「ぐっ…」

 

悪魔(アキラ)の左腕(まじょ)の論理は整然としていて、巌のようにラリスキャニアを押しつぶす。

だが、彼女はあくまで踏ん張り、反論を続けんと試みる。

 

「消費されるなら、消費以上に仕入れ、新商品を開発し、磨き上げ、売り方を工夫して息が長いビジネスにすれば良い。それだけの話だろ!」

 

「そんな小手先の工夫をしたところで、遠からず限界は来ますよ。全ては衰え、死んでいく。時や運命と行った強大な力の前には、全ての存在は敗北していくしかないのです」

左腕(ディスペータ)がそう言いながら全身にまとった呪文の帯を広げると、それは様々な『死』の形をとった。

 

斬殺、殴殺、轢死に焼死、墜落死、病死、衰弱死。

呪文の帯は、線だけで構成されているとは思えぬほど多様な姿をとった。

線によって切り取られた空間が一種の切り絵となり、様々な『死』を描いていく。

 

そしてその中には、ラリスキャニア自身の『死』の似姿すらあったのだ。

 

呪文の竜は無数の死となって、舞台袖全体に広がり、一つの影としてラリスキャニアを包み込もうとする。

おぞましきその姿は、巨大な怪物以外の何物でもない。

 

また、部屋中に広がる動画の窓も、いつの間にか『破壊』や『死』を暗示するものばかりに画面が切り替わっており、それらは競い合うように地下アイドルを押し潰さんとしていた。

 

さて、こんな時、これまでいつも"興行主を"支援(サポート)してきた天使(レオ)触手は何をしているかといえば……

 

……呑気に談笑をしていた。

「そういえば、アレ、まだお返ししてませんでしたね。カーインがアイロンがけしてしまっているはずなので、今度ちゃんとお返ししますね」

 

「そういえばそうだったな。一度あげたものだし別にお前が持っているならそれで良いが、返してくれるなら受け取っておくよ。ありがとう」

「いえいえ、当然の事ですから」

 

「しかし、アイロンがけか。まあ、カーインらしいと言えばらしいが、もしかしてあの時から丁寧に…いや、どうでもいいか」

 

歓談の相手は、ついさっきまでねじ伏せられて苦しんでいたはずの悪魔(アキラ)触手だ。

 

その有様からは、全く危機感が感じられない。

なぜそんなに呑気なのかは不明だが、どうやら"彼"には、今回全く本体(あるじ)を助ける気がないらしい。

そのことだけは確かであった。

 

 

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