幻想再帰のアリュージョニスト二次創作「コルセスカさん変形する」【togetterでも投稿中】   作:鳳卵

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253話 連鎖する反撃⑩ その2の97~98途中まで

満たすべきなのは、これら三つの条件。

そして目指すべきなのは、二つの経路(ルート)

不可能に近い“完勝ルート”か、あるいは、落としどころが難しい“痛み分け・相手の実質勝利ルート”か。

 

実現可能性で言うなら、間違いなく後者である。

“勝利を確定出来る”可能性もまた、こちらの方が圧倒的に高い。

前述したように、『ラクルラール』には“やり直し”があるからだ。

 

しかし、こちらには大きな問題がある。

先んじて、相手に過剰な利益(メリット)を譲(ゆず)ってしまうようなら、それは結局は自陣の敗北と同じであると言うことだ。

そうなってしまえば、一度ラクルラールに主導権(イニシアティブ)を握られてしまったならば…相手の利害と折り合える“妥協点”を見つけ、こちらの最低限の要求(ニーズ)を死守するような手立てが、一切無くなってしまうのである。

ます現状ではどう見ても、女教師が素直に全ての要求や最低納得基準(そんえきぶんきてん)をこちらに打ち明け、寛容と『尊敬』の精神を以(も)って交渉の円卓(テーブル)についてくれそうに無いし…そもそも基本的に、利害調整とは、戦後に、相互の闘争の決着が着いてからやるもの。

あるいはせめて、有力な交渉材料や戦況の優位を以(も)って要求を押し付け勝ち取るものなのである。

それゆえに、自陣(アイドルたち)が劣勢にある現状では、交渉の余地など皆無。

そしてたとえ交渉が可能だったとしても…自らより圧倒的に強大な敵を“納得”させるなど、たとえ専門家の精鋭(プロちゅうのプロ)である企業顧問の一級言語魔術師(じゅもんつかい)であっても、ほぼ不可能であろう。

それは、まさに挑戦しない方が良いほどの、難題であった。

 

もちろん、ラクルラールに屈従すると言うのなら、話は別である。

こうした事情を呪術の達人にして先駆者たる本職、すなわち女教師が知らないわけがない。

あの魔女であれば、"痛み分け"の交渉ーーという名目(タテマエ)を用意した服従のお膳立てなど、未来干渉などする前から、完璧に準備が整っているはず

極端に弱体化している現状でさえ、こちらの心が折れる瞬間を見計らって、支配と"奴隷化"の繰糸(くりいと)を伸ばし"懐柔"を行うことなど、ラクルラールであれば文字通りお手の物であろう。

 

ただしそれは当然、ラクルラール基準の好遇、あの悪辣(あくらつ)魔女基準の“配慮”である。

そんなもの、良くて“先生の御贔屓(ペット)”悪くて“広報(PR)用の模範(マネキン)”に違いない。

そんな終着点(ゴール)など、あの被虐趣味(シナモリアキラ)ですら、歓迎しない。

するわけがない。

 

そうした点を考慮するなら、あるいは前者の方策に賭けてなんとか“圧勝”をもぎ取ってみるのも、一つの手ではある。

こちらが圧勝した時点でコストに見合わないなら、その時点で“痛み分け”が発生。

女教師は、未来からの“やり直し”を止めるはず。

そうなれば"ラリスキャニア練習試合・祝祭前夜編(ストーリー)完!

『ラリスキャニア』たち地下アイドル連合(仮)(とそれに助力した第五階層住民)は大勝利!希望の未来へレッツゴー!

…と、いくはずである、理論的には。

 

こちらはあくまで、“手段として存在はする”程度の勝率ではあるが、まあ賭けることだけは可能である。

『空の民』以外が、崖から道具や翼無しに飛び出して空を飛べるぐらいの確率は存在することであろう。

きっと、たぶん。

おそらく。

 

ただし、それもこれが“何度目かのやり直し”でないならば、という注釈(ただしがき)を付ける必要があるだろうが。

そう、“圧勝プラン”は、それがラクルラールにとって是(ぜ)が非でも否定したい結果をもたらすのであれば、そもそも意味を無くしてしまう、と言う脆弱性(ぜいじゃくせい)を抱えているのである。

しかも、それをこちらから確認したり予測することは、実質的に不可能。

そう言ったわけで、これはまさに“賭け(ギャンブル)”な経路(ルート)でしかないのである。

 

さて、そこで問題だ。

 

"彼女"は、いや"彼女たち”は果たしてどちらの選択肢を選ぶのか。

選択権を握ることが出来るのは、良くも悪くもこの“興行(レビュー)”を主催する者、ただそれだけ。

 

そう、地下アイドルたちの命運がかかった選択、その重責は、今こそ“二人”にしてただ一人の地下アイドルに託されることとなったのだ――!

 

そして、『ラリスキャニア』は、それらの事情を踏まえてここで断言する。

 

「この擬似『浄界』の共通点は…その正体はルールの押し付け、一種の強制賭博(ゲーム)ですね!ちょうどイカサマギャンブルのように、用意した仕掛(ルール)で相手の思考を捕らえる陥穽(わな)に誘い込み、自分にとって有利な選択肢に誘導して完膚(かんぷ)なきまでに倒し尽くす!これは、アイドル空間の現・第一位のものに酷似していますが、現れる効果は大違い!実質的には、それを極端に悪意的に解釈したものだと言って良いでしょう。人間の技術の粋(すい)を以(もっ)て、ひたすら予(あらかじ)め設定されたルールを押し付けられると言う、言わば最も原始的にして究極の『浄界』再演。それが、この“ラクルラールキュウキョク部屋(仮称)”なのです!」

 

 

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