幻想再帰のアリュージョニスト二次創作「コルセスカさん変形する」【togetterでも投稿中】   作:鳳卵

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256話 連鎖する反撃⑬ その2の99~100の途中まで

それは、ピアスに改造(アレンジ)された二枚貝(ボンゴレ)の紋章があるアイドルリング、歴史の中で忘れられていた九つの神話級装飾品(アクセ)――その模造品。

 

「装身具(アクセ)を用いた遠隔共感だと!そんなもの正確な通信が不可能な忘れられた古代の遺物、子供の玩具(おもちゃ)ではないか!」

「そんなもので!このラクルラールの“部屋”に対抗するほどの連携が出来るわけがない!」

 

しかし、女教師人形“たち”の叫(さけ)びとは裏腹に、ピアスの輝きに連動するモノがあった。

 

それは、札(カード)

それも、この札部屋に並べられた、その全て。

絨毯(カーペット)とみまごうほどに敷き詰められた無数の札は、残らず銀河のように瞬(またた)き、それらを支配していたはずの闇(ラクルラール)の敗北を告げ知らせていた。

 

そして、その驚愕から人形“たち”が抜け出せない間隙(すき)に、地下アイドル“たち”は、比較補助律(ゲームルール)を活用。

増加された手番(ターン)を用いて一つ、また一つと新たな伏せ札や手札を使用していく。

耳飾りと言う、札陣(デッキ)外の“伏せ札”の開示に視聴者(ギャラリー)が沸(わ)き、色とりどりのコメントが激流のように流れる中、地下アイドル“たち”の反撃は始まった。

 

「手札と設置されているアイドルカードを『支援者(サポーター)』にして、手札から『お友達召還』を起動!山札(デッキ)から一枚カードを引きます!現れよ!新たなるアイドル!」

「引いたカードは…『痕跡神話』!特殊召還効果でカード効果を即時発動!山札をシャッフルして最初に出て来た『特技カード』を使用可能になります!今度引いたカードは…『英雄強奪(ローバー)』!ダイス目は九!大成功です!」

 

華々しい強運を見せた『ラリスキャニア』

それを茶化したいのか、女教師人形たちは、何故(なぜ)か奇妙な悪口を放つ。

 

「ふん、『探索者』とか言っていてもあの魔女も所詮は、盗賊の仲間だからな。同じ『四英雄』のゼドと大差無い。いや、もっと悪いか。探索していないときは部屋に引きこもり食っちゃ寝の繰り返し。スナック菓子だけで日々を過ごし、ゲーム三昧。まるで不完全な自動操縦遊戯(オートリプレイ・ゲーム)機器、“ゲームに遊ばされているゲーム”だ。しかもそれだけ怠(なま)けていてもプリンと男を漁(あさ)る労力だけは途切らせないのはもはや感嘆に値するよ」

 

悪口はやたらと長引いたうえに、よく分からない形容にまで至っていた。

しかし、そんな冷笑をよそに地下アイドル“たち”は、次々とカードを繰り、戦術を完成させていく。

 

「設置呪術カード『妖精の代母』を起動!その効果によって山札(デッキ)から『お色直し』『魔女の馬車と招待状』『時限制の美女(タイミリミッター・ビューティー)』を連鎖起動!山札を再び混合(シャッフル)!」

 

「待て。それはその連携(コンボ)は…!」

 

ラクルラールが驚愕するなか、札の中つまり“階下(いちレイヤーした)”の状況にも変動があった。

それは先程女教師陣営が圧勝してみせた階、台本と抽選機、召喚対決の部屋でのこと。

その事象は、一見ごく些細(ささい)な騒動(トラブル)見えた。

だが、その小火(ボヤ)は、すぐさま重大な事故(アクシデント)に発展してしまう。

 

事象としては一言で済(す)む。

くしゃみ。

 

そのとき丁度、勝利を確信したガチャラクルラールは、盛大に高笑いをしていた。

身体をのけぞらせ、大声で喜びを表現する。

しかし、それが良くなかった。

ガチャラクルラールは、その名の通り背中に巨大な抽選器(ガチャ)を背負っている。

そんな状態で大きくのけぞり更にくしゃみをしたものだから、結果として身体のバランスは大きく崩れ、抽選器は勢いよく背後の床に叩きつけられてしまい…

 

がちゃん!

 

 ガチャから出てくるあらゆるアイテムが一気に溢(あふ)れ出し、序列価値(レアリティ)関係なく出現していく!

 

もちろん、偶然ではない。

札部屋における呪術戦の影響である。

 

そして当然その対手、倒れていた台本ラリスキャニアは、その機会を逃さない。

すかさず、ありったけの台本の束でトドメを刺す!

残念ながら先程の敗北の影響で、台本は無残な姿となっていたが…だからと言って、その使い手の闘志までもが尽きたわけではないのだ!

たとえ脚本家が倒れても、役者(アイドル)は諦めるとは限らない!

そして諦めない者がいる限り、舞台は続き…終着点(かんせい)目掛けて動き/生き続けるのだ!

彼女はとりあえず、台本の残った部分にある美点をありったけかき集め、足りない部分は即興で補う。

即興(アドリブ)、即興(アドリブ)、また即興(アドリブ)

そして、禁じ手たる“観客の解釈に委(ゆだ)ねる”未完の終幕。

芸術史は長く、その懐(ふところ)は奥深い。

作者の休止、行方不明(サレンダー)、役者やスタッフのごたごた、時の政権による干渉(けんえつ)、そして災害や疫病、戦争。

何らかの事情で中断を余儀なくされ、しかしその未完のまま評価され、歴史に名を残している傑作などいくらであるのである。

 

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