幻想再帰のアリュージョニスト二次創作「コルセスカさん変形する」【togetterでも投稿中】   作:鳳卵

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258話 連鎖する反撃⑮ その2の100~101の途中まで

その結果、わずかな間に『ちゃんこ9』は土俵際まで追い込まれていた。

 

確かに、彼女たちはまだ負けていない。

だが、それは今はまだ、というだけ。

わずかな時間的猶予(じかんてきゆうよ)が残っている、と言うだけのことだ。

女教師がファッションショーを盛り込んだため、この試合(たたかい)は必然的に、『お色直し(ドレスチェンジ)』のための休憩時間(ハーフタイム)と言う規律(ルール)を獲得しているのだが…今は、その副作用的な短い時間だけが、決着を引き延ばす余剰時間(ロスタイム)として機能している。

ただ、それだけだ。

あとはモニ子一人が負ければ、それだけで完全に負けてしまう。

もはや、『ちゃんこ9』の敗北は、時間の問題である。

 

今も、敗北から回復したメンバーたちが集まり、七人全員が額を集めて相談してはいるが…だからと言って、何か名案が出るわけでもない。

なにせ元々『ちゃんこ9』は、『SNA333』(シナモリアキラアイドル)の中でも、方向性が定らなかったり人間関係を結ぶのが得意でない者たちが、集まって結成されたユニットなのだ。

メンバーには、はぐれ者や現代にイマイチついていけてない再生者が多い。

そんな面子(めんつ)では、いくらサイバーカラテの力を借りたところで問題対処能力の限度(リミット)は、そう上がりはしなかった。

 

おまけに、この“ラクルラールの九部屋”におけるサイバーカラテ道場の支援(バックアップ)は、諸事情によりかなり制限を受けている。

中核たる紀人が出禁を解かれていないうえに、支援対象となっている試合(レビュー)があまりに多すぎて、回線や議論場(スレッド)が処理しきれなくなっているのだ。

しかも、そこへ未(いま)だ響くサウナの暑さが加わり、もはや、相撲アイドルユニットは心身共に限界を迎えつつあった。

 

しかしその時!

 

「お困りようやな、皆の衆」

 

突然、配信窓から声が掛けられる。

野太い作り声、独特のイントネーション、サイバーカラテ道場の松(高課金)コース利用をひけらかすかのような、しかしなぜかあえて“ニセモノ”臭(くさ)さを演出している、インチキ方言(おおさかべん)発言。

あまりにもコテコテであり、原典(いせかい)では既に絶滅種として保護対象となっているような虚像(ミーム)を打ち出していく、そんな営業方針(スタイル)

声を発したのは、そんな、発言に負けないほど異様な男装女性であった。

まず、目につくのが紅白縦縞のとんがり帽子。

身を包むのも、それと同色の背広。

その顔は、黒縁(くろぶち)の丸眼鏡を同色の太眉(ふとまゆ)が飾る。

揃(そろ)いの“ゾーイ・アキラ戦闘服(コス)”でシックにキメている『ちゃんこ9』とは、まさに真逆の印象。

異世界(ねこのくに)ミームがたっぷりまぶされた、“異世界商人”像を自信たっぷりに演じる姿。

その正体は、その場の全員が知っている人物であった。

 

「『ナニワゴールド』!?」

 

そう、それは同じ『SNA333(シナモリアキラアイドル)』の中でも、グレンデルヒ系を自称する金融・投資系アイドルの一人。

しかし、SUMOアイドルたちは、その通信に対し異様なまでに驚く。

何故(なぜ)なら、

 

「今更何(いまさらなん)の用だ!」

 

「お前…“アキラアキラ詐欺”予防の啓蒙PRのため、第五階層警察で一日署長をやっていたはずじゃ!?」

「アンタ、今更どの顔下げて、通信(よびかけ)なんかしてきたのよ!」

 

彼女は、『ちゃんこ9』にとって因縁の相手だったからだ。

よって、その発言に返る反応は、困惑、怒り、疑問、そして恐怖。

どれをとっても、肯定的(ポジティブ)なものではない。

 

だが、商人アイドルはそんなものにたじろぎはしない。

 

「ワテが言いたいことはただ一つや。このままでええんか?」

 

「何!?」

 

ナニワゴールドは、インチキ大阪弁で勢いよくまくしたてる。

 

「このまま負けてええんかってことや。アンタら、初期メン欠けてるせいで、追い込まれとるんちゃいますか?」

 

「黙れ!それは貴様にだけは言われたくない!」

 

と、サブリーダーである“大砲(グレートキャノン)”が雷声を放つ。

しかし、大阪弁女はそれさえものともしない。

そして彼女は、

 

「人気(バズ)は獲(と)れまっせ。『新メンバー加入』なら少しは話題盛り上がるやろ?それが大量に広告打つならなおのことや!」

 

「どこの誰が…?」

 

と言った疑問に対しても、もちろん即答する。

 

「目の前におるやろ?そう、『ちゃんこ9』史上最高のゴールデンメンバー最後の一人にして、期待の新人がね!」

 

「ま、まさか!?」

「貴様、復帰する気なのか?」

 

そう、彼女ナニワゴールドこそは『ちゃんこ9』の初期(スターティング)メンバーから欠落(だったい)した、ただ一人のアイドルだったのだ。

 

そして、活動が本格化する前の、その突然の脱退騒動は…心的負傷(トラウマ)として、今も脱退元(ちゃんこないん)に深く傷痕(きずあと)を残している。

 

 

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