幻想再帰のアリュージョニスト二次創作「コルセスカさん変形する」【togetterでも投稿中】   作:鳳卵

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262話 連鎖する反撃⑳ その2の103~104の途中まで

「ど、どういうこと…なのでしょうか?」

 

戸惑い。

それに対し、更なる解説が入る。

 

「モニ子、お主はこの世界にそして『サイバーカラテ』に『優しさ』が無いと言う。そうかもしれぬ。『サイバーカラテ』は『杖』の武術。心の支えや導きとなるような『邪視(しんこう)』も『使い魔』(きずなやコミュニティ)も、苦難を乗り切る『呪文(おしえ)』さえも、一つに確定して断言してはくれぬ。そういうものだ。だが、それに不満があるのなら…話は簡単だ。お前自身が『シナモリアキラ(サイバーカラテ)』の『優しさ』になれば良い」

 

「わ、私が…?」

 

「そうです」

 

うなずく一同。

そこへ『雷球』が重ねて言う。

 

「モニ子、引喩者(アリュージョニスト)に成(な)れ。お前自身が、お前の愛する英雄(ネドラド)の象徴(シンボル)となるのだ」

 

「アリュージョニスト?」

「それは、一体…?」

 

奇怪なる単語。

何処かで聞いたことがあったような…一同は顔を見合わせ、一斉に検索(ちびシューラ)に相談した。

 

「確か、『地上』の英雄か誰かがそんなことを言っていたような…?」

「うむ。引喩者(アリュージョニスト)とは、何かを代わりに表すもののこと。先程に例を並べた“代表”のようなものだ」

「私が…?一体何の代表になれと?」

 

疑問顔の後輩に、更に分かりやすく語ってきかせる。

 

「モニ子、お主は今日から改名して“ネドラド関(ぜき)”を名乗れ。そしてお主が、あの男の名とその偉大さそしてその苦しみを、世に再び広め続けるのじゃ」

 

「そんな、畏(おそ)れ多いです!」

 

恐縮する彼女に、先輩は更に優しく諭(さと)す。

 

「もし、その役目に相応しい者がおるとすれば、それはお主しか居らぬ。いいか、良く聞け。たとえ原作者が死去や床に伏し、あるいは環境の変化や精神の破滅で作品が氷結(エターナル)しても…二次創作ならば、永遠にその後を受け継ぎ、その記憶を残し続けることが出来るのじゃ」

 

「でも、それってただの物真似(モノマネ)じゃありませんか?」

 

不安げな声。

だが、その不安をSUMOアイドルは力強く否定する。

 

「確かにそれは偽物だ。品質(クオリティ)悪質な戯言(パロディ)や下品な悪ふざけとしか取られないかもしれない。誰にも意味を理解されないどころか、見聞きした人を傷つけてしまう可能性すらある。それは決して、安全で将来を約束された試みではない。」

 

「なら、なんでわざわざそんなことを…!?」

 

「悔しいからだ。素晴らしいものが、世界から消え去り始めから存在しなかったかのように忘れ去られてしまうのが、口惜(くちお)しいからなのだ。」

 

「悔しい…」

 

その時、確かに向い合う二人の間には同じ気持ちがあった。

目には見えない、どんな機器でも計測出来ない心の繋(つな)がり。

人はそれを、『共感』と呼ぶ。

それを静かに確かめるように、『雷球』は言葉を続けた。

 

「お主の中に悔しさがあるのなら、怒りと反発の気持ちがあるのなら…どうかそれを形にして欲しい。まだ、素晴らしいものを知らない世界のために。その喪失を忘れなくないあらゆる民のために!」

 

他のメンバーも、続けて呼びかける。

 

「『サイバーカラテ道場(シナモリアキラ)』とは、確たる中核を持たない空っぽの文化(ミーム)すぐさま忘れられかねない流行語(バズワード)中身になんでも代入可能な空想方程式(みちすう)存在。けれどそれはきっと、『第五階層』も同じこと。かつて忌避され疎外されていた『周辺』を取り込んで、無限に自己を拡張していく『身体定義』たること――それこそが、『シナモリアキラ(サイバーカラテ使い)』の可能性なのです。いいえ、貴女自身がそうするべきなのですよ、モニ子さん」

 

「やんなさいよ!」

 

「ユウコちゃん…!」

 

口々にかけられる『ちゃんこ9』メンバーの声。

それに対し、少女は少しだけうつむいて目を閉じ、そしてすぐに開いた。

 

結論が出たのだ。

それはつまり…

 

「どうすべきなのか、だんだん分かってきた気がします。いいえ、実はまだまったく分かってないのかもしれません。けど!」

 

彼女は、これまで暖かく見守ってくれた仲間たちにうなずき、続ける。

 

「まずは、私のちびシューラに、そして『道場』の話題系(スレッド)にも相談してみます!あと、皆さんも…よろしければ!」

 

「もちろん」

 

「出たか、答えが!」

 

そして、『空の民』の少女力士は、一番派手な配信窓へと向き直る。

 

「あなたのこと、まだ許せない。だってみんなすごく迷惑したもの。けど、今はその力が必要なのも事実。」

 

少し口ごもり、だがためらわない。

はっきりと、大きな声で願いを告げる。

 

「力を貸して、ナニワゴールド!いいえ、初期メンバー・『昼白虎』(ヌーン・ホワイトタイガー)!」

 

「おおきに!この勝負に途中参加まではでけへんけど、必勝の支援(サポート)はさせてもらいやす!大船に乗ったつもりで任せてくだしゃんせ!」

 

その声にうなずきを返し、少女は歩みを再開する。

 

「見ていてください、私のサイバーカラテ変身(ドレスアップ)!」

 

そう言って飛び込む目の前には決戦会場が、そしてそこに繋(つな)がる着替え室(フィッティングルーム)が『創造』されているのだ!

 

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