幻想再帰のアリュージョニスト二次創作「コルセスカさん変形する」【togetterでも投稿中】   作:鳳卵

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263話 連鎖する反撃㉑ その2の104の途中まで

しかし、すぐさま更衣室に向かおうとしたモニ子は、引き止められる。

 

「しばし、少しだけまてえい。ネドラド関!」

 

なんと、声の主はさっきまで彼女を励(はげ)ましていた『球雷』部長その人だ。

 

「すみません。まだ、その名前で呼ぶのは待ってください。…それで、なにか御用ですか部長?」

 

「うむ。少しはお前に先輩らしいことをしてやろうと思ってな」

 

「?いえ、先輩にはもう充分に励(はげ)ましのお言葉をいただきましたが…?」

 

疑問顔の後輩をよそに、当の先輩は別の場所へ顔を向ける。

それは、モニ子の顔を飛び越えたその先、すなわち…

 

「聞いているのだろう、ラクルラール!お前に、話がある!」 

 

その呼びかけは、即座に聞き届けられる。

 

「何の用だ。降参(サレンダー)の申し出ならいつでも受け付けるぞ」

 

含み笑いと共に、バスローブ姿のサウナ・ラクルラールが現れたのだ。

更にその後方には、審判のこれまたラクルラール人形が全く同じ笑(え)みを浮かべながら浮遊して追随してきているのが見える。

それに対し、『球雷』は更により大きく声を張り上げた。

 

「いいや違う!こんな狭い輪がモニ子関の舞台(セカイ)なわけがない!そんな小ささには収まらない!」

 

そして、モニ子を除く残りの部員(ユニットメンバー)が声を揃(そろ)えて斉唱(せいしょう)を成(な)す。

 

「「「だから今こそ、私たちが踏み俵(ステップ)となる!」」」

 

同時に、全員で四股(スモー・ステップ)を踏むことで、メンバーの足並みが文字通り揃(そろ)う。

そして、等(ひと)しく制服(スモウコード)に身を包んだ先輩たちは、全く同時に等しく一点を指差した。

 

「「「見ろ、目の前を!あれがお前の舞台(どひょう)だ!」」」

 

それは、声を上げた全員による力の結晶。

夕日の如(ごと)き色彩が、赤潮かはたまた戦場の海のような強い印象と勢いで、広がっていく。

これぞ、『朱(あか)の色号』による夢世界への干渉。

それにより、夢世界の性質に強く依存(せつやく)して建造されたラクルラール擬似『浄界』が、大きく変革され見る間にその形を変えていく。

一瞬の後(のち)

 

「こ、これは…!」

 

モニ子は激しく驚愕(エクスクラメーション)した。

その視界に広がるのは、無限に広がる地平線。

何と言うことでしょう。

なんと、まさに瞬(またた)きするほどの間に、試合(レビュー)が行われていたサウナルームは、部員たちの巧(たく)みな技術によって、全く異なる姿へと変貌(リフォーム)されていたのだ!

 

更に、そのタイミングで部長は要請を突き付けた。

 

「審判ラクルラール!試合規則(ゲームルール)を変更したい。いや、変更させてもらう!」

 

「な、なんだと!?」

 

流石(さすが)に狼狽(うろた)えるラクルラール。

それをよそに、『球雷』はどんどん話を進めていく。

 

「この勝負は元々ただのモデル対決だったものを、ここのラクルラール人形の提案でサウナモデル対決に変更したもの。ならば!」

 

そこに副将の『大砲(グレートキャノン)』が続ける。

 

「対戦相手である我々にも、一つは新しい提案を出し、更なるルール変更をする権利があるはず!」

 

「貴様に何の権限がある!」

 

激昂(げっこう)する女教師。

それに相対する部長は、あくまで冷ややかだ。

 

「お前には、断ることは出来んはずだ。何故なら、それこそが民意というものなのだからな」

 

「民意、だと?」

 

サウナ女教師の困惑を突き放すように、更に『大砲』が叫ぶ。

 

「そうだ!観客(みんい)の期待に予想以上に応(こた)えるのがアイドルというもの!常に現在の最高最上を万民(ばんみん)に魅(み)せつけねは、偶像どころかただの置物(みやげもの)に零落してしまうのだ!」

 

その副将の叫(さけ)びに、残りの部員たちが追随した。

 

「最善を尽くさないのは、高貴な身分に相応(ふさわ)しい振る舞いとは言えませんね」

 

「妹の言う通りですよ。弁(わきま)えなさい」

 

と、これまで沈黙を守っていた『高貴』と『古参(エルダー)』の義姉妹がここでようやく動き、

 

「まさか、負けるのが怖くて拒否するなどとは言わないよねぇ?そこまで雑魚(ザコ)だったの?」

 

と、ユウミ…『夕朱雀』がメスガキ系ムーブで煽(あお)る。

更に『アジアハープ』は、竪琴で勇壮な背景音楽(BGM)をかき鳴らして仲間を援護し、ナニワタイガー改め『昼白虎』(ヌーンホワイトタイガー)は、ラクルラール関連株の株価や闇スポーツくじの売り上げを表示して、相手を経済面から挑発していた。

 

そして、最大の当事者であるはずのモニ子は、語るべきことを何も思いつかなかったけれど…せめて気持ちだけは負けたくなくて、目の前の“二人”の人形を強く睨(にら)みつけていた。

 

はたして、効果はあった。

 

「…良いだろう」

 

承諾の返事が返ってきたのだ。

かくして、合意は成立した。

 

 

 

 

 

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