幻想再帰のアリュージョニスト二次創作「コルセスカさん変形する」【togetterでも投稿中】   作:鳳卵

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264話 ちゃんこ⑨のアイドル道(レビュー)①その2の104の途中まで

試合(ゲーム)の内容が、切り替わっていく。

 

新たな競技種目、それは“減量(ダイエット)リレー”

モデルショーとサウナに更にリレーを組み合わせ、SUMOアイドルが挑む、全く新しい競技。

これは、継走と蒸気浴(サウナ)を同時に行うことで、より効率的な減量と美の発露(アピール)を同時に行うことが出来る、まさに画期的な試(こころ)みなのだ!

この競技は、双方の合意のもとで成立し、それぞれの計画(アイディア)を折り合わせた学園祭めいた成立経緯(せいこん)のもと誕生した、なんとも第五階層らしい折衷案(せっちゅうあん)であった。

 

ただし、継走(リレー)なれど、走者はそれぞれ一名のみ。

すなわち、これこそが先程の勝負の続き。

『ラクルラール』と『ちゃんこ9』二種の存在の決戦と定(さだ)まったのだ。

 

しかも、それだけでは終わらない。

これは、サウナ・ラクルラールという小区画(サウナルーム)の支配者のみならず、『ちゃんこ9』と言う一つのアイドルグループの名誉と誇りと命運を賭けた、決戦(けっせん)である。

ならば当然…出陣(スタート)前にあるべき儀礼(ふるまい)と言うものが、不可欠な行為が存在するはずであろう。

それはすなわち…

 

ブザーが鳴り響く。

警笛が告げるのは、もちろん新たなる開幕の合図。

明るく開けたサウナリレー会場が、闇に包まれる。

 

しかし、それはあくまで一時(いっとき)のこと。

すぐに点灯のスイッチ音と共に、スポットライトが闇を切り抜く。

しかも、それは次々と続く。

七度も響く点灯音は、当然七連の光円を伴(ともな)っていた。

円、しかもそれが大地に描かれたモノとなれば、それがこの場で意味することは、ただ一つしかない。

どこからか吊り下げられた横断幕が、はっきりとその趣旨を示す。

すなわち曰く、

 

“少女舞踏活劇・偶像祭(レビュー)相撲輝光(スモウライト)”

 

その題名(タイトル)の下(もと、七つの光の土俵に、それぞれ力士アイドルが立っていた。

 

「がんばれよ」

 

「待っているぞ」

 

「モニ子さん、貴方なら出来ますよ」

 

「貴方のために、最高の演奏をお届けしましょう」

 

スポットライトの中にいる全員が、土俵の外にいる仲間(メンバー)に対し、一人一人声をかけていく。

 

それに応じるのは、一人の少女。

彼女は、外力を借りる者(シナモリアキラ)であり、

 

「この『ちゃんこ9』が!『SUMOアイドル部屋』が私の家族!

否定は塗り替えていける。完全に塗りつぶすことは出来なくても、もっともっと幸せなことを厚塗りして、積み上げていくことが出来るはず!だから私は、ここで新しい"親"を得て、『親方』(リーダー)のもとで生まれ変わってみせます!私、転生します!」

 

サイバーカラテ・SUMOアイドルグループ『ちゃんこ9』の一員なのだ!

 

その宣言(さけび)に応え、横断幕の下に電子掲示板が出現。

それは、新たなる表記を明滅させていく。

 

“SUMO再転生”

 

“SUMO再転生”

 

いかなる世界でも誰も見たことが無いような、奇怪なる文言(もんごん)

それはすなわち、再始動(リスタート)の合図だった。

どこかで歯車が回り噛み合う音がし始めるや、床の一部が開き四角い闇と化(か)す。

迷いなくそこへ飛び込むモニ子。

闇の下には、謎の工場設備があり赤々とした怪光が漏(も)れて来ているが、それに全く同じる素振(そぶ)りもない。

彼女は、親指を立てながらその底の赤へ、溶鉱炉へと沈んでいく。

 

「モニ子はん、応援してるで!」

 

すかさずインチキ関西弁が、その旅行(たびゆ)きを祝福。

ただし、その発言主はグレンデルヒ系アイドルである。

よってその応援の“気持ち”には当然のように形として振る舞いが伴(ともな)う。

具体的には、銭(カネ)である。

それは、子供が作った紙細工のような、あるいはシャンプーの泡を防ぐ第五階層特産の風呂帽子のような、そんな外形をしていた。

複数の紙束をでつないで輪にしたもの。

世界一悪趣味なアクセサリー。

端的に言えば、紙幣(おさつ)の首飾り。

これぞ、『猫の国(いせかい)』のレトロな伝統行事アイテムとして伝わる『グレンデルヒ・ネックレス』(オヒネリ)である!

 

もちろん、彼女だけの出費ではない。

穴を覗(のぞ)き込む白黒縦縞(しろくろたてじま)のアイドルの周囲には、相変わらず賑(にぎ)やかにコメントをたれ流す無数の配信窓。

スパンコールの輝きのようなその全てから、まるで滝のように追加の贈与物(ギフト)が降り注ぐ。

非日常感(うさばらし)を与えてくれそうな、丁度良い『祭り(ポトラッチ)』を発見した出資者(タニマチ)たちが、気前の良さやノリの良さを競い合い、頂点後援者(トップオタ)を目指して、財布と呪力総量を空にしだしたのだ。

配信システムも早くもこの状況に適応し、有力な出資者を立体幻像として穴の周囲に映し出している。

そうした“彼ら”は、アイドルバスタオルやタペストリー、絨毯(カーペット)などを掲げたり、抱き枕カバーを着用したアバター姿で出現。

その有り様は、まるで“歩く絵”のような異様さである。

 

 

 

 

 

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