幻想再帰のアリュージョニスト二次創作「コルセスカさん変形する」【togetterでも投稿中】   作:鳳卵

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266話 ちゃんこ⑨のアイドル道(レビュー)③その2の106の途中まで

そこへ即座に物言いが入る。

 

「ここへ来て、今更ドラマ形式のマジカルアピールだと?笑わせる。試合への参加資格を失った者たちが何を騒(さわ)いでいる」

 

サウナ・ラクルラールがせせら笑う。

だが、

 

「試合と試合の間では、休憩時間娯楽(ハーフタイム・ショー)が憑き物だ。アイドル対決なのにアイドルをやらせないつもりだったのか?また随分(ずいぶん)と奇妙な話だな」

 

入れようとした半畳(じゅもん)は、『球雷(リーダー)』の批評(ことば)でこうして即座に弾かれた。

とはいえ、敵もさる者。

 

「くっ、だがそもそも私はあくまでアイドル学園の教育者(コーチ)であってアイドルではない!それにアイドル対決ならライブの権限は勝利者にあるはずだ!」

 

即座に反撃に出る。

が、やはり。

 

「これは異なこと。アイドルの練習試合(エキシビション)に参加しておきながら、アイドルでないとはこれいかに。そして、既に貴方もやっておられるではないですか?」

 

今度は、縦ロールレスラーアイドルにそれを阻(はば)まれる。

そこで、

 

「何をやっていると言うのだ!言いがかりも甚(はなは)だしいぞ!」

 

と、今度は激昂(げっこう)した演技で無理矢理暴力に持ち込もうとするも…

 

「表現(アピール)を。モデルショウもサウナ披露も、どちらも立派なアイドル表現ですよ」

「…」

 

縦ロール相方の影のように現れた眼鏡ウサギアイドルに、トドメを刺されてしまう。

 

「ええい馬鹿どもめ!ならば好きなだけショウをやっていろ!こんなところでグダグダやってられるか!」

 

そうなると当然、ラクルラールはならば今のうちに独走してゴールしてしまおう、とする。

だが、

 

「どうぞお好きに」

 

「それが貴方の対バンスタイルなら、誰も文句を言いませんわ。どうぞご自由に」

 

「…くっ、覚えていろよ!」

 

どうしてもそれは出来ない。

彼女の承認欲求が、邪魔をする。

これは、ショウとショウのぶつかり合い、意地の張り合いなのだ。

お互いに名声(しょうにん)を奪い合い、美(みりょく)を競い合う以上、相手の表現(パフォーマンス)を無視する選択肢は有り得ない。

また、ここで独走するのも、競争を拒否して逃走するかのように人(かんきゃく)の目には映ってしまうことだろう。

よってなんと、この徒競走(レース)はレースでありながら、決して先行(にげきり)を許さないのである。

 

ゆえに、歯噛(はが)みするラクルラールは…もはや、競争相手が土俵で勝負しているのを横から見守るしかない。

 

いかに斬新な演技(ショー)であっても、より新しい見世物(イベント)が隣(となり)に出てくれば斬新さでは劣って見えてしまう。

これでは、より強力な手札(ワザ)をぶつけて対抗するにしても時機(タイミング)が悪過ぎる。

余計な労力(コスト)がかかってしまうのだ。

それにそもそも、サウナ・ラクルラールはこの巨大な疑似『浄界』(へや)の一兵卒、一部品に過ぎない。

だから、そんな彼女には、非効率な戦術を取る余裕(じゆう)などは、実は最初(はな)から存在しなかったのだ。

 

しかしさて、その肝心の競争相手、モニ子こと曙光(モーニング・グロウリィ)は今何をしているかと言えば…

 

 

 

 

彼女は、いきなり想定外の事態に驚き戸惑(とまど)っていた。

なぜなら、モニ子の初戦の相手は選(よ)りに選って…

 

 

「そんな、なぜここに副部長が!?」

 

そう、先輩の中でも古参の一人、副将の『大砲(グレートキャノン)』だったからだ。

その先輩は、静かに告(つ)げる。

 

「驚くほどのことではない。初手予想外しはサイバーカラテの常道。いきなりおいどんが出てきただけで驚いていては、先が思いやられるぞモニ子よ」

 

「は、はい!気を引き締め直します!」

「よし!」

 

言われてみればその通り。

 

SUMOアイドルは、冷静になるためサイバーカラテの感情制御レベルをより強力に調整し、首筋から感情を排出する。

きっとこの驚きや不安は、あの凍結試合(ゴールドゲーム)の魔女が、生活排水を浄化する大海のように残らず引き受けてくれるはずだ。

 

ならば自分はただ、相方のネドシューラと一緒に目の前の戦いに集中すれば良い。

 

だから今は、

 

「副将、胸をお借りします!」

 

余計なことは何も考えず、真っ向からぶち当たれば良い!

そんな彼女に、先輩はにやりと太い笑みを浮かべて応(こた)える。

 

「良い心構えだ。胸と言わず全身を貸してやろう。まずは目だ!」

「えっ?」

 

奇妙な言葉に、モニ子は突撃途中ながらも思わずまた戸惑ってしまう。

 

しかしそれでも彼女の動きまでは止まらず、『道場』が導き出した最適解通りに最速のぶちかましを――

 

「止まれ」

 

放(はな)てなかった。

何故(なぜ)か。

 

それは、その腕が、足がさらに身体全体が。

電撃に打たれたかのように見る間に硬直し、灰色に染まっていったからだ。

 

 

 

 

 

 

 

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