幻想再帰のアリュージョニスト二次創作「コルセスカさん変形する」【togetterでも投稿中】   作:鳳卵

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270話 ちゃんこ⑨のアイドル道(レビュー)⑧その2の109~110の途中まで

当然、後輩は驚愕(きょうがく)した。

 

「何をおっしゃるのですか!それに、この“洞窟”は『浄界』突然の巨大化は『化身』そして長々とした説得はおそらく『頌歌』に近いもの…!?先輩は一体どれだけの技量をお持ちなのですか…!?」

 

困惑。

しかし、それに浸(ひた)ってはいられない。

これほど強い姿勢で選択を迫られた以上、選ばなければサイバーカラテ使い(シナモリアキラ・アイドル)の名が廃(すた)る。

それに何より、

 

「これほどまでの先輩の心遣(こころづか)い…絶対に無下(むげ)にはいたしません!」

 

と言うわけであった。

けれど当(とう)の先輩は、

 

「何を寝惚(ねぼ)けたことを…この陣に入り込んだ以上、もはや死は目前!ただの石像として生を終えたくなければ、今すぐ決断するのだモニ子よ。空の御殿(エクリーオベレッカ)の加護と親への未練を捨て、推しと同じ鉄願の民となるか?あるいはそのまま眼前の敵(おいどん)に盲目的な信仰(あいじょう)を捧げて石となるか?さあ、どうする!」

 

とあくまで厳しい態度を崩さない。

少女力士は、それに真っ向から立ち向かう。

 

「当然、与えられた中からは選びません!選択肢は自分で作る!それが『ちゃんこ9(私たち)』のアイドル道(サイバーカラテ)!いくら『浄界』に酷似(こくじ)するほどの空間を作っても、ここはさっきの広間のままのはず!他の部員(メンバー)に繋(つな)がる光の道(ルート)だって、まだまだ維持出来ます!」

 

だがしかしその余裕は、

 

「維持してるのに…何の問題も無いはずなのに、どうして!」

 

揺るぎない“現実”によって、脆(もろ)くも崩されてしまう。

なぜならば、

 

「それは、ここがおいどんの“陣地”、忌(い)まわしき故郷を再現した支配領域(どひょう)の中だからよ!」

 

洞窟の支配者は、高らかに告げる。

 

「モニ子よ、お主は『浄界』についてよく知らぬようだ。だが傍流とは言えゾラの血統なら、二重スリット実験をしたことぐらいはあるだろう。『浄界』とはまさにあれの拡大版よ。『浄界』とは即ち理想の具現!単なる環境変化や『創造』による舞台装置(おおどうぐ)とはワケが違う!それは『杖』が至上とする物理法則や常識など容易(たやす)くねじ曲げる。どんな抜け道も扉も、ここでは無意味なのだ。この人体実験(ごうもん)部屋の洞窟ではな。光も!爽(さわ)やかな風や空気も!そして音楽やアイドルの存在さえも!この洞窟は何も赦(ゆる)しはしない!ここは脱出不可能な、救いなき暗渠(いきどまり)なのだ!」

 

その言葉を受け、後輩はとっさに周囲の気配を探るが、

 

「そんな…『ハープアジア』先輩の音楽さえ聞こえない!?」

 

疑問への回答は即座にもたらされる。

 

「“洞窟”では、音の響きが変わる。それにそこは、常に水の、あるいは誰かのたれ流す“液体”の音で満ちていた。おいどんを見くびってもらっては困るな!サイバーカラテ使いならば反響定位(エコーロケーション)は基本中の基本!ならば、それへの対策もまた基礎の基礎よ。なにせそれは、『シナモリアキラ』が第五階層(ガロアンディアン)初期に多用し、あの魔将エスフェイルとの戦いでも用いた業(ワザ)なのだからな!にも関わらず、それを見落とし無対策だと思い込むなど愚の骨頂!いかに『道場』の補助(アナリシス)が素晴らしかろうと、それ以前に使用者(オーナー)が先入観(のうきん)で戦略を立ててしまっては“豚に真珠”よ!」

 

「くっ…それでも…諦(アキラ)めません!」

 

そして、二人の間の空気は見る間に緊迫感を増し、それはすぐに形を変え互いへのしかかる圧力となった。

 

「フンっ!」

「くっ…負けませんーー!ご存知のはずです!音が掻(か)き乱されることへの対策だって、サイバーカラテにはとっくにあることを!」

 

その通り。

このように空間音響が乱され通信や状況把握が困難な場合、そして支配領域からの離脱が取極(ルール)上不可能となった場合にも、当然対策は存在する。

単純に、より大きな音なり声なりを発して、向こう側(れんらくあいて)との通信(コミュニケーション)を繋(つな)ぎ直せば良いのだ。

いかに無数の雑音や音を歪(ゆが)める環境があろうと、こちらから大音量を出して音環境を上書きしてしまえば、それらを無視することは十分に可能である。

そして、モニ子たち『ちゃんこ9』には、大音量と相互の合図(つうしんぷろとこる)となり得る技術(ワザ)が、既に存在していた。

 

ただし、もちろんそれは同朋(せんぱい)たる副主将『大砲(グレートキャノン)』の知るところでもあり…それゆえここで、二人の舞踏(たたかい)は新たなる局面へと移行することになる。

 

――即(すなわ)ち、四股(スモー・ステップ)対決。

 

『大砲(グレートキャノン)』の岩の蛇尾が叩きつけられ大音量を打ち鳴らすや否や、その衝撃は見えざる波紋となって大地を渡り、津波のように後輩へと押し寄せていく。

 

 

 

 

 

 

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