幻想再帰のアリュージョニスト二次創作「コルセスカさん変形する」【togetterでも投稿中】   作:鳳卵

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281話 ちゃんこ⑨のアイドル道(レビュー)17その2の116~116の途中まで?

最初の変化は、賑(にぎ)やかな音響に紛れるような、微(かす)かな振動。

それは、またしても視覚的な密信(こうしん)が到着した合図だった。

すなわち、念文(メール)である。

 

その唐突な出現に、驚き、またも戸惑う。

けれど、開封せざるを得ない。

なぜなら、その手紙の送り主はまたしても彼女の良く知る人物(せんぱい)だったのだから。

それゆえ、無視は不可能だった。

眼前のソロライブから目を離せないままに、開封する。

初めは、恐れていた。

だが、メッセージは意外な方向へと転がっていく。

追加で新たな交信(メッセージ)が届いたのだ。

ラクルラールの通信妨害を破り、先生の監視(め)を盗んで開かれる、お喋り部屋(チャットルーム)

“先客”に加え、ここにはいない、二人の先輩方からの言伝(ことづて)が届く。

それらは、過去の罪の受け入れ方が違うのではないか、と優しく諭(さと)し、現在の状況(ものこと)に対する新たな視点(とらえかた)を静かに示す。

続けて花開くは、臨時メンバーたる元部員(ナニワタイガー)からのもの、それは先輩方のものとは真逆で情緒(エモーション)を排除した経理(すうじ)中心の情報(データ)であった。

それは、いかにも投資(カネ)のことばかりで、一見は無味乾燥な話に見えた。

だが、よく読めばそれは確かな支援(サポート)であったのだ。

書かれていたのは、無数の財政状況や取引記録、そして信用や実績の評価。

それも、ただの企業のものではない。

あるものは『地下』の文化保護団体(NPO)の少数民族文化保護に関する手法やそのために要した手段を間接的(きんせんめん/すうじのかたちで)語っていたし、またあるものは、『地上』の非槍神教関係NGOが、周囲の搾取(ごうよく)に抗(あらが)っていかに、地方の文化を守っているかが密(ひそ)かに、けれど明確に示されていた。

槍神教関係者は、実は純粋な『信者』ほど実はわりと商売(ビジネス)が苦手であるとされる。

それこそ、“敬虔な槍神教信者様”という表現が、一部で悪口(スラング)になるほどに。

当然だ。

我欲(エゴ)と我利しか考えぬ者同士が、上手く商売が出来るわけがない。

そう、“信者様”はわりと嫌われ避けられ、対抗手段さえあちらこちらで取られている。

なにしろ、それは言わば“外部大勢力(よそもの)による政治支配”それも“草原を見たことすらない連中(とかいじん)による搾取(さくしゅ)”なのだ。

その支配がいかに強大であろうと、各所で反抗の意志が育っていたのは無理からぬことであった。

例えばそれは、『英雄』の扱いを見れば分かりやすい。

槍神教がいかに強大であっても、様々な理由でそこに所属しない『英雄』はいくらでも現れ得る。

彼ら彼女らは、それぞれ強大な力や才覚、魅力的な個性、そして何よりも人気を誇る。

それは時に、単なる地方の有名人枠を超え、宗教的な権威(うしろだて)を持つ槍神教の幹部勢すら脅(おびや)かす。

否、幹部達が勝手に怯(おび)えるのだ。

だから、そういった『英雄』の運命は決まっていた。

世論操作と誘導、それによる迷宮行き。

事実上の廃棄処分である。

『英雄』は、もてはやされ散々商売の種にされた後、“華々しい戦死”を遂(と)げる。

その数は膨大。

そうした政治工作によって『地方』と『都会』はその格差(じょれつ)を固定化され、決してその『地位』を逆転することのないように、その力関係が保(たも)たれ続けるのだ。

その権力(ヘゲモニー)争いは、槍神教内部にすら及(およ)ぶ。

有名なのはあのキロン、『聖騎士』『名射手』『廉施者』『癒し手』と呼ばれた前九位のキロンであろうか。

噂(エーラマーン)によれば、元傷病者(ファンクラブ)はアズーリアは、聖騎士から命を助けられたうえに、彼から習った秘術でその主を守ることが出来た。

しかも彼女は、見事に『夜の民』初の『守護の九槍』となり、その九位の座に出世したと言う。

そう、槍神教圏内なら、いやサイバーカラテ使い(シナモリアキラ)なら誰もが知っている。

その出世は先代の、そして恩人の屍(しかばね)の上に築かれているのだ、と。

流石に同時に発生していた“死霊使いガルズの乱”まで裏でアズーリアが糸を引いていたと言うのは、深読みのし過ぎであろうが、彼女が小説と言う形でその死を演出し、『美しい悲劇』として歴史の一ページに刻んだことについては、疑いようがない。

なにしろ、その時の著者の署名(サイン)は今でも読むことが出来るのだから。

あの新鋭アイドルの騎士(マネージャー)は、冷酷な側面(かお)を持っている。

『おこた』を着込んでみかんを食べながら突撃したり、全身チョコ塗(まみ)れの“チョコ像”姿で広告(CM)に現れ、高級チョコを食べ尽くしているのは、あくまで世間向けの表現(パフォーマンス)に過ぎないのだ。

今話題になっている『草の民』にしたところで、現五位カーズガンと言う『辺境の英雄』が体制内に自分から取り込まれなければ、果たして現在も独自の文化(ミーム)を誇る少数民族として存続していたかは、分からない。

あらゆる『英雄』は、なべて『中央』の権力闘争のコマでしかないのだ。

そして、その事実はほぼ周知されている。

つまり、反感の源泉でもある。

 

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