幻想再帰のアリュージョニスト二次創作「コルセスカさん変形する」【togetterでも投稿中】   作:鳳卵

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第29話(24~25の途中まで)

求める"出口"は、自分の中にはないのかもしれない。

外にだって、どんな遠くにも、どんな過去(れきし)や未来(あした)にだって、あるいはそんなモノは存在していないのかもしれない。

 

それは、目の前の元女神のような、高名で偉大なモノたちにとっては、まともに取り合う価値などないような、そんな妄想でしかないのかもしれない。

大事に保管されたり奪い合われるような重要で公式な記録(アカシックレコード)には、全く記されていないような、そんなあやふやな夢想なのかも。

 

だが、

だが、それでも。

だとしても。

 

ラリスキャニアは、彼女は、そこに、表現(アイドル)に価値を見出した。

それは、"外"と"中"をつなぐもの。

 

そう、『アイドル』は、きっと自分(ひとり)だけでは、なることが出来ないものであり、

そして単なる称賛(いいね)の声の多さや、権威や権力(おえらいさん)による承認だけが、定義するようなモノではないのだから。

 

どれだけ宣伝や後推しがあっても、どれほどの支援や資本があろうとも、まず本人が舞台に立ち続けなければ、きっとアイドルは成立しない。

 

アイドルは、確かに霊媒(アバター)だ。

所詮は、強大な力が使用するための道具で導管。

試練、挫折、友情、結束、成長、そして勝利。

 

どれだけ個性を語ろうとも、どれほど栄光を謳おうとも、アイドルとは、そうした神話(ものがたり)を上手く回していくための道標(アイコン)に過ぎず、巨大なミーム体系(しんわ)に操られる人形であり、駒でしかないのかもしれない。

 

つい先刻、ラリスキャニアは歌った。

『ちょうちょの羽ばたき、嵐となって。

世界のすべてを、揺るがすように。』

 

だが、実際にこの『世界』(ゼオーティア)で、蝶の羽ばたきが嵐を起こすことなどは有り得ない。

 

なぜなら、この『世界』の全ては神々、言い換えれば、"超越者"たちの力関係によって決まるのだから。

 

『世界』とは、神々の遊び場。

『運命』とは、"超越者"たる神々やその指先たる『英雄』たちの争いによって描かれる絵画。

 

雀の一羽落ちるにも、蝶の羽ばたき一つにしても、それは神々の意図の下に起きること。

 

蝶のような『小』が、"超越者"たちや『世界』の『運命』に影響を及ぼすことなど、ここでは有り得ないのだ。

バタフライ効果など、『杖』に取り憑かれた変人の妄想に過ぎない。

 

この『世界』という舞台では、小さき者、弱く力なき者は、一方的に支配され、影響を受けるだけの存在に過ぎないのである。

無名の地下アイドルに、『自由』に出来るモノなどない。

 

だが、たとえそうだとしても

 

だからこそ……

 

「だからこそ、ボクはお前に勝つ!」

一介の地下アイドルに過ぎないラリスキャニアは、悪魔(アキラ)の左腕(まじょ)に向かって、今ここに宣言した。

自らの知る最強の超越者たる彼女に、恐怖の一つの根源に、きちんと向き合う姿勢をここに示したのだ。

 

だが、それでも……

 

敵は強大だ。

相手は、"元"とは言え女神なのだ。

一度は打ち倒され、零落して転生したと言っても、強大な存在であることに何ら変わりはない。

 

その証拠に、

 

「それはちょっと楽しみですね。本当に、貴方にそれが出来たとしたら、という話ですが」

 

目を細め、笑うその姿からは、恐ろしいまでの圧力が、そして殺気がまるで吹雪のようにラリスキャニアめがけて襲いかかって来ている……!

 

表面上こそ笑顔だが、その実、まったく笑っていないし、目前のいちアイドルのことなど、まったく気に留める様子が無い。

 

オマエのことなど、どうでもいい。

私には"彼"さえいればそれだけで良いのだ。

 

その姿は、まるでそう語っているかのようであった。

 

「だからボクは…このラリスキャニアは、蝶になってやる!嵐を起こして世界を変える蝶に!」

 

そこで地下アイドルは、改めて【宣名】をした。

しかも、発言と同時に、一歩前へと踏み出す動作付きだ!

 

大げさな言葉や態度で、他人に自信のほどを示す――――『猫の国』で言うところの『見得を切る』という名乗り儀式である。

異世界であるかの国の事柄は不確かであり、ラリスキャニアのような木っ端芸能者には、虚実ない混ぜの情報しか入ってこない。

 

だが、一説によればこの『見得切り』は、発動と同時に背後を大爆発させ、悪党すら正義の味方として知らしめる必勝の技であるとか。

だからこそ、彼女はこの大一番でこの技を使った。

ただし別に、不確かな異世界の技術に頼ったというわけではない。

 

わざわざ、ここでこんな派手な真似をした理由は、ただ一つ。

それは――――

 

(混乱させる!現代人のボクですら良く分からない異世界の技ならば、当然古代から蘇った干物女王には、もっと分からないはず!

相手は、いくら余裕ぶってはいても一度は敗北した身!未知の技相手には、警戒せざるを得まい!)

 

と、そんな事情であった。

つまるところ、単なるハッタリである。

 

こうして稼いだ時間の間に、少しでも相手を観察して、その弱点を見つけ出さねば……!

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