幻想再帰のアリュージョニスト二次創作「コルセスカさん変形する」【togetterでも投稿中】   作:鳳卵

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第39話(31~32の途中まで)

次に現れたのは、破滅だった。

一番奥の幕が開き現れたスクリーンに、つぎつぎとショッキングな記事が写し出されたのだ。

「リーナ・ゾラ・クロウサー、薬事法違反!」「ゾラの娘、犯罪を家の力でもみ消す」「"空使い"にふさわしくない娘を断罪せよ」「関係者語る『前から絶対やるって思ってましたよ」

 

その映像の下には、倒れ伏す影があった。

それは、先程の場面よりさらに成長したリーナだった。

 

だが、彼女は床に伏している。

少し浮いているのは変わらないが、その上からは分厚い布団がかぶせられ、さらにシーツで作られた縄で寝台に固定されているのだ。

三角帽子の少女は、白目をむき、口からぶくぶくと泡を立てている。

病気ではない。

 

少女の周りには、使用済みの注射器が無数に転がっている。

産業廃棄物の不法投棄?

いや違う。

 

それらはすべて、少女が使用した違法霊薬の残骸であった。

その時、背後のスクリーンに、薬物をキメながら暴走飛行を繰り広げるリーナが映り、そこに注意事項で『違法霊薬、絶対ダメ』のテロップが流れた。

 

それは、敗北の物語。

挑発から闘争、そして自滅覚悟の挑戦によってもたらされた、約束された破滅。

父の敷いた轍(ルート)を踏む、娘の姿であった。

 

さらに、地中から死者が湧き出してきた!

あくまでただの床のはずだったラリスキャニアのマイルームから、突如として無数の人体骨格が生えだしたのだ。

 

あまりのことに青ざめる(というより疑似細菌の制御力が落ちたのか黒みを増した)部屋の主をよそに、湧き出した死者たちは、わさわさと動き回る。

そしてガイコツたちは、組体操の要領で塔を作ると、そのままナレーションをしていた大人リーナに死者が襲いかかったのだ!

 

そんな騒動を背後に、悪魔(アキラ)の左手(ディスペータ)は、ゆったりと持論を説き続けた。

 

「家族とは、他人を巻き込む暴力のひとつ。人間関係とは、少なからず互いを束縛するものです。

人は皆――いや、この世界のヒトのほとんどは――母の腹からその生を始める。

いわば、ヒトは寄生虫なのです。そうでないモノも、誰かと関わり合って、誰かから資源や力(エネルギー)をもらわなければ、生きていくことは出来ません。

こうして、考えをまとめ、表現することですら、『呪文』(ミーム)という材料(どうぐ)を他者から分けてもらわなければ、行うことは出来ないのです。ヒトは誰かに寄生し、傷つけ奪わなければ、生きていくことなど、決して出来はしない」

 

その台詞と同時に、ちょうど骨組みの塔の頂点が、投げ槍のように大人リーナへと襲いかかった。

 

大人リーナは黄色い瞳でこれを鋭くにらみつけつつ、急上昇して危なげなくかわしたが、そのはずみで、手に持っていた黒い本を落としてしまう。

 

いや、その本は――脚本は、もう黒くはなかった。

その表紙は白く、中にはたくさんの写真が挟まっていて・・・

 

「なるほど、『家族アルバム』ですか。まさか『死人の森の断章』をそんな解釈をした海賊版の脚本にしているとは思いませんでした。」

 

左手(ディスペータ)が告げた通りである。

『アルバム』に収められた『念写写真』は、家族に対するイメージを焼き付けたもの。

『家族という宗教』は、それを参照することでカタチを保つのだ。

 

先程までの公演中、実はひそかにそこから『白』い光が照射され、舞台を照らしそこでの公演(レビュー)に力を与えていた。

 

"興行主"であるラリスキャニアから照射されていた『赤』い夢の輝きに、大人リーナが語る思い出の『青』い光が合わさって『宗教』概念を表す『白』を創成していたのである。

 

通常の光学理論では成り立たない、呪術的な光の合成。

 

あの『白』い『アルバム』は、その光を集約し投影するためのキーアイテムだったのだ。

それが失われてしまったということは……

 

「ですが、これで終わりです。茶番劇はもうおしまい。私とアキラさまの物語も、ここで完結、ハッピーエンドです」

 

そしてその言葉と共に、骨組みの塔が砕け散った。

ガイコツたちが無数の骨となってあたりに飛び散ったのだ。

バラバラに飛び散るガイコツの骨は、残らず鋭い投げ槍となって『アルバム』を貫いていく。

 

そうして砕かれたアルバムのページは、くす玉のように部屋中に飛び散り、飛び立つ鳩の群れのようにあたりを舞ったのだ。

砕かれ、意味を失ったページたちが、紙吹雪となって部屋中を舞い散り、落ちていく……

 

 

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