幻想再帰のアリュージョニスト二次創作「コルセスカさん変形する」【togetterでも投稿中】   作:鳳卵

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第49話(39~40の途中まで)

しかし、"講演者"も然る者(さるもの)、即座に返答する。

 

「もちろんあるさ。ボクのアイドルとしての戦法は、念入りな情報収集に基づく場外戦術。ボク自身がアイドル迷宮から出たことがなくとも、外のアイドル情報を集めるなんて造作もないことだ」

 

そしてその言葉と共に、地下アイドルは教卓の上で指を滑らせた。

 

操作に反応して黒板(ホワイトボード)の上に、幾枚もの書類(ファイル)が現れ、並べられる。

念写写真、インタビュー念写動画、雑誌の切り抜き(カット&ペースト)、そしてどこかの組織の登録書類らしきものの写し(スクリーンショット)

 

それらの情報の山が並んだところで、"講演"はまた再開された。

 

「冒険者小隊としての『黒百合』(チョコレートリリー)が初めて歴史の中に姿を表すのは、新たに登録された新人(ニュービー)冒険者としてだ。

それは、第一階層の舌獣イキューを討伐したときのことだとされている。

 

その後、慰霊祭での"お披露目"を経てティリビナは槍神教の序列内部の民族として公認され『上』の住民となっていくわけだが……

 

注目すべき点はここだ。

そう、この登録時点では、まだティリビナ人は『上』から迫害されてたんだよ。

被差別民族だったんだ。

 

なのに、まるで既に公認されているかのように小隊の一員として登録されているんだ。

おかしいとはおもわないか?

 

まるで順序が逆なんだよ。

 

まあ、この世界(ゼオーティア)には『呪文』によって過去の『事実』を書き換える技術は確かにある。

時系列を遡(さかのぼ)って『本妻』と『愛人』を入れ替えることに比べれば、現在の同盟者を最初から『仲間』として登録しておいた『事実』を作り出すことなど造作も無いだろう」

 

「なら…」

 

「だが、意味がない!」

 

ここでまた口を挟もうとした自称『本体』であったが、その行動は地下アイドルがすぐさま話を再開したことによって見事に阻止(インタラプト)されてしまった。

"講演"の勢いは、止まらない。

 

「ここでそれを疑うことには、意味がないんだ。

この『事実』が、本当に過去に行われたことの誠実な記録なのか、あるいは後から捏造された政治的な『正しい歴史』なのか、そんなことで悩むことには意味がない。

なぜなら、ティリビナ人が差別的な扱いを受けていたという、そちらの方の『歴史的事実』との食い違い自体は、まったくもって解消などされていないからだ!

違和感を覚えるべき差異は、残り続けている!」

 

「だが、それは結局、クロウサー家が、有能な種族の活用に成功したというだけの話じゃないのか?

確かに、ティリビナ人は『上』でも差別されていたかもしれない。

世界を二分する勢力である槍神教に迫害され、絶滅の危機に瀕していた"社会外の存在"(アウトカースト)だったのかもしれない。

けれどそれを逆に言えば、彼女たちは、そんな状態であっても、なお生き延びるだけの能力を持っていたということに他ならないんじゃないか?

リーナが、前々からティリビナ人と交流を持っていたという話にしても、それはあくまで、クロウサー家が既定路線としての戦略を実行しただけ、と解釈すれば済む話だ。

なにもそんな、『アイドル世界化計画』なんて陰謀論を持ち出さなくても、これは十分に説明がつく話なんじゃないのか?」

 

「なるほど、つまりキミはこう言いたいわけだ。"リーナはクロウサー家としての意向を忠実に実行しているだけであって、アイドルは特に関係ない。重要な要素ではない。"と」

 

「そうだよ。いくらなんでも話を膨らませすぎている。大げさに騒ぎすぎているんじゃないのか?」

 

"興行主"は、そんな『本体』の問いかけにゆったりとした口調で答えた。

 

「それは確かに、もっともな意見だ。

リーナの言動が、クロウサー家の意向やその既定路線にそのまま従ったものに過ぎないというのは、十分に考えられることだろう。

けれど、ここで問題とすべきなのは、その方向性なんだ。

この場合、リーナの言動が、クロウサー家本来のものと異なる独自のものかどうかは関係ない。

実は彼女が『死霊使いガルズの乱』自体を指揮していたのではないか、などという巷間でよくある噂(エーラマーンのささやき)にしても、この話には無関係だよ」

 

「では、キミは一体何を問題としてるんだい?」

地下アイドルは、その問いに力強く答えた。

 

「リーナは、あるいはクロウサー家の活動の中心こそがアイドルであり、その最終目的は、"アイドルを中心とした世界"の設立にほかならないということだよ]

 

「それじゃまるで 第六(コーディネイト)世界槍のようじゃないか」

 

「乗っ取りの懸念かい?それこそ、どうだって良い話だよ。

他の世界槍との主導権争いなんて、ボクら木っ端の地下アイドルには、関係の無い話さ。

それより問題なのは、アイドルが政治の中核に位置づけられる、ということだ」

 

 

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