幻想再帰のアリュージョニスト二次創作「コルセスカさん変形する」【togetterでも投稿中】   作:鳳卵

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第51話(41~42の途中まで)

ラリスキャニアは、大仰なジェスチャーと共に答えた。

 

「歌姫Spear、彼女は確かに一介のアイドルに過ぎない。

槍神教のメンバーとしても、上層部のような真の権力を持たない一個人に過ぎないのかもしれない。

けれどそもそも…政治的な力はアイドルに不可欠なものかい?

もっと言うなら、アイドル本人にそんな力は必要なのかい?」

 

それを聞いた『本体』は、ハッと目を見開いた。

 

そしてそのまま、驚きの形をした唇から返答が漏れ出す。

 

「マネージャー…そしてプロデューサーか!」

「大正解だ!歌姫Spearの現在の飛躍には、プロデュース方針の大きな変更がある。新しい芸名、路線の変更、神秘性を高める情報規制…セルフプロデュースを謳(うた)う歌姫だけれど、その背後に、大資本の影響があることは否定出来ない」

「でも、それだけじゃボクの説は否定出来ないよ!」

 

興奮のあまり顔を赤く染めながら『本体』が叫ぶ。

 

「歌姫の背後にいるのが、槍神教でもクロウサーでも、結局なにも変わらないじゃないか!」

 

「変わるさ。クロウサーは血族組織だ。別に宗教じゃない。」

「そんなことは…!」

 

いや、そうなのか?

口ごもる『本体』

 

それを見たラリスキャニアは、小さくうなづくと、説明を再開した。

 

「クロウサーは血族組織、つまり、結婚で繁栄してきた利益団体だ。

言い換えるなら、『繁殖』こそを成功戦略として保持してきた集団だと言える」

「クロウサーが、アイドルの婚活でも斡旋するとでも言うのかい?」

 

「それは全くの的外れじゃない。

少なくとも一件はやるだろうな。

第五階層には、ちょうど華々しくデビューした、それも婚約中の有名人がいるわけだし。

だが、それは本筋じゃない。

今度のクロウサーの“繁殖”は、血ではなく、模倣子(ミーム)によって行われる。

そしてそれは、有名人二人だけではなく、もっと多くのヒトびとを結びつけるものになるだろう!」

 

ここで“興行主”は、回転を続ける模型を指差した。

それもまず頂点、次に中央、最後に下層と三度も続けてだ。

 

するとそこで、新たな変化が生じた。

それも、続けて起きたのだ。

 

ラリスキャニアが頂点を差すと、歌姫人形の隣に三角帽子の指人形が並び、

地下アイドルが中央を差すと、焼けただれた樹木のような槍の中腹に、歌姫人形を迎え入れるライブ会場が出現し、そして、少女が下層を指差すと、そこには大きな花を頭に飾った人形が現れ、それはくるくると踊って歌い出したのだ。

 

最後に、そこへもう一つだけ変化が加わる。

三人の人形が、お互いに向けて一斉に手を伸ばしたのだ。

 

下へ、

上下へ、

そして上へ、

つながるはずのない手は、しかしつながる。

 

『本体』のように、その情景の全体に目を配っていればその理由が分かったはずだ。

 

世界が、小さくなっている。

この模型全体を操作している“興行主”が、指差しと同時にこっそりと『縮尺』を変更していたのだ。

 

「どうだ。」

 

長ゼリフと模型の操演を成功に終え、満足げにシナモリアキラ顔(どやがお)を決めようとしたラリスキャニア。

だが、彼女を待っていたのは、『本体』の猛反発であった。

 

「ここへ来てリナ×スピ説!?

そのカプは血の雨が降るぞ!

いや、ミル×アズの過激派か!?

だとしても、その片付け方はお行儀が悪い!

ネット上で情報提供してくれる『チョコアズ様をペロペロしたい』さんだって、きっとそんなことはしないぞ!」

 

「落ち着きなよ。

これは、そんな粗雑で小さな話じゃない」

 

予想外の反応に機嫌を悪くしながらも、地下アイドルは説得にかかる。

その背後には、いつの間にか人形に対応した美少女たちの念写写真が投影されていた。

 

「この念写写真を見てくれ。これは、少し前に中断した話の続きなんだが、この三人には三つの共通点がある」

 

ボクの『本体』なら、分かるだろう?

とうながすラリスキャニア。

 

当然、『本体』は、己の存在意義を証明するために答えざるを得ない。

いつの間にか、場の主導権は完全に“興行主”へと移っていたのだ。

 

さて、プリエステラ、リーナ・ゾラ・クロウサー、そして歌姫Spear。

この三人の共通点とは、一体何か?

 

「三つ?またえらく唐突だな…。

まあ、まず一つは『名家の子女』だな。

リーナについては言うまでもないし、歌姫Spearは月の王族、プリエステラだってティリビナの族長の家系だ」

 

「そうだね。次は?」

「二番目の共通点は、『魔女』だ。

これもまた、言うまでもない。

慰霊祭?の時の戦いを見るに『戦闘力が高い魔女』や『特に優れた呪術使いである魔女』と呼んでも問題ないだろう。

もちろん、『ヒト』の範囲内でだが。

葬送式典で歌姫Spearが披露したあの姿は、おそらくそう簡単に使える技(マジカルアピール)というわけじゃないだろうし。

しかし、これも先程の特徴も、この三人に限定されるものじゃないぞ。

…ああ、そうか、そういうことか!」

 

そこで何かに気づいた『本体』は、意味深な含み笑いを浮かべるラリスキャニアに向かい、解答を言い放った。

 

「三つ目、最後の共通点は『学歴』だ!

そしてそれは、『黒百合』のほぼ全てのメンバーに当てはまる!

あの『天眼の民』だけは、調査でも経歴の確定情報をつかむことは出来なかったけど…まあ、それは例外として。

『黒百合』(チョコリリ)には『星見の塔』の留学生というつながりがあるわけだ!」

 

「その通りだ」

「つまり、貴女はこう言いたいわけだ。

『黒百合』とは、クロウサーが『星見の塔』の協力を得て作り出した『学閥』である、と」

 

「そしてそれは同時に、ある目的のために結成された『プロジェクトチーム』である可能性が非常に高い。

元々そうした目的で作られたのか、他の候補から選抜されたのかまでは、分からないけどね」

 

「その目的こそが…」

「そう、『アイドルによる世界征服』なのさ!」

 

 

 

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