幻想再帰のアリュージョニスト二次創作「コルセスカさん変形する」【togetterでも投稿中】   作:鳳卵

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第54話(43~44の途中まで)

「…それもその通りだ。どうしたんだい?やけに物分かりが良いじゃないか?」

訝(いぶか)しむような強いまなざしを送る“興行主”

 

それに対して、『本体』はさらりと答えた。

 

「なるほど、良いよ。そこまでは認めよう。

貴女の勝ちだ。」

「なんだって?」

 

「ただしそれは、“第一の瑕疵(キズ)”についてだけだ。

次は“第二”、つまりクロウサーのスポンサー説について答えてもらおう」

 

それまでどこか不安そうだったラリスキャニアの表情は、『本体』のこの説明によって一気に晴れやかになった。

彼女は、まるでひなたから日陰に移った吸血鬼のように、勢いよく説明を再開する。

 

「なら解説しよう!確かに、現在のクロウサー関連グループの資金や呪力の動きからは、アイドル事業にそれほどの比重はかけられていないように見える。だが、それはあくまで…」

 

けれど、それもまた…

 

「“それはあくまでまだクロウサーグループ内部での勢力の統一が出来てないためである。

あるいは、槍神教や国家群、霊性複合体(スピリチュアリティ・コンプレックス)を出し抜くための擬装の意味もあるかもしれない。

いずれにしても、それだけで仮説を否定することは出来ない。

“むしろ、『空使い』というクロウサーのトップが、自らアイドルを演じて歌姫の露払いをした意味に着目するべき”、と言いたいんじゃないのか?」

「そ、そうだ。だが、なぜ?…そうか!分かったぞ!三番目が本命か!」

 

「その通り。さて、では貴女にならってこちらも念写写真を使うとしようか」

 

その言葉と共に、『本体』の背後に、またも少女たちの集合写真が映し出された。

彼女たちは、誰も彼もが美しく、それぞれ特異な文化的背景に基づく呪力(ミーム)を放っている。

単なる念写写真とは思えぬ迫力。

外見が美しかったり、流行のファッションを身につけているだけでは、こうはならない。

 

呪術的な各員の実力の高さ、集団としての調和、異なる個性を組み合わせてより高次の働き(アート)を実現させるチームワーク…そうした複数の要素こそが、念写写真となってもなお観察者に迫力を与えるほどの強い印象(インパクト)を実現させているのだ。

 

それが『黒百合』(チョコレートリリー)のメンバーであることは、もはや言うまでもないことであった。

 

けれども、それを前に『本体』が言い放った言葉は、あまりにもこの場にふさわしくないものだったのかもしれない。

まず、彼女は前振りとしてこう語った。

 

「さあ、第三の、つまり最後のヒントだ。

『世界アイドル化計画説』を通すなら、決して見過ごせない矛盾点、いや違和感をかもし出す人物がいる」

 

「違和感をかもす人物…?」

 

そして、『本体』は、恐れ知らずにも、宣言したのだ。

 

「この中で一人だけ仲間外れがいる。

さあて、誰だか分かるかな?」

 

突然の衝撃的な発言。

それは、侮辱にも聞こえかねないものであったが……

 

「なるほどなるほど、そこが疑問だったのか」

 

"興行主"は、またしても余裕たっぷりでその言葉を受け止めた。

先程までの動揺が嘘のようだ。

そしてその返答も、余裕を形にしたかのようなものであった。

 

「ああ、貴女が言っているのは、『天眼の民』の彼女のことだろう?それなら問題ない。彼女のことなら、考えるまでもない話だよ」

 

「まさか、"アイドルグループに裏方がいるのは必然だ。メイファーラは、ボディーガード要員だろう"なんていう安易な答えをするつもりかい?」

 

「いやいや、それこそまさかだよ。あれだけ派手に集団(グループ)としてデビューしておきながら、一人だけ地味な裏方で終わるとか、それこそ有り得ない」

 

「では、どう考える?

"彼女は、アイドル活動が本格化する直前で必ず脱退する!

その交代要員として、姉妹とか親戚を自称する本命の新アイドル(テコいれメンバー)を加入させるんだ!

つまりメイファーラは、空席を作るための席取り要員!"

とかいうのも無しだよ?」

 

 

「『シナモリアキラ』じゃあるまいし、それも無いだろう。

まあ、メンバーの交代劇はドラマティックなものだし、例えば第五階層のライブで、アルト王の後継などを自称する新アイドルが、機械女王を上回った理想の統治者として『黒百合』に鳴り物入りで加入する…それはそれで有効な演出だし、少しだけ面白い手ではあるとは思うけどね」

「では?」

 

「ボクの答えは、こうだ。“メイファーラこそが、アイドルグループとしての『黒百合』を完成させる存在であり来るべきアイドル時代の生きた『転換点』(ターニング・ポイント)そのものだ。

そして、その『平凡さ』こそが、彼女がそれほどの大きな転換をもたらす存在であることのなによりの証なのだ”とね」

 

「…理由を聞いても良いかい?」

「もちろんだ。ボクがそう思う理由は、今度も三つある」

 

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