幻想再帰のアリュージョニスト二次創作「コルセスカさん変形する」【togetterでも投稿中】   作:鳳卵

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第77話(63~64の途中まで)

しかし、女神触手(ディスペータ)は、相変わらず涼しい顔のままだ。

 

「果たしてそれはどうでしょうか?」

 

そう胸を張るほどの根拠が、彼女にあるのだろうか?

確かに、まだ彼女の巨大ペン回しーー実質的な巨大杖のぶん回しーーは続いている。

 

回転による遠心力、そして蓄積されつつある呪力は、時間さえあれば、確かにこの魔弾にさえも対抗出来るだろう。

 

十分な時間さえあれば。

 

けれど、魔弾は今にも透明な防壁を食い破りつつある。

このままでは明らかに足りないのだ。

時間も、魔弾を弾き返すために必要とされるエネルギーも……

 

「その程度の武具と業(ワザ)では…いや、なんだソレは!?」

 

その時、女教師は、奇妙な現象に気づいた。

 

悪魔の左手(ディスペータ)が回し続けているペンが微妙に変化、いや“変形”している!

 

「その形、まさか!」

 

「そう、賭博(ゲーム)をするのであれば、専用の遊具を使った方がずっと楽しいでしょう?」

 

そのペンは、急速に角張りつつあった。

六つの角(カド)が出来、それぞれの面に数字が刻まれ、穂先…ペン先はより太く大雑把になり……

 

つまるところ、それはもはやペンではなかった(ディス イズ ア ノット ペン)

 

それは、柄尻に小さな怪物の姿が描かれたその文房具は、それは…

 

「遊戯(バトル)用の鉛筆だと!?」

 

つまり、そういうことであった。

 

それは、サイコロの代用品として、学生たちが試験回答の代行を頼んだ品、それを更に遊戯に特化させたモノ。

言うまでもなく、学園持ち込み禁止の一品である。

 

そしてもちろん、それだけではない。

鉛筆の柄尻からは、ペンのときのような飾りが見受けられない。

 

しかし、それは別に消失したわけではない。

現時点で存在しないのは、一時的に分離しているからだ。

 

そう、そうすることが必要だったのだ。

後から追加『合体』するために…!

 

「最強の『レストロオセえんぴつ』に更に強化キャップ追加だと!?

そんなモノ、発売されていないはず!」

 

だが、それは確かにあった。

それは虚空から帰還した 巨大鉛筆に『合体』し、その数値を、更に上方修正したのだ!

 

天に向かい高々と屹立(きつりつ)するキャップには、小さな女神像が君臨していた。

 

見ようによっては、巨大な左腕にも見えるその像が、誰を表しているのかーーこちらも、語るまでもないことであろう。

 

「この私も、れっきとした第五階層の転生者。

女神ルウテトから生まれた存在です。

貴女が語った『アンティゴネー』の条件に、ぴったり当てはまりますね♪」

「こじつけだぞ、年齢詐称ババア!」

 

「貴女も同じ年に生まれたのに、それ言ってて恥ずかしくありません?

まあ、それはそれとして、更にーー」

 

もちろん、用意された札はこれだけではない。

女神触手(ディスペータ)の眼前で、今にも魔弾にカチ割られそうになっていた透明な壁。

その壁にも、まだ仕掛けはあったのだ!

 

だが、その時!

 

みしり。

 

「馬鹿め、もうそのふざけた壁も崩れるぞ!」

 

そう、壁には大きな亀裂が入ってしまった。

それはたちまちのうちに壁を引き裂いていき、堅固で見事なまでに平坦だったその面も、あっという間に原型を無くしていく!

 

女神触手(ディスペータ)を守る最後の防壁も、これにて一巻の終わりと思われた!

 

しかし、そうは問屋が卸(おろ)さない!

 

「お前もこれで年貢の…何だコレは!?」

 

女教師は、気づく。

その破壊には、奇妙なところがあった。

最も壊れて欲しい部位、回転する魔弾を受け止め続けているポイントの周囲だけは、全く壊れないのだ。

 

確かにこの防壁にはヒビが入り、他の部位は大きく割り砕かれつつある。

一見すると、完全破壊は目前に思えるほどだ。

 

だが、砕けない。

一定の範囲、魔弾を中心に横一列に広がる直線の部位だけは、まるで全く別の素材で出来ているかのように、砕けることがなかったのだ。

 

確かにヒビはいくつも入っているのに…

 

いや待て、これは本当にヒビか?

 

強く集中し、観察を続けていた女教師は、ついに禁じ手を切ってその正体を確かめた。

 

『鑑定』

 

この第五階層に生きる存在に、あまねく与えられる祝福。

それを用いて調査を完了したラクルラール、その口からは……

 

「なんだコレは!?ふざけてるのか!」

 

なんと、『鑑定』前と全く同じ言葉しか出てこなかった。

 

そして、ちょうどそのタイミングで、破砕、いや“変形”が完了した。

それは、どこかの機械女王であれば、やすりやニッパーで丁寧に行ったであろう、不要部位の排除。

 

それによって現れたのは、透明で、細長く、タテにいくつもの線が入った、そんな奇妙な物体であった。

学園であれば、どこにでもある、そんなモノ。

 

「定規、だと…」

 

なんとか驚きから立ち直った女教師が、呼ぶその名称を、女神触手(ディスペータ)は、軽く訂正する。

 

「ただの定規ではありません。最強のクリスタル定規です♪」

 

「それがどうしたぁーーー!」

 

その言葉で、ついに怒りが限界に達したのか、ラクルラールは、そこで更なる切り札を切った。

 

彼女が怒声をあげるのと時を同じくして、魔弾が更に回転速度を急速に速めたのだ!

 

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