幻想再帰のアリュージョニスト二次創作「コルセスカさん変形する」【togetterでも投稿中】   作:鳳卵

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第78話(63~64の途中まで)

物理的には、絶対に有り得ない変化球。

つまりは、呪術ーーいや、『神働術』による、干渉である!

球神ドルネスタンルフの力による高速回転が、魔弾をさらに加速させたのだ!

 

だが当然、悪魔の左手(ディスペータ)による反撃が、それを迎え撃つ!

 

彼女が大きく【旋回】させていた遊戯(バトル)用の鉛筆、それが巨大な『クリスタル定規』の"尻"を叩いたのだ!

 

定規にあるのは、なにも目盛りだけではない。

特定の種類であれば、それが硬さと共に柔軟性を併せ持ちーー強くしなるのだ!

 

それはつまり、定規は、即席のばね、投石機や投槍器としても運用が可能だということ!

 

「遊戯(バトル)えんぴつに、更に他の遊戯(ゲーム)を組み合わせただと!?」

 

そう、それもまた、学園特有の遊戯。

消しゴムや他の定規を弾き落とす、“除外”を目的とした文房具のお弾(はじ)きであった!

 

これによって、高速の回転に、巨大な定規が蓄えた力学エネルギーが加算された。

 

しかも、それだけではない。

 

ラクルラールは、自身を強化するために戦場を『学園』に設定していた。

 

今度は、それが仇となる。

 

そもそも、『学園』は、教師が支配するだけの場ではない。

そこは、生徒たちが絶え間なく"反逆"を繰り広げてきた施設でもあるのだ。

 

それはなにも、窓ガラスを叩き割ったり、校舎内を箒で飛び回るような犯罪行為に留まらない。

 

教育の裏面が『矯正』あるいは『洗脳』であるように、ある視点から見れば、生徒たちの行動は全て『反逆』に他ならない。

 

何もかもを排除しようとする乱暴者にとっては、全ての人間が邪魔者であるのと同じことだ。

 

『学園』の支配者たる教師たちにとって、生徒たちの行動全て、特に制定された校則(ルール)を破る遊戯の類(たぐい)は、残らず自分たちに対する『反逆行為』であった。

 

つまるところ…教師の目を盗んで行われる『学園遊戯』には、ラクルラール=女教師に対して特攻の効果を持つ呪力があるのだ!

 

力学エネルギーと教師特攻呪力(ミーム)その二つが今こそ合わさり、今、女教師に向かって牙をむく!

 

そう、この時、悪魔の左手(ディスペータ)の接続連撃(コンボ)が完成を遂げたのだ!

 

高速回転を続けた遊戯(バトル)えんぴつは、力学エネルギーおよび呪力をたっぷりとたくわえ、更に特製の“女神キャップ”が、それを極限まで強化する!

 

いまや時は来た!

満を持して、放たれる打撃!

 

その瞬間、えんぴつはついに動き(ダイスロール)を止めた。

それは同時に、呪術的な演算(えんぴつ占い)の結果が出るということを意味している!

 

出た目は……もちろん、特別大凶(ルウ・ラッキー)!

死の女神が確信する自身の不運は、人類全体におよぶ宿命、そして世界の破局を呼ぶ大災厄と、なぜか宿命的に結びつけられていた。

 

“私が不運なときは、いつも当然、世界中みんな不幸になる”

 

いかにも【邪視者】的な確信は、呪術的な世界への影響力となり、周囲の運命を歪ませていく。

それすなわち、致命的な精神負傷(PTSD)の攻撃流用。

 

換言すれば、これこそが彼女にとって確信出来る唯一の未来、つまりは大成功(クリティカル)である!

 

かくして、えんぴつが放つ打撃は、物理・呪術の両面において第五階層の最高ランクの威力を叩き出した。

そのエネルギーは余さず彼女の正面へーー限界までたわんだ物差しへと吸い込まれていく!

 

言うまでもなく、そこには未だに突進を止めようとしない魔弾が、そしてこれまた蓄積された強大なエネルギーがあって……

 

結果、大爆発が起きた。

 

ベクトルの逆転、呪術攻撃を反射するカウンター/呪い返し。

起きた現象だけを言うならば、それは極めて単純な、ありふれたもの(ゼオーティア)である。

 

【報復】は、どんな初心者呪術師でも使うことが出来る呪術の初歩の初歩であり、家系によっては生まれた直後に使えてもおかしくないほどの容易な業(ワザ)だ。

 

だが、これは強度が違う。

威力が、込められた技術が、そして何よりも思い(のろい)が違う。

 

大量のエネルギーを費(つい)やされた反撃は、もはや完全に初級、いや軍事用中級呪術の域すら脱していた。

 

呪術の世界には、ある通説がある。

 

“呪い返しは、反撃対象の呪いより、更に凶悪になる”

 

そして当然ながら、超一流の呪術師が必殺を期して行った攻撃は、これ、ことごとく必滅の呪いである。

 

弾き返された魔弾は、これまでに倍加する猛烈な威力を以(もっ)てラクルラールに襲いかかるのだ!

 

それを待ち受ける女教師は、もはや無防備ーーもちろん、そんなこと、あるわけがない。

 

「させるものか!」

 

それは、まるで敬虔な祈りのように見えた。

膝を折り、胸の前で手を組む体勢。

 

けれど、もしそれをきちんと観察する者がいれば、確実にそこに秘められた“仕掛け”に気づくだろう。

 

膝を折るのは、最速で“距離”を稼ぐため、手を組むのは、大きく引き寄せるため。

それは、神や幸運に祈るためでは断じてなく、己が誇りの源泉たる業(ワザ)への献身であった。

 

すなわち、『人形操り』である。

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