幻想再帰のアリュージョニスト二次創作「コルセスカさん変形する」【togetterでも投稿中】   作:鳳卵

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第99話(81~82の途中まで)

だが、それに対し地下アイドルは、じらすようにゆったりと喋(しゃべ)り始めた。

 

「アレは…ここではない場所、今でない時に活躍した“悪の英雄”のコスプレだよ。

あのシナモリアキラに、実質的に勝ち越しした、最強無敵の番外魔将だね!」

 

「だから、そんなモノ聞いたこともないと言っているだろうが。

この時点での魔将は既にわずか四人で、番外など少なくともセレクティ派にはいない 。

敗退した九人にもそんなヤツはいないし、新しく任命されたという話も無い。

その番外なんとかは、魔将でもなんでもないはずだ」

 

疑念を浮かべる女教師。

それに対し、

 

「なるほど、そういうことですか」

と人面樹は急に心得顔になった。

 

「分かるのか?」

「ええ、まあ大半は推測ですが」

 

知ったかぶりではあるまいな、という女教師の疑いの視線を、人面樹はさらりと躱(かわ)す。

 

そして彼女は、解説を始めた。

 

「アレは失われた世界線、有り得た『今』からの漂着物です。

別ルートから紛(まぎ)れ込んだ『バグ』と呼んでも良い。

そこの地下アイドルが、どこからそんな情報を得たのかは分かりませんが、ここは夢の中。

集合無意識を経由して、そうした遺失情報が紛れ込むことも、有り得なくはないでしょう」

 

「失われた世界線から漂着した『墓標船』もどき?

そして、アレが実在し得た魔将の模倣だと…?

馬鹿馬鹿しい。

過去が二つも三つもあって、たまるものか!

“別ルート”など、ただの貴様の世迷言ではないか。

実在が証明出来ない“世界線”など、所詮は存在しない虚無でしかない!」

 

「貴女が覚えていないだけで、別世界線の話はもう何度もしたのですけどね。

まあ、失われた真の第六位という過去に依存しきり、更に悲惨な過去にすがるしかないのが今の惨(みじ)めな貴女です。

そんな有り様(さま)では、他の世界線や有り得た別の過去なんて、認められないのは当然でしょうね」

 

「なんだと!」

「おや、やりますか?」

 

そしてまた魔女たちは、二人だけの世界に引きこもろうとした。

 

しかしここに、それを許さない者がいる。

彼女は、魔女たちの間へ強引に割り込む。

 

「その通り!

アレは“夢の中の夢”から帰ってくる途中で拾った台本に書いてあった存在だ。

シナモリアキラに勝ち越したという、縁起が良い“役”だったから、試しに景気付けの登場演出に採用してみたのさ!

まあ、だいぶ情報が欠落していたし結末の無い半端な状態だったから、多少は推測と想像で補う必要があったんだけどね。

でも、流石は陰から全てを操るとされるエクセレント大魔将だ!

あんなに強力な魔弾も、しっかり抑えきれたね!」

 

威勢よく自慢じみた説明を行う地下アイドルだったが…

 

「とはいえ、ソレももう無いようですね。

異なる世界線の記録を保持するのは、とても難しいことですし、それも当然でしょう。

しかも、それもおそらくは、強化前のアキラ様にまぐれで勝った程度でしかない相手。

たとえ再現が持続したとしても、私に勝つのは不可能だったでしょう

そちらの産業廃棄物相手なら、話は別かもしれませんが」

 

「フン、腕だけお化け(フリークス)が良く言うものだ。

アキラくーーシナモリアキラに勝ち越しただと?

そんな妄言を吐き散らすとは、私の生徒とは思えん狂乱ぶりだ。

どうやら、再教育が必要なようだな…!」

 

その自慢が逆鱗に触れてしまったのか、二人は、恐ろしい気迫を背負って威圧してきた。

魔女たちは、共にシナモリアキラの敗北を全く認めない。

 

だが、その二人に向かい、ラリスキャニアはまたも決然と言い放った。

 

「いいや、あの大魔将は、確かにシナモリアキラに勝ったんだよ。

まあ、実を言うと漂着した台本はわずかな断片で、戦いの決着はどうなったのか良く分からない。

けど、先が無いということは、つまりそこでもう、シナモリアキラが主役の物語は終わりを告げた、と解釈しても良いんじゃないかな?

主役が勝って、何かを獲得して終わる物語もあれば、負けて全てを失い、敵に主導権を握られる物語もある。

英雄の物語と言うのは、そう言うものだとは思わないかい?」

 

「…敗北の先には、死と屈辱が待つだけです。

そんな最悪な結末(バッドエンド)、私は絶対に認めません

アキラ様は絶対に負けません。

それに、彼の苦悩と屈辱を思う存分味わって良いのは、この私、アキラ様と不即不離の左手(ディスペータ)だけなのです!」

 

「そもそも、それは貴様が勝手に断言しているだけの解釈に過ぎん。

アキラく…シナモリアキラは、何度敗北してもわた…トリシューラの助力によって転生を繰り返し、最終的には必ず勝利し続けてきた!

現時点まではそうだったし、これからもそうだ!

シナモリアキラは、決して失われない!」

 

 

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