俺は一度、世界を救った。
みんなの為に、救ったんだ。
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朝、目を覚ますとまず感じたのはひどい頭痛と吐き気だった。
こう言うのには迎え酒が良いと酒瓶を一つ開け一口口に含んでみる。
結果は散々で、さらに吐き気を助長するだけだった。
我慢できずトイレに駆け込み、胃の中のものを全て吐き出すと、俺はベッドに倒れ込んだ。
濃厚な酒の匂いが鼻腔をくすぐる。
酒と睡眠が、今の俺、元勇者マーセナルの全てなのだなと
改めて実感した。
が、今日に限っては違った。
窓の外をチラリと見る。そこには緑と青い空が見えた。
不思議と無性に外に出て行きたい気分になった。
外着に着替え、少しの金を持って俺は外に飛び出した。
この時の俺は思いもしなかった。
まさかこの気まぐれが俺の人生を大きく変える事になるなんて。
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散歩の途中、気分が乗ったのでギルドに行ってみる事にした。
一応冒険者のライセンスも持っているので、依頼も受けられる。
その時貯金がもう底をつきかけているのを思い出したので、簡単な依頼を受ける事にした。
ギルドは相変わらず冒険者で賑わっていた。
クエストボードから依頼書を一つちぎり取りクエストカウンターに持って行く。
「依頼を受けたいンだが」
「はい、承りま…え!貴方は!」
受付嬢は俺の顔を見た瞬間鳩が豆鉄砲を食ったような顔をして立ち上がった。
「12年前魔王を倒した勇者様、マーセナル様じゃないですか!」
瞬間、ギルドの建物が凍りついた様に静かになった。
あぁ、やっぱり来るんじゃあなかった。
俺は天を仰いだ。
「何故貴方がこんな所に!?そのお姿は一体…?」
「さぁ、知らないな、そんな奴。
さっさと申請を受理してくれ」
「ほら!覚えてませんか!?魔族に襲われていた少女を!」
そんなの、星の数ほどいるから覚えていない。
「教えて下さい!何がーーー」
「黙れ」
ガッ グイ
「あがっ」
受付嬢の襟首を掴み、こちらに強引に引き寄せる。
「俺はな、さっさと申請を受理しろ、と言ったんだぜ?
貴様の仕事は何だ?人の過去を詮索することか?違うだろ」
パッと手を離す。
ケホケホと掴まれていた首を押さえながら咳を込んでいる様を見てざまあないぜと鼻で笑う。
ようやく受付嬢が受理の判子を押すと、俺はすぐ様ギルドを出た。
ただただ冒険者共の視線が鬱陶しかった。
俺は自分の気分任せの行動を今更後悔し始めた。
依頼の内容は低級モンスター7体の討伐。
さっさと達成して帰ろう。
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一目見て気づきました。
あの頃とは確かに違う。
ボサボサの髪、光のない目、青白い肌色。
だけれど何処かあの優しい笑顔の面影があった。
「大丈夫かい?!」
咳き込む私を心配して一人の男性冒険者が声をかけてくれた。
大丈夫です、と言い息を整える。
「あの人は…一体どうしてしまったんですか?」
あんなに優しかった人がなんであんな風に
男性冒険者は、その理由を教えてくれた。
「あの人は…アイツは、確かに魔王を倒し、世界に平和をもたらしたんだ…けれど、その強大すぎる力を恐れた貴族共に嵌められちまったのさ。」
「可哀想な話だ。
せっかく世界を救ってやったってのに、恩を仇で返されちまって。
終いにゃ周りにいた奴ら全員離れていっちまってよ、まあああなっちまうのも納得だな。」
そんな、そんな事が…
私は彼を貶めた貴族共への怒りからか、それとも落ちぶれてしまった彼を見ていることしかできない自分への苛立ちからか、手に持っていたペンを強く握りしめていた。
キャラ解説
マーセナル・ソラース (34歳)
本作の主人公。
国や大切な人間達に裏切られ続けた結果、やさぐれ、落ちぶれてしまった元勇者。
今ではただのちょっと強い程度(竜種のモンスターを数分で倒せるぐらい)の酔っ払いなので国からもさほど警戒されていない。
リリイナ・クリア (19歳)
ギルドで受付嬢をしている。
幼い頃、マーセナルに命を助けられており、それ以来ずっと彼と会う事を待ち望んでいた。
処女。
男性冒険者 (34歳)
たまたまギルドにいた一般男性冒険者。
過去にマーセナルと何らかの関係があったと思われる。
続きは気分が乗ったら書きます。