チート転生トレーナーと新妻スズカさん   作:ウマウマ

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・登場人物


・天成駆

 チート転生者。チート能力で正体を隠して画家をしたり、大規模なフリーマーケットで古美術品の安く手に入れて、高値で取引してかなりのお金持ちだったりする。
 チート能力のお陰もあり、中央トレーナー試験に合格。

 容姿は割とカッコいいのだが。ファッションに興味が無く。
 ファッションセンスは無いので、ダサい。
 前世からファッションセンスが無いことは自覚しているので、出来るだけ無難な恰好をしている。
 チートスキル無しでかなりの料理の腕前。前世と今世の両親が共働きで家事をずっと行ってきたので得意。

・サイレンススズカ

 父親の会社が海外の金融危機の影響で経営が悪化した。
 それを知った駆の父方の祖母が支援を引き換えに、婚約者となった。

 最初は不安ばかりだったが、駆が色々と気を使っているので、スズカもそれに気づき駆と歩み寄ることに。

・徳宮弓子

 駆の父方の祖母。大手化粧品メーカーの会長だった。
 現在は引退して、割と自由に過ごしている。



借金からのお見合いって何時の時代?

 

☆プロローグ

 

俺の転生した世界は前世のスマホゲー。ウマ娘の世界だった。

 

俺は二十歳になり、中央トレーナー試験に合格。トレセン学園に入社する二週間前のこと。

 

父方の祖母から、連絡があった。俺の父はかなりのお坊ちゃん出なのだが。駆け落ちした。一年前までは父の実家とは絶縁していたのだが。

 

実家と和解した理由は、孫の俺の存在だ。俺も成人したし。

 

そろそろ、和解しない? と連絡があったらしい。

そこまでは良かった。

 

正直、親と祖父母達の関係は俺にはあまり関係ないと思っていた。父の実家へ家族三人で顔を見せに行った時、親族との間にギスギス感は無いので今後は特別問題はないと判断していた。

 

けど、突然祖母に俺は呼び出された。トレセン学園に入社する前で、急に何事かと思ったら、高級ホテルの和室の個室で淡い緑色の和服を着たサイレンススズカが座っていて。固まってる俺に祖母がこう告げた。

 

「駆、このサイレンススズカさんは今日から貴方の婚約者だからね」

「さ、サイレンススズカです。不束者ですがよろしくお願いします」

 

その日、俺はサイレンススズカの婚約者になった。

 

 

まとめるとサイレンススズカの父親は、そこそこ大きい会社の社長をしている。

で、つい最近のこと。間接的に日本も影響がある海外の金融危機があったのだが。その影響をスズカの父親の会社はモロに受けるタイプの会社だった。

 

貿易関係とか聞いたが、分からないから今はいい。

で、たまたま交流のある祖母がそれを知って、スズカの父に政略結婚を持ちかけた。

資金援助するから、孫と娘を結婚させない? と。

 

「ばあちゃん」

「なんだい、駆」

「借金を理由に結婚って、何時の時代だよ」

「貴方の父親で学んだのさ。さっさと結婚させるべきだったとね」

「あのなぁ」

「それに、新人トレーナーは契約を結べないことが多いと聞く。一族には中央トレーナーは今まで現れなかったからね。大変な仕事だと聞いているから手助けをしたいのさ」

 

中央トレーナーの資格は日本の資格の中で、手に入れるのはとんでもなく難しいからな。

 

「おばあちゃんらしいことを孫にしてあげたいのさ。他の孫達には色々してあげたけど、貴方にはまだなにもしてないから」

「そう言われると拒否しづらいが。流石に」

 

俺の父方の実家はかなり力のある家らしい、と後で父に聞いた。スズカとの婚約に関しては両親は渋い顔をしていたが。和解直後ではあるが、また両親と祖父母が揉めるかと思った。

 

成人した俺が受け入れたこと、祖父母側に下心がほとんどないので、問題にならなかった。

 

俺は自身の両親の為に涙目のスズカを見てしまい、俺は結局、折れる形でスズカとの婚約を受け入れた。

 

そして、トレセン学園での生活が始まる数日前のこと。

 

俺とスズカは、トレセン学園の近くのマンションで久し振りに顔を会わせた。

 

 

「改めて、自己紹介しような。天成駆だ。これからよろしくな。スズカ」

「はい、サイレンススズカです。その、不束者ですがよろしくお願いします」

 

土日、授業が無い日は、祖母の強いお願いで俺達はトレセン学園の近くのこのマンションの一室で、同棲生活をすることになった。

 

俺はリビングに置いた椅子に座り。テーブルを挟んで向かい側の椅子に座る不安げな表情のスズカにこう告げた。

 

「やはり、不安か?」

「は、はい」

「ま、俺もだよ」

「え? そうなのですか?」

「当たり前だろ? 俺達は婚約者同士になったから、契約もしている新人トレーナーとウマ娘だ。不安くらいはあるさ」

 

お互いに距離感を図りかねている。

なので、大人の俺が動くことにした。

 

「スズカ、椅子をそっちに移動してもいいか?」

「あ、は、はい」

 

俺はスズカの隣に椅子を持って移動する。やや緊張気味のスズカに俺は手を差し出す。

 

「まずは手を繋ごうか」

「え?」

「お互いのことを知るのは時間が掛かるけど。婚約者同士なら、手ぐらい握って相手の温もりを知っていても良いだろう?」

 

差し出した手と俺の前世よりはそこそこ良い顔を何度か見て、スズカは恐る恐る俺の手に自身の手を重ねる。

 

「やっぱり、小さいな」

「え、えっと、駆さんの手は大きいですね」

 

それから、しばらくの間、スズカは俺の手をにぎにぎしていた。

 

 

手をにぎにぎしたあと、お茶を飲みながら、二人で今後の学園でのことを話すことにした。

 

「そういえば、そろそろ本格化だと聞いたけど」

「はい、ここ最近、前に比べて食事量やタイムが一気に縮んできたので」

「なら、今年デビュー戦に参加しよう」

 

俺の言葉に頷くスズカ。

チート能力でステータスが見える。

 

ゲームの時と同じだ。違いがあるとすれば、お見合いの時は☆3くらいのステータスだったが。本格化の影響か、それともチート能力がある俺と契約したからなのか。☆5のステータスくらいの数値になっている。

 

「デビュー戦のレースは、マイルにしておこうか。それと事前の資料から、スズカの出走するレースの距離はマイルと中距離だけで」

「短距離と長距離のレースは無しですか?」

「トレーナーとしては、強く反対かな。どうしても出たいなら止めはしないけど。目標のレースとかあるか?」

「いえ、ありません」

「なら、こっちで出るレースは決めても良いか?」

「はい、お願いします」

 

それから、俺とスズカはリビングのソファに移動して、過去のレースの映像を観ることにした。

 

単純に走ることが好きなスズカだが、レースを観戦するのも好きらしい。

 

まあ、ある程度レースの映像を観た後は、ウズウズした様子だったので、軽くだが俺達は外へ走りに行くことにした。

 

俺は原付の免許もあるので、スズカの後方からスズカの後を原付で追う。

スズカの体力ゲージに気を付けながら、見守った。

 

「今日は好きに走ったけど。今後は怪我が怖いから。俺が止めと言ったら、走るのは止めてくれよ」

「え、あ、はぃ」

 

じんわりと汗が滲むスズカにタオルを渡しながら、俺がそういうとちょっと残念そうにスズカは俯く。

 

「本当に走ることが好きなんだな」

「はい!」

 

俺がそう言うとスズカは満面の笑みで返事をした。

 

 

 

日が暮れて、俺とスズカはマンションの近くにあるスーパーで夕飯の買い物をしてから、家路についた。

 

本来なら、寮生活のスズカは寮へ帰らないといけないのだが。

事前に外泊届を出しているので問題ない。

 

「その白いエプロン似合っているな」

「あ、ありがとうございます」

 

二人でキッチンに立ち、夕飯を作る。

今日は簡単にニンジン・カレーにすることにした。

と言うか、ニンジン・カレーって、色がニンジンにかなり近い色で初めて食べた時、色が凄くてちょっと食べるのに躊躇した。

 

今は割と普通に食べられるようになったけどね。

 

「駆さん、お料理上手ですね」

「両親が共働きだったからな。ある程度は出来ないと割と困るんだ」

 

会話は少ない。スズカはあまり積極的に話すようなウマ娘ではなかった気がする。

だから、俺から話を振ってみる。

 

「あー、その。スズカは入りたいチームとかあったか?」

「え?」

「その、婆ちゃん達が持ってきた話を受け入れたのは俺だ。スズカの立場だと拒否できなかっただろう。だから、少し気になったんだ。入りたいチームとかあったのかなって」

「無かったですね。その目標のレースも無いです。私はただ、走りたくて」

「そうか」

 

その後はたわいのない、トレセン学園の生活についていくつか質問をした。

そして、問題が起こったのは俺が風呂に入った時だった。

 

どちらが最初に風呂に入るかと言う話になると、スズカが俺が先に風呂に入るべきだと言い出した。

実は夕食を作る前、スズカに先に風呂に入るか? と聞くと迷っていたが後回しにしていたから、直ぐに入るかと思ったが。

 

先に汗を流したいだろうと聞いたが。スズカから強く先に入るように言ってくるので、俺は不思議に思いながら先に入った。

 

入ったのだが。

 

 

「スズカ」

「は、はい」

 

風呂に入って、数分後。

俺は髪の毛を洗おうとシャワーで軽く髪の毛をお湯で濡らしていると、「し、失礼しますね。駆さん」とスズカがバスタオル一枚で風呂に入って来た。

 

理由は簡単だ。婆ちゃんの入れ知恵だった。

 

背中を流します、と言うスズカに驚きながらも冷静に風呂から追い出そうとするが、ウマ娘の力は一般男性よりも強い。と言うか前世のウマ並みだ。

 

結局、押し問答をしていると、俺とスズカのバスタオルが外れてスズカが凍り付いて、顔を真っ赤にして両手で身体を隠して動けなくなった。

 

そして、落ち着いたころに。俺はスズカに風呂から出るようにして、俺とスズカは着替えて、リビングで今後について話し合うことにした。

 

「俺も男だ。スズカみたいな美少女にあんなことをされたら、我慢できなくなる」

「は、はい」

 

我慢出来なくなる。と告げると顔を再度赤くするスズカ。一応、知識はあるのか。無知ゆえの事故は起こらないだろう。

 

「ゆっくりやって行こう。借金のこともあるだろうけどさ」

 

俺の言葉を聞いて、申し訳なさそうな表情でスズカは頷いた。

 

こうして、俺達は最初の夜を終えた。

 

と言いたかったけれど。最後に問題が起こっていたことに俺達は気づいた。

 

「あのババア!! 二つあったベッド。いつの間に取り換えやがった!」

「あ、あはは……」

 

それぞれの部屋に備え付けられていたはずの二つのベッドはいつの間にか無くなっており。スズカの部屋のベッドがダブルベッドに取り換えられていた。

 

俺達は今日はずっとリビングで過ごしたから気づかなかった。

 

「スズカ」

「は、はい?」

「俺は今日はソファで寝るから」

「え、でも」

「でもじゃない」

 

そう言って、俺はソファで。スズカはダブルベッドで寝ようとしたのだが。

 

 

小一時間くらいして、そろそろ眠れそうな感じでまどろんできたところでスズカが枕を持って俺の所に来た。

 

「スズカ?」

「あ、あの、駆さん」

「なんだ?」

 

俺がスズカに問いかけるとスズカはちょっぴり泣きそうな表情でこう言った。

 

「ひ、一人で眠るのが怖いので、一緒に眠ってもらえませんか?」

「……あー」

 

ああ、そう言えば。と俺は思い出した。史実のサイレンススズカは、確か寂しがり屋だったと聞いたことがある。

 

俺はしばらく考えたが。

更に泣きそうな表情になったスズカの頼みを拒否できず、俺はスズカと共にダブルベッドの置かれている部屋へと移動した。

 

「駆さん、温かいですね」

「スズカ、割と近くないか?」

「え、えっと婚約者なので、寄り添って寝るのでは?」

 

俺は内心で小さく溜息をついた。俺の理性持つかなと。

 

「分かった、おいでスズカ」

「は、はい」

 

もう少し、お互いの距離を詰めて、俺とスズカの最初の夜は更けていった。

 

 

そして、新学期となった最初の平日。

 

 

「じゃあ、さっそくデビューに向けて。トレーニングをしようか」

「はい、駆さん」

 

 

俺達のトゥインクルシリーズが始まる。

 





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