チート転生トレーナーと新妻スズカさん 作:ウマウマ
俺とスズカは金曜日と土曜日は同棲している。
そして、夜眠る時には同じベッドで眠っている。
最初の頃は直ぐ近くにスズカが眠っているのに耐えられるかと思っていたけど、割と大丈夫だった。
今日も午後の授業の後はスズカのトレーニングの指導をし、そのままスズカと共にこのマンションへ。
夕飯を一緒に作り、交代で風呂へ。
それから眠るまでの間はそれぞれやることをやり。
「おやすみ、スズカ」
「おやすみなさい。駆さん」
お互いにパジャマ姿でベッドに入り、最初の頃はちょっと距離があったが。
今では俺に寄り添うようにスズカは眠りにつく。
「……駆さん」
「ん?」
「朝日杯」
「うん」
「勝てるでしょうか?」
ステータスとスキルは問題ない。
「勝てるさ。焦らずにスズカの普段通りの走りをすれば」
「そうですか」
ぎゅっと俺のパジャマを握るスズカ。
初めてのG1だ。不安にもなるか。
「スズカ」
「はい」
「抱きしめていいか?」
「は、え、はい」
俺はスズカを優しく抱き寄せる。
「本当に大丈夫だ。スズカなら問題ない」
俺がそう言うとスズカはおでこを俺の胸板にコツンと押し付ける。
「ありがとうございます」
「どういたしまして」
最初は強引な形で同棲することになったが、振り返ってみると良かったな。
金曜日と土曜日だけでも同棲していなかったら、俺とスズカの距離は、運が悪ければ溝となっていたかもしれない。
スズカは借金があるから、俺に歩み寄ってくれたし。
俺もトレーナー、教員だから。距離感を気を付けないといけないからな。
婆ちゃんには感謝しないと。まあ、色々と文句はあるがな!
「明日も頑張ろう」
「はい」
スズカは頷き、俺に更に寄り添う。
俺は当たり前となったスズカの良い香りに包まれながら眠りについた。
☆
それから、日々は過ぎていった。
チート能力のお陰もあり、スズカのステータスは順調に上昇。
朝日杯は問題ない。そう確信できるレベルまでになり、後は朝日杯への調整をと思ってスケジュールを組んだ直後のこと。
「じゃあ、明日はスぺ達と遊びに行っておいて、明日以降は朝日杯まで調整をしないといけないから」
「はい、分かりました」
そう言って、スズカを見送ったのが今朝の事。
そして今現在の時刻は午後の三時半過ぎ。
俺はトレセン学園の学園の職員達が使用できるカフェテラスで最近話せるようになってきた同期や先輩達と情報交換をしていると。
――サイレンスズカは太り気味になった。
「なんでやねん!」
「え、何!?」
「急にどうした?!」
「あ、すみません。スズカが太ったみたいで」
「「はい?!」」
「はぁ、すみませんちょっと用事が出来たので今日はこの辺で」
俺は席から立ち上がり、慌てて体重計を取りに行く。
マジかー、ジュニア級の時に太り気味って、アプリ版でもあまりなかったが。
俺は溜息をつきながら、トレーナー室へと急いだ。
☆
「うーん。やっぱり変わっているね」
「いや、変わってると言うか。超能力者っぽくないですか?」
「ああ、確かにな。駆トレーナーって第六感が凄いからな」
☆
俺はスズカにメッセージを送り、何時ごろに学園に戻って来るか確認をして、その時間に俺は学園の正門で待っていたのだが。
「なんで、スぺも太り気味になっているんだ?」
「えぇっ!? 駆トレーナー、いきなり酷いです!」
「か、駆さん」
「まあいい、先にスズカだ。ほらスズカ。握りタイプの体重計だ。握れ」
「え?」
「いいから握れ。明日からダイエットメニューだ」
「え、ええっと?」
不思議そうな表情をしながら、スズカは恐る恐る握るタイプの体重計を使用した結果。
数秒遅れて、スズカの可愛らしい悲鳴が学園に響き渡った。
そして、翌日。
「ポッコリお腹でへそ出し勝負服を着たくなかったら、しっかりとメニューを消化だ!」
「は、はいぃっ!」
スぺと共に、ダイエットメニューを必死の表情で消化していくスズカの姿があった。
二週間ほどでダイエットは成功。
ただ、脂肪を燃焼させるために、走るよりも筋トレ系のメニューだったお陰で、スズカはなかなか走れないことになり。段々とスズカの目が死んでいっていた。
まあ、スズカに不足していたパワーを上げることに成功したから良いけど。
スズカは走れないフラストレーションがたまっていた。
最終調整は走らせておこうかな。
どうにか、朝日杯までにはダイエットが終わり、俺はほっと一安心した。
だからこそ、油断していた。
ダイエットが終わった後、一緒に眠る日の夜。
「……前の方が、抱き心地が良かったな」
「……駆さん?」
この日、俺は初めてスズカを怒らせた。
ウマ娘を怒らせるとどうなるのか、俺は身をもって知ることになった。