チート転生トレーナーと新妻スズカさん 作:ウマウマ
◆ スズカ
高等部に進学して数日が経った。私と駆さんとの生活は穏やかです。
高等部に進学する一月前、私は両親に呼び出されて家に戻った。
そして、駆さんの御婆様の弓子さんを紹介してもらった。
私が呼び戻された理由は、弓子さんの御孫さんの駆さんとお見合いのことを告げられた。
お父さんの会社の経営が傾いたことは、この時初めて知りました。
結婚したら、学校を退学しないといけないのかと思ったけれど、駆さんは退学は必要は無いと言ってくれて。
他にも私に色々と気を使ってくれた。
不安で怖かったけれど。今はそれもあまりない。
「スズカ、お帰り」
「はい、ただいま帰りました」
トレセン学園の近くのマンションの一室、金曜日は二人でこのマンションに帰って、一緒に生活することになっている。
駆さんの御婆様からのお願いで、二人の距離を縮めてほしいと言われた。
「じゃあ、スズカ」
「はい」
距離を縮める。と言われても私はどうしたらいいのか分からなかった。
けれど、駆さんは「手を繋ごうか」とか「お帰りのハグでもしてみるか?」とか。
ちょっと恥ずかしいけれど、お互いの壁を取り払う切っ掛けをくれた。
「「ぎゅ~っ」」
家に帰ってきたら、ハグをする。
なんだか、タイキがやりそうなことをしている。
最初は変な感じだったけれど、こうして駆さんとハグをし合うようになって、駆さんのことを知れた。
細身に見えて結構、体を鍛えているとか。
私を抱きしめる時にトレーニングで疲れている時は私を支えるようにハグしてくれたり。その日の私の体調によって力加減をしてくれた。
最初は無言でハグをしていたけれど、今では二人で同時に「ぎゅ~っ」と言い出すようになっている。なんだか、おかしいけど、嫌じゃない。
「今日もお疲れ様、スズカ」
「駆さんもお疲れ様です」
「それじゃあ、夕飯の支度をしようか」
「はい」
玄関から、洗面所でうがい手洗いをしてから、私達はそれぞれの部屋へ行き。部屋着に着替えてからキッチンで夕飯を作る。
「今日は私だけで作りますね」
「分かった」
夕飯はここ最近、駆さんと二人で作っていた。けれど、駆さんにお弁当を作ってから、一人で作ってあげたいと思うようになって駆さんにそれを話すと「なら、順番に作ってみるか」と言われた。
二人で作る日、私だけで作る日、駆さんだけで作る日が出来た。
「待っててくださいね。それと前みたいに後ろからくすぐるのは無しですからね」
「いや、アレはくすぐってないだろう」
「同じです、耳を撫でるのは駄目ですよ」
「はーい」
駆さんの返事を聞いて、私は夕飯を作るのに集中することにした。
◆
ソファに座り、スマホで猫の動画を視聴しながら、ふと考える。
今のスズカの姿って、白いフリルのエプロンを付けているんだよな。
俺の趣味と言うわけではなく、たまたま。二人で買い物に行った時にスズカがそれを選んだ。
すごく似合っている。
俺はなんとなくだが、後ろを振りかえるとちょうど皿を取り出そうとしていたスズカと目が合った。
「どうしました?」
「新妻感が凄いな」
「え?」
「いや、なんでもないよ」
不思議そうな表情で、首を傾げる仕草をするスズカは可愛かった。