チート転生トレーナーと新妻スズカさん   作:ウマウマ

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日常1

スズカは優秀な生徒だ。勉強も走りの方も高い成績を維持している。

 

特にトゥインクルシリーズに出走を夢見ている同級生達からは一目を置かれている。

ここ数カ月は不調だったが、それは両親のことや走り方を逃げばかりで走っていたおかげで、教官やスズカをスカウトしたいと思っていたトレーナー達からのアドバイスで先行や差しで走ったからだ。

 

スズカの脚質が【逃げ】しか適性が無いので、他の脚質で出走、敗北が続いたことで不調になったが。

 

教官達のアドバイスが悪かったわけではない。

 

なので、まだデビュー戦を行っていない、クラスメイト達はライバルの不調を心配していた。

 

けど、その心配は直ぐになくなった。高等部に進学してスズカの調子が戻った。

更にトレーナーとも契約したと聞いたので、スズカと特に仲が良いエアグルーヴやタイキシャトル、メジロドーベルなどはホッと胸をなでおろしていた。

 

そして、授業が始まり。

普段通りの日常が続いていくと思われた、ある日の体育の授業、更衣室にて。

 

「それでね。この前食べに行ったお店が」

「うんうん、ん?!」

 

スズカのクラスメイトの二人のウマ娘が話していると片方のウマ娘の表情が凍り付いた。

 

「どうしたの?」

 

突然表情を凍り付かせるクラスメイトに問いかけると、問いかけられたウマ娘は無言でとある方向を指を差した。

クラスメイトのウマ娘がそっちの方を見てみると思わず吹き出してしまった。

 

「す、スズカ!? そ、その下着は何?!」

「え? ……きゃあっ!?」

 

制服の上と下を脱いで、ロッカーの中にあるハンガーにかけたスズカの下着姿を隣で目撃することになったメジロドーベルは普段の地味な下着ではない。

かなりアダルトな下着を身に着けているスズカに驚きの声を上げる。

 

そして、周りに居たクラスメイト達も、普段の大人しいスズカが身に付けないようなデザインの下着に驚いてしまう。

 

「ワーオ! スズカ、似合ってマース! アダルティデース!」

「た、タイキそんなにまじまじと見ないで」

 

タイキシャトルの言葉に身体を隠しながら、恥ずかしがるスズカ。

前までなら、可愛い仕草で終わった姿だったが。

ここ最近、スズカに何故か色気が出てきたので、身体を隠す仕草に近くに居たメジロドーベルや何人かのクラスメイトは思わず見惚れてしまう。

 

「で、でも、その下着どうしたのよ? スズカ、そう言うデザインの下着買うなんて」

「え、ええっと、その……。色々あってね」

「色々?」

「くわしく、話をきかせてくだサーイ! 気になりマス!」

 

ガバっと抱き着いてくるタイキシャトルの勢いに負けて、スズカは迷いながらも少しだけ話すことに決めるのだった。

 

 

 

「話に聞いた時はどうなるかと思ったけれど」

「あ、おハナさん」

「……あのバカの真似はしなくていいわ」

「あ、すみません」

 

 午後の授業がそろそろ終わりに近づき。俺は今日、スズカとトレーニングをするコースへ移動。

 色々と準備をしていると、東条ハナさんに話しかけられた。

 

アニメで沖野トレーナーと共に登場したトレーナー。

この世界にもチームリギルは存在しているから、そのうち会うことになると思っていたけれど。

 

「サイレンススズカの様子を見ている限り、問題なさそうね」

「問題ないと言うのは?」

「サイレンススズカは、ここ数カ月調子を落としていたわ。そのタイミングで貴方との婚約。正直、だめかもしれないと思っていたのだけれど」

「ああ、なるほど。確かにウマ娘は繊細な子が多いですからね」

「金曜日と土曜はマンションで寝泊まりしていると聞いているけれど。風紀を乱すようなことをしてないわよね?」

「ず、随分と踏み込んできますね」

「理事長から頼まれたのよ。あのバカと共に気にかけてやれってね」

 

なるほど、理事長は今忙しいらしいからな。

だからこそ、この二人か。婆ちゃんが調べたところによると。

沖野トレーナーとハナトレーナーはこの学園でも上位のトレーナー。

理事長からも信頼は厚いか。

 

「スズカは未成年で、そういうことにはちゃんと気を使っていますよ」

「ならいいわ。エアグルーヴも気にしていたからね」

「ああ、スズカと友達でしたね」

「そうよ」

 

それから、ハナさんと話をしているとスズカがやって来たのだが。

 

「か、駆トレーナーさん」

「ああ、スズカ来た……か?」

 

時間通りやってきたスズカの隣にはメジロドーベルとタイキシャトルが居た。

あれ、今日は並走の話とかは無かった気が。

と言うかスズカが恥ずかしそうに俯いている。

 

「どうした?」

「そ、それが、その」

「スズカのトレーナーさーん!」

「あ、ああ、なんだ? タイキシャトル」

 

一応、タイキシャトルとメジロドーベルとは何度か顔を合わせている。

 

「スズカとラブラブですね!」

「はい?」

「ご、ごめんなさい。駆トレーナーさん。ちょっと言っちゃって」

「何を?」

「その、二人で過ごす時のこととか」

 

ああ、なるほどね。

そう言うことなら、とりあえずタイキシャトルには釘を刺しておこう。

あまり意味なさそうだが。

 

「タイキシャトル、あまり大っぴらにはしないでくれよ」

「大丈夫デース。大事なことなのでお口チャックでーす」

「なら、いい。それとメジロドーベルは?」

「あ、えっと、私はその……参考にもう少し教えてほしいなって」

 

そう言えば、メジロドーベルは漫画を描いていたな。

言える範囲ならいいぞと答えておく。

 

「話をするのはいいが。二人はトレーニングは大丈夫なのか?」

「あ、それなんですが。良かったら併走しませんか?」

 

メジロドーベルの提案にスズカを見て、スズカも頷くので今日のトレーニングの一部を変更することにした。

 

「面白そうね。エアグルーヴも呼んでいいかしら」

「か、構いませんが。スケジュール大丈夫ですか?」

「ええ、問題ないわ」

 

こうして、今日はスズカとタイキシャトル、メジロドーベル。更にエアグルーブの四人で並走などの複数人が居ないと出来ないトレーニングを行った。

エアグルーブは途中で生徒会でちょっとトラブルがあったので抜けたが。

偵察と言う意味なのか、ハナさんは最後で見ていてくれた。

チームの方はいいのかと思ったら、サブトレーナーや休養で時間があるらしい。

 

「……短期間で、ここまで仕上げるなんてすごいわね」

「スズカのことですか?」

 

タイキシャトルとメジロドーベルのトレーナーさん達とも挨拶をして、ある程度トレーニングメニューを終えた時、ハナさんが感心したように俺に声をかけてきた。

 

「ええ、しかもあの逃げは恐ろしいことになりそうね」

「はい、出遅れさえなければ、恐らく同世代では負けることは無いかと」

「流石に言い過ぎだと思うわよ。タイキシャトルとメジロドーベルも強いわ」

「はい、それは事実です。でも、スズカが勝ちます」

 

だって、チート能力の関係でステータスの伸びが全然違うし。

タイキシャトル達でさえ、追いつけてないからな。ステータス。

 

こうして、ちょっとバチバチしながらも、トレーニングは無事に終了。

そして、帰ろうかと言うタイミングでタイキシャトルが爆弾を投下した。

 

「そういえば、聞きたいことがあったんデース」

「ん、なんだ? タイキ」

 

呼び捨てでいいと言うので、呼び捨てになったタイキに問うとタイキは真剣な表情でこう聞いてきた。

 

「駆トレーナーさんとスズカは夜寝る時一緒だときいていました。でも、ウマ娘と一緒に寝ると危ない時があります。どうやって寝てるのデスカ?」

 

俺は無言でスズカを見て、スズカがアワアワしているので、俺は小さく溜息をついて。

やましいことが無いので素直に答えておく。

 

「スズカは寝相が良いからな。気を付ける必要が無いんだ」

 

顔を真っ赤にするスズカと「胸やけがするわ」と微妙な表情になるハナさん達トレーナー。

ドーベルはもっと聞きたそうにしていたが、スズカの様子を見てやめていた。

 

「なるほど、なら今度ワタシも遊びに行ってイイデスカ?!」

「え?」

「た、タイキ?」

 

俺とスズカが困惑しているとタイキはちょっと寂しそうな表情でこう言った。

 

「やっぱり夜は寂しいデース。なので、みんなで一緒に寝るのがいいデース」

「あ、川の字みたいなのか」

 

と納得しているとタイキの担当トレーナーの女性が苦笑いしながら、タイキを諌めた。

結果だけ言えば、今回はタイキのお泊りは無しになったが。

また今度と言われて、ちょっと不安だ。

 

 

「今日一日で思い知ったけれど。貴方達と一緒にトレーニングをする時はブラックコーヒーを用意した方が良いわね」

「え?」

 

何故ですか? と聞く前にハナさんが答えてくれた。

 

「凄いイチャイチャしていたわよ。貴方達」

「ぐ、具体的には?」

「距離が近い、尻尾を巻き付ける。ふとした瞬間に見つめ合って、お互いにふっと笑う。他にもあるけれど胸焼けしたわ」

 

一応、すみませんとだけ答えながら、俺達はそれぞれのトレーナー室へと向かって、解散した。

 

 

 

「ふぅ、まぁ。あの様子だと。現役の途中でサイレンススズカがドロップアウトってことにはならなさそうね」

「それは良かった」

 

チームリギルに戻って来たハナは生徒会の緊急の仕事を終えて戻って来たエアグルーヴと話をしていた。

 

「出来れば一緒にデビューをしたかったが」

「まだチャンスはあるわ。けれど、強敵よ」

「望むところだ」

静かに闘志を燃やすエアグルーヴに、ハナは頼もしく思った。

 

後日、部室でエアグルーヴとリギルに所属しているメンバーが下着のカタログを熱心に読んでいた。

 

「やはり私も身に付けるべきだろうか」

 

スズカが大人びていくことで、エアグルーヴも女性として目覚めることになった。

 

ハナはそんなチームメンバー達を見て、小さく苦笑いした。

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