コミュニケーションとはお互いに明確な意思の基に行われるものであり、この場合は多分彼女等にコミュニケーションを取ろうと言う意思が無いのだろうなと岡目八目でエリカは理解した。
彼女等とは勿論上杉と鉄装の2人であり、そんな2人とコミュニケーションを取ろうとしてるのはポイポイと投げられたフキとサクラの2人である。もっともこのフキサクラコンビは体育会系の気があり、ああも簡単に負けてしまったとあり2人は納得いかないのだろう。
場所は喫茶リコリスという喫茶店でエリカの憧れである井ノ上たきなが左遷された先であり、一応DAの支部の一つという事になっている。
「あの2人は?」
「この前の件で自衛隊側から派遣されてきた私達と同じ存在だよ」
コーヒーを出して来たたきながエリカに尋ね、エリカは先の戦いを語る。フキとサクラの腕はたきなも認めているほどである。その2人がものの一瞬で負けてしまうとは到底思えなかったが、2人の様子とエリカの性格を考えるに嘘では無く事実なのだろうと納得せざるを得ない。
何なら2人とも人間らしく振る舞うようプログラミングされたロボットの様な受け答えしかしない。
「なぁ、お前何食ったらあんな馬鹿力になれるんだ?」
「そうですね、ご飯にふりかけがわりにボンドを掛けて食べているからでしょう」
フキの質問に上杉はそう答えた。
「足音もなくあのキャットウォークをよく走れるっすね!
どうやるんっすか?」
「体重を軽くしては?」
サクラの質問に鉄装はなべもなく告げる。
「エリカぁ!何なんだこいつ等は!」
「スゲー態度悪い新人っすねぇ!」
そして、ブチギレたフキとサクラはエリカを睨み付けた。そんな2人の八つ当たりにも似たお鉢の渡され方にエリカは当惑しつつ、カウンター席から4人のいるテーブル席に移動する。
「えっと、2人は自衛隊から我々リコリスとの人事交流として来た人たちでして……」
「貴女方リコリスは国内の治安維持を任されていると聞いていたので、我々対外の治安維持を任されている自衛隊としても前々から興味がありまして。
まぁ、先の延空木の時間を見るにどうやら殿様商売に胡座を描いているのではないか?と言う話もありましてね」
上杉はにっこり笑って答える。暗に我々が納得しないと組織解体するぞと言う脅しだった。
「我々が手を抜いている、と?」
傍で話を聞いていたたきなが声を上げる。
「いえ、ですが貴女を含め少々DAの方々は最近自身の存在を省みる事をしていないと感じましてね」
上杉の糸を引いたような目を僅かに開き、その瞳をカウンターの奥に居る黒人の店主、カウンターの隅で話を静観している眼鏡の美女と金髪の少女を見据えた。
「ウォールナットとか言うハッカーにマザーコンピュータをハッキングされ作戦に支障が出た所から話は始まりますね」
上杉は金髪の少女から目を離し、たきなに視線を移す。
「まぁ、何でも良いですね。
国内だ多少の混乱が見られ、我々も急遽海外から戻って甲種待機、つまりは貴女方の生死を問わずでの制圧する為に待機してました。
聞いていますよねぇ?」
延空木へのリリベルが突入して来たのはDAによる本当に最後の手段だったのだ。
「貴女方は日本国に失墜した信用を回復する必要がある。
我々も人事交流と言う事なので現場間での、つまりは貴女方個々の戦技能力向上に寄与しましょう。
まぁ、長々と語りましたが仲良くやりましょうって言うことね」
今一度この2人は仲良くと言う単語の意味を調べなおした方が良いとエリカは思ったが敢えて口に出さなかった。