ソードアート・オンライン~白の銃士と血の喰種~ 作:碧桜琥珀
リズベットに武器を回復してもらい、全員のHPが全回復したのを確認して、俺たちは二階へ上がることにした。
「ところでよ、さっきの敵、何かドロップしたのか?」
唐突に、クラインがそう呟いた。
全員が一斉にアイテムストレージを確認する。
すると、アスナがあっと声を出した。
「うん、これを落としたみたい」
そう言って、ドロップアイテムをオブジェクト化させた。
アスナの右手に、淀んだ青と緑の色をした短剣が一本現れた。
「これと同じのが六本くらいあるよ」
「六?また多いな」
キリトが素っ頓狂な声を上げた。
「アスナ、一本貸してくれるか」
「うん、いいよ」
俺がそういうと、アスナは一本ずつ全員にアイテムを渡した。
俺も渡されたアイテムを確認する。
アイテム名は『ニシキ1/6』、種類は
クインケ……?
確か、漫画に出てきたっけな。
「多分これは、通常攻撃でもあいつらに通じると思う」
アイテムをストレージに片付け、みんなにそう伝える。
「そうか、ならシリカはこれを装備しておいてくれ」
「は、はい!分かりました」
キリトの言葉に、シリカが焦りながらも従った。
「『ニシキ1/6』って事はさ、幾つか合わせれば『ニシキ1/2』とかになるのかな」
リズベットが、鍛冶屋ならではの視点でそう言った。
ほう、合わせるのか。
「よし、俺のを渡すからシリカのと合わせてくれ」
「え!でも、それじゃあリアさんのが……」
「いいよ、別に使うこともないだろうし」
正直少し未練はある。
だが、少しでもメンバーの危険は減らしておきたい。
「分かった、ならあたしのも合わせて、丁度1/2だね」
俺とシリカはアイテムをリズベットに送り、合成してもらうことにした。
待つこと五分。
リズベットが「出来たっ!」と声を上げた。
そのままシリカに送り、シリカはアイテムをオブジェクト化した。
シリカの右手には少し大きくなった武器が現れた。
「『ニシキ1/2』……。重さはあまり変わらないけど、攻撃力とかは凄く上がってます!」
嬉しそうに、短剣を振り回す。
「ありがとうございます!リアさん、リズさん!」
「ああ、じゃあ、行くか!」
片隅に残った未練を振り払いながら、俺たちは二階へと上がった。
二階の部屋に入ると、同じように人影が見えた。
カーソル見えた詳細によると、名前は『ツキヤマ』、HPバーは二段だ。
青髪で背が高く、全身を真っ赤なスーツで覆っている。
ピンと立っていて、ようこそと言わんばかりに両手を広げている。
目は既に赤くなっていた。
「ふっ」
短く息を吐き、銃を構える。
先程も使った技、『ピアスバレット』だ。
撃ち出された弾はツキヤマの頭に飛んで行った。
「よし!」
場所は眉間、急所だ。
一撃で終わる可能性もあるかな……。
しかし、ツキヤマの背中から青色の赫子が現れ、銃弾を弾いた。
出てきた場所は……肩甲骨あたりか。
「あいつの武器は甲赫!硬いが、動きはノロいはずだ」
俺は威嚇射撃として適当に撃ち、ツキヤマが防いでる間に全員攻めていった。
キリトの水平二連撃スキル、『ホリゾンタル・アーク』。
アスナの光速二連撃剣突スキル、『パラレル・スティング』。
クラインの神速抜刀スキル、『辻風』。
シリカの四連撃短剣スキル、『ファッド・エッジ』。
リズベットのスタン攻撃スキル、『アッパー・スウィング』。
その全てが命中し、ツキヤマのHPは残り数ドットまで減って床に倒れた。
「……案外あっけなかったな」
硬直で動けないみんなの代わりに、近づいて銃を構えた。
しかし次の瞬間、俺の脛あたりに激痛が走った。
俺のHPが二割ほど減少し、代わりにツキヤマのHPが半分ほどまで回復した。
「なっ……!?」
ツキヤマが閉じていた目をカッと開け、もの凄い速さで甲赫を出した。
甲赫はツキヤマの右腕を纏っていき、巨大なドリルのようになった。
不敵な笑みを浮かべて、ツキヤマは右腕を振う。
硬直したままだった皆に、赫子が直撃した。
全員吹っ飛ばされて、HPが黄色まで減少した。
特に俺は近くで喰らったせいで、もうHPは赤色になっている。
「ぐっ……」
急いで回復しないと……。
結晶を使うべく、アイテムストレージを開こうとすると、ツキヤマが俺をめがけて走ってきた。
まずい……。間に合わな……
「おおおおっ!」
キリトが雄叫びを上げて、ジェットエンジンのような轟音と共にツキヤマを吹き飛ばした。
片手剣の高威力スキル、『ヴォーパルストライク』だ。
今のうちに回復を……。
俺は結晶を使い、体力を回復させた。
未だHPが黄色のキリトを助けるべく、俺は急いで立ち上がり走った。
倒れたままのツキヤマに突進し、銃口を腹に刺した。
急所への直接銃撃スキル、『ハートブレイク』。
腹に刺した銃口を頭に向けて、引き金を引く。
弾はツキヤマの肩と喉、後頭部から突き抜けた。
HPは今度こそ無くなり、ガラス片となった。
「はぁ……」
アイテムがドロップされて、俺のアイテムストレージへと追加された。
みんなそれぞれ結晶やポーションで回復した。
「いやぁ、死ぬかと思った」
キリトがそう呟き、座り込んだ。
疲労が見て取れる。
「……またアイテムをドロップしたぞ」
俺はそう言って、オブジェクト化させる。
濃い青色の盾、
今度は複数に分かれず、一個のみだ。
「これは結構重いが、リズベットなら持てるんじゃないか?」
リズベットに送り、装備させる。
「おお、確かに重いね。でも持てるよ」
試すように、盾を動かす。
「なら装備しときな。さぁ!残り三体だ!」
そうリズベットに言って、三階へと上がった。