ソードアート・オンライン~白の銃士と血の喰種~ 作:碧桜琥珀
キリトが目を覚まし、無事も確認できたところで俺は先に帰ることにした。
アスナやクラインに後は任せ、他のメンバーにも別れを言って転移した。
ボスを倒したことで、転移無効のトラップも消えたようだ。
どんどんと敵が手強くなっている。
もしかしたら次は、あのスキルを使わなければならなくなるかもしれない。
青白い光にに包まれながら、俺は考えていた。
どうにかあのスキルだけは、最後の最後まで取っておきたい、と。
その日は宿ですぐに寝たが、翌日の早い時間に俺は人々の賑わいで目を覚ますこととなった。
まだ疲れの取れない体を無理やり動かし、窓から外を見た。
街は凄い賑わいだ。おそらく、七十四層のクリアとそれを行ったキリトのニュースが飛び交っているのだろう。
今頃、キリトは記者に追っかけ回されているかもな。
キリトは二刀流スキルのことを隠していたようだし、世間的に見れば三人目のユニークスキル持ちということになるだろう。
「……これからどうするかなぁ」
早速次の層へ行き攻略に励むもよし、折角知り合ったキリトやアスナたちについて行くもよし。
どうするかなぁ。
「街に出てみるか」
パンと水を平らげて、俺は着替えの支度を済ませた。
街に出ると、人々の賑わいが更に大きく感じられた。
売っていた新聞を買い、読んでみると『二刀流剣士の五十連撃スキル!』や『ソロでボスを撃破!?黒の二刀流剣士』などと大層な見出しが載っていた。
「これは想像以上に大変そうだなぁ……」
キリトも、今頃うんざりだろう。
読んでいくにつれ、新聞の間に一枚の紙が挟まっていることに気が付いた。
黒色の古めいた紙に、白い文字で綴られている。
内容はこうだ。
『クエスト情報』
『六十六層の南にある森。その入り口にいるNPCの村の村長に話しかけると、クエウトが受けられる』
『クエスト内容はモンスター討伐。難易度は高めだが、報酬は豪華なもよう。定員限界は六名』
クエストか、暫くしていなかったな。
最後にしたのはいつだったかな……。
「豪華な報酬かぁ」
キリトやアスナにも知らせてみるか。
クラインも入れたとして後二人。
風林火山から連れてきてもらうかなぁ。
「ま、取りあえず見に言ってみるか」
六十六層はホラー系のダンジョンがあったはずだ。
となると、クエストもホラー系かな。
そんな事を考えながら、俺は転移門へと歩いて行った。
第六十六層。薄暗く嫌な空気のまとわりつくその層の南端。
そこにある森へと俺は歩いていた。
途中に何度かゾンビ系モンスターと遭遇したが、今更敵という敵でもない。
歩き出して数十分。森の手前にあるNPCの村に到着した。
その村は前来た時とは少し違う点があった。
それは、どのNPCも何かに怯えたような表情をしているからだ。
これもイベントに関わりあるのか……?
情報にあった通り、俺は村長に話しかけた。
白髪で立派な白鬚をした老人だ。
「ああ、旅の方よ。どうかこの村を救って頂けませぬか」
貫録のある、しかし震えた声でNPCが喋った。
「この村を抜けた先にある森、そこには恐ろしい怪物が群れを成しておるのじゃ。
怪物どもは夜な夜なこの村に来て、村人たちを喰ってしまう。
このままでは村が滅んでしまう。どうか、森へ行って怪物どもを退治して頂きたい」
そう老人が話し終わると、俺の視界にYES/NOボタンが現れた。
怪物。
今まで村を襲うタイプのモンスターなど聞いたこともないが、これは特殊なイベントということになるのだろうか。
まぁ、六十六層のクエストだ。
そんなに手強い敵でもないだろう。
俺はYESボタンを押し、クエストを受けることにした。
「ありがとうございます……!私共の村は貧しく、六人分のお礼しかできませんが……。よろしくお願いいたします」
そう言って、老人は自分の家の中に入って行った。
六人かぁ。
まぁ、転移結晶も用意したし、まずは一人で行ってみるかな。
そう考え、俺は森へと歩み始めた。