ラグネ・カイクヲラで『一番』を目指そう   作:氷月ユキナ

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久しぶりの投稿です!
次も凄く遅れると思いますが、気長に待っててくれると嬉しいです……。


13.I give you my Tidus's magic stone to my win….Alty….

「さぁ、ラグネちゃん! 私達の譲れないこの想いのために、力を合わせて戦おうっ!」

 

 ……そんなやる気あるなら、この状況全部押し付けて逃げていいかな?

 

「……いや、お嬢にそんな想いとか無いっすよね。捏造しないで欲しいっす」

「もぅ、ラグネちゃんは冷たいなー。あーあ、私すっごく傷ついちゃったなぁー」

 

 ……ここままだとハインさんとかに言いつけるつもりだな。いつものパターンだ。

 

 腹黒お嬢め……。

 

「ハイハイ、私は何をすれば納得してくれるんすか?」

「フフッ……ラグネちゃん、一緒に戦おう(踊ろう)?」

 

 天剣と言われるノアを取り出し、ラスティアラは格好良さを優先した構えを取る。

 

 ……せめて、格好良さとか捨てて真剣に戦って?

 

「はぁ……そんなこと、脅されなくてもやるっすよ」

「えー? どうかなぁ……ラグネちゃんなら、私に全部押し付けて逃げ出しそうな印象もあるんだけど……」

「ぎくぅっ!?」

 

 な、何で考えてたことがバレた!?

 

「は、ははっ……そんなことするわけないじゃないっすか」

「……(あや)しーなぁ」

 

 ……時々、お嬢が怖い。

 

「んじゃ、取り敢えず降りてきてほしいっす」

「地面、熱々だけど!? 私死んじゃうよ!?」

「えぇ……じゃあ、上から魔法撃ちまくって──」

 

 私がお嬢に指示を出そうとしたとき、カラミアが動いていた。……私ではなく、お嬢に向けて。

 

 その強化されまくった身体能力で建物の上へと駆け上り、お嬢へ斬りかかっていたのだ。

 

 『相違』の『呪い』が効いてるなぁ……関係ないお嬢に斬りかかるとか。

 

「うひょあ!?」

「ふふっ……貴女は無駄口叩かずに即座に私を仕留めるべきだったのですよ現人神ぃ!」

「え、うわっ!? な、何この人コワイ!」

「あ、そっち任せるっす。私はこっちやるんで」

「え、ちょっ、ラグネちゃ──うわ危ない!」

「ふふ……はは、あはは! あははははは──ッ!」

 

 よし、向こうは大丈夫そうだな! 信じてるよお嬢!

 

「……それで、私の相手は君でいいのかい?」

「ええ、それでいいっすよ。アルティさん」

 

 私はアルティさんに向き直る。

 

「だけど……君一人じゃ、私には勝てない。もうわかってるだろう?」

「ええ、もちろん知ってるっすよ。だから……コレを使わせてもらうっす」

 

 そう言って私は、懐からとある石を取り出す。

 

【守護者の魔石】

 守護者ティーダの魔力の結晶

 

「それは……ティーダの……!?」

「正解っす」

 

 私は『親和』するために、ティーダの魔石を自分の胸に当てる。

 

 『親和』の仕組みについては、原作知識でよく知っている。ついでに人生もね。

 

 それに、私の魔力の性質は鏡のように、世界をよく映すこと。

 

 私は軽く心を調整し、魔石に祈る。

 

 ──ドクンッ!

 

 世界が、鼓動を打ったような感覚がした。

 

「……『親和』、したのか? ティーダと?」

「やっば分かるんすねー、流石アルティさんっす。ふぅー……よーし、いい感じっすね」

 

 くるり、とその場で一回転してみる。

 

 うん、身体能力も上がってる。

 

「で、いまの私は『闇の理を盗むもの』っすか? ……なーんか、あの人と同じっていうのは嫌っすね」

 

 

【ステータス】

 名前:ラグネ・カイクヲラ HP334/736 MP113/503 クラス:騎士

 レベル26

 筋力19.86 体力23.48 技量34.97 速さ31.21 賢さ25.86 魔力15.87 素質5.33

【スキル】

 先天スキル:魔力操作5.31 剣術3.13 闇魔法2.00 悪運1.00 神眼1.00

 後天スキル:神聖魔法1.43 感応2.05

 固有スキル:桃源郷の主人公(ディ・プロタゴニスト)

 

 

 ……行ける。

 

「おい、ラグネ。どうしてティーダと──」

 

 私が『親和』できたことに驚いているアルティさんに対して、私は『  (アンノウン)』でアルティさんの認識の外へ出て背後に回る。

 

 そもそも、私の戦術は『暗殺』『不意討ち』『初見殺し』の格上特化。

 

 真正面から馬鹿正直に行くわけない!

 

「──《心異・解放(ヴァリアブル・バースト)》」

 

 不意をつけた私は全力の『闇魔法』をアルティさんにぶつける。

 

「……ぐっ、ぇ、ぁぁあああ!?」

 

 心異・解放(ヴァリアブル・バースト)は、多種多様な状態異常の効果全てを合わせた奥義みたいなものだ。

 

 『暗闇』のように視界が暗くなり、『毒』のように息苦しくなり、『沈黙』のように喉は張り付き、『麻痺』のように身体は痺れて、『恐怖』で身体が震えているというのに、『高揚』で身体が熱くなる。

 

 今のアルティさんは、世界の『認識』の仕方がわからなくなっていてロクに動けないだろう。

 

 カナミのお兄さんは固有スキルの『???』で無効化していたが、アルティさんにそんなものは無い。

 

 ……アルティさんの周りにあった炎が、力を失っていく。

 

 だが──

 

「──()()()()()()()()()?」

 

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「まだ、やるからさ……」

 

 アルティさんは歪に微笑むが、そんな状態異常まみれの状態でまともに戦えるはずがない。

 

 私が本気を出せば、それで決着はつく。

 

 それなのに──

 

「まだ、カラミアの『悲恋』──いや、『恋』は成就していない……。まだ私の『悲恋』すらも成就していない。やる意義はある、大義ですらある……」

 

 アルティさんは、こちらに歩く。

 

 一歩一歩、ゆっくりと進む。

 

「「人とモンスターが出会えば殺しあう。それがこの世の不文律」、か……。ははっ、ティーダの自分ルールも、たまには真理を突くな……」

「アルティ、さん……?」

「うるさい……!! あああぁぁああああああ──ッ!」

 

 アルティさんは、私に向かって炎剣を振りまくる。

 

 だけどその連撃は、遅い。軽い。

 

 叫んで、叫んで、アルティさん暴れた。

 

 そして。

 

「ハ、ハハ…………もう、良い……負けだ……」

 

 アルティは、呟いた。

 

「私の負けだよ……。おめでとう、ラグネ・カイクヲラ。これで、10層の『試練』は終わりだ……」

 

 ……これで終わり、か。

 

「ラグネ……カラミアのことも、少しは見てくれよ……」

 

 空を見上げるアルティさんは、何故か満足げだった。

 

「ああ、最悪だ……。けど、今回は……、少しは、頑張れたかな。それだけで、いい、か……」

「いや、全っ然よくないっすけど」

 

 現世に未練なしといった感じで消えかけるアルティさんに、私はツッコミをする。

 

「え……?」

「そ、も、そ、も! ティーダさんが居ないんすから、アルティさんまで死んじゃったら私がヒタキに冷凍保存されちゃうっす!」

「ヒ、タキ……?」

「というわけで、阻止っす! ──《心異・心失(ヴァリアヴル・ダウン)》。……ふう、危ない危ない。まったく、困っちゃうっすね」

「あ、ぁあ……私の感動がぁ……」

 

 精神に働きかける魔法で、私はアルティさんの消滅を邪魔する。

 

 このままアルティさんも死ぬと、カナミのお兄さんが成長しなくなってヒタキによって詰む!

 

「ま、そーゆーわけで。とっとと帰るっすよ。多分、お嬢の方も決着ついてるだろうし……」

「えぇ…………なにこれ」

 

 何これって言われても……私にはどうしようもない。

 

 多分、これが最善策だし。

 

「私はもう帰るんすけど、アルティさんはどうするんすか? まだ暴れるなら──」

「……暴れるなら?」

「困っちゃうっす」

「……そうか。いや、もういい。迷宮(ダンジョン)に帰るさ」

「そ。なら良いっす。あ、そうだ。コレ、渡しておくっすよ」

 

 私はティーダとの『親和』を解除して、ティーダの魔石を渡す。

 

「え……良いのか?」

「いいんすよ。それに、私としても不都合なんで」

「ラグネ、お前は……」

「そんじゃ、さよならっす〜」

「あ、ああ……」

 

 めっちゃ複雑そうな顔をしているアルティさんを置いて、私は歩き出した。

 

 後はカラミアだなぁ……どうしよ。

 

 それに、と私は自分の両手を見る。

 

 ……完全に成ってはないけど、【守護者の魔石】と『親和』したせいで近づいちゃったな。

 

 『月の理を盗むもの』に。

 

「はぁ……どうするっすかねぇ……」

 

 私の呟きは、炎があった街の中に消えていった。




作中でも言っていますが、ラグネの戦術は『暗殺』『不意討ち』『初見殺し』の格上特化です。
原作でカナミにもそんな感じでやってますし、正面から……というのはラグネは不得意ですね。
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