ラグネ・カイクヲラで『一番』を目指そう 作:氷月ユキナ
私はティーダと接近戦で斬り合うが、なかなか当たらない。向こうの攻撃はさっきから少しかすってるというのに。
それに、さっきから使ってくる『闇魔法』が超ウザい。
「──魔法《
「チッ」
私はすぐさま魔法を『反転』し、ティーダに剣を向ける。
「はあっ!」
一閃。
だが、それも簡単に避けられる。
「──《ワインド》!」
後ろからリエルの援護が来たので、私はそれに当たらないように立ち回りながら新たな『
「ふふっ──、くはははっ! 君達は、すごくいいなあ……! それに、どういう力か知らないが、本当に私の魔法が通用しないのか! これだからたまらない!」
ティーダが叫んでいるが、言葉を返す余裕は私にはない。
さっきから剣を折られまくって『
私の欠点は魔力が少ないことだなぁ……。
「けど、私だって魔法をレジストされ慣れている。そういった魔法使いは、特定のレジストしかできないことが多い……!!」
……それは違うんだよね。私はレジストしてるんじゃない。効果を『反転』しているだけだ。
だから──
「──魔法《
精神を高揚させる魔法も、全く効かない。
【ステータス】
名前:ラグネ・カイクヲラ HP126/403 MP0/91 クラス:騎士
レベル21
筋力9.05 体力9.82 技量28.02 速さ13.23 賢さ18.24 魔力4.01 素質2.24
状態:精神
『神眼』で確認すると、見たこともない状態異常……状態異常ですらない何かがあった。
高揚って『反転』すると沈静になるんだ……。
「……まさか、これも打ち消せるとはね! あァ、楽しいなァ!」
「そうっすか! こっちは全然楽しくないっすけどね!!」
さっきまでは戦闘で精神も高揚していたが、沈静のせいでなくなった。
これ、興奮も無くなっちゃったし、ありがたいのか迷惑なのか分かんないな。
「ふふふっ! くはははっ! さァ、そろそろ終幕といこうか!」
──? いったい何を──
「────ッ!」
その詠唱を聞いた瞬間、私の中の
そして、
「──『私は幻を追いかける幻』──」
一応、
これは、反射光を浴びた全ての事象を、例外なく『反転』する魔法だ。
原作ラグネはその生という概念を死に『反転』させていたが、そんなことをしたら私も死ぬ。
「──『
だから、私はティーダの魔法の全てを『反転』する。絶対に。というか出来ないとヤバい。
「──『私は湖面に浮かぶ掬えぬ月』──
ティーダの本当の魔法が完成し、黒い霧と闇が出てくる。
この魔法は、対象に『不信』を押し付けて自分自身を信じられなくさせ、疾患者に自分の行動を疑わせて、その信念を根元から腐らせていく精神干渉魔法。
例えば、自分の視界の明るさが信じられなくなり、まるで『暗闇』のように冒す。
私はそれを『反転』させ、自分の視界を明るくさせる。
例えば、自分の身体が動くと信じられなくなり、まるで『麻痺』のように冒す。
私はそれを『反転』させ、自分の身体を治癒させる。
例えば、自分の行動の正義が信じられなくなり、まるで『恐怖』のように冒す。
私はそれを『反転』させ、自分の行動の正義を信じ安堵させる。
そうやって私は、全ての根本を腐らせる魔法の効果を『反転』していく。
「──なッ!? これは──!?」
私の魔法に驚いたティーダは、狼狽えた。そう、
その隙を、
「──ふっ!」
ティーダの背後にいたリエルは、手に持っていた剣でティーダの首と胴体を切り離した。
「……はぁ、俺のことを忘れないでくれよ、ティーダ・ランズ」
「──ア、ァ、──ス、すまない。君たちノ、勝ちだな」
「……は、はは、あはは……そうっすね、私たちの勝ちっす……!」
私は終わったという安堵感に身を任せ、床に倒れる。
ティーダは首だけになったというのに、笑っていた。
「フフフ……アリガ…トウ……私ノ…望みは叶った……」
「……ティーダのお兄さん、この戦いは楽しかったっすか?」
私は、ふと思ったことを口に出した。
「アあ……もちろン……楽…シ…カッたなァ……」
「……なら、良かったっす」
その言葉を残して、ティーダは光となって消え去った。
【称号『闇の洗い流し』を獲得しました】
闇魔法に+0.50の補正がつきます
光の跡残っているのは、一つの黒い魔石だけだった。
「……これって」
【守護者の魔石】
守護者ティーダの魔力の結晶
理を盗むものの魔石……。
「……すまない、ラグネ。前に聞いたアイカワ・ヒタキのことは知ってたけど、それでも倒しちゃった」
「は…はは……いいんすよ、そんなこと……これはさすがにしょうがないっす……それと、リエル……」
「なんだ?」
「……地上まで、よろしくっす」
「え? それって──」
正直、私はもう限界だった。MPゼロの状態で本当の魔法まで使ったし……。
リエルの言葉を聞き終わる前に、私の意識は深い眠りに落ちてゆくのだった。