ラグネ・カイクヲラで『一番』を目指そう   作:氷月ユキナ

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7.異世界学院の頂上を目指すの?

 ……その後、私は少しだけ入院した。軽い怪我だったのですぐに退院したが。

 

 それよりも、厄介すぎる代物がある。ティーダの魔石だ。いや本当、どうしよ。

 

 今は取り敢えず、売らずに私の手元にある。おそらく私なら『親和』できるだろうし、何かあった時の切り札として。これが一番いいと思う。

 

 そして、いよいよ『天上の七騎士(セレスティアル・ナイツ)』としての本格的な活動が始った。つまり、大聖都の裏側での仕事から解放されたのだ。

 

 次は東の開拓地に移って、護衛の仕事をすることになった。

 

 そうそう、ハインさんのお陰でラスティアラに会えた。超可愛かった。

 

 ハインさんは、何故かラスティアラと私を友人にしようと計画していたらしい。よく知らないし何故か分からないけど、そう言ってくれれば私からもなろうとしたのに……。

 

 結果的には、ラスティアラとは『本当の友達』だと言ってくれるほど仲良くなった。

 

 何もかも上手くいっていた。その時、事件は起こった。

 

 ……何か前に言ったことがあるセリフだが、別に理を盗むものが出現したわけじゃない。あんなもんポンポン出てきてたまるか。

 

 ただ、そのー……リエルが学院エルトラリューに騙されて借金作らされて、半ば強制的に学院エルトラリューに入学させられた。

 

 名前も『神眼』で見たら『リエル・エルトラリュー』になってた。なんでやねん。

 

「あの学院長に『ほほう。金がない? ならば、学院で決闘を行うのじゃ。『学院決闘序列(エルトオーダー)』の上位に入れば、奨学金の無利子貸与どころか給付すらもある。いわゆる賞金というやつじゃな。学生同士で決闘すれば、『序列』が上がっていくぞい』って言われて……」

「リエル声真似上手いっすね。というか、『学院決闘序列(エルトオーダー)』……? 何すか、その胡散臭い制度は……」

「なんか、学院長が俺のために作ったって……」

「……学院長って、暇なんすかね……」

「さぁ……?」

 

 リエルが言うには、上位の人は化け物レベル。

 

 序列一位の『英雄姫』のフィルティア・ウォーカー。レベルは22。

 

 序列二位の『主席王子』『オーバーロード』のエルミラード・シッダルク。レベルは20。

 

 序列三位の『剣聖の孫』『剣豪生徒会長』のカラミア・アレイス。レベルはエルミラード・シッダルクと同じ20。

 

 三人合わせて、『学院三英雄』と呼ばれているらしい。

 

「……いや、リエルのレベル、迷宮に入りすぎて今は26っすよね? 大丈夫っすよそんなん。『数値の無い数値』もあるっすけど、学生っすよね? リエルなら平気っすよ。らくしょーらくしょー」

「そうなんだけどな……友達になったアニエスに止められちゃって。そんな簡単に倒せるわけ無いだろって」

「アニエス……浮気っすか?」

「違うよ!?」

「……まぁ、私は束縛する系の彼女にはなりたくないんで、その位は好きにしていいっすよ」

 

 別に、イチャイチャするような相手はできないだろう。私はそう思っていた。

 

 後に、その考えが間違っていると知ることになる……。

 

 

■□■

 

 

 

 ここは、学院エルトラリュー。

 

 そこでリエル・カイクヲラ……いや、リエル・エルトラリューは決闘の相手を探しているところに、カラミア・アレイスに絡まれていた。

 

「ごきげんよう。今日も決闘相手探しをしているのですね、ミスター・リエル」

「うん? ああ、カラミアさんですか。どうかされましたか?」

「いえ、ただ、学院理事長の秘蔵っ子か何か知りませんが、偉そうにするのは控えてください。ただでさえ、あなたのせいで『学院決闘序列(エルトオーダー)』なんて馬鹿げた制度が生まれ、我々は苛立っているのです」

「そこまで偉そうに接しているとは思いませんでしたが……心に留めておきます。ですが、俺は借金があるので決闘をしない訳にはいかないのです。学院長からの圧もありますし……」

「なるほど……この私が決闘の相手をしてあげましょう」

「え、いいのですか?」

 

 思わず大物と決闘できると思い興奮するリエル。

 

 そんなリエルを見て、自分を舐めていると思い苛つくカラミア。

 

「随分と余裕そうですね……ミスター・リエル」

「いえ、余裕というより、俺との決闘を付き合ってもらうのが嬉しいだけですよ」

「そうですか……では、カラミア・アレイス、参ります」

 

 宣言したカラミアは一瞬で距離を詰めて、リエルに襲いかかる。

 

 そのレベル20に達している斬撃は、一般人では目で追えないほどに速い。

 

 だが、リエルは一般人ではない。むしろレベルはカラミア以上だ。

 

「はぁっ!」

 

 リエルはカラミアの斬撃を難なく受け流し、そのまま剣を振るう。

 

 だが、カラミアも『剣聖の孫』や『剣豪生徒会長』と言われるほどに剣術が極まっている。

 

 この程度の斬撃、簡単に避けられる。

 

「──《レイス・ワインド》」

 

 カラミアは斬撃を避けると同時に『風魔法』の《レイス・ワインド》を使いリエルを真空の刃で斬り刻もうとする。

 

 《レイス・ワインド》をリエルは冷静に跳ぶことで避け、詠唱する。

 

 そのままカラミアと斬り合いながら、詠唱を終わらせる。

 

「──《ウォーターワイヤー》!」

 

 リエルの詠唱が終わり、魔法が発動する。

 

 使ったのは上位の『水魔法』であり、カラミアに糸のように細い何本もの水が絡みつく。

 

「くっ……こんなもので私を捕まえられるとでも!?」

 

 その水をカラミアは強引に破ろうとするが、リエルはその上から魔法を使う。

 

「これで終わりですよ。──《ウッドフィッシャー》」

 

 リエルの『木魔法』で、学院の石畳の隙間から木枝が網のように広がり、カラミアを先程の何倍にも強く拘束した。

 

 リエルは剣をカラミアの首元へ当てて、勝利宣言をする。

 

「これで、俺の勝ちです。良いですよね?」

「な…ぁ……」

 

 カラミアは信じられないという顔で、リエルを見る。

 

 そのリエルは、決闘をする前と何も変わらない姿で微笑んでいた。




これの元ネタはweb版の“異世界迷宮の最深部を目指そう 《特典》”です。

……あれ? カナミが全然来ない……?
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