ラグネ・カイクヲラで『一番』を目指そう 作:氷月ユキナ
……その後、私は少しだけ入院した。軽い怪我だったのですぐに退院したが。
それよりも、厄介すぎる代物がある。ティーダの魔石だ。いや本当、どうしよ。
今は取り敢えず、売らずに私の手元にある。おそらく私なら『親和』できるだろうし、何かあった時の切り札として。これが一番いいと思う。
そして、いよいよ『
次は東の開拓地に移って、護衛の仕事をすることになった。
そうそう、ハインさんのお陰でラスティアラに会えた。超可愛かった。
ハインさんは、何故かラスティアラと私を友人にしようと計画していたらしい。よく知らないし何故か分からないけど、そう言ってくれれば私からもなろうとしたのに……。
結果的には、ラスティアラとは『本当の友達』だと言ってくれるほど仲良くなった。
何もかも上手くいっていた。その時、事件は起こった。
……何か前に言ったことがあるセリフだが、別に理を盗むものが出現したわけじゃない。あんなもんポンポン出てきてたまるか。
ただ、そのー……リエルが学院エルトラリューに騙されて借金作らされて、半ば強制的に学院エルトラリューに入学させられた。
名前も『神眼』で見たら『リエル・エルトラリュー』になってた。なんでやねん。
「あの学院長に『ほほう。金がない? ならば、学院で決闘を行うのじゃ。『
「リエル声真似上手いっすね。というか、『
「なんか、学院長が俺のために作ったって……」
「……学院長って、暇なんすかね……」
「さぁ……?」
リエルが言うには、上位の人は化け物レベル。
序列一位の『英雄姫』のフィルティア・ウォーカー。レベルは22。
序列二位の『主席王子』『オーバーロード』のエルミラード・シッダルク。レベルは20。
序列三位の『剣聖の孫』『剣豪生徒会長』のカラミア・アレイス。レベルはエルミラード・シッダルクと同じ20。
三人合わせて、『学院三英雄』と呼ばれているらしい。
「……いや、リエルのレベル、迷宮に入りすぎて今は26っすよね? 大丈夫っすよそんなん。『数値の無い数値』もあるっすけど、学生っすよね? リエルなら平気っすよ。らくしょーらくしょー」
「そうなんだけどな……友達になったアニエスに止められちゃって。そんな簡単に倒せるわけ無いだろって」
「アニエス……浮気っすか?」
「違うよ!?」
「……まぁ、私は束縛する系の彼女にはなりたくないんで、その位は好きにしていいっすよ」
別に、イチャイチャするような相手はできないだろう。私はそう思っていた。
後に、その考えが間違っていると知ることになる……。
■□■
ここは、学院エルトラリュー。
そこでリエル・カイクヲラ……いや、リエル・エルトラリューは決闘の相手を探しているところに、カラミア・アレイスに絡まれていた。
「ごきげんよう。今日も決闘相手探しをしているのですね、ミスター・リエル」
「うん? ああ、カラミアさんですか。どうかされましたか?」
「いえ、ただ、学院理事長の秘蔵っ子か何か知りませんが、偉そうにするのは控えてください。ただでさえ、あなたのせいで『
「そこまで偉そうに接しているとは思いませんでしたが……心に留めておきます。ですが、俺は借金があるので決闘をしない訳にはいかないのです。学院長からの圧もありますし……」
「なるほど……この私が決闘の相手をしてあげましょう」
「え、いいのですか?」
思わず大物と決闘できると思い興奮するリエル。
そんなリエルを見て、自分を舐めていると思い苛つくカラミア。
「随分と余裕そうですね……ミスター・リエル」
「いえ、余裕というより、俺との決闘を付き合ってもらうのが嬉しいだけですよ」
「そうですか……では、カラミア・アレイス、参ります」
宣言したカラミアは一瞬で距離を詰めて、リエルに襲いかかる。
そのレベル20に達している斬撃は、一般人では目で追えないほどに速い。
だが、リエルは一般人ではない。むしろレベルはカラミア以上だ。
「はぁっ!」
リエルはカラミアの斬撃を難なく受け流し、そのまま剣を振るう。
だが、カラミアも『剣聖の孫』や『剣豪生徒会長』と言われるほどに剣術が極まっている。
この程度の斬撃、簡単に避けられる。
「──《レイス・ワインド》」
カラミアは斬撃を避けると同時に『風魔法』の《レイス・ワインド》を使いリエルを真空の刃で斬り刻もうとする。
《レイス・ワインド》をリエルは冷静に跳ぶことで避け、詠唱する。
そのままカラミアと斬り合いながら、詠唱を終わらせる。
「──《ウォーターワイヤー》!」
リエルの詠唱が終わり、魔法が発動する。
使ったのは上位の『水魔法』であり、カラミアに糸のように細い何本もの水が絡みつく。
「くっ……こんなもので私を捕まえられるとでも!?」
その水をカラミアは強引に破ろうとするが、リエルはその上から魔法を使う。
「これで終わりですよ。──《ウッドフィッシャー》」
リエルの『木魔法』で、学院の石畳の隙間から木枝が網のように広がり、カラミアを先程の何倍にも強く拘束した。
リエルは剣をカラミアの首元へ当てて、勝利宣言をする。
「これで、俺の勝ちです。良いですよね?」
「な…ぁ……」
カラミアは信じられないという顔で、リエルを見る。
そのリエルは、決闘をする前と何も変わらない姿で微笑んでいた。
これの元ネタはweb版の“異世界迷宮の最深部を目指そう 《特典》”です。
……あれ? カナミが全然来ない……?