ラグネ・カイクヲラで『一番』を目指そう 作:氷月ユキナ
いまリエルはエルトラリュー学院にて、やばい立場になってしまったらしい。
その理由はあのカラミア・アレイスの実家にリエルが連れていかれた時のことだ。
そこで当主の『剣聖』フェンリル・アレイス気に入られたらしく、それに加えてカラミアがリエルを恋人だと発言し、しかもそれがカラミアによって噂になっているからだ。
「あんっのクソ野郎……ッ! この私に喧嘩売ってるみたいっすねぇ……ッ!」
あぁ、良いよ。その喧嘩買ってやるよクソ野郎。
◆◆◆◆◆
「……奇襲特化の『スキル名のないスキル』を使っているとはいえ、警備が緩すぎじゃないっすか?」
私は、リエルが(強制的に)通っているエルトラリュー学院に侵入していた。
用件? あのカラミア・アレイスをボコる。以上。
もちろん変装してる。具体的には、始祖カナミが着けていた仮面を魔力物質化で再現した。やっぱり魔力物質化って便利ダナー。
「さーて、ここからどうやって探せば見つかるんすかねぇー」
エルトラリュー学院を侵入前に少し下見をしていたが、想定していたよりもここは結構広い。
どうやってカラミアを見つけようかと考え、ノリと勢いで事前にそこまで考えていなかったのを悔やみながら適当に歩き出すと、一人の少年の気配を感じた。
「──お前、何者だ?」
私は、その少年のステータスを見て驚愕した。
「……ライナー、っすか?」
「ああ、僕はハイン兄様の弟、ライナー・ヘルヴィルシャインだ。……それで、この学院に忍び込んだお前は誰だ?」
「……
「断る」
ライナーに質問された私は、咄嗟に『演技』をした。
……キャラはカナミに似せたし、偽名も同じだ。迷惑かかるかもしれないけど、それはスルーの方向で。
「悪いが、捕えさせてもらうぞ。《イクス・ワインド》」
「って、いきなり!?」
『風魔法』で勢いよく空を飛んで襲い掛かってくるライナーを見ながら、私は逃げる。
こっちには、そもそも戦う意味すらない。原作キャラに会えたのは嬉しいけど、用事があるのはライナーじゃないんだよ……。
「逃がさないぞ、《カノン・ワインド》!」
ライナーの手から暴風が放出される。それを、私は見ないで躱した。
……『感応』。ローウェンさんのスキルの一つであり、その効果は最善の行動は何かを感じ取れるチートレベル。
WEB版のどこかでローウェンがライナーに覚えさせようとしてやっていた特訓を思い出して、暇なときにやったら習得できたのだ。さっきライナーを察知できたのもこのスキルのお陰。
特訓方法? 具体的には、目を閉じたままセラさんに素手で攻撃してもらって、それを見ないまま直感だけで避けれるようになるまで殴られるという内容。
最初これをセラさんに提案したときには引かれて、『感応』を習得して実際に殴られるのを目を閉じたまま避けれたときには別の意味で引かれた。解せない。
「は? 今どうやって避け──」
「じゃあね、ライナー! もう二度と会わないことを祈ってる!」
いや、本当にどうやってカラミア見つけよう。いっそのこと、向こうから来てくれないかな……。