ーモンド教会地下ー
程よく明るい光を浴びて目が覚めた。周囲を見回すと小綺麗なベッドがいくつか並んでいるものの、私と同じように寝ている者はいない。
「どこだ…いや──」
それどころではない。ヤツはどうなった!?逃げた人々は?とにかく人に話を聞かなければ!ここが何処かを聞くのは後だ、まずは彼らの安否を─
とベッドから飛び起きた瞬間人が入ってきた
「あ!起きてるじゃない!ヴィクトリアさーん彼起きましたよー」
服装からしてシスターか、とにかくその後のことを聞かなければ…
「すまないシスター、逃げた国民達は、ミラボレアスはどうなった!?」
シスターの顔は不思議そうな、戸惑っているような顔をしている。まさか…助からなかったのか?いや、時間は十分稼いだはずだ。しかし万が一のことも有り得る…
「彼らは…死んだのか?」
再度尋ねてみるも彼女の表情は変わらない。
「頼む、隠す必要は無い。とにかく彼らが無事かどうかを知りたいんだ!」
「あの…」
シスターは困惑したまま答えた。
「おそらく記憶が混濁しているのだと思います、もう暫く休まれた方が…」
私が?そんなはずは…いや、確かにそうだ。思い出さなければ。どうなった?最後…最後の記憶を…たしかミラボレアスに大剣を突き刺そうとして…その後は?そうだ、そこからだ………………ダメだ、思い出せない。
そもそも何故私は生きている?あの記憶が正しければもうヤツの口からあの火が見えていたというのに。うむ。一旦落ち着こう…そうだ、私が生きているんだ。きっと彼らも生きているだろう。
「すまない、気を使わせた。聞きたいことは沢山あるが、今は少し休ませてもらおう」
「はい!ゆっくり休んでください。私の名前はグレイスです。何か用事があれば呼んでくださいね。」
そうして数時間、私は記憶をできる限り整理し、再びシスター達と話をした。その話は私にとって信じられるものでは無かったが、その場では口には出さなかった。
彼女ら曰く"ミラボレアス"という龍は知らないと、それはまだいい。あんなお伽話の存在を真面目に知る者など居るはずはない。だが問題はその後にあった。彼女達はヤツに滅ぼされた国のことまでも知らなかったのだ。テイワットにそのような国はない、と。まさか闇の外海から来たのですか?と。その後もいくらか質問をして、その場はお開きとなった。
私はひたすら困惑していた。何せ私の知識が、常識がまるで違うのだから。挙句の果てには彼女達にハンターであることを伝えた時、ハンターが何の役職であるかも知らなかったのだ。大真面目にハンターであることを話す私はどう映っていたのやら…
もはや私に他人の心配をしている余裕は無いらしい。とにかく、彼女達にされた話も纏めて整理しなければ、幸い近くに図書館もあるし残りの傷も治ったら宿を短期間貸してくれることとなった。「働いて後から返してくれればいい」と。まったく、頭が上がらないことである。
そうだ、私の治療をしたバーバラという牧師、あいどる?に礼をしなければ。全身の火傷やら裂傷やらをかなり治してくれたという。時間を見つけたら会うとしよう。
ちまちまやっていきます。