超法規的組織シャーレ で 仕事をしたくない サトウカズマ先生   作:奈音

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 そろそろカズマさんには地獄を見てもらいましょう…。
そんな感じのテーマを「天才王女と天才令嬢の魔法革命」OPを聞きながら書きました。


四話 アリウス分校 白洲アズサ

 

――アリウス分校 霊安所 アズサ

 

 

 そこは、霊安所だった。固い石畳が床を覆い、壁面には、無機質な金属製の、スライド式の引き出しがいくつもある。なぜアリウスに、新しく、そんな場所が設置されるようになったのかは明確だった…。ベアトリーチェの実験のためだ。

 

 もう何人目になっただろうか。

彼女は来るエデン条約のため、その妨害の為に手に入れたという、ヘイロー破壊爆弾なるものの実証実験が必要だと言って、もう何度も何度もその実験を行った。私たちを、使って。

 

 もっと小型化を、もっと状況を加味して、もっと確実に。大柄なら?小柄なら?健康体なら?病弱なら?一定のタフさを持っているならどう?と言った具合に…。そうやって、ベアトリーチェに反抗的な生徒をわざわざ選んでは、おもちゃの様に壊していった。

 また仲間が一人死んだと、次は私かもしれないと怯える私たちに、ベアトリーチェは言うのだ。このような犠牲を払ってまで、確実な勝利に繋げられる兵器の実験の為に、我々の掛け替えのない命が失われるのも、ゲヘナのせいであり、トリニティのせいである、と。そして同時にこれは喜ばしいことなのだと、輝かしい未来の為に、栄光の未来を掴むための必要な犠牲であり、実験体に選ばれた戦士は、一足先に楽園へ行けるのだと、のたまう。

 

 常日頃から、飢えと渇きと復讐に支配されている私たちは、其れがいかに破滅的な思想であったとしても、縋りつくしかなかった。ゲヘナを斃せば、トリニティを滅することができれば、それらはすべて解決し、我々は楽園の子になることが出来るのだという、御伽噺を。

 

 そして、とうとう私の番がやってきた。

実験体の方ではない、今まで散々と実証実験をされ尽くしたヘイロー破壊爆弾を改良したもの、ヘイロー破壊徹甲弾を使用しての暗殺訓練が始まるのだ。明日から、私は仲間を、昨日までくだらない話をし、笑いあっていた仲間を殺さねばならないのだ。吐き気がする……。

 標的役になった娘は笑っていた、これでこんな苦しい世界からようやく解放されるのだと、もう苦しまなくていいのだと、楽になれるのだと。吐き気がする………。本当に解放されたような表情をして、泣きながら、笑っていたのだ。やめてくれ。どうしてそんな顔を、嬉しそうな顔をしていられるのだ…!!

 

 

 「――ハッ、ハッ、ハッ、ハッ、ハッ、ハッ、ハッ………」

 

 

 その頭に燦然と輝くヘイローを、明日壊すという事を考えるだけで、想像するだけで、過呼吸のような状態になってしまう。私は、私は――――――。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「――――――――――。」

 

 

 「――おい……、おい! アズサ!!!!」

 

 

 「………………え? ぁ、あぁ…。

  そうだな…、先生。彼女を、運んで、やらないと…」

 

 

 そこは、霊安所だった。固い石畳が床を覆い、壁面には、無機質な金属製のスライド式の引き出しがいくつもある。新しく一つ増えた遺体袋を、目の前の誰かと一緒に運ぶのが私の仕事だった。そうだ、こんな冷たい世界にさらされていては、彼女もゆっくり眠れないだろう…。命の灯が消え失せて、軽くなったような気がする同郷の士の身体を運んでやらなければ…。

 この死体に対しても、ベアトリーチェは、ヘイローがなくなった生徒たちがどんな予後経過を辿るのかを知りたがり、解剖に踏み切ろうとしていたが、遺体の始末を率先してしていた私が執拗に抵抗したため、これ以上の士気の低下は不味いだとか、墓守の貴女に言いふらされても困るとか言って、その話はだいぶ前からなくなっていた。

 

 危なかった。

私は、トリニティやゲヘナへ偵察任務へ赴くこともあり、そこで手に入れた特殊な冷凍装置をアリウスにこっそり運び込んでいたため、ヘイローが破壊され、焼却処分にされる予定だった彼女たちの遺体は全て、死んでからそのままだと言っていい状態で、冷凍保存していたため、どうしてもベアトリーチェにだけは、見つかるわけにはいかなかった…。

 

 楽園に行きたいと言った彼女たちを、楽園に辿り着きたいと願っていた彼女たちの、せめてその楽園の扉が開くその日まで、そのままの姿で迎えさてやりたかったという私の行為はエゴなのかもしれない。でも、嫌だったのだ。あんな嬉しそうな表情で死んでいく、彼女たちの顔を、その瞬間まで、そんなままじゃあ、あんまりじゃないかと思ったから、私はそうした。それが死者を弔う方法ではなく、今を生きる生者を慰めるだけの虚しい行為だと分かっていても、そうせずにはいられなかった。

 

 

 「――全ては虚しい。どこまで行こうとも、全てはただ虚しいもの。

  ………vanitas vanitatum. et omnia vanitas.

 

   そうだとするなら、彼女たちの死も、私が犯した罪も、同じだって言うのか…?

  そんなバカなことが、そんなバカなことが、あって、たまるか………」

 

 

 カリカリと音がする。それは一緒に遺体袋を運んできてくれた誰かが発している音で、遺体を安置してから蹲るようにその場に倒れこんでしまったアズサはようやくその音に気が付いた。そこに目をやると、誰かが、なにやら白いチョークを使って次々と紋様なものを、丁寧に丁寧に書いていた。その姿は何かに祈りをささげているようであり、誰かに縋っているかのようであった。やがてその紋様が描かれたことによってか、アズサとその誰かがいるこの霊安所が、澄んだ水と聖なる大気の香りがしてきて、死の気配が充満していた暗鬱な空間が、まるで大聖堂の荘厳な聖気に満たされたような空間になったような錯覚さえして、気が付けば、その誰かは一晩中この床にそれを書いていたのだと、ようやくアズサは知覚した。

 

 徐々に、窓から光が差してきて、その誰かの姿は、後光を纏うかのようにシルエットを取り始める…。

 

 

 「――あのバカは、さっき死んだばっかりの死体ならどうにかなるって言ってたがな……

  俺だとできるか分からないし、

  そもそもこれは絶対に使う機会なんかないと思ってたからな…、あんまり期待するなよ?

 

   たぶんだが、お前が死者を丁寧に扱って、

  死後そのままの状態で悼んでくれたから、まだ間に合う可能性はある……」

 

 

 「――幸運(ブレッシング)、幸運(ブレッシング)、幸運(ブレッシング)、幸運(ブレッシング)、幸運(ブレッシング)、幸運(ブレッシング)………」

 

 

 「――スゥゥゥゥゥゥウウウウウウウウウウウウウウウウ、ハァァァァァァアアアアアアアアアアアアアァアアアアア………」

 

 

 「――よし、一応、なんとかの神に願うんだし、それっぽく言ってみるか……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――水の女神、アクアに願い奉る。

   その御名において、楽園を願い、若くして息絶えたこの者たちを蘇らせたまえ。

 

   ――幸運の女神、エリスに願い奉る。

   その御名において、蘇ることを諦めず、この世に未練がある者を引き留めたまえ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  

 

   「――――――――リザレクション!!!!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 床に描かれた聖なる紋様が光り輝き、その中心に立つ誰かを、アズサはようやく認識した…。連邦捜査部シャーレの、サトウカズマ先生だ。そうだった、どうして今まで忘れていたんだろうと思い、曙光が後光のように差し、体全体がどこか神秘的な水色に輝くカズマ先生を見る。その体全体に纏った光は、少しずつ少しずつ移動し、冷たく眠る彼女たちの元に辿り着く。

 

 いつの間にか全て引き出されていて、外気に晒されていた彼女たちに、それが辿り着く。光は彼女たちの体を覆っていく。足、腰、身体、首、頭、と。そして、そして、光は頭頂部に辿り着き、ヘイローの形をかたどった。

 

 

 「一一常日頃から俺に迷惑ばっか掛けて後始末させてんだから、

  こんな時くらい、力を貸しやがれ…!!

 

  お前は、俺の転生特典なんだろうが!!

  こんの、駄女神がぁぁぁぁぁぁぁああああああああああああああああ…!!!」

 

 

 そうやって、誰かに八つ当たりのように叫ぶカズマ先生の声に応えるように、水色の神秘が泡立ち、白色の神秘が立ち昇っていく。水色は怒っているような感じで膨らんでいき、白色は更に大きな力を発揮するように天を突いた。あまりにも非現実的な状況に目を奪われて、我を失っていたアズサは、ハッとして、いままさに奇跡が起きようとしている彼女たちのヘイローを再度見やる。

 縁取りだけがされたヘイローの中に、まるで命を注ぎ込むかのように、光の粒子が煌めいて積もっていく。そして、凍りついていた彼女たちの顔に赤みが差し、血が通わなくなって白くなっていた体が、人間味を帯びてくる。

 

 

 「――あ、あぁ……、あ。

  あぁぁぁぁぁぁぁぁぁああ…! 生きてる! 生きてるっ…!

  呼吸の音が聞こえる! 鼓動の音がする! 心臓が動いてるっ…!!

  息がある!!! 全員に、息があるんだ………!

 

   ――ありがとうございます! ありがとうございます!!!

  神様っ…!!!! 神様ありがとうございますっ…!!!」

 

 

 アズサは、顔面をぐちゃぐちゃにしながら、安置されていた彼女たちの息を全員分確認すると、足をもつれさせながら、カズマの腹に顔をうずめるようにして抱き着いた。それは全霊の感謝の言葉であり、今まで地獄の底で苦しんできた者だけが吐露できる、神に許しを請う懺悔の叫喚だった…。感情のままに、全身を震わせながら叫び続けるアズサを、カズマはこれセクハラにならないよな?大丈夫だよな?と、要らぬ心配をしながら抱きしめ、ゆっくりゆっくりと、その悲しみが癒されるまで、頭を撫で続けた…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そしてーー。

泣いて笑って抱き合うことを、神々から許された彼女たちを、カズマは神様の真似事をしながらテレポートを使ってヒフミに預けに行き、誰もいなくなった死者のための空間で、アズサはカズマに跪いた。

 

 

 「ーー神様」

 

 

 「………違うって言ったろーが。

  そもそも、成功するかどうかも分からなかったし、今回だけの反則みたいなもんなんだよ…。

  どうやって、あの世界に言葉が通じたのか、その原理は俺にもさっぱり分からないし…。」

 

 

 「だけど、神様。

  さっき起きたことは、我々の世界にはない法則なんだ。

  古来から、理解のできない現象を人々が畏れ敬うように、私も敬う。

  神様が慈悲深かったことを、私は神様に感謝する」

 

 

 「………うーん、そんなもんなのか…?

  でも神様はやめてくれ…、俺にも一応敬ってる神様がいるからな…、流石に居心地が悪い。

  それに、外に出た時にどーするんだよ? そのまま神様呼びするのか…?」

 

 

 「私は気にしない(キリッ」

 

 

 「………………分かった分かった、じゃあ神様命令な。

  アズサは今後、俺のことを先生、とか、カズマ先生呼びすること。」

 

 

 「我が神が望むことなら仕方ない、従おう…(しゅん

  だが、周りに誰もいない時ならいいのだろう、カズマ先生?(キリリッ」

 

 

 「駄目だって言ったろうが…。

  そんなことよりーー」

 

 

 「そんなこととは酷いじゃないか、カズマ先生。

  先生はいまさっき、間違いなく私たちの今後の人生の岐路を揺るがしたんだ。

  それに責任を取るべきだとは思わないのか?

 

  これからの人生で重要な決断をする時、必ず先生が枕元にたつであろう私たちに、

  信仰の自由を許さないっていうのか?」

 

 

 「(早まったかと頭を抱える)あー、そうなるのか…?

  ………分かった分かった、じゃあなにをさせれば満足なんだ?」

 

 

 「信教の自由と、布教の許可が欲しい」

 

 

 「本格的に新興宗教始める気なのかよ………、

  うーん、考えようによっては都合がいいのか…?

  アリウスという、ベアトリーチェに染まったここに、潜在的な協力者を作れるし…」

 

 

 宗教と聞くと思い浮かぶのは二つだが、ダメな方の印象が強すぎて、宗教はろくでもないという印象しかないのだが…。さてどうしたものかとカズマは考えて、一応確認だけ取っておくことにした。

 

 

 「(じーっ…………………)」

 

 

 「――なぁ、アズサ」

 

 

 「結論は出たか? 先生」

 

 

 「宗教名、その宗教の教義、信仰する対象は俺が決めていいんだよな?」

 

 

 「何をいうかと思ったら…、当たり前じゃないか。

  私が信じる先生が言うことなんだ。なんだって言ってくれ――」

 

 

  「………その言葉、後悔するなよ?」

 

 

  「くどいぞ、私に二言はない」

 

 

 カズマは考えた。選択肢としては二択であり、本来なら、その二択のうち選ぶべきほうは、一つだと決まっている。というか、それ以外を選択するやつは間違いなく、どこかで道を誤って、頭をやられた変態集団だけだ。だが、だかしかし、だ。今回に限っては頭をやられていたほうがいい

のかもしれないとカズマは考える。

 飢えと渇きと絶望に沈んだこの檻で、彼女たちの陰鬱な空気を吹き飛ばすなら、より馬鹿馬鹿しくて、より分かりやすく、人間としての本能を呼び覚ます、今までの価値観を上書きするような、強烈に凶悪な、懐の深さを求められるのではないだろうか…。

 と、なると、選択するべきものが変わってくる。いやでも、それがもし本格的に広まったらどうしようとか、責任取れるかって言われたら難しいとかカズマは考え始めたが、よく考えると、あの頭おかしい連中のトップがそんなこと考えてそうだったかと言うと、全く考えずに、己の欲望に真っ直ぐなだけであったことを思い出す。

 

 もういいや、とカズマは匙を投げた。そもそもカズマがこんなところにいるのは黒服にハメられたからだし、餌に釣られてホイホイ着いて行ったら、見目の怪しい怪物二人に言い寄られるわ、いきなり議題が始まって断ったら殺されそうな空気出してくる顔中目だらけの妖怪女に詰め寄られるわで、もう散々な目にあっていたのだ。百鬼夜行から帰ってきて早々、その妖怪女の目的に協力すると言う名目で、こんな精神が休まらないことを見せつけられたばかりで、いい加減イラついていたのだ。

 

 

 「――よーーし分かった…、アズサ。

  お前は今日からシスターアズサだ。俺が作る修道衣を着て布教してもらうぞ」

 

 

 「まかせてくれ…、布教はしたことはないが。

  先生の教えの素晴らしさはきっと、このアリウスで受け入れられるだろう…。

  それで、これからカズマ先生が始める宗教の名前は、なんというんだ?」

 

 

 「(笑うのを必死に耐えている…)

  お、お前の友達を生き返らせた神秘をもたらした、神聖なる水の化身にして、

  邪悪なるものから身を守るための、聖なる加護を授けてくださるーー

 

  ゴホッゴホッーー!! び、眉目秀麗なる水の女神、アクア様を御祭神とする…、

  今日から俺たちが盛り立てていく、宗教の名前を――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

   「――――アクシズ教と、名付ける」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

――アリウス分校 アクシズ教大聖堂 大司教カズマ

 

 

 どうしてこうなった、とカズマは考える。いやどうもこうもないのだが。この状況はいつものようにカズマがひどい目に遭って追い詰められ、ヤケクソになった果てにこいつらに上書きして洗脳してやろうとした結果であり、自業自得の結果でしかない…。いや後のことを考えると本当に必要なことだったのだと思いたいが、もう少しほかに手段はなかったのかとこうなっても考えざるを得ない。

 アクシズ教の法衣を身に纏い、壇上に立つほかなくなったカズマはもうどうにでもなれと声を張り上げた。

 

 

 「――アクシズ教! 教義!!!」

 

 

 「「「「「アクシズ教徒はやればできる、

      できる子たちなのだからうまくいかなくても、それは貴方のせいじゃない」」」」」

 

 

 「――うまくいかないのは世間(ゲヘナ・トリニティ)が悪い!」

 

 

 「――嫌なことからは逃げればいい、逃げるのは負けじゃない

    逃げるが勝ちという言葉があるのだから…!!」

 

 

 「「――迷った末に出した答えはどちらを選んでも後悔するもの…!

   どうせ後悔するのなら、今がらくちんな方(復讐)を選びなさい!」」

 

 

 「――汝、死後を恐れるなかれ。

  未来のあなたが笑っているか、それは神ですらも分からない…。

  なら今だけでも笑いなさい…!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「――マダムの胸は、パッド入りいいぃぃぃぃいいいいい!!!」

 

 

 「――えっ?」

 

 

 「【――ゲヘナ倒すべし!】」

 

 

 「――いや待て、えっ?」

 

 

 「【――トリニティしばくべし!!】」

 

 

 「【――ゲヘナ倒すべし…!】」

 

 

 「【――トリニティしばくべし…!!!!】」

 

 

 「【――ゲヘナ倒すべし!】」

 

 

 「【――トリニティしばくべし!!】」

 

 

 「【――ゲヘナ倒すべし…!】」

 

 

 「【――トリニティしばくべし…!!!!】」

 

 

 カズマが最初に号令を出してから、ニッコニコの笑顔でこの場を取り仕切ってしまった、アクシズ教の修道衣を着たハナコを横目に入れながら、そのハナコによって勝手に追加されてしまった教義の一文を見る。この調子だとそろそろ号令をかけて、全員で叫び始めるだろう。

 

 

 「――アクシズ教における、楽園の真実とはっ…!」

 

 

 「「楽園に辿り着きし者の真実を、証明することはできるのか!!

   できる…っ!!!

   なぜならそれは、修道衣の下に着た水着のような物!!!

 

   儀礼も用途が違っても、隠されていて分からなければ、それこそが楽園!

   我々は必ず楽園に辿り着く!」」

 

 

 たどり着いたら駄目なやつじゃないかなぁ、とカズマは思うが、熱狂の渦に包まれた宗教とは制御不可能なものだ。カズマが覚えていた、教義としての肝心要な部分を押さえつつ、百鬼夜行での騒動で八面六臂の活躍だったハナコに相談したのは間違いだったかもしれないと、今更後悔し始める。

 

 

 「――アクシズ教に理解できないものとは…っ!!」

 

 

 「「理解できないものを通じて、私たちは理解を得ることが出来るのか!!

  できるっ…!

  なぜならそれも、修道衣の下に着た水着のような物!!!

 

  今着ている修道衣の下が、水着だったとしても、

  その水着を皆で着れば、理解は広がっていくのだから……!!」」

 

 

 それはただの強引な洗脳じゃないかなぁ、とカズマは思うが、その教義をこの世の春の様に、脳味噌の中身を焼き尽くされたような顔になっているハナコが、見つけてしまった同好の士とともに教義を叫びながら、楽しそうに羽ばたいている様子を見ると、うーんこいつにアクシズ教を与えるべきじゃなかった早まったかと、しみじみ思うが、もはや手遅れである。

 

 

 

 ――こうして、ハナコによる精緻かつ巧みな扇動手段もあり、アリウスでのアクシズ教信仰は、一週間もしないうちに、その半数の支持を獲得し、そのまま増加の一途を辿ることになる…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




――という感じで地獄の二本立てでした。
これがやりたかったんだよ(三回目

 ハナコも欲求が満たされてニッコニコだから、よし!
エデン条約では大体がシリアスの沼に沈んでますが、別に二次創作やからええやろの精神。

 「霊安所」は現実的な用途としての使い方は間違っているのですが、パッと読んですぐわかりそうな表現として、かつその管理者がそこから動かそうとしないという表現でこれでいいかなと思ったからユルシテユルシテ。


 そして、次回は山海経の予定です。。
その絆ストーリー履修のモチベーションのために、もっともーっと高評価、お気に入り登録、しおり、ここすき、感想が欲しいなって…。
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