ダンガンロンパシンフォニア〜ボクの愛と希望の法廷〜   作:パルティアン

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CHAPTER5 (非)日常編2

キーン、コーン… カーン、コーン…

 

「おはようございます。7時です。今日も1日元気に頑張りましょう。」

 

ここに来てもう十何度目かの朝を迎えてだんだんここで寝起きすることにも慣れてきてしまっている自分がいる。それはイコールコロシアイにも慣れてきてしまっているということで、その事実は受け入れがたい。昨日はみんなにあんなことを言っておきながらコロシアイという概念が頭の片隅にこびりついたまま離れてはくれないのが気持ちを萎えさせる。

 

ピンポーン!

 

とそんな風にネガティブになっていたところにボクの気持ちを現実に引き戻すようにドアのチャイムが鳴った。すぐにでもレストランで会うというのに誰だろう?

ゆっくりとドアを開けると見慣れた燃えるような赤い髪が目の前に見えた。

 

「や、おはよう。お邪魔するよ。」

「真理ちゃんどうしたの?」

「いや、ちょっと相談というか頼みたいことがあってね。」

「だったらこれからレストランで会うんだからその時に言えばいいのに。」

「あまり人の目があるところでは、ね。」

 

正直言うと真理ちゃんはあまり人目を気にして発言や行動をするタイプじゃない。むしろボクが子供のころはデリカシーがないからという理由でちょっと神経質な人からは避けられていたくらいだ。まあ彼女のそんなところも医者としては役に立っているようだけど。の彼女が誰かに知られたくないことというのは相当な相談事なのだろう。

 

「そういうことなら。で、その相談って?」

「朝食が食べ終わったら少々話したいことがあってね。よかったら植物庭園に来てくれないかい?詳しい話はそこでするよ。」

「そんなこと?別にいいけど。」

 

確かに植物庭園は多くの草花が人の姿を隠す。ある意味では秘密の話にはもってこいなのかもしれない。頼み事だけ聞くと決して人目を気にするようなものじゃないような気がするけどきっと彼女が気にしているのはその話の内容のことなのだろう。植物庭園で2人で話す予定があることを誰かに知られること自体が真理ちゃんにとっては避けたいことで、それほどの内容をボクにだけは打ち明けてくれるつもりなのだろう。だとしたらそんな真理ちゃんの思いを無碍にすることはできない。いったい何の話をするつもりなのか想像もつかないけど。

とりあえず予定を組んだところでボク達は2人でレストランに向かうことにした。

 

 

 

そんなこんなで数少ない生き残りメンバーが三々五々集まり朝食を取り終えた。そして食後のホットドリンクを飲んでいると急にそれは訪れた。

 

 

ピンポンパンポーン

 

「えー、緊急連絡ー、緊急連絡-。オマエラ至急噴水のところに集合してください。」

 

 

唐突に流れるモノトラからのアナウンス。一体何だというのだ。ほんとだったら予定通りこの後は真理ちゃんの相談を聞くつもりだったのに。そんなことを考えながらふと真理ちゃんの方に視線を送ると真理ちゃんはこちらの視線に気づいたらしく、こちらの方を見ながら肩を竦めてみせる。おそらく仕方がないからとりあえず先に放送に従っておこう、ということなのだろう。

 

「えーと、これは行った方がいいでござるか?」

「…恐らく。」

「ここまで来てこんな放送に従わなかった程度で殺されても癪だろう。どうせ碌なことじゃないのは明白だが行っておいた方がいいだろう。」

「まあ、それもそうでござるな。」

 

他のみんなも渋々と言った様子でレストランを出ていく。ボク達もそれに続くように噴水まで向かった。

 

「おお、素直に集まったみてーだな。感心感心。」

「で、何の用ですの?手短に話してくださる?」

「うわ、冷てーなー。でもま、オレもあんまり長々こんなところに留まりたくはねーんでな。単刀直入に話させてもらうぜ。オマエラには伝えておかなきゃなんねーことがある。」

「伝えておくこと?」

「ああ、そうだぜ。それってのはな、まあ薄々気づいてる奴もいるかもしれねーが、オマエラの中にはオレが送り込んだ内通者ってのがいるんだぜ。」

「…なんだと?」

「だから内通者だよ、内通者。オマエラからしたら裏切者って言ってもいいかもしれねーな。」

 

内通者…。考えなかったわけじゃない。何か明確にどうこうという動きがあったわけじゃないけれどむしろこの手のデスゲームの類には参加者の中に黒幕の内通者がいるというのはベタな話だ。だけど何もなかった。本来ならボク達の推理や捜査を攪乱させるとか黒幕側が有利になるような何かがあってもよかったはずなのに。だから明確な確信を持てないでいた。そしてだからこそみんなに余計な混乱と不安を与えないために言い出さないでいた。まさかここに来て、こんな形でその確信を得ることになるなんて。

 

「なぜわざわざ今になってそんなことを言い出した?コロシアイが進んだ今となってはその内通者が既に死んでいるかもしれないし、むしろ早めに言っておいた方が疑心暗鬼でコロシアイが進んだかもしれないのに。」

「ん?あー、そいつはな?この方が盛り上がると思ったからだ。だってよ、最初のうちなんかお互い信頼関係もできてねーんだ。そんな中で内通者がいるって言われてもそれもそうかにしかならねーだろ?確かに疑心暗鬼は呼べるかもしれねーがな。だがよ、同じ疑心暗鬼を呼ぶんだったらずっと共に戦い生き延びてきた仲間の中にいるって言われた方が“絶望的”だろ?それに内通者が死んでたらわざわざこんなこと言わねーんだぜ。」

 

ああ、そうか。そうだったな。モノトラはそういう奴だ。ちょっとした盛り上がりのために時にはロジカルではない行動を起こす。だけど殊今回の場合においてはこの選択は効果的だったと言わざるを得ない。だって現に今ボク達の中にはこれまでの戦いで培ってきた信頼を押しのけてお互いに対する猜疑心が無遠慮に入り込んできている。

 

「じゃ、まあオレからの連絡事項は以上だぜ。オマエラは変わらず明るく楽しいコロシアイ職業体験を過ごしてくれ。」

 

そしてそんなボク達をよそにモノトラはこの場を後にする。取り残されたボク達は伝えられた事実に脳みそをかき乱されてこれからの行動を一体どうすればよいのか分からなくなってしまった。でもこんな時だからこそ停滞が一番危険だ。ネガティブな停滞はネガティブな思考を生む。そしてそのネガティブな思考は致命的なひずみをボク達の中に生んでしまう。その先に待ち受けているのはまさに“絶望”しかない。

 

「とりあえずホテル内の探索を続けよう。不安はいっぱいだけど何もしないよりはいい。」

「そうは言うけどよ、内通者が何をしてくるかわかったもんじゃねえだろ?」

「だからこそ、だよ。疑心に囚われて何もしなくなればそれこそ黒幕と内通者の思うつぼだ。今は少しでも多くの情報を集めた方がいい。」

「…私も深見の意見に賛成だ。今は少しでも情報が欲しい。…何が黒幕の正体に繋がるかも分からないしな。」

「確かに、こんなに黒幕が急に動いてくるということは黒幕も焦っている証拠。某達は着実に進んでいるということでござる。今はただ足を止めずにゆこうぞ。」

 

とりあえずみんなが前に進む方向で頭を整理できたみたいだ。正直黒幕の正体なんてまだ見当もつかないけど、でも今はただ足を止めないこと、それが先決だ。きっとそれがボク達の望む真実につながると信じて。

そしてそのままボク達はホテルの探索に向かうためこの場で解散した。

 

 

 

「優クン。」

 

他のみんなが解散して噴水の周りからいなくなったところで真理ちゃんから声をかけられた。

 

「朝言ったことなんだけど、今からでも予定通り植物庭園に来てもらえるかな?」

「真理ちゃんが問題ないならいいけど。」

「よし、なら向かうとしようか。」

 

真理ちゃんに押し切られるようにしてボクは真理ちゃんと2人で植物庭園に向かっていった。

 

「で、話ってのは何?」

「あ、ああ。そうだね。」

 

自分から呼び出した割には真理ちゃんの方がむしろ何だか話を切り出しづらそうにしている。真理ちゃんは下を向いたままモジモジしだしてそのまま黙り込んでしまった。すると小さな声で何かが聞こえてきた。

 

「…はさ…こと……だい?」

「え?ごめん、声が小さくてうまく聞こえないんだけど…。」

「…はさ、…のこと…てるんだい?」

「ごめん、もう一回…。」

 

そこから何度か繰り返すけれどそれでも真理ちゃんが何と言っているのかは判然としない。そしてついに聞き取れないままのボクにしびれを切らしたのか彼女はええい、ままよと叫んだ。

 

「キミは今回の内通者のことをどう思ってるんだい!!?」

 

ああ、そういうこと。あれ、でも裏切者の話って今日初めてされたような…。そして当の真理ちゃんは椅子から崩れ落ちて頭を抱えている。急に叫んで頭が痛くなったのだろうか?

 

「いや、実はね、今日の話になる前から考えてはいたんだ。そもそもボク達の生活の動向を監視カメラがあるとはいえその全てを黒幕が監視するなんてのは土台無理な話だ。とすればボク達の中に黒幕の息がかかった奴を送り込んで中からボク達を監視してるんじゃないかってね。」

「なるほど、一理あるね。」

「まさかその話を相談しようと思ったときにちょうど黒幕の側からその話の一部をネタバラシされるとは思わなかったけれどね。」

「そっか。それでそのどう思うってのは?元から内通者はいるものだとは思ってたんでしょ?」

「そうだね。単刀直入に聞くとしよう。君は内通者は誰だと思う?」

「それはまたストレートだね。」

「内通者が分かれば芋づる式に黒幕の正体にも繋がるかもしれないからね。」

「まあそれはそうだけど。ただそうは言ってもまだ情報が足りなさすぎる。誰が内通者でもおかしくはない。」

「それはボクや優クン自身も含めてかい?」

「深見優個人としては真理ちゃんは内通者じゃないと信じたい。だけど探偵深見優としては真理ちゃんが内通者だってことを否定する材料をまだ持ち合わせていない。それは他のみんなに関しても同様だ。ボク自身の話も含めてね。」

「“信じたい”か…。とても優クンらしい表現だ。だけど十分優クンからの信頼は伝わったよ。ありがとう。」

 

そう言うと真理ちゃんは静かに立ち上がる。

 

「さ、少し早いけどお昼の時間だ。レストランに行こうよ。」

 

真理ちゃんはすっとこちらに手を伸ばしてくる。それにつられるようにボクも立ち上がり2人並び立ってレストランに向かった。

正直な話ここで告白でもされるんじゃないかなんて朝のうちは考えたりしていたけど今はそんな甘えた考えは置いておくべきかもしれない。ここを出られさえずればそんな話はいつだってできるんだから。今はこの想いは胸にしまってこの現状を打破することだけを考えよう。

 

 

 

みんなと昼食をとった直後、少し食べ過ぎてお腹が少し苦しいので部屋で休もうと職員宿泊棟へ向かった。自室のドアの前に立つとその下に挟まったものに気づいた。するっと引き摺り出すとそれは封筒だった。

 

「何だこれ?」

 

動機はもう早々とモノトラは提示してしまっている。だとするとこの封筒は一体なんだろうか?とりあえず部屋の中に入り、ご丁寧にわざわざ封蝋までして留めてある封筒を開ける。

中身には定規を使った直線的な文字でこう書いてあった。

 

『私は君たちの中に潜む黒幕の内通者その人である。今から2日後君たちの中の誰かを殺す。それを阻止したくばそれまでに私の正体を突き止めることだ。もちろんだがこのことは他言無用だ。このことを誰かに話した時点ですぐにでも殺害計画を遂行する。』

 

まさか、そんないきなり…?黒幕の内通者からしたらボク達に探られるのは一番避けたいことのはず…。なら何故こんな手紙をよこして来たんだ…?と言ってもこのことは誰にも相談できない。ならばボク自身がこれまでの人生でしてきたように多少のリスクを負ってでも自分の足で見つけ出す。

それにこの手紙も悪い情報だけじゃない。この手紙はモノトラが黒幕の内通者の存在をバラしたあとからみんなが昼食を取るためにレストランに集まるまでの時間でこの部屋のドアの下に差し込まれた物だ。とすると僕たちの中にはたった1人、内通者の疑いが晴れる人間がいる。それは真理ちゃんだ。真理ちゃんはモノトラがいなくなったあとレストランに向かうまでずっとボクと話し込んでいた。ということはつまり彼女にだけは手紙を差し込むチャンスはなかったと言える。とすると候補はあと5人…。いったい誰が…?

しばらく考えを巡らせてみたけれどいかんせん情報が足りなすぎる。ここからタイムリミットまでの間はみんなと話してその様子から少しでも情報を集めることにしよう。

 

 

 

とりあえず部屋を出てホテルを歩き回っていると5階のバーの中で木田さんが一人静かに座っているのが見えたので話しかけてみることにした。

 

「こんなところで1人でどうしたの?」

「あら、深見さん。わたくしはちょっと調査で歩き疲れてしまいまして。それより貴方こそこんなところでどうしましたの?」

「木田さんの姿が見えたからつい、ね。」

「あら、嬉しい。」

 

木田さんとクラシックの話をして盛り上がった。やはり彼女の音楽への造詣の深さはいろいろためになる。

 

「そう言えば何かの記事で木田さんは良家のお嬢様だって聞いたけどそんな人が何でプロのバイオリニストにまでなったの?」

「また踏み込んだ質問ですわね…。そもそも楽器を長いことやるというのはある程度の財力が求められるものですわ。世界トップの演奏家たちは楽器を問わず裕福な家庭出身の人も多いですし。」

「そうなんだ。」

「それにわたくしの家は音楽で成り上がった家ですから。」

「音楽で?」

「ええ。楽器、歌、作曲、講師。様々な音楽に関わる仕事で世の中の信用を得てそれによって財を成したのですわ。」

「すごいな…。」

「ですからわたくしが何かしらの楽器をやることは生まれながらにして決まっていたようなものですわ。選択肢など、なかった。」

「嫌だったの?」

「ええ。やりたいことはたくさんありましたもの。なのに選択肢が音楽にしかないなんてって思ったことも数えきれないくらいありましたわ。」

「今もそう思ってる?」

「いえ、今はそれでもここまでバイオリンを続けてきてよかったと思っていますわ。だって今となってはバイオリンを弾いて多くの人に喜んでもらえるのも悪くありませんもの。それにバイオリンを続けたからこそ出会えた方々も大勢いますしね。」

 

そう言って彼女はこちらに目配せをしてくる。その様子がなんとも色っぽさとかわいらしさを兼ね備えていてドキドキしてしまう。

 

「だからちゃんとわたくしは生きてここを出てみせますわ。何をしてでもなんてはしたないことは言いませんけどそれでもやっぱりわたくしのバイオリンがこれから先どんな縁を結んでくれるのか、楽しみで仕方ありませんもの。」

 

彼女の前向きさには驚かされる。思えば初めのころからそうだ。彼女はずっとボク達を時には優しく、時には厳しく、支えてくれた。そんな彼女がこれから先作り出す世界をボクも見たいと思った。

 

「じゃあ無事に外に出られたらその時はボクもいつかコンサートに顔を出すよ。」

「ええ、楽しみにしていますわ。」

 

木田さんのまっすぐな笑顔に少したじろぎながらボクはその場を後にした。

 

 

 

もう少しだけホテルの中を歩き回って情報収集をしてみよう。

ゲームセンターに誰かいないものかと中を覗いてみるとそこでは速瀬さんがレースゲームに熱中していた。

 

「お、優!一緒にやってかねえか?」

 

半ば無理やり引きずり込まれる形で速瀬さんとレースゲームでしばらく遊んだ。やはり彼女のスピードと精密さを兼ね備えたドライビングテクニックには圧倒された。

 

「うーん。」

「あれ、速瀬さん悩み事?」

「ああ。ちっとどうしたもんかなってのがあってな。」

「そこまで考え込むのは珍しいね。」

「そりゃな、大金がかかる話だからな。」

「ほんとに何を悩んでるの…?」

 

後ろ暗い話じゃないといいんだけど…。

 

「実はな、アタシには参加したいレースが1つあるんだ。」

「大概のレースには参加してそうだけど…。」

「そりゃサーキットのレースはな。だけどアタシが言ってんのはラリーの方だ。」

「ラリーっていろんな地形の中を走ってくやつ?」

「そうそうそれそれ。そん中でも一番有名で一番キツイヤツをやってみたいと思ってんだ。」

 

一番有名で一番キツイラリーって言えば…

 

 

1.天皇賞・春

 

2.ダカール・ラリー

 

3.インディ500

 

→2.

 

 

「それってダカール・ラリーのこと?」

「お、よくわかったな!」

「でもそれってこれまで速瀬さんがやってきたことと全然違くない?」

「まあな。でもそいつぁ大した問題じゃない。大事なのはアタシが何をしたいかってことだ。」

「何をしたいか?」

「ああ。車で参加できるレースは全部勝つ!それがアタシの夢だからな。」

「それって前に言ってた諦められない夢ってやつ?」

「ああ。アタシはアタシの大好きな車で行けるとこまで行きたい。そこがブレなきゃ間の過程なんて法に触れなきゃ何でもいいんだ。優もそうじゃないのか?」

 

ボクが探偵として、いや、深見優という人間として何をしたいか。ボクは犯罪に巻き込まれて苦しそうな顔をした被害者を見ているのが苦しかった。だからその人の慰めにでもなればと思って話を聞いた。そしてその話から犯人を見つけたのが本当のはじまり。そしてそこにあったのは犯罪者のせいで苦しむ人の顔を見たくない、少しでも心を軽くしたいってそんな思いだった。そしてそんな想いを捨てられなかったからボクは今も探偵を続けていたんだ。そんなこと長らく忘れてしまっていた。

 

「うん、速瀬さんの言う通りだ。」

「だろ?だけどよ、ダカールに出るにはちっと問題があってな。」

「問題?」

「金がかかるんだ。しかも数百万って単位のな。」

「またそれは大金だ…。」

「そこで次は何のレースに出て賞金を稼ごうか迷ってんだ。」

「あ、勝つのは前提なんだ。」

「当たり前だろ!勝つつもりじゃない勝負なんて意味がない。だけど国内で堅実に稼ぐか、多少遠征にお金を使っても海外でドカンと稼ぐかが問題なんだ。」

「それは急ぐことなの?」

「んー、まあ初挑戦が早ければ早いほどチャンスが増えるわけだから早いに越したことはないけどなぁ。」

「だったらまずは先にサーキットのレースをどんどん制覇してもいいんじゃない?世界中のサーキットレースを制覇する頃にはきっとダカールに挑戦するにも困らないだけのお金がたまってると思うし。」

「確かにそうだな!それに両方目指してどっちもダメってのが一番中途半端でよくねえしな!うん、気持ちが決まった!ありがとな、優!」

 

憑き物が落ちたような顔をして速瀬さんは一度僕の背中をバシンと叩く。彼女のあのまっすぐさはきっといつか彼女を夢の舞台へと連れていくことだろう。前人未到の挑戦になるかもしれない。それでもきっと彼女はその挑戦の先にある最高の景色をきっと僕らに見せてくれる。そんな予感を感じ取りながらボクはその場を後にした。

 

 

 

キーン、コーン… カーン、コーン…

 

「午後10時になりました。一部施設はロックされますので該当施設にいる生徒は速やかに退出してください。それでは良い夢を。お休みなさい。」

 

結局今日一日を通してあまりめぼしい情報は見つけられなかった。やはりここまで尻尾を見せもしなかった黒幕の内通者だ。手ごわい相手だと言えるだろう。でもここで負けるわけにはいかない。必ずその正体を暴いて見せる!

 

 

 

【モノトラ劇場】

 

「運命の歯車は回り始めたんだぜ。もうこうなったらだれにも止められない。」

 

 

「本能寺の変で明智光秀が裏切るってわかってても大河の織田信長には忠告できないように。」

 

 

「レースが始まっちまったら不本意なパンクであろうとレースを仕切りなおすことができないように。」

 

 

「コンクールで曲を弾き始めたらミスタッチがあっても曲を弾き続けるしかないように。」

 

 

「一度死んだ患者に何度蘇生を試みても二度と目を覚まさないように。」

 

 

「あとはもう流れに身を任せてなるようになるとあきらめるしかねーんだぜ…。」

 

                   ・

                   ・

                   ・

 

【生存者】

超高校級の探偵          深見優(フカミユウ)

超高校級のレーサー        速瀬マハ(ハヤセマハ)

超高校級の外交官         金谷秀征(カナヤシュウセイ)

超高校級の医者          津田真理奈(ツダマリナ)

超高校級の歴史学者        伊達小十郎(ダテコジュウロウ)

超高校級の???         鏑木麗(カブラギレイ)

超高校級のバイオリニスト     木田結弦(キダユヅル)

 

残り7人




はてさてどうして毎回話の更新にこんなに時間がかかってしまうんでしょうか?自分で自分が不思議でなりません。事件発生まであともうちょっとかかりますが気長に待っていただければと思います。

今回の設定裏話は4章おしおき編です!
4章のおしおきは「スプラッタ・ヤンガー・ブラザー」です。もしかしたらNBAが好きな人ならこのタイトルの元ネタに気づいているかもしれませんね。そう、元ネタは昨シーズンまでゴールデンステート・ウォリアーズを支えたステフィン・カリーとクレイ・トンプソンの3Pシューターコンビ「スプラッシュ・ブラザーズ」です。このタイトルをもとに弟である雷門クンがスプラッタに血塗れになりながらもシュートを撃ち続けるもチャレンジに失敗し死を迎えるという結末にしています。

少し軽めですが今回はここまで!また次回お会いしましょう!

前作の反省を生かして早々に推しのアンケートをしてみたいと思います!

  • 深見優
  • 速瀬マハ
  • 雷文竜
  • 金谷秀征
  • 羽月翔子
  • 津田真理奈
  • 伊達小十郎
  • 鷹岡筋次
  • 言村香奈
  • 美作奏
  • 鏑木麗
  • 泊直哉
  • クレイグ・ホワイトバーチ
  • 靏蒔由衣
  • 大地真英
  • 木田結弦
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