ダンガンロンパシンフォニア〜ボクの愛と希望の法廷〜   作:パルティアン

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CHAPTER5 (非)日常編3

キーン、コーン… カーン、コーン…

 

「おはようございます。7時です。今日も1日元気に頑張りましょう。」

 

内通者が予告した殺人のタイムリミットまであと1日。何が何でも今日情報を手に入れて奴の企みを止めてみせる…!

だけど何を手掛かりにする…?昨日は午後はずっとホテルの中を歩き回っていた。そしてその中で出会った人たちからも情報を引き出そうとしてみた。だけどめぼしい情報はなかった。だけどここで方針転換して結果が出るという保証はない…。ならばとりあえずはできる限り足を使って調査を進めるしかないか…。

まあ、まずはレストランで朝食を取ることにしようか。

 

 

 

「おお、深見殿。おはようでござる。」

「おはよう、伊達クン。」

 

軽く挨拶を交わすと伊達クンは一度ちらりと周りを見回してからボクの耳元に近づいてきた。

 

「少々相談事がござる。朝餉の後少々よろしいか。」

 

普段明るく快活な彼がここまで真剣に話しかけてくることはそうない。きっと何か大事な話なのだろう。

 

「わかった。」

 

そうこうしているうちに他のみんなも集まってきていつも通り、というには少々疑心暗鬼の感情も感じ取れるような朝食の時間が始まった。

片付けも終わってみんながそれぞれの時間を過ごそうと出ていったところで伊達クンが再び話しかけてきた。

 

「さて、でござるが。」

「うん。それで話って何?」

「実は昨夜の夕食の後津田殿が女子を集めて話をしていたのが偶然耳に入ってしまったでござるが、そこで珍妙な言葉が聞こえてきたでござるよ。」

「珍妙?」

「うむ。何かを開くだなんだと言っていたでござるがもしやよからぬ企みではないかと不安に思っているでござるよ。」

 

確かに…。まあ真理ちゃんが中心ってことはそこまで心配ないような気もするけどでも気になるな…。

 

「でその言葉って?」

「邪魔ぱあていなどと言っていたでござる。」

「何それ?」

「分かっていたら聞かぬでござるよ。」

 

それもそうか。

 

「で、深見殿には何か心当たりはござらんか?」

「うーん、そう言われてもなあ…。」

 

邪魔ぱあてい、か…。ぱあていはもしかしたらパーティーのことか?いや、それでも邪魔パーティーだと意味が通じないな…。邪魔、邪魔か…。そのまま“邪魔”じゃないのか…?うーん…。…。あ、もしかして!

 

「深見殿でも分からぬのであれば詮無き事。某自ら様子を探ってみるで…」

「わかったかも。」

「ほんとでござるか!」

「多分女子たちが言ってたのは“パジャマパーティー”じゃないかな。」

「それはどのような企みでござるか!?」

「あはは、そんな大仰なことじゃないよ。寝る前にみんなで集まってお菓子を食べたりお茶を飲んだりしながらおしゃべりするんだよ。」

「ほう、故にパーティーと。で、パジャマとは何でござるか?」

 

これは筋金入りかもしれない…。

 

「パジャマってのは言い換えれば寝間着だよ。」

「ほうほう、それで寝る前に、と。」

「夜のちょっと盛り上がったテンションだからできちゃう少し踏み入った話とかをするんだよ。恋の話とかね。」

「それはなんとも…。楽しそうでござるな。我々男衆でもやってみるでござるよ!」

「え、本気…?」

「モチのロンでござるよ。」

「と言っても他のみんなが乗ってくれるかなぁ…。」

「それは誘ってみてのお楽しみでござる!じゃあ金谷殿と鏑木殿に声をかけてくるでござる!深見殿も9時に某の部屋に集合でござるよーー!」

 

そう言いながら猛ダッシュで伊達クンは走り出していった。っていうかボクはもう参加する前提なんだ…。まあ夜だから構わないか。逆にその時間になるまでに早く情報を集めて黒幕の内通者の正体を明らかにしないと…!

 

 

 

その後調査だ何だと忙しく動き回っているうちにお昼の時間を迎えた。結局めぼしい情報は見つからなかったけどとりあえず一度切り上げて食事をとってから部屋に戻ることにした。

そして午後になりもう一度調査を再開するとカフェでコーヒーを飲んでいる金谷クンに遭遇した。

 

「あれ、休憩中?」

「ああ。黒幕の内通者の正体も気になるんでここ1日ほど調査をしていたからな。」

「ほんとにキミとは気が合うね。」

「何だ、深見もか。まあいい、座れ。ならば情報共有をしよう。」

 

まああの手紙の話をしなければセーフだろう。楽観的過ぎる考えかもしれないけれど情報は少しでも多いに越したことはない。

とは言っても2人の情報を合わせても出た結論は内通者が何者なのか分からない、ということだけだった。ついでに何ということはない雑談をして過ごした。

 

「そういえば金谷クンってご両親も外交官なんだよね?」

「ああ。そもそも2人は職場で出会ったとも聞いている。」

「ってことはさ、子供のころから世界中を歩いているわけでしょ?」

「まあな。というかそのせいであんな目に遭ったともいう。」

 

彼の言うあんな目とはテロリストに捕まって初めて交渉をした件だろう。

 

「あ、それもそうだったね。ごめん。」

「まあ今更気にしてはいない。」

「そっか。でもまあそういう大変なことばっかりだったわけじゃないでしょ?」

「まあな。特に外交官まがいの活動をするようになってからはむしろいい思いをしていることの方が多いだろう。」

「例えば?」

「本場のおいしい料理を食べられたり、とかな。」

 

金谷クンはドライなように見えてその言葉の端々から食事をはじめとする生活の質の高さへのこだわりが感じられる。きっとそういうところの知識や造詣も外交官として必要なものなのだろう。

 

「へえ。じゃあ金谷クンが今まで食べた中で一番おいしかったのって何?」

「いいだろう、教えてやる。だが普通に教えたのでは面白くないな。レシピでクイズを出してやろう。」

「また特殊な。でも面白そうだからお願い。」

「じゃあ行くぞ。主な食材はピーマン、豚肉、タケノコあたりだ。それらを細切りにして炒めて老酒と塩で味付けする。日本だとそこに醤油やニンニク、オイスターソースなんかを使うこともあるな。」

 

あれ、そのレシピは聞き覚えがあるぞ…?たしかその料理は…。

 

 

1.青椒肉絲

 

2.回鍋肉

 

3.干焼蝦仁

 

→1.

 

 

「青椒肉絲じゃない、それって?」

「さすがだな。」

「っていうか本場だとそんなにシンプルなんだね。」

「ああ、俺も驚いた。だがそれも引き算の美学という奴だろう。シンプルゆえにそれぞれの素材の風味をお互いが殺さず活かしあい、それを調味料が支えるというある意味料理の本質とも言える味わいだった。」

 

普段大概のことを端的に語る金谷クンがここまで饒舌に語るなんてどれほどおいしかったんだろう…。いけない、ヨダレが垂れそう…。

 

「アレを食べて以来もっぱら自分で作るときも本場風にやっているんだがそこはやはり研鑽の差があるな。あそこまでの絶妙なバランスはなかなか出せない。」

「自分でも作るの!?」

「しかたないだろう。スーパーのお惣菜や町中華の青椒肉絲はみんな日本風のアレンジばかりなんだ。ないものは自分で作るしかあるまいよ。」

「まあ、それはそうだけど…。」

「今度深見にもふるまってやろう。お前ならこの味わい深さが分かるはずだ。そしてその上で一度本場にも連れていく。」

「それはかなり楽しみかも。」

「そうだろう?だからこそ必ずお互い生きてここを出るぞ。」

「うん、もちろんだよ。」

 

金谷クンといつか必ず本場の青椒肉絲を食べに行くことを約束したところでその場を後にした。

 

 

 

少し外の空気を吸おうとホテルの外に出ると噴水の前で鏑木クンがぼーっと座っていた、鏑木クンはこちらに気づくとスクッと立ってすたすたと足早にこちらに近づいてきた。

 

「…久しぶりに護身術の練習をしたいんだがいいか?」

「うん、いいよ。」

 

それくらいの頼みならお安い御用だ。

鏑木クンと護身術の練習をして時間を過ごした。

 

「そう言えば鏑木クンは自分の才能について何か思い出せた?」

「……いや、まったくだ。」

「そっか。」

 

中々簡単に思い出せるものでもないか。

 

「でも何か切っ掛けがあるといいんだけどなぁ。」

「…切っ掛けと言えば少しだけ私の孤児院時代のことについて思い出したことがある。」

「ほんとに?」

「…それが何か私の才能の正体に繋がるものかは分からないが。」

「でもほんとに何か分かるかもしれないし聞かせてよ。」

「…分かった。」

 

彼の少し神妙そうな面持ち、と言っても彼が笑っているところを見たことがないからそうっぽいなという雰囲気だけだけど感じ取ってこちらも背筋を正す。

 

「…私のいた孤児院ではある一定の年齢を超えると訓練の時間が取られていた。」

「訓練の時間?」

「…ああ。…筋トレにランニング、水泳など体を鍛える運動全般だ。…どうやら何かしらのカリキュラムを組んで行われていたらしい。」

「へえ。孤児院の子供たちが健康に暮らせるようにってことなの?」

「…いや、そんな感じではなかった。…子供たちの中には訓練に耐えかねてカリキュラムから外される者もいた。」

「そんなに厳しい感じだったの?」

「…私としてはあまりそんな気はしなかったが少なくとも学生生活を送るようになって運動部に所属する生徒のトレーニングからするとかなり厳しいものだったのだろうと客観的な評価は下せる。」

「それ、かなりスパルタなんじゃ…。」

「…確かにはたから見たらそうかもしれないな。」

「でもいったい何のためにそんなこと…?」

「…そこが思い出せないんだ。…そこが思い出せればまだ何か違うかもしれないのだがな…。」

「うーん、そうだなぁ…。じゃあこれが得意だったとか苦手だったとかある?」

「…そう言えばナイフ術は苦手だった。」

「え、ナイフ?」

「…ああ。…私はあまり器用ではなかったから身一つの格闘はともかくそこにナイフが加わると途端に苦手になったのを思い出した。」

 

いや、ちょっと待って…?いくら何でも健康維持のためにナイフの扱いを覚えさせるなんてありえない…。鏑木クンのいた孤児院ってもしかして…!

 

 

1.スポーツ選手の養成所

 

2.トレーニーの養成所

 

3.暗殺者の養成所

 

→3.

 

 

「ねえ、鏑木クンさ。その孤児院って暗殺者の養成所とかだったりしない…?」

「…どういうことだ?」

「ボクは才能の性質上こんな話を聞いたことがあるんだ。世界の各地には孤児院の体を成した暗殺者の養成所がいくつもあるって話。純粋な子供のうちから技術を叩き込んである程度大きくなって中高生位になるころにはいろいろなところからの依頼を引き受けて殺しをしているのだって話。もしかして鏑木クンのいた孤児院ってそんな場所だったんじゃない?」

「……そうか、思い出した。…私のいた孤児院は深見の言う通りだ。…シスターや司祭様はよく『あなたがこれからすることは多くの人を救うことになる。だから躊躇うことはないのですよ。』と言って私を送り出していた。…あれはそういうことだったのか。」

 

でも彼はナイフを扱うのは苦手だと言っていた。暗殺者であったなら殺すのに時間のかかる格闘というのはあまりにも不向きな特性な気もするけど…。

 

「…そうか、こんなコロシアイに参加するよりもはるか昔から私の手は既に血で汚れていたのだな。」

 

鏑木クンの顔色は変わらない。だけど心なしか少しその声のトーンは暗い。自分のしてきたこととは言えこれまで忘れ去っていたこと。それを知ってショックを受けているのかもしれない。

 

「…私は既に人を殺している身。…ならば本来皆のそばにいるべきではないのだろう。…だけど私には既にみんなへの愛着が湧いている。…この気持ちを私はどうすればいいというのだ…!」

 

きっと彼のその暗い表情は自分の正体を知ってなおみんなのそばにいたいという彼の葛藤の表れなのだろう。彼の行き場をなくして空中をさまようその両の手はまるで彼の行き場のない気持ちそのもののようだ。

 

「まあ、あくまでこれはボクの推理だよ。ボクはただの運動でナイフの扱い方まで教えることはないだろうと思った。そしてそれは事実だと思う。きっと鏑木クンのいた孤児院は子供たちに戦う術を身に付けさせていた。あまりいいことだとは思わないけどね。だけどそれが必ずしもボクの聞きかじった通りの後ろ暗いものであるかは分からない。むしろボディーガードとか、キミが言われた通りの人を救うための力として与えられたものかもしれない。でも真実は今はまだわからない。キミ自身が思い出さない限りね。」

「…そうだな。」

「キミの本来の才能がどんなものか、それが思い出せるまでは少なくともみんなといても問題ないんじゃないかな。それにもし、キミが思い出した記憶が後ろ暗いものだったとしてもここまでボク達がキミと過ごしてきた時間が無くなるわけじゃない。才能を抜きにした鏑木クン自身のことをボク達はよく知ってる。きっと才能を思い出したとしてもみんなが鏑木クンのそばを離れることはないと思うよ。ネガティブな推理をしておいて言うのもなんだけど。」

「…そう、だろうか?」

「うん、きっとそうだよ。それに、殺める力は救う力と表裏一体。これまでの生き方は分からないけど、少なくともこれからは持った力を人を救うために使うことはそう難しくないはずだよ。ボクの知ってる刑事さんたちはそうしていたしね。」

「…私にも、できるだろうか。…そんな眩しい生き方が。」

「うん、できるさ。人はいつだって変われるんだから。」

「…そう、だな。…ありがとう、少しだけここを出た後のことにも希望が持てた。」

「それならよかった。」

「…また、護身術を教えてくれるか?」

「もちろんだよ。」

 

自分だけじゃなく大切な人を守るための力である護身術。それをまたこれからも鏑木クンに教えることを約束して一度部屋に戻ることにした。

 

 

 

部屋に戻ると昨日と同様封蝋まで押された封筒が部屋のドアの隙間に差し込まれていた。

まさかこれってまた内通者から…?一体何のつもりだ…?

とは言っても見ないわけにはいかない。慎重に封蝋を剥がして中身を取り出す。するとその中には前回と同様、定規を使った直線的な文字でこのように書いてあった。

 

 

『調査は順調かな?私の正体には近づけているだろうか?さて、キミは恐らく私の手の者の寄越した手紙によって焦っていることだろう。そしてこのままでは奴の思い通り殺人が起こるだろう。私はそれでもかまわないのだがこのまま一方的なゲームというのも面白くない。そこでキミにはヒントを与えようと思っている。午前0時、日付が変わった時に植物庭園に来たまえ。そこでヒントを授けよう。』

 

 

これは黒幕からの手紙…?罠か…?信じてもいいのか…?いや、あまりにも怪しすぎる…!でも今はこれ以外には手掛かりはない…!このままじゃまた殺人が起きる。そしてそのターゲットは真理ちゃんかもしれない…!ならば多少のリスクを背負ったとしてもボクはこの誘いに乗るしか手はない…!

でも指定の時間まではまだ余裕がある。その間に内通者の手掛かりをたとえわずかな可能性でも探ってみよう…!

 

 

 

そうこうしているうちに夜の9時が迫ってきた。結局のところ黒幕の内通者の正体に繋がる決定的な情報は見つからなかった。くそっ…。やっぱり黒幕の提案に乗るしかないのか…!と言ってももう嘆いていてもどうにもならない段階まで来てしまった。後は最大のリスクを背負うしか状況を打開する手段はない。ここはもう腹を括ろう。

それはそうとして伊達クンとの約束の時間が迫ってきている。パジャマと言っても寝間着代わりとして置いてあるジャージだけどそれを身に纏って伊達クンの部屋へと向かった。

 

「おお、深見殿。よく来たでござるよ。まあそこに座られよ。」

 

チャイムを鳴らすと伊達クンは熱烈な歓迎をしてくれた。そして中に入ると既に金谷クンはコーヒーをすすりながらくつろいでいた。

 

「深見も来たか。とりあえずこれで揃ったってことでいいのか?」

「揃ったって鏑木クンは?」

「あー、それが断られてしまったでござるよ。私には参加する資格はないとか言ってたでござるな。ここまで来たら全員仲間、資格もへったくれもないでござろうに。」

「まああまり気乗りしなかったんじゃない?それならあんまりしつこく誘ってもかえって迷惑になっちゃうし、今日のところはこの3人で過ごそうよ。」

「ま、それもそうでござるな!」

 

こうしてボク達は3人でいろんな話をして過ごした。今までのこと、好きなもののこと、夢のこと、そして、恋のこと。

 

「で、深見はいつ津田に告白するんだ?」

「うえっ!?」

「うえっ!?ではないでござるよ。見ていればバレバレでござる。」

「ホントに…?」

「アレで隠しているつもりだったのか?あれだけ分かりやすければ他のみんなも気づいていると思うぞ?」

「ウソ…。じゃあ真理ちゃんにも…?」

「うーん、それはどうでござろうなぁ…?」

「津田だけは気づいてないだろうな。気づいていたらあっちもあんなに二の足を踏んでいないだろう。」

「よかったぁ。」

「いや、よくはなかろう…?」

「正直今すぐにでも女子のパーティー会場に突撃して洗いざらいぶちまけさせたいところだがそうもいくまいな。」

「さすがにあっちも秘密の話の真っ最中でござろうからなぁ…。」

「鈍感2人、まったく難儀なことだ。」

「そんなに言う…?」

「言いもするでござるよ!こちとら二の足を踏んでたら好きな人に死なれてるでござるよ!悠長してる暇なんかないでござるよ!」

 

あ、そう言えば伊達クンは靏蒔さんが好きだったんだよな…。

 

「実際、いつどこで黒幕が動いてくるかもわからん。あまり様子を伺いすぎるなよ。後悔してからでは遅い。」

「それはそうだけど…。」

「よーし、それではこれから深見殿が津田殿にどう告白するか作戦会議でござる!」

「ええっ!?」

「任せろ、いくつか妙案がある。」

「ちょっと!?告白するのは決定事項なの!?」

「当たり前だ。きちんとした報告を聞くまで逃がさんからな?」

「そんなあぁぁぁぁぁ!!!!」

 

結局2人が寝落ちするまで真理ちゃんへの告白の作戦会議は続き、1時間以上にわたってボクは辱められる結果になったのだった。

 

 

 

時間は11時を回った。まだ黒幕との約束の時間にはもう少し猶予がある。既に伊達クンと金谷クンは眠ってしまってある意味ボクは自由の身だ。だとすればもうすでに向かっておくというのはアリだ。早めに到着して身を隠し、黒幕の正体を暴く。そうすれば脱出までの道のりが一気に開ける。よし、もう植物庭園に向かうことにしよう。

2人を起こさないようにゆっくりとドアを閉めて職員宿泊棟を抜け出す。もともとどの部屋も防音設備がしっかりしているからか女子の方のパーティーの声は聞こえてこない。夜の静寂はボクに視線を集中させている。

周囲に意識を向けながらゆっくりとホテルへと歩を進める。自分の足音とは別に固いものが地面を打つ音が聞こえてくる。誰かいる。ボクの後をつけている。やっぱりあの手紙は罠だったか…。もう振り向くか?いや、まだ離れている。ここまで一切その正体を悟らせてこなかった黒幕側の人間たちだ。今も遠目で見てだれか判別できる格好をしているとは限らない。ならばあともう少し引き付けて正体を暴く!

ガンと強く地面を蹴りつける音が夜のホテルに響く。仕掛けてきた…!右!体を左に捻ると横スレスレを特殊警棒がすり抜けていく。素早く身を翻しながら左の裏拳を振りぬく。

崩れた相手の体勢を確認しようとしたその瞬間、首筋に焼けるような痛みが走った。

 

「ガッ…!」

 

マズイ…!体が動かない…!これはまさか…!

そう思ったのも束の間、今度は後頭部に鈍い痛みがズンと落ちてきた。

朦朧とする意識の中ボクの目がぼんやりととらえたのは見覚えのある足。

ああ、まさかキミが黒幕の内通者…?

そんなことに思い至ったその時、ボクの意識はテレビの電源が落ちるようにブツッと暗闇の中へと消えていった。

 

                   ・

                   ・

                   ・

 

【生存者】

超高校級の探偵          深見優(フカミユウ)

超高校級のレーサー        速瀬マハ(ハヤセマハ)

超高校級の外交官         金谷秀征(カナヤシュウセイ)

超高校級の医者          津田真理奈(ツダマリナ)

超高校級の歴史学者        伊達小十郎(ダテコジュウロウ)

超高校級の???         鏑木麗(カブラギレイ)

超高校級のバイオリニスト     木田結弦(キダユヅル)

 

残り7人

 




ここからが5章の本番です。


どうか見届けてやってください。

前作の反省を生かして早々に推しのアンケートをしてみたいと思います!

  • 深見優
  • 速瀬マハ
  • 雷文竜
  • 金谷秀征
  • 羽月翔子
  • 津田真理奈
  • 伊達小十郎
  • 鷹岡筋次
  • 言村香奈
  • 美作奏
  • 鏑木麗
  • 泊直哉
  • クレイグ・ホワイトバーチ
  • 靏蒔由衣
  • 大地真英
  • 木田結弦
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