Red Flood × 宇宙世紀(仮)   作:うねる蛇

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注意事項:
この作品はWW2を舞台にしたRTS戦略ゲーム『Hearts of Iron IV』のシナリオ改変mod『Red Flood』と、機動戦士Vガンダム外伝のクロスオーバーです。
前者はともかく後者の重大なネタバレ及び設定の自己解釈を含みます。
こういったことを見て読む気を無くした方はブラウザバック推奨です。

それはともかく僕はハーメルン初投稿です。
つい最近買ったVガンダム外伝を読んでたら唐突に脳内に浮かんできた情景を書き写したものになります。
というかRed Floodとガンダムをクロスオーバーさせた作品なんて何気にこれが初めてじゃないか…?


本編と関わりのない単発短編
ダンディ・ライオン出航前の会話


「…本当に、俺たちと一緒に、プロキシマ・ケンタウリに来る気はないのか?」

 

さまざまな画面やフラスコが壁面に並ぶその研究室に二人の老人がいた。

片方は出口の側に立っており、もう片方はその部屋の奥で椅子に座っていた。

二人の間にある執務机にはさまざまな紙束が乗せられていたが、そんなものは気にもかけずに二人は会話していた。

 

「ああ、私は君たちと違う、正真正銘のオールドタイプだからなあ。…なあ、ジュドー」

「俺の名前はそんなものじゃない、俺の名はグレイ・ストーク」

「違う」

 

座っている方の老人は、いつもは親しい者に出さないような強い口調で友人の言葉を否定する。

そのいつもの彼とは違う様子に、それまで毅然と立っていたグレイ・ストーク…いや、老いたジュドー・アーシタが思わず怯む。

 

「今私は、生涯私の友人であり続けてくれた、ジュドーとしての君に話しているんだ。…一つだけ、最後に打ち明けていいかね?何しろ私たちが会うのはこれが最後になりそうなのでね…」

 

ジュドーは何も言わず頷く。

 

「私はこの生涯を通じてニュータイプとは何か、そのあるべき姿、そしていかに人類全員をニュータイプにするかを追求し続けてきた。その過程は君も知る通りだ」

「『今世間で言われている”ニュータイプ”、その実態は新人類の素質のほんの一部…つまりは超能力の如き、時空を超えた非言語コミュニケーションを取れる能力のことであるが…を兼ね備えただけの存在であり、私が想定するところの新人類にはまだ程遠い。新人類とは神の如き存在であり、それが生まれた暁には全ての自然を従わせ宇宙の覇者となり、人類がかつて入っていた揺籠たる地球から旅立つだろう』…だったな。全く、お前がいきなりそんなことを書いた論文を世に発表したときは、流石に驚いたな」

「そんなこともあったな、懐かしい…」

「そうだな…」

 

二人はしばし昔のことを思い出し、感傷に浸る。

 

「で、お前の打ち明けたいことってのはなんだ?」

 

その質問を受けた椅子に座った老人は、一度俯いて何かをつぶやき、そして再び顔を上げた。

その決心のついた顔で彼にこう言った。

 

「私の新人類についての考えは、実はこの世界に私が生を受ける以前から私が抱いていた考えだと君に言ったら、君は信じるかね?」

 


 

それからジュドーは、ひたすら自身の長年の親友の話すことに耳を傾けていた。

彼は元はこの世界とは似て非なる世界…かつての西暦時代のSF作家たちが言う所の”パラレルワールド”の住人だったと言う。

彼の生まれた時代は未だ西暦時代の最中であり、出身国は国王一族による厳しい専制体制が敷かれていたが、彼はそれを打ち倒すための革命に身を投じ、その最中ある有力な反政府政党の指導者にまで上り詰めた。

彼は革命活動に携わるうちに数々の学問に精通し、やがてそれらの理論をもとに人類を新しいステージに引き上げるための”革命”を志向するようになっていた彼は、他のさまざまな反政府政党と共に革命を起こし、一度は敗北し国の最東部に逃れるも、そこから十数年ほどの旧体制側との休戦を得て革命を成就させた。

しかし、その後他の反革命的国家から総攻勢を受け、彼の築いた革命的国家は崩壊、彼自身は失意のうちに拳銃自殺した。

そして次に目を覚ましたときは、この宇宙世紀の世界で、同姓同名の赤ん坊として生を受けていた…。

 

ここまでジュドーに打ち明け、彼は言葉を切った。

 

「…気づいていると思うが、この”前世においての私”の思想が、今のこの宇宙世紀の世界にいる私の考えの原型となったものなのだ…」

「…」

「すまないね、唐突にこんな話をして。信じてくれなくても構わない、突拍子もない話なのは間違いないからね…」

 

二人の間に、長い沈黙が訪れる。

そしてそれを最初に打ち破ったのはジュドーだった。

 

「なあ、一つ気になることがある」

「どうしたんだい?」

「お前は昔、論文の中でこう書いてたよな?『新人類とは、自身の生死の境目を打ちこわす、不死身の如き存在である』ってな」

「ああ、それがどうかしたのかい?」

「…お前の言ったことが本当なら、あんたはすでにその条件を達成しているぞ」

「…それは一体どう言うことだい?」

 

困惑する椅子の老人に、ジュドーが丁寧に自身の考えを教える。

今彼がジュドーに打ち明けたのは、自身の死後、別世界に記憶を引き継いで生まれたと言う現象である。

しかし、これが単なる特性ではなく、能力だとすれば話は別である。

ジュドーの視点からすれば、それは異質な方法であるとはいえ、自身の魂を死後も受け継ぐ…つまり一種の魂の不死身であることに他ならない。

 

「だからこそ、お前はニュータイプで間違いない。俺たちとは異なる能力を持っているかもしれんが、それでも新人類とオールドタイプの中間段階にはもうたどり着いているんだ、お前は。」

「だからな、俺と共に来い!一緒に”ダンディ・ライオン”に乗って、争いのない世界を作ろうぜ!」

 


 

宇宙の孤独な虚空。

そこを、ある光に向かって突き進む船が一つあった。

その船内では様々な人々がコールドスリープ・カプセル内で長い眠りを過ごしていたが、そのうち一つの中ではある老人が眠っていた。

そのカプセルにはこう書いてあるラベルが貼ってあった。

 

「我らと力が違えど、依然我らと寸分違わぬニュータイプ」

「アレクサンドル・ボグダーノフ、来たるべき日までここに眠る」




Red Flood側人物解説:

アレクサンドル・ボグダーノフ
1873年にロシア帝国で生まれた実在人物であり、史実のボリシェヴィキ(後のソ連共産党)では一時期レーニンに次ぐNo.2でもあった。
史実ではその後レーニンとの対立で党内の地位は失墜、ボリシェヴィキをはじめとした革命運動と手を切るまでに至るも、十月革命後は一時期プロレトクリトというソ連内の文化運動の主要人物となったりした。1924年以降は輸血実験に夢中になり、それで自身の視界をある程度回復させたりなど(本人談)ある程度の成果を得るも最終的には1928年に輸血実験の結果死亡した(公式発表)。

日露戦争でのロシアの勝利から歴史の分岐が始まったRed Floodの世界では逆にレーニンの地位を失墜させて彼を追放、自分がボリシェヴィキのリーダーになった。
ニコライ二世がストルイピンに当たるはずだった銃撃を代わりに喰らって死亡したりしたこの世界においても、ボリシェヴィキ主導(ただし他の政党との協調路線)でロシア革命が起きたが史実と違い敗北、他の反帝政派政党と共に極東に逃れた。

その極東にロシア共和国の残党がいる状態からRed flood本編はスタートするが、本小説のボグダーノフは四分五裂で弱体化したロシア帝国を打ち倒して見事ロシアを再統一できた。
しかしその後フランスと内戦を生き延びた大日本帝国に挟み撃ちにされこの国家は死亡、ボグダーノフも拳銃自殺した。
そしたら同姓同名で宇宙世紀に転生、なんやかんやあって科学者になったり、少し年齢が下のジュドーと仲良くなって一緒に木星圏に行ったり、ダンディ・ライオン建造に携わったりした。

そんなRFの彼だが、彼が国家元首のロシアのルートの内容は『まともな理論に基づいた狂気的な国家』となっており、国家規模で輸血実験を行いまくったり、ロシアの各所に原発を、あらゆる大河に馬鹿でかい発電用ダムを作ろうとしたりなど頭のネジが国家規模で外れているとしか思えないようなことをやる。
彼の西暦時代の夢は夢で終わって色んな意味でよかったのかもしれない。

いろんな高評価・コメントがついてくれたら、別の短編一個ぐらいならかけるかも…?
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