Red Flood × 宇宙世紀(仮)   作:うねる蛇

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皆さん、こんにちは。
この作品の執筆者である、うねる蛇でございます。
今回、長らくお待たせしてしまったことをお詫び申し上げます。

実は、私はRFの非公式続編のHoi4modである「Judgement Day」の開発に携わっており、その作業にかなりの時間を割いていました。
このModは1956年スタートで、革命日本改め『日本社会主義連合』率いる社会主義の『太平洋赤色戦線』、ロシア改め大スキタイ率いる反動主義の『緑色協定』、そしてフランス改め非現実国率いる加速主義の『太陽連盟』の三大勢力などが冷戦を繰り広げる世界線が舞台です。
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また、このmodの公式twitter日本語垢もこちら、discordの公式日本語ファン鯖もこちらにあります。

上記のmodの開発のため、執筆が遅れてしまい、皆さんにご迷惑をおかけしました。
しかし、この小説も私にとって大切なプロジェクトであり、できれば失踪はしたくないと考えています。

今回は、宇宙世紀0023年を舞台にした10歳のエルンスト・へーヴェン視点の物語をお届けします。
この物語が、少しでも皆さんの心に響くことを願っています。
今後も執筆活動を続けていきますので、どうぞよろしくお願いいたします。

それでは、『Red Flood × 宇宙世紀(仮)』の世界をお楽しみください。


知識の海、そして出会い

時は宇宙世紀0023年。

サイド3、通称ムンゾのスペースコロニーの一つ:マハル。

数多くあるスペースコロニーの中でも特に貧困層の家庭が多く、”ムンゾのゴミ溜め”とも呼ばれることもあるこのマハル。

その中で唯一まともに機能している小学校、”マハル第二小学校”の校舎の陰に、ある少年が潜んでいた。

少年の名はエルンスト・へーヴェン。

かつて出生時に”赤い洪水の世界”の”エルンスト・レーヴェントロー”の魂が流れ込んだ、彼にそっくりの容姿を持つ10歳の少年である。

 

(…まさか図書室が存在しない上、その代わりとして設けられている書物庫すら常に施錠されたまま放置されているとはな…ずいぶんとあそこの鍵を得るのに苦労したぞ…)

 

そう考える彼の視線の先にあるのは、この学校の書物庫。

この公立小学校にはいわゆる不良と呼ばれるような生徒が多く、よく学校の備品が壊され、学事がその修繕費に追われる上、マハル自体に貧困層が多く税収が少ないせいで予算も少ないため、図書室が存在しない。

しかしそれでは流石に教育に支障をきたしてしまう為、代わりに複数の教師から認可を得た”優秀かつ勤勉な”生徒のみが鍵をもらえる書物庫が設けられたのであった。

 

同クラスの不良たちによって何度も中断されるこの学校の授業に愛想を尽かしたエルンストは、少しでも勉強に集中するために放課後はこの書物庫で独学しようと前々から決めていた。

そして今日初めて鍵を入手する事ができたため、書物庫を開けてどのような本があるか見てみようと考えていた。

しかし…

 

(…まさか、書物庫の目の前で屯しているあの連中、上級生の不良達か!?不味いぞ、鍵を開けた際に奴らに書物庫の中に侵入されたら、目も当てられないようなことになるぞ…)

 

その不良達の姿をみて暫しエルンストは躊躇ったが、彼の中のレーヴェントローの魂が決断を下した。

彼は自分の中の声——”資本主義体制を打ち砕く第一歩として勉強に励む者が、それより遥かにちっぽけなたかが不良の存在程度で諦めるなど笑止千万”——との声に従い、こっそり書物庫の扉に近づき鍵を静かに回し始めた。

鍵穴に挿入された鍵がカチリと音を立てると、彼の心臓も同じリズムで跳ねた。

扉が開くと、彼は素早く中に滑り込み、後ろで扉を閉じた。

しばらく扉を全身で押さえたのち、扉の横の小窓から外を除くと、外にいる不良達は相変わらず地べたに座り込んで下品な話で盛り上がっていた。

 

(どうやら外の不良達には気づかれずに済んだようだな…)

 

エルンストは暗闇の中に目を凝らし、書物庫の内部を見渡した。薄暗い室内には、埃をかぶった書棚がずらりと並んでいた。彼は慎重に足を進め、一冊一冊の本の背表紙を確認し始めた。

 

(ここにはどのような知識が詰まっているのだろうか…)

 

彼の指先は古い革の表紙を撫で、タイトルを読んだ。

『宇宙世紀の成立』『ムンゾの歴史』『ミノフスキー物理学入門』など、興味をそそられる本が次々と目に入った。

エルンストはその中でも特に興味を引かれた『宇宙世紀の成立』を取り出し、古びた木製の机に腰を下ろした。

 

(…この宇宙世紀の背後には、どれほどの政治的駆け引きと陰謀が隠されているのか…)

 

彼はページを開き、行間に書かれた文字を読み進めた。

彼の脳内で過去の歴史が鮮やかに蘇り、その知識が彼の中で結びついていく感覚が心地よかった。

彼の中のレーヴェントローの魂が、さらなる知識を渇望していた。

 

しばらくして、彼の集中を妨げるかのように、外から微かな音が聞こえた。

誰かが扉の外で話しているようだ。

エルンストは息を殺し、注意深く耳を傾けた。

 

「おい、誰かが書物庫に入ったんじゃないか?」

「何言ってんだよ、鍵を持ってるのは優秀な奴だけだろ?それにこうやってその前で座り込んでる俺たちが気づかないわけがねぇ。」

 

間違いなく外で屯している不良達の声だった。

エルンストは心の中で祈りながら、さらに注意深く耳を澄ました。

どうやら、彼らはまだ中に侵入してくる気配はなかった。

彼は再び本に集中しようとしたが、心のどこかで不安が消えなかった。

その時、突然扉のノブがガチャリと動く音がした。

エルンストは反射的に立ち上がり、書棚の影に隠れた。

数秒後、扉がゆっくりと開き、薄明かりが室内に差し込んだ。

 

「おい、見ろよ!誰かが鍵を使って入ったみたいだぞ!」

 

エルンストの心臓は再び高鳴り始めた。

彼の中のレーヴェントローの魂が、次の行動を促した。

 

(ここで見つかるわけにはいかない…だが、逃げ出しても無事で済む保証はないし、何よりせっかく見つけた勉強の場をこいつらなんぞに荒らさせなどするものか!)

 

彼は静かに、しかし決然と行動を起こした。

書棚の影から飛び出し、上級生の不良たちの目の前に立ちはだかった。

 

「何してんだ、お前?」

 

不良の一人が訝しげに尋ねたのに対し、エルンストは冷静に、しかし強い意志を持って答えた。

 

「ここは勉強の場だ。お前たちが入る場所じゃない。」

 

不良たちは一瞬驚いた表情を見せたが、すぐに嘲笑に変わった。

 

「おい、聞いたか?このガキ、俺たちに指図する気か?」

 

その瞬間、エルンストは自身の中にあるレーヴェントローの魂の力を感じた。

 

「お前たちがここで騒ぐなら、俺は全力で抵抗する。勉強は、俺にとって最も重要なことだからだ。」

 

彼は静かに、しかし力強く言った。

 

不良たちは戸惑いながらも、エルンストの強い決意に圧倒されたのか、しばらくの間沈黙が続いた。

その隙に、エルンストは一歩前に進み、扉を再び閉め、鍵をかけた。

 

「これで、お前たちはもうここには入れない。ここから出ていけ。」

 

エルンストは冷静にそう言った。

 

不良たちはしばらくの間、エルンストを睨みつけていた。

やがて一人が肩をすくめ、背を向けた。

 

「もういい、行こう」

 

その言葉と共に、不良達は皆立ち去っていった。

 

エルンストは深く息をつき、再び机に戻った。

彼は知識を追い求める自分の決意が試されることを理解しつつ、再び本のページを開いた。彼の第二の人生はまだ始まったばかりだったが、その一歩一歩が未来を切り開く鍵となることを、彼は確信していた。

 


 

エルンストが書物庫に通い始めてから、数週間が経った。

この頃になるとエルンストはいくつかの書物を読破しており、かなり独学が捗っていた。

また、つい数日前に面白半分で書物庫を荒らしに来た不良達の自力での撃退に成功し、その結果初めて不良達の妨害抜きでまともな授業を受けることができて、彼はとても上機嫌であった。

今日もまたエルンストは書物庫に向かい、その扉の鍵を開け、知識の海に飛び込んだ。

 

しかし、数ページ読み進めたところで、背後に人の気配を感じた。

彼が振り向くと、そこには少女が立っていた。

彼女はエルンストと同じ年頃で、彼と同じく貧困の中で育ったことが一目でわかる服装をしていた。

 

「あなた、エルンスト・へーヴェンよね?」

「そうだ。君は…?」

 

少女の静かな問いに、エルンストは怪訝そうに問い返した。

 

「私の名前はリナ。あなたと同じクラスよ。でも、あなたがここにいるのを見つけるなんて、やっぱり驚きだわ。」

 

エルンストは警戒しながらも、リナの瞳に宿る知的な輝きに引かれた。

 

「どうしてここに?」

「私も勉強がしたいの。けれど、私たちのような家庭ではそんな機会はほとんどないわ。でも、あなたが鍵を持っているともっぱらの噂だから…お願い、少しだけここにいさせて。」

 

エルンストはしばらく考えた後、静かにうなずいた。

 

「いいだろう。でも、静かにしていてくれよ?」

 

リナは感謝の意を示すように微笑み、エルンストの隣に座った。

彼らは共に勉強を続け、書物庫の静寂の中で新たな知識を吸収していった。

 


 

エルンストとリナは、書物庫での勉強を終えると一緒に学校からの帰り道を歩き始めた。

夕暮れの光がムンゾの街を橙色に染めていた。

 

「エルンスト、今日は本当にありがとう。書物庫での時間、すごく有意義だったわ。」

 

リナはエルンストに微笑みかけ、感謝の意を述べた。

 

「いいんだ、リナ。君が勉強したいという気持ちは紛れもなく本物だったし、それに一人で勉強するよりも、お互いに助け合えるほうが良いだろう。」

 

エルンストも笑顔で応えた。

二人はしばらくの間、沈黙の中を歩いたが、その静寂が心地よかった。

 

「でも、エルンスト、どうしてあんなに勉強に熱心なの?あの不良たちを相手にしてまで…」

「…知っていたのか?」

「当たり前よ、貴方があの不良達を返り討ちにしたって、学校中で噂になってるわよ…」

 

リナの問いにエルンストは少し考え込んだ後、静かに答えた。

 

「僕には…使命があるんだ。自分でもよく分からないけれど、知識を求め続けることが、何か大きなことに繋がる気がするんだ。」

 

リナはその言葉に感心しつつも、少し不安そうな表情を見せた。

 

「でも、それは危険じゃない?あの不良たちがまた何か仕掛けてきたら…」

 

エルンストはリナの心配に気づき、優しく肩に手を置いた。

 

「心配してくれてありがとう、リナ。でも、僕はもう怖くないんだ。僕は知識を得ることで、僕たちの未来が変わると信じている。君もそうだろう?」

 

リナはその言葉に励まされ、小さくうなずいた。

 

「そうね、私もそう信じている。だから、私ももっと頑張るわ。」

 

二人は再び歩き始め、リナがふと遠くを見つめながら話し出した。

 

「エルンスト、将来の夢とかあるの?」

 

エルンストは少し考え込んだ後、笑みを浮かべて答えた。

 

「夢か…そうだな、今はまだ具体的には見えていないけれど、このコロニーを、いや、全ての人々の生活を良くするために何か大きなことを成し遂げたいと思っているんだ。」

 

エルンストはそのように、あえて重要な部分既存体制の変革を少しぼかしてそう答えた。

リナはその答えに目を輝かせた。

 

「素敵な夢ね。私もそんな風に考えられるようになりたい。」

 

エルンストはうなずき、二人は互いの夢を語り合いながら、次第に暗くなる街を歩き続けた。

貧困と厳しい環境の中でも、彼らの心には希望の光が灯っていた。




というわけで、エルンストの移住先であったマハル、その小学校におけるエルンストの様子と、リナとの出会いの話でした。

後書き解説:

リナ・ガラハウ
年齢:10歳
出身:サイド3(ムンゾ)、マハル

エルンスト・へーヴェンの同級生であり、幼馴染でもある少女。
エルンストと同じマハル第二小学校に通っており、彼女の家族はマハルの他の家庭と同様に経済的に厳しい生活を強いられている。
非常に聡明で、エルンストと同様に勉学に対して強い意欲を持っている。
学校の授業が不良生徒によってしばしば妨害される中、エルンストが書物庫の鍵を持っていて、しかもその近くに屯する不良達を返り討ちにしたと噂で聞き、勉強のチャンスだと確信し彼に接近した。
ちなみに4歳の妹がいる。
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