推しの使い魔 作:=f:Remora
トリステイン魔法学院から馬で3時間のところにトリステイン王国の王都トリスタニアが存在する。王都というだけあり町の規模は同国最大であり、貴族・平民が生活している。
そんな王都に間取かけるとその主人であるルイズにキュルケ、タバサの姿があった。現在は昼時という事もありそれなりの店に入り昼食を楽しんでいた。ちなみに、かけるにとってここがこの世界の食べ物を食べる最初の食事だったりする。
「ふぅ、少し買いすぎちゃったわね」
「おかげさまでいろんな服が買えたわぁ」
「……」
前に約束した通りルイズがキュルケに服を奢る事となり、キュルケの着替えショーがいくつもの服屋で行われる事となった。スタイルが良いキュルケは何を着ても似合い、店員や客を虜にしていたがそんな中でかけるにも服を上げようという話になり、服を着替えさせたのだが……。
「でもまさかかけるがあそこまでいい体をしていたなんてねぇ」
「あ、あはは……」
「その話はやめなさいキュルケ」
「……」
キュルケに並ぶほどの居乳に出るとこは出て引っ込むところは引っ込んだまさに抜群のプロポーションをかけるはしていた。それを見たキュルケは驚き、ルイズは嫉妬で顔を真っ赤にし、タバサは興味なさそうに本を読んでいた。結果、ルイズの嫉妬をもろに受ける形となったかけるは冷や汗を流す羽目になったのだ。幸い、公共の場であるためかルイズが理不尽に怒り、お仕置きをすることはなかったが今でもかけるに嫉妬の視線を向けてくることがあり、決して忘れたわけではなさそうだった。
「それじゃ次で最後ね。かける。貴方に武器を挙げるわ」
「武器を?」
「そうよ。いつまでも丸腰でいるわけにはいかないでしょ? あなたの身体能力は高いけど武器はあった方がいいわ」
「それはありだとあたしも思うわ」
「そ、そうかな?」
「そうよ。だからこれを食べ終えたら行くわよ」
ルイズの言葉通り、4人は食事を終えると王都の武器屋へと向かっていく。かけるはアニメでもあった通り、狭い王都の街並みを窮屈そうに歩く。現代日本の街並みを知る身としては王都はどう見ても発展途上国の市場程度にしか見えなかった。
「(……あれ?)」
ふと、かけるはパーカーのポケットに入れていたはずの袋がなくなっている事に気づいた。その袋はルイズのお金が入っており、王都に入る前にスリにだけは気を付けるようにと言われていたにも関わらずの出来事だった。
「(……でも残念でしたー! その袋偽物だよ!)」
原作にも描写があったが貴族落ちのメイジは一定数おり、魔法を使った窃盗をされた場合かけるでは気づくことができるとは思えなった。そのため、ルイズから預かった袋を空間に仕舞い、石が詰め込まれた袋を囮としてポケットに入れておいたのだ。囮を用意することで袋を奪わせたときに確かな達成感を与えさせ、即座に離れてもらえるようにするのが狙いだった。誰だってスリを行った直後に中身を確認する者はいないだろう。
その結果として窃盗犯は袋の中身が石であったことによって騙されたと後になって気づくだろうというのがかけるの狙いだった。ちなみに、午前中に買い込んだ服も全て空間内にしまい込んでいてかける達は手荷物を気にすることなく買い物をすることができていたのだ。
「あった。ここよ」
メモを頼りにルイズは目的の場所にたどり着く。それは大通りからは離れた場所に位置する武器屋であり、ルイズを先頭に店内に入店する。
中には武器屋らしく様々な武器や防具が並べられており、店主らしきネズミ顔の男が一人だけ立っていた。
「いらっしゃいませ」
「武器を見せて頂戴」
「武器ですかい? 貴族が武器を持つと?」
「私じゃないわよ。この娘よ」
「はぁ、この娘ですかい……」
店主はかけるの方をじっと見る。獣人であることを隠しているわけではないために女性であろうと護衛としては役に立つのだろうと店主は勝手に脳内で完結させた。
「ちなみにですがどんな武器をお望みですかい?」
「そうね……。剣を見せてくれるかしら? かけるは何か希望はある?」
「んー、しいて言うなら長剣かな?」
別にかけるは武器が使えるわけではないが今後の展開において必要となってくるであろうデルフリンガーを確保しておきたいと考え、条件に合うように希望を出しておく。そうでないならかけるとしてはこん棒のようなものでも問題ないと考えている。むしろそっちの方が武術を知らないかけるにはあっているかもしれないとすら思っていた。
「(カモが到来したぜ……!)へぇ、それでは少々お待ちください」
店主は最近の貴族が見栄だったりの為に護衛に武器を持たせることが流行っている事から、目の前の少女たちもその類だろうとにやりと笑みを浮かべて店の奥から一本の剣を持ってきた。
それは刀身が黄金、柄には装飾品が施された長剣であり、見栄えとしてはこれ以上ないほどのものだった。しかし、かけるはそれを手にしたときにガンダールヴに反応がないことから、実用的ではないと感じた。原作の流れ通りとはいえやはりガンダールヴは反応しない。それだけ武器としてすら認識されていない物という事でもあり、実践では使えないなと心の中でつぶやく。
「これはかの有名なゲルマニアの連勤魔術師、シュペー卿が作り上げた店一番の業物ですぜ。鉄なんか簡単に一刀両断出来ますぜ」
「おいくら?」
「新金貨あら3000枚ですぁ」
「3000!? 庭付きの立派な屋敷が買えるじゃない!」
「名剣は城に匹敵するもんですぜ? このくらい普通ですぁ」
「……」
ルイズは懐具合を確認する。ただでさえ今日はキュルケに服を奢ったために所持金を大きく減らしている。それでも流石に一括で払えるほどの余裕は元々なかったわけだが。
「さすがに高すぎるわ。他にはないの?」
「……ちなみにですがお客様の懐具合は?」
「500と少しよ。それ以上はすぐには出せないわ」
「十分ですぁ。名剣ほどではありませんがそれなりのものは買えますぜ」
一括では無理ならばと店主は別の剣を取り出す。これは黄金の剣を変えない客がいたときように売りつけるもので、まさに現状のルイズのごとき客に買わせるためのものだった。
「どうですか? これもそれなりの名剣ですぁ」
「これもいいわね。かけるはどう?」
「……」
かけるは剣を受け取るがやはりルーンに反応はない。これも武器として認識できないなまくらかと落胆しつつその剣の唾をつかむと一気に力を入れた。突然の事にルイズは驚きとめようとしたがその前に派手な音を立てて剣は真っ二つに折れた。
「偽物じゃん。いらないよ」
「なんですって!?」
「っ!!!」
ぎくりとする店主と怒りをあらわにするルイズを見ながらかけるは最初に見た剣も同じように力を入れるとあっけなくへし折れた。それを見れば最初の剣も偽物であり、売りつけようとしていたことが分かる。
「……どういうこと?」
「え、絵っとですね……」
「偽物を売りつけようとしたって事ね」
「ヒッ!? も、申し訳ございません! 俺もその剣が偽物なんていらなかったんですぁ! 本当に名剣だと思っていたんです!」
「それも本当かどうか怪しいわ。もし、戦闘があってこれを使ったかけるが剣が折れたせいで危険な目にあったらどうしてくれるの? 責任とれるの!?」
騙されていたという事で怒りで怒鳴り散らすルイズをキュルケがまぁあぁとなだめに入る。もし店主の言う事が本当なら店主に悪気はなかったはずだし下手に騒ぐのもまずいだろう。
「ねぇルイズちゃん。僕は気にしてないからここは二つの剣を折ったお詫びって事で不問にしたらどうかな?」
「……そうね。確かに店の物だった剣を折ってしまっている以上こちらにも非があるわね。店主、だまそうとしていた件はそれで不問にしてもらえるかしら?」
「もちろんですぁ!」
店主は笑顔で了承する。ルイズも怒りを抑えると改めて店主に尋ねる。
「じゃぁ今度こそ実戦で使える本物の剣を持ってきて頂戴」
「あ! 僕別に剣を使えるわけじゃないし振り回してもおれない丈夫な剣なら何でもいいですよ」
「へい! 少々お待ちください! ちょうどいい剣がありますぁ!」
そういうと再び店主は店の奥に入っていき、やがて一振りの剣を持ってくる。そして、鞘に包まれたその剣を見てかけるは目を細めた。
「刀身はさび付いていますがそうとは思えないほど頑丈な剣ですぁ。しかもこれは数十年前からあると言われていまして丈夫で長持ちというお客様の要望にもあっている剣ですぁ!」
「ちょっと! 錆びついているのなんて持ってこないでよ! それじゃ持ってる方がカッコ悪いじゃない!」
「いいよルイズちゃん。僕はこれがいいな」
突き返そうとするルイズにそう言うとかけるはその剣を手に取る。左腕に彫られたルーンが光り、剣の詳細を教えてくる。
「(原作主人公の代わりによろしくね。デルフリンガー)」
かけるは不服そうにしながら支払いをするルイズの隣で才人の相棒だった喋る剣、デルフリンガーを愛おしそうに撫でながらそう心の中でつぶやくのだった。
次回はアニオリのエロ本騒動に行くと思います