作者は甘々な恋愛が好きなので、その要素も入る予定です。
長くなりましたが、本文へどうぞ。
「おっちゃん。乗せてくれてありがと!」
「こっちも面白い話聞いたからな。また乗せてもいいぜ」
船から降りると今まで付きまとっていた船の揺れが消えた。
これだから船に乗るのは好きじゃない。
船酔いしやすい訳じゃないが、あの感覚は不安になって仕方ない。
まぁ、こんかいは船乗り達と話で盛り上がったので気にはならなかった。
「……よし。じゃあ先ずは……」
少し歩いて広場から街を見上げる。
奥には街の上方へと続く階段が見受けられる。
大衆酒場や大老殿、古龍観測局に大闘技大会が開かれるアリーナ。他にも様々な施設。
ここは悠久の風が吹き抜ける街、ドンドルマ。
~
「あぁ……楽しみだ」
ドンドルマの工房や鍛冶技術は他の街よりも発達しており、新しい技術や新しい武器の普及が早い。
そして、特殊機構を備えた武器なども。
特殊機構。これだけで何かが胸に込み上げて来る。
男は特別な何かに引かれるものだと思っている。そこに特殊な機構となれば眼も輝くと。
そんな事をある酒場の気の合う先輩ハンターに話すと、「それは浪漫だ」と言われた。
「よく分かるぞ。俺もガンランスにそんな浪漫を抱いてハンターを始めたんだ。そしたらかっこいいの何のって……」
そこからの先輩の惚気話は長いのでちゃんと聞いていない。
そんな俺が浪漫を抱いたのはチャージアックス。チャアクやチャックス、盾斧と呼ばれている武器だ。
小さい頃見たその武器に眼を奪われた俺は地元近くでハンターになるため経験を積み、晴れてギルドに登録して二ヶ月。
俺は今だチャージアックスを握れないでいる。
なんでもチャージアックスは出来たばかりの武器らしく、地元の工房でも取り扱いがなかった。
だから俺はこのドンドルマにやってきたのだ。
全ては浪漫の為。片手剣で依頼をこなし、資金と素材を貯めて船でやってきた。
今の目標はチャージアックスを手に入れること。
「じゃあ先ずは工房だな。……どこにあるんだ?」
船乗りのおっさんに聞いておけばよかった。
しかし、規模が大きく活気溢れるドンドルマでは聞ける人も沢山いる。手当たり次第に声を掛ければいつか着くだろう。
「すいません」
「え?はい?」
何となく横を通った人を引き止めようとしたら、レザー装備の女の子に声を掛けていた。
ナンパと思われるだろうか。いや、さっさと用件を伝えれば分かってくれるはずだ。
「すいません。工房の場所を教えてくれませんか?」
「……ああ。ドンドルマへは初めてなんですか?」
「あ、はい」
「なら道すがら案内しますよ。私も工房に用があるんです」
これはよかった。場所だけ教えて貰っても迷う可能性があるので、案内をしてもらえて助かった。
そんな華奢な女の子が担いでいたのはガンランス。先輩曰く、浪漫砲であった。