モンスターハンター 〈浪漫狩り〉   作:備品猫

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一ヶ月ぶりくらいの更新。数少ない読者様を待たせる体たらくですが、今後ともよろしくお願いします。
追記:人物紹介の年齢欄を削除いたしました。


4.帰還と再会

その日、辿り着いた街の工房でも目的の品はなく。疲労困憊になった俺はその街の酒場で落ち込んでいた。

 

「お前さん。何をそんな落ちこんでんだ?」

 声を掛けないでくれ。今は疲れているから寝てしまいたいんだ。でも怖いおっさんだったら嫌だし返事しとくか。

 重い頭をなんとか上げると、金髪を短く切り込んだ青年がいた。年は二十歳くらいだろうか。

「いえ……別に……」

「何でも話してみろよ。それ相応のアドバイスも送れるかもしれんぞ?」

 人に話すことでもないし、話す気分でもない。

 でも、なんとなく。この人になら話してみようと思った。

「実は……ある武器を探しているんですけど。どこも取り扱いがなくて……」

「ほぉ、その武器じゃないといけない理由でもあるのか?」

「俺、その武器を持ってるハンターを見てハンターに憧れて……。勿論その武器もかっこよくて……。変形したり、不思議な力を使って攻撃したりして。何かこう……」

「おう、それは浪漫だ」

「……浪漫?」

「そう、浪漫。憧れみたいなもんだ。よく分かるぞ。俺もガンランス―この武器なんだが。これに浪漫を抱いてハンターを始めたんだ。そしたら槍で突いたり、砲をぶっぱなしたり。リロードがかっこいいの何のってな。クイックリードって言うリロードの仕方があるんだがな、そのリロードの仕方がかっこいいんだよ。振り回して―」

 浪漫。そう言われると何かしっくりきた。

 あの武器を持っていたハンターに憧れているが、あの武器の特徴的な変形、攻撃方法もかっこよく見えたから使いたいと思ったのだ。

 にやけながら惚気話を長々と話すこの人の顔が、何故か羨ましく、同時に少しのかっこよくみえた。

 浪漫をうたい、浪漫を掴み取って浪漫に生きるこの人の顔。

「竜撃砲は勿論なんだけどな。俺は叩きつけからのフルバーストの方が―」

「俺、もうちょっと探してみます」

「―かっこいいと、え? どうした?」

「俺、もっと調べて。先輩みたいに夢を叶えれるようにします」

「先輩? おお、そうか。へこたれんじゃねえぞ?」

「はい!」

「そこで先輩からのアドバイスだ。ドンドルマへ行ってみるといいと思うぞ」

「ドンドルマ……大陸一の規模を誇る街ですよね?」

「ああ、あそこは色んなもんの普及が早いからな。行ってみる価値はあると思うぞ?」

 

 これが浪漫を謳う先輩との出会い。

 

 ~

 

「亀のハンターさん。着いたニャ」

「……んあ? カメ?」

 硬いけども弾力のあるもので頬を叩かれて目を覚ました。

 場所はアプノトスが引く竜車の荷台。ドンドルマへ帰ってきたからアイルーが起こしにきたのだろう。

 聞き慣れない呼び方で寝起きの頭は混乱している。カメとはあの亀だろうか。

「亀にゃ。甲羅を背負ってるニャ」

「え……。ああ……亀か」

 確かに納刀時のチャージアックスは背中を覆う様に見えるから甲羅に見えるのだろうか。

 ……なんだか悲しいな。

「さ。さっさと降りるニャ」

「あいよ。ありがとさん」

「どういたしましてニャ」

 

 ~

 

 クエストを終えて帰ってきた時はまだ早朝で、ドンドルマでは店の準備などが多く活気はお昼程ではなかった。

「一旦帰るか」

 今はドンドルマにきてから見つけた宿屋に泊まっている。

 チャージアックスを見つけた今では、目的もないので放浪の旅をやめてドンドルマに腰を置くことにした。

 旅をしていた理由もチャージアックスを見つける為だったし、毎日のように移動するのは流石に疲れた。

「良い匂い……」

 宿を目指して帰っていると、ちょうど酒場の方から食欲を起こさせる匂いが漂って来る。

 泊まってる宿の方にも自炊用に食材は置いてあるが、作る気力がない。

「何か食っていこ」

 安くて美味しい料理のある酒場。迷う必要などない。

 疲れで重い足取りで酒場に入り、声をかける。

「おばちゃ~ん。精のつくもんくださ~い」

「あいよ~」

 こんな早朝からでも仕事してるとは、ここで働いてるおばさん達の体力恐るべし。

 しかし、早朝だけあって酒場も閑散としている。見かける人もハンターくらいだ。

「ん?」

 その中で見たことのある人が一人。

 装備はレザー一式からアロイ一式変わっているけど、見間違いではないと思う。

 机に突っ伏していて顔は見えないけど、あの綺麗な金髪と優しそうなオーラはきっとソフィーさんだろう。

 しかしこんな早朝から酒場に突っ伏するとは……。深酒でもしていたのか。

 いや、そんなそこら辺のおっさんと同じではないと思いたい。

 しかし寝ているかもしれないから起こさずそっとしておいた方がいいだろうか……。

「あの子。昨日からあんな調子でさ。いつまでもあれじゃ風邪引くから起こしてあげてくれる?」

「え? 昨日から?」

 料理を持ってきてくれた酒場のお姉さんがそう言ってくる。

 昨日からああやって机に突っ伏しているのか。それは少し心配になってきた。お姉さんの言う通り風邪を引いては駄目だと思うので声をかけてみよう。決して下心はもち合わせていない。

「あのー……ソフィーさん? 起きてますかー?」

 そうやってアロイ装備の上から軽く肩を叩くとソフィーさんは金髪を引きずりながらのっそりを顔を上げる。

「……」

「お、おはよう……ございます」

「……」

 寝起きで細めのソフィーさん。人の寝起きなんてなかなか見るもんでもないな。

 そうやって反応を待っていると。

「……ル」

「ル?」

「ルークさぁぁあん……」

 涙を溜めて、急に泣き出した。

 ちなみに。そんな泣き顔も可愛かったことは言うまでもない。

 

 ~

 

「キャラバンに置いていかれたと……」

「はい……毎回の事ではあるんだけどね……」

 泣くことも収まった泣いていた理由を聞いてみたところ、所属しているキャラバンに置いて行かれたのだと言う。

 なんでも彼女とその他身内で立ち上げたキャラバンらしい。色々な所を旅している彼女のキャラバン。思い立ったら吉日だとばかりにキャラバンの長である彼女の兄は旅に出るらしい。

「私、どんくさいらしくて……」

 苦笑いで答えるソフィーさん。確かに彼女はよく言ってのどか、悪く言ってのほほんとしているように見える。

「それで、なんでここで寝ていたんです? 宿で休んだりしたらいいのに」

 いくらキャラバンで暮らしてきたとはいえ、宿くらいはとれるものだが……。もしやソフィーさん、宿も知らないそうとうの箱入り娘なのか? ありえそう。

「キャラバンの皆が出発したのを知ったのが採取の帰りでして……。そのまま疲れて寝てしまって……」

「……なんとも無用心ですね」

 流石のソフィーさんも苦笑いで、自分も苦笑い。

「ソフィーさんも女性なんですから、手を出してくる男もいますよ? 気を付けないと」

「はい……善処します」

「あ、すいません。何か説教くさくなってしまって……。そんなつもりはなかったんだけど……」

「いえいえ、心配してくれてるんですから。では今から宿を探してきます」

 そう言って立ち去るソフィーさん。その背中を眺めていると、なんとも覚束ない足取りで歩いているのに気がついた。採集から帰ってきて、酒場で寝ていたと言ってもきちんと疲れが取れているわけでもないだろう。

 このまま外で倒れたり、思いもつかない事になるのは駄目だ。先日のお礼だってある、ソフィーさんにはお世話になりっぱなしでは男がすたるというものだ。

「それではまた。ルークさん」

「……あの、もしよかったら」

「……どうしました?」

「……もしよかったら。自分が借りてる宿屋教えましょうか? 安くてベットもふかふかですよ」

「え?」

 あ、これナンパと同じ手口じゃないか。いや、やましい気持ちはこれっぽっちも……。

「あ、いやこれは違――」

「助かります!」

「うんで……え?」

「ドンドルマの宿屋がどこにあるかまで知らなかったので、安くてぐっすり寝むれるところなら何処だって大歓迎です!」

「……」

 なんとも無用心ですね。ソフィーさん。




作中で明言されるか分からんので、ルークとソフィーの簡単な紹介を。

ルーク:男性
使用武器:チャージアックス<精鋭討伐隊盾斧改>
使用防具:ランポスシリーズ
茶髪青年。チャージアックスの為に旅をして周っていた。今はドンドルマに腰を落ち着ける予定。

ソフィー:女性
使用武器:ガンランス<討伐隊正式銃槍>
使用防具:アロイシリーズ
金髪美人。身内でキャラバンをつくり、旅をして周っている。今はキャラバンに置いて行かれたのでドンドルマにいる。
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