モンスターハンター 〈浪漫狩り〉   作:備品猫

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『遺跡平原でキノコ狩り』
今はやりのキノコダイエット!
ぜひとも試してみたいざます。
そこのハンターさん、
遺跡平原で特産キノコを
がっつり採ってきて頂戴!
頼みましたわよ。ヲホホホホホ。
依頼主 ミーハーマダム


5.遺跡平原でキノコ狩り

「ソフィーちゃん待たないんですか?」

「ん? ああ。いつもの事だろ。…アイツも甘えてばかりじゃイカンしな」

「とか言って、また目先の事に気を持ってかれてソフィーの事忘れてたんだろ」

「だろうにゃ。それで? 次は何処に行くのにゃ?」

「よくぞ聞いてくれた! 今回はかの古龍、シャガル・マガラが廻り戻る『禁足地』というところを目指そうと思う!」

「また危なっかしいところに・・・」

「いつもの事だしな」

 *

少し肌寒い。毛布を掛け直そうと思ったけど、外はもう明るいのでそろそろ起きないと。健康な体を作る為に健康的な生活をしないとハンターは務まらないのだ。これは父親の受け売りだ。

「う~ん……」

 寝起きはいい方なので、意識はもう覚醒している。部屋のアイテムボックスから<精鋭討伐隊盾斧改>と砥石を取り出す。

 起きてからは武器の手入れをするのが習慣。小さい頃から物を大切に扱うよう教えられてきたから、今でもこの習慣は大切にしている。落ち込んだ時や暇な時でもこうして手入れをすることで、心を落ち着かせる。

 砥石を取り出し、丁寧に研いでいく。狩猟中では出来ないほど集中し、繊細な動きで手を動かす。

 

 思えば、チャージアックスの為に長い旅をしたもので、家を出て数年。よくここまで生きてこれたものだ。

 今は目標もなく、チャージアックスを色々振ってみたいが為にドンドルマに残っているが、これからはどうすればいいのだろう。目標もなくだらだらと生活するのは自分の性に合わない。

 いっそのこと、もう一度旅に出るというのもいいだろうか。各地を見て回るのも楽しかったし、自分としても根無し草でふらふらするのもよかった。

 さて、どうしたものか……。

 

 そうやって手だけを動かしていると、ノックの音と共に声が聞こえてくる。

「ルークさん? 起きていらっしゃいますか?」

「え? あ、はい! 今出ますよ!」

 もう約束の時間か。さっさと片付けないと。

 *

「ソフィーさんは、これからどうするんですか?」

 場所は大衆酒場。自分とソフィーさんは朝食を摂る為にやって来た。

「そうですね……。いい機会ですから、すこし一人で生活してみようかと。いつも通り兄さんは何処に行ったかさっぱりですから」

「そ、そうですか……」

 今までにも同じことがあったのだろうか。苦笑いを浮かべるソフィーさんの目は笑っていない。

「それで、ルークさんは今後どうするんですか?」

「今後ですか……」

 朝も今後の事について考えたが、まだ何も決まっていない。今の所また旅をするのもいいかと思っているが……。

「……まだ決まってませんね」

「そうですか。では、やることが決まるまでパーティーを組みませんか?」

「え?」

 パーティーとは、勿論クエストでのパーティーだろう。ハンター達は4人程でパーティーを組み、協力してモンスターを狩猟したりする依頼をこなしていく。

 一人では手古摺ってしまう相手でも4人で助け合えばすぐに狩猟することができる。

 しかし、どうして急にそんな事を……。

「用事がない様ですから、私の我侭に付き合って貰えませんか? ……モンスターを狩猟する際、一人では心細いですから」

 新米の自分も一人ではイャンクックを狩った経験がある程度。これからはもっと強いモンスターを狩る事も増えるだろう。

 ソフィーさんもそういった経験があるのだろうか、これからはパーティーを組んでいたほうがいいだろう。

 それに、ソフィーさんの言うとおり他に用事もないのだ。

「……ソフィーさんって、結構なハンター脳ですね」

「よく聞こえませんね」

 二人して笑いあう。

 久しぶりの余暇は無くなり、また色々と駆け回る日々が戻ってきたのかもしれない。

 しかし、これまでのように一回しか見た事のない武器の為に当ても無く駆け回る日々ではない。拠り所も仲間もいる日々。昔のパーティー組んでいた時の安心感のようなものがある。

「そうですね、用事も無い様ですから。ソフィーさんの我侭に付き合いましょう」

「はい。不束者ですが、よろしくお願いします」

 これも何かの縁。一期一会というやつだ。

 これからはゆっくりと考えていけばいい。

 *

「“パーティーを組みませんか?”……」

 思い返してみると、どうにも口説き文句のようにきこえる……気がします。

 ルークさん。気にしてるでしょうか……。いや、どちらも冗談を言い合える仲になりましたし、ルークさんの印象としては多分考えてもいない筈です。

「あ、明日の準備しないと」

 明日はルークさんと採集依頼の為に遺跡平原へ行く事にしています。

 依頼を選んだのは私です。必要でない時にはあまりモンスター狩猟の依頼は受けないようにしています。

 ルークさんは私をハンター脳と(勿論冗談だと思いますが)言いましたが、こうゆう所を兄さんなどはハンターに向いてないのではと提案してくる事があります。私としては確かにモンスターは殺したくないですが、ハンターの役割というのも理解して依頼を受けているつもりです。

「よし。今日はもうお休みですね」

 初めての兄さん以外とパーティーを組んでの依頼。

 ……すこしドキドキします。

 *

「……はい。これで終わりっと」

「こちらも終わりました」

「じゃあ納品して帰りますか」

「はい」

 こんかいは遺跡平原で特産キノコを探して納品する依頼を請けた。そして今までと違うのは一人ではなく、パーティーで請けているという事だ。

「……納品依頼だけど、やっぱり一人の時とは大違いだな」

「どうしました?」

「いえ、早く終わったなぁって思いまして」

 やはりパーティーを組んでないのと組んでるのでは大違いの速さである。

「そうですね。ルークさんはいつも一人で依頼を受けているんですか?」

「まだ新米ですから受けた依頼も数える程ですけどね。大体ソロでやってましたよ」

 ふらふらと各地を回っていた自分にその場その場で気の合う同業者はなかなか見つからず。殆どと言っていい程一人だった。

「……そうでしたね。ルークさんは一人で色々な所を回ってるんでしたね」

「ええ」

「……いいですね。私も自分で旅してみたいです」

 ソフィーさんはキャラバンで旅をしている筈なのにどうしてそんな事を言うのだろう。

「……キャラバンの旅は楽しくないんですか?」

「いいえ」

 何気なく言ってしまった質問に、ソフィーさんは力強く否定する。

「キャラバンは本当に楽しいんです。色々な経験も出来ますからね。……ただ、自分の目的がそこに無かっただけなんです」

「……」

「ルークさんは今の武器を見つける目的で旅をしていたんですよね」

「そうなりますね」

 ハンターをする目的。

 確かに自分がハンターになった目的はチャージアックスの為というのも、いくらかある。……何だかくだらない理由に思えてきた。

「私も見つかりました。少し前に、そうゆうハンターをしている目的みたいなもの」

「……聞いてもいいですか」

 ソフィーさんは笑顔で自分を一瞥すると前を向いて話始めた。

「ルークさんはモンスターをどう思っていますか?」

「はぁ……。“脅威”ですかね」

 なんとなく。人に悪意を持たずに害を与える。そんなイメージが強い。

 勿論全てのモンスターがそうでないことも知っている。

 そうやって答えると、ソフィーさんは肯定をしめす仕草をみせ、また話始めた。

「……私は人とモンスターもそんな違いがないと思っているんです。

 ある者は群れを作ってコミュニケーションをとり。ある者はつがいを作って卵を命を懸けて守る。狩る者と狩られる者がいて。親がいて子がいて。……世界はそうゆう繋がりで出来てるんだと思うんです。私はそうゆう繋がりを見てみたいんです」

「それが……ハンターをしている理由ですか……」

「はい。つい最近見つかりました」

 雄大な自然が広がるこの世界では無数の巨大なモンスターが複雑な生態を持って生活している。アプトノスやアイルーのように人と暮らすモンスターも存在するが、殆どのモンスターは人の手の届かない自然のなかで暮らしている。

「それは……相当長い道のりですね」

 そんなモンスターの生態はまだ謎に包まれている部分が多い。しかし危険なモンスターが多く調査も満足には進まないのだ。

 どれだけの種がいて、どんな力を持っているのか。新種のモンスターが見つかるなんて事もよくある事である。

「ええ。だから、ゆっくり、ゆっくりと見て回ろうと思います」

 きっと終わりのない目標である事はソフィーさんも分かっているのだろう。

 それに比べて自分の目標は……。欲しい武器が欲しいから旅をしたいという、ソフィーさんと比べるとなんと子供っぽい理由なんだろう。

「……ルークさん」

「……ジャギィが8匹、ジャギィノスが3匹。あれじゃあ通れませんね」

 ……などと、落ち込んでいる暇は無いらしい。話をしているうちにジャギィの縄張りに入ってしまったらしい。もうすこし周りに気を配らないといけない。

「……ソフィーさん、いけますか?」

「はい、大丈夫です」

「自分が先ず牽制します。道があければ一気に逃げましょう」

 今回の目的はあくまでキノコの納品だ。危険を冒してまでジャギィ達を倒す意味はない。……まぁ、逃げれればの話であるが。

 ソフィーさんも意味を理解していたようで、大きく頷くととガンランス――<討伐隊正式銃槍>を手に取る。自分もチャージアックス――<精鋭討伐隊盾斧改>を構える。

「では!」

 狙うはジャギィの目先。変形叩き付けの衝撃で少しでも怯ませる事が目的だ。

 走りながら盾に剣を挿し込み斧へ変形させる為に振る。金属同士の擦りあう音と火花を上げながら回る盾は、収納されていた部分を伸ばしきると斧の刃となり展開した。

 斧の形にガッチリと固定された<精鋭討伐隊盾斧改>を道を塞ぐジャギィの目先に叩き付ける――つもりだったのだが、やはり小さくてもモンスター。距離をとる様に後ろに下がると威嚇の声をあげる。

 ……やっぱり、そう簡単にいかないか。

「ふん!」

 身体を前へ回しながら、叩き付けていた<精鋭討伐隊盾斧改>の斧状態を解除しそのまま剣を横に振るう。

 警戒していたジャギィはその攻撃も避ける。当たらなくてもいい。囲まれた状態を何とかしないと、今の状態で逃げるのはあまりに危険すぎる。

「ルークさん!」

「はい!」

 後ろでガンランスを撃っていたソフィーさんが呼ぶ。

 足音で丸分かりである。背後から迫ってきた二頭のジャギィの体当たりを盾で防いで、そのまま切りつける。

 二頭は痛みに泣き声をあげると自分から逃げるように距離をとった。

 横目でソフィーさんを見る。彼女も盾で攻撃を防ぎながら周りのジャギィを追い払っていく。

 ……ただ。彼女の戦いを見ていると、どうにも力が弱く見える。ジャギィの攻撃を防いでも反動を殺し切れずに怯んでしまっている。

 そんな分析をしている暇は無いと、ジャギィ二頭とジャギィノス二頭が挟みこむように迫ってくる。

「……まじか」

 流石群れで狩りをするだけあって連携が取れている。

 ……これは逃げきれるのか?

 *

「帰った……ようですね」

「はぁ……疲れた」

 ジャギィ達が帰っていくのを見送ると、どっかりと腰を地べたに下ろす。

 ソフィーさんと背を合わせて戦っていたが、どうやらジャギィ達も諦めて帰っていたらしい。防御だけで何とかしのげたのは運が良かったとしか思えない。

「はぁ……すいません。……守って貰って……ばっかりで……」

「いえいえ……お互い様ですよ」

 女性のソフィーさんはスタミナもあまりなく自分のフォローが多かった。

 ただ、自分も何度か危ない場面を助けて貰ってるので、いいチームワークだったと思う。

「……じゃあ帰りますか」

「……はい」

 そうは言ったものの、へとへとになった自分達がキャンプに戻ったのは、それから二十分後だった。




ご拝読ありがとうございます。
4Gの強化されたチャージアックスに濡れながらモンスターを狩っていたら、何時の間にかボールでモンスターをゲットしていました。
俺って一体……(哲学)。
はい、投稿遅れて申し訳ありません。
どうにも心理描写が難しく。筆が進みませんでした。
はい、言い訳です。どうにか頑張ります。
感想、誤字脱字報告。お気軽にどうぞ。
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