立花響が男の子だった世界の393 作:勝機を零した、掴み取れん
ちなみにアニメは3期まで見ていて、4期と5期は見てないので見ようとは思っていますがマジで3期でおなかいっぱい状態。
そんなやつがこの作品書いてます。ほんますいません。
第3話②
『♪ 〜』
携帯のアラームで目が覚めた俺はベッドから起き上がり、身体の横にあった携帯を触ってアラームを止める。
時刻は七時。いつも通りの時間に起き、目覚めも悪くない。俺はそのまま部屋を出て顔を洗うために洗面所へと向かった。
顔を洗い終わった後は部屋に戻り、制服に着替え、通学カバンには今日の体育の授業で使う体操服とジャージを入れる。
そして、学校に向かう準備を先に終えた俺はまた部屋を出て、お母さんが作ってくれる朝食を食べるためにリビングへと向かった。
「あっ……響、おはよう」
「未来、おはよう」
リビングの扉を開けるとそこには朝食が置かれたテーブルの手前へ座っている未来の姿があった。
あの時以来、未来は俺の家に来ては一緒に登校するようになったのだけど、今日は朝食の時から一緒らしい。
「ごめん……早く響の家に着きすぎちゃって……。そしたらおばさんが、良かったらご飯食べていってって……」
「俺は別に大丈夫だよ。なんだったらこれからもそうすればいいんじゃないかな? まあ母さんが良いならだけど」
そう言ってキッチンで料理を作ってる母さんの方に視線を移すとめっちゃ笑顔で頷いていた。
「……良いらしいね」
「おばさん……ありがとうございます」
「良いのよ未来ちゃん。いつも響と一緒にいてくれて……ありがとうね」
俺の目の前に料理を置いてくれた母さんはそのまま未来の隣に来て何か耳打ちしていた。
そしてしばらくした後、未来は顔を真っ赤にしていたが、母さんは何を言ったのかは俺には分からなかった。
「「いってきまーす!」」
「いってらっしゃい〜!」
俺と未来は元気よく家を出た。こんなに元気あるのはあの時の事故以来かな……。
「……響? どうしたの?」
「いや、なんかさ……前までの日常に戻ってきた感じがしてさ」
俺は家の全体を見回すように見ていた。
未来に自分の苦悩を打ち明けてから一週間経った。
前までは家全周にあった落書きや張り紙、窓ガラスに石を投げられることも無く、自分にとっての平和な生活が送られていた。
「そうだね……。私も前までの響に戻ってくれて嬉しい」
「……ありがとう。未来」
多分、この件が終わりつつあるのも未来のおかげなんだと思う。俺が復学した時にいじめを受けなかったのも、未来がなんとかしてくれていたからなのも知っている。
「俺って……未来に助けてもらってばっかりだな〜」
「そうでもないよ。私も昔、響に助けて貰ってばっかりだった。だから、今度は私が響を守れるようにしたい」
「……じゃあ、俺も未来を守れるようにならないとね。お互いそれなら……幸せだよね」
「……ふふ、そうだね」
微笑んだ未来は俺の右腕に身体を抱き寄せてきた。
「うぇっ!? み、未来!? ちょっといきなり……」
「私は響の事が好きだもん。こうしてないと私、寂しくて泣いちゃうかも。……でも、響はこんな私を守ってくれるんでしょ?」
「……それはずるい言い方だよ」
上目遣いで見る未来が可愛くて……俺は目を逸らす。
未来の最近の言動が大胆になったのもこの一週間の変化だった。
前に比べてやたらと手を繋ぎたかったり、一緒にいる時間もずっと長い。
家から帰ってきた後もメッセージアプリによるやり取りや通話もあったりする。
こうなったのは多分、あの時未来が俺に対する気持ちを打ち明け、そして俺がそれを肯定……受け止めるような事を言ったから。
それで自分の気持ちを抑える必要が無くなったからだと思う。
とは言っても……俺も未来の事は大切だし、寧ろ好きという感情を向けられるのは嬉しい事だ。
ただ……未来の行為は俺にとってはあまりにも刺激が強すぎた。
一応思春期の男子なのでこういう事をされると本当に頭がパニックになりかける。
ただでさえ最近幼馴染以上の感情を抱き始めているのに……。
……もしかして未来、わざとやってる?
「ごめん響! 今日体育の授業あるのに体操服忘れちゃった……!」
体育の授業が始まる前、着替え終わって教室で時間を潰していた時、隣のクラスにいるはずの未来が来て俺に頭を下げていた。
「未来が忘れ物するなんて珍しいね……。ジャージでいい?」
俺は自分が着ていたジャージの上下を脱いで、未来に渡す。長ズボンの下はハーフパンツを履いていたので別にその場で脱いでも問題はなかった。
「うん……ありがとう響。……ごめんね」
「これくらいへっちゃらだよ。それより早く着替えないと俺たち授業に遅れちゃうよ?」
「……うん」
そう言って未来は早歩きで教室を出ていった。
(今の季節、体操服だけだとちょっと肌寒いけど我慢するか……)
俺も教室を出て、体育館へと向かった。
俺の学校の体育は、途中までは男女合同で行う。準備運動、ウォーミングアップ。それが終わると男女それぞれ別の種目が始まる。
例えば男子ならバスケ、女子ならバレーのように。
そして準備運動では特に同性で組まないといけないルールはなかった。
先生達からすれば男女お互いのことを知るのも重要だ……らしい。
つまりどういう事かと言うと。
「響、ちゃんとストレッチしないと怪我するよ」
「……うん」
俺はいま体育館で、俺のジャージを着て、ポニーテールに髪を結んだ未来と一緒に準備運動をしていた。
こうなったのは今回だけではなく、自分が復学してからずっとだ。
元々俺は一緒に組んでいてくれた友達がいたのだが、あの事故以降、俺に近寄る友達はいなくなってしまった。
「じゃあ、私と組もう?」
そう未来は言ってくれたが、流石に男女組むのはあれじゃないかと思ったので、俺は先生と組むと言ったのだが……。
「……わたしとくもう?」
「……はい」
未来の空気を凍らせるかのようなドス黒い圧に俺は屈してしまった。
という訳で体育の授業がある時は毎回未来とペアを組んでいるのだがとにかく心臓に良くない。
さっきも言ったけど思春期の男子が女子と至近距離でいるなんて普通は耐えられないものだ。
なのに未来はお構い無し。
前屈をしている俺の背中を未来が押してくれているのだが、普通は手だけでいいはずなのに身体全体を俺に預けているので彼女の柔らかい胸の感触が伝わっているのだ。
「……ふふ。響ってば、凄く心臓がドクドクってなってるのが聞こえるよ? ……可愛いなぁ」
耳元で囁かれる未来の甘い声と、彼女のいい匂いが鼻に伝わってくる。
そのせいで俺の顔は赤く火照っているし、緊張で汗が止まらなくなっている。
早く、この時間が終わって欲しい。
俺はそう切に願う。
色々あったが今日がなんとか終わった。
今は未来と一緒に帰り道を歩いている。
「すごく疲れてる顔してるけど大丈夫?」
「誰のせいだよ……」
心配してるような言葉とは裏腹にニッコニコの笑顔を未来は見せている。
「……ジャージありがとうね。明日、洗って返すから」
「別にこのまま家に帰って洗うんだから、今返してもらって大丈夫だけど……」
洗うのは多分母さんなんだけど、自分でもそういうの出来るようにならないとな。
「それは悪いよ……だから、ね?」
顔は笑っているが目は笑っていない。そんな未来の表情がなんか怖くて、俺に一瞬寒気が襲った。
「……まあ、未来がそういうなら」
「ふふ、ありがとう」
未来には……勝てないな。
次の日、ジャージを返してもらったけど、凄くいい匂いがした。
「……響」
家に帰って部屋に戻った私はベッドの上に横たわって、響から借りていたジャージを自分の顔へ押し付けていた。
響の匂いの良い匂いがジャージ越しから伝わってくる。ずっと、嗅いでいたい。
「……響には悪いことしちゃったな」
私はわざとジャージを忘れていたのだ。
響のジャージが着たかったから……彼ならきっと貸してくれると思っていたから。
「響に会いたい……ずっと、一緒にいたい」
さっき別れたばかりなのに……もう私は響の事を欲しがっている。
そう寂しい気持ちになる中、私はふとおばさんに朝言われた事を思い出す。
『将来、未来ちゃんが響と結婚してくれると嬉しいんだけどね〜』
「結婚か……」
確かに、響と結婚すればずっと一緒に居られる。けど、それは大人にならないといけない。
私達はまだ中学生。ずっと先の話なのだ。
「……あっ。でも結婚は無理でも一緒に暮らすことは出来るんじゃないかな……」
同居なら親の承諾を得ることが出来れば出来なくないはず……。
それなら……私には一つ考えがあった。
「……ふふっ。これなら響と一緒に居ることが出来るかも……。待っててね、響。絶対に離さないから」
私は響のジャージをギュッと抱き締め、目を閉じた。
大体10話程度で作品完結したいなとは考えています。
ただ一度飽きると全く手付かずになってしまう者なので、気長に更新待って貰えると助かります。
感想・評価お待ちしてます。