一話全部がそのキャラの視点の時は前書きに書きますが、話の途中で視点が切り替わる場合は【○○Side】と言う風に最初の方に表示し、終わる際に【○○Side out】と表示して区切ります。以前から読んでくれている方は慣れていると思いますが、新たに読んでくれている方の為に説明しておきます。
あと、第一話の後書きに零児のキャラ説明を載せましたが、本編中ではテファとマチルダは零児が人と竜のハーフだと言う事は知りませんし、零児もテファがハーフエルフだと言う事は知りませんので、あしからず。
零児Side
「さてっと、話も大体纏まったみたいだし、アタシは荷造りでもしようかね」
「あ、荷造り? どっか旅行にでも行くのか?」
「そうじゃなくて学院に戻るための準備さ。アタシが働いている魔法学院はトリステインに在って、片道でも十日以上掛かっちまうんだよ。違う国の魔法学院だから遠いのは仕方のない事だけど」
「違う国にまで出稼ぎに出てるのか。そりゃ大変だな」
「大変なんてもんじゃないよ。あそこの学院長のジジィは真面目に働かない上にセクハラまでしてくるんだ。これで給料が安かったらとうの昔に辞めてるところだよ」
そう言って溜息を吐くマチルダの顔は心底ウンザリしている様に見えた。
俺は漁師として生計を立てていたから上司がいる苦労ってのは良く分からんが、少なくとも学院長とか言う爺さんに嫌気がさしている事はなんとなく分かった。
しかし学院ってのは一体なんだ? 寺子屋みたいなもんなのか?
「そ、そんな所で働いてたんだ……。あんまり無理しないでね、マチルダ姉さん」
「別に無理はしてないさ。あのジジィの事は眼を瞑ればそれなりの待遇だからね。多少の事は我慢するさ」
「私は姉さんが無理しすぎて倒れないか心配だよ……」
「だから大丈夫だって。本当に辛いようなら辞表を出して辞めるからさ」
「……本当に無理しないでよ、姉さん」
「分かってるって」
「あ~……話の腰を折るようで悪いが、一つ質問しても良いか」
「ん? なんだい?」
「魔法学院ってのは一体何をする所なんだ? 魔法の研究室みたいなものか?」
「研究もしてないことはないけど、それは別の機関の仕事だよ。魔法学院ってのは、貴族の子供たちに魔法を教える学び舎の事さ。ま、教えてるのは魔法だけだから、それ以外の事に関しては全然だけどね」
「魔法を教える学び舎か……。自分から人外に為りたいだなんて、この世界の人間は随分と変わってるな」
「は? 何を言ってるんだい、アンタは」
「いやだって、魔法使いになる為の学び舎なんだろ? だったら最終的に人間を止める事に為るだろ」
「だからそれが意味が分からないって言ってるんだよ……」
思ったことを口にしただけなのに、何故かマチルダに変な目で見られてしまった。
俺の中ではおかしな事を言ったつもりは無いんだが、もしかするとこの世界と幻想郷では〝魔法使い〟の定義が違うのか? 俺の中では〝魔法使い〟ってのは妖怪の一種なんだが……。
「え、え~っと、レイジの世界の魔法使いってもしかして人間じゃないの?」
「いや、身体的な特徴は人間と何ら変わらない。先天的に〝魔法使い〟として生まれる奴もいるが、後天的に人間から〝魔法使い〟に為る奴もいるからな。外見的には人間と同じだ」
「それじゃアンタの言う魔法使いってのはどんな奴なんだよ」
「一言で言えば人間の理から外れた存在だ。身体に行動力が魔力となっている連中の事を指す」
「身体の行動力が魔力になってるってつまり如何言う事?」
「あ~……噛み砕いて説明すると、魔力さえ尽きなければ食事しなくても生きていけるってことだ。肉体は人間となんら変わらないから食事を取る事は出来るが、魔法使いにとって食事は趣味みたいものでしかない。食事をしたり睡眠を取らなくても生きていけるんだ、アイツ等にとってそこまで重要な物にならないらしい」
「食事や睡眠も要らないってそれは生き物としておかしいだろ。本当にそんな奴がアンタの故郷に居るのかい?」
「あぁ、俺の故郷の魔法使いがそうだ。普通の人間も研鑽を重ねれば後天的に魔法使いになれるそうだが、魔力で生きていけるようになった時点で人間じゃなくなる」
俺の説明を聞いてマチルダは複雑そうに顔を顰める。
まぁ魔法学院で働いているってことは彼女も魔法使いなんだろうし、幻想郷では魔法使いは人間じゃないって話を聞かされれば複雑な気分になるだろうな。
「……普通の人間も研鑽を重ねれば後天的に魔法使いになるって言ったね。なら、人間のままで魔法を使える奴も居るってことかい?」
「あぁ、職業を魔法使いとしている奴がそうだな。そう言う連中は魔法を使えるが種族としては人間のままだ」
「そうかい。だったらアタシ等メイジはアンタの世界で言う所の職業が魔法使いの人間だよ。少なくともアタシは、魔法の研究を重ねて人間を止めちまった奴の話を聞いていないからね。レイジの言う魔法使いとは別物さ」
「成る程。なら、魔法学院ってのも人間のまま魔法を使えるようになる為の学び舎って訳か」
「まぁね。……まったく、いきなり人外認定された時は何事かと思ったよ」
「悪いな。でも、俺はそう言う世界で育ったんだ。職業が魔法使いって奴も少ないし、魔法使いは妖怪の一種だと教わってきたからな」
「世界が違えばメイジの定義も違うって訳か。……ところでヨウカイってのは何なんだい?」
「あ~……妖怪の定義って結構難しいからなんて言えば良いか。一言で言えば人間から恐れられる存在かな」
「恐れられるってまた随分と曖昧だねぇ」
「言っただろ、定義付けが難しいって。妖怪とはこういうものだって言えないから、人間から恐れられる存在ってのが一番分かりやすい」
「そうかい。……そんじゃアタシは荷造りでもしてるから、後は二人で暢気に話してな」
そう言ってマチルダは席を立ち、そのまま食卓から離れて自室と思われる部屋へと向かった。
急にティファニアと二人っきりに為ってしまったが、こう言う時は何をすればいいんだ?
昔から親父に修行をつけて貰うか、姉貴に追い掛け回されていたから、こんなとき如何すれば良いのかさっぱり分からん。
……今になって考えてみると、俺って随分と寂しい人生を歩んでたんだなぁ~。楽しかった思い出と言えば、家族で祭りに行ったり、親父と釣りをしている記憶くらいしか無いから、友人と遊んだ思い出って殆どない。
ティファニアと友達に為ったのはいいが、手持ち無沙汰すぎて何をすれば良いのかさっぱりだ。
マチルダは暢気に話でもしてろと言ったが、俺の身の上話なんかしてもツマランだろうし、この世界に来た理由も話しちまったし、何を話せというんだか……。
「……ねぇレイジ、一つ聞いてもいいかな?」
「あ? なんだ?」
「レイジの故郷って、私みたいに耳が尖がっている子っているの?」
「耳が尖がってるやつ? そのくらい普通にいるぞ。てか、耳の形なんて千差万別だからな。色んな形の奴が居る。耳が尖がっているくらい普通だ、普通」
「え、そうなの?! ねぇ、どんな形の子がいるの? 教えて」
「んなもん聞いたって面白くないだろ。どんな形の耳をしてようと役割を果たせるならどれも一緒だ」
「でも知りたいの。レイジがどんな所で暮らして、何を見てきたのかなんでもいいの。だから教えて?」
ティファニアは目を輝かせながら言うが、恐らく幻想郷の連中の耳の形が知りたい訳じゃないんだろう。
耳の形ってのはタダの切欠で、本心では俺の事が知りたいだけなんだと思う。
自分の知っている世界とは違う世界。そう言ったモノに興味があるのか、それとも俺の事が知りたいだけなのか。まぁなんにせよ、話のネタくらいには為るから良いか。
「そうだな……。やっぱり一番多いのは人間と同じ形をした耳だな。これが一番多く見受けられる」
「あ、やっぱりそうなんだ」
「その次くらいに多いのは……獣耳かな、やっぱ」
「獣耳? それって犬さんとかウサギさんとかの耳ってこと?」
「ああ。しかも場所も違ってな、顔の横じゃなくて頭頂部付近に生えてるんだよ、犬耳とか猫耳とか兎耳とかが。あと変り種で狐耳ってのもいるぜ」
「狐耳?! そ、それって毛とかはどうなってるの? やっぱり人間の髪の毛なの?」
「さぁ? 俺も直接触った事がないから知らないけど、見た感じだと獣の毛っぽいんだよな」
「へぇ~。なんだか凄い所だね。獣耳が生えてるってことは……やっぱり人間じゃないんだよね?」
「あぁ全員妖怪だな。ま、俺の故郷は人間よりも妖怪の方が多いから当然ちゃ当然だけど」
「え、でも、人間と同じ形をした耳が多いってさっき―――」
「人間と同じ形をした奴が多いとは言ったが、その全てが人間だとは一言も言ってないだろ」
「―――あ、そっか。魔法使いさんも外見は人間と同じだって言ってたもんね」
「そう言う事だ」
ティファニアが振ってくれた話題は切欠に丁度良かったのか、その後も俺は幻想郷の話を彼女に話した。
この世界では考えられない様な話から、物凄く下らない話まで様々な事を彼女に聞かせた。
こんな風に誰かと話をしたのは一体何時ぶりだろうか? 実家にいるときはよく家族で話をしていたが、実家を出てからは……あんまり記憶に残ってないな。
「一口に妖怪って言っても多種多様なのがいるからな。中でも頭が胴体から離れる奴を見たときは驚いた」
「頭が胴体から離れる? でも頭って身体から離れる様なものじゃないよね?」
「それが居たんだよ。ろくろ首の一種らしいんだが、身体から頭が離れて自由自在に動けるんだと」
「え、えぇ~……。流石にそれはちょっと想像できないな」
「まぁ確かにアイツは実物を見ない限り想像は出来ないだろうな」
「本当だよ。それにしてもレイジの故郷って本当に面白い世界だね。聞いていて飽きないもの」
「俺は妖怪たちの事は見慣れた……というより、あまり意識した事は無かったかな。生まれた時からずっとあの郷で育ってきたから、妖怪は居て当然のものだって認識してた。ティファニアからしたらそうじゃないんだな」
「うん。人とは違う亜人がいるって姉さんから聞いていたけど、レイジの故郷ほど近い存在じゃないもの。怖がられたり、恐れられたりしているんだって」
「幻想郷もそこは同じだけどな。妖怪が人を襲い、人は妖怪を恐れる。この関係は変えてはならないって巫女だったお袋が話してた。あの郷が出来て数百年も経った所為か、人と妖怪の距離も大分近付いちまってるが、形骸化しても維持し続けるって息巻いてたな」
「そうなんだ。……でも、そんな世界だったら私も隠れ住まなくて良くなるのかな」
「あん?」
ティファニアは俺の声も耳に入っていないのか、何処か遠い目をして窓の外を眺めている。
周囲を森で囲まれているからか、窓の外は夕暮れ前にも拘らず薄暗くなり始めていた。
俺の話を聞いてティファニアが何を思ったのか分からない。でも、今の生活に少なからず疑問を懐いているのは確かなようだ。
ここでの生活に不満があるのなら森を出て、好きなところで暮せばいい。
思わずそんな言葉が出そうになったが、俺はその言葉を言わずに飲み込んだ。
出て行くのならそうしているだろうし、マチルダも連れて行けるなら連れて行っているはずだ。
それが出来ないのはティファニアの耳に関係が在るんだろう。幻想郷暮らしの俺には普通の耳にしか見えないが、この世界の住人にはそうでないのかもしれない。
俺がこの世界にやってきた時もマチルダはティファニアの耳を気にしていたし、もしかしたら彼女の耳は迫害の対象に為っているのかもしれないな。
「………………」
「ん? どうかしたの、レイジ。私の顔をジッと見て」
「いや、ティファニアは森の外に出たいと思わないのかと思ってな」
「……出られるなら出たいかな。子供の頃から森で住んでいたから森の外を殆ど見た事が無いの。だから外の世界が見られるなら見てみたいってずっと思ってた。……でも、それは無理な話だよ。私一人じゃ何処にも行けないから」
「一人じゃ何処にも行けないか。……だったら俺と一緒に来るか?」
「……えっ?」
「一人じゃ行けなくても二人なら行けるだろ。まぁ、男と二人旅ってのに抵抗はあるかも知れないが、この森で一人で暮らしていくよりかは楽しいと思うぞ」
「で、でもほら、私こんな耳だし。姉さんやレイジは気にしなくても、他の人に見られたら大変な事に為るし」
「んなもん知るかよ。その耳にどんな意味があるのか知らないが、他所の世界から来た俺には関係ない。もし本当に大変な事が起こったとしても、そん時は俺が守ってやる」
「レイジ……」
「別に今すぐ答えを出さなくてもいいが、俺が旅立つ前に如何するか決めておいてくれ」
「……うん、考えておくね」
「ああ。それじゃ、ちょっと席を外させてもらうぞ」
「ん? どうかしたの?」
「いや、ちょっとトイレに行こうと思ってな。何処に在るんだ?」
「あぁ、トイレなら家を出て裏に回った所だよ」
「分かった」
そう言って席を立ち、家を出て裏手に回るが……一人になって急に恥かしさがこみ上げてきた。
寂しそうな横顔のティファニアを見て思わずあんな事を言ってしまったが、今になって考えるといきなり何言ってるんだ俺は。昼前に会った男と一緒に旅がしたいだなんて思わないだろ普通。
いきなりこの世界に送られたもんだから、知り合いが居なくて心細くなっているのか。ちょっと考えが足りなかった様な気がする。
今ティファニアに会うのも気恥ずかしいし、外で少し頭を冷やしてから戻るとするかな。
零児Side out
テファSide
「……俺と一緒に来るか、か。そんな事言われたの初めてだな」
ついさっきレイジが言ってくれた言葉。ソレを繰り返し呟いてみると自然と頬が緩む。
ずっとこの森に隠れ住んでいたし、姉さん以外の人がやって来ることなんて滅多に無かったから当然だよね。
本音を言えばレイジについて行きたい。この森を出て、違う景色を見て、色んな人に会いたい。……でも、自分がハーフエルフだって考えると直ぐに答えを返すことが出来なかった。
レイジはエルフの事を何も知らないみたいだけど、もし知ってしまって他の人達の様に怖がられたらと考えるとついていく勇気が湧いてこない。
でも、このまま家に居ても何も変わらないし、レイジも何時か旅に出てしまう。
やっと友達が出来たのに、離れ離れになるのも嫌。……だけど、レイジにハーフエルフである事を知られるのも怖い。私は一体如何すればいいんだろ。
「……遅いな、レイジ」
「すっかりあの男が気に入ったみたいだね、テファ」
「ッ!? ま、マチルダ姉さん!? 急に話しかけないでよ、ビックリするじゃない」
「ゴメンゴメン。でも、アタシが来た事に気づかないなんて、姉さんちょっとショックだわ」
「うぅ……ごめんなさい」
「別に怒ってる訳じゃないからいいさ」
そういって笑いながら姉さんは私の正面の席に座る。
何時もなら姉さんが正面の席に座っても気にしないけど、さっきの申し訳なさから今は姉さんの顔を見るのが少し辛い。
「それでさ、テファ。私はアンタが旅に出たいっていうなら止めはしないよ」
「ど、どうしてソレを……。もしかして、さっきの話聞いてたの?!」
「聞いてたというか、聞こえてきたってのが正しいかね。この家の壁薄いから、聞かない様にしてても聞こえてきちまうんだ。まったく、会ってまだ一日も経ってないのアタシの妹を口説こうなんて、大した奴だよ」
「れ、レイジは別に口説こうとして言った訳じゃないと思うけど……」
「アイツの本心なんか知った事じゃないね。アタシにはテファを口説いている様にしか聞こえなかったから」
「あ、あはははは……」
そんな事ないって言い返したかったけど、今考えてみると確かにそう取られてもおかしくない言い回しだった気がする。
「……でも、テファを外に連れ出そうとしてくれたのは有り難かったかな。アタシじゃ匿う事は出来ても、連れ回すことは出来ないから。だからこんな森に閉じ込める事しか出来なくて。……すまないね、テファ」
「そんな謝らないでよ、姉さん。私は姉さんが居てくれたからこうして生きてこられたんだよ。感謝はしても、恨んだ事なんか一度も無いよ。それよりも私の方こそごめんなさい。姉さんには苦労ばかり掛けてきたし、私とお母さんを匿わなければ今頃―――」
「それ以上は言うんじゃないよ、テファ。確かにアンタ達親子を匿ったことで家は取り潰されたけど、アタシの両親は大公に忠を尽くしただけだし、アタシも可愛い妹分を守りたかっただけさ。アンタが謝る様な事なんて何もないよ」
「マチルダ姉さん……」
そう言って笑い掛けてくれる姉さんの言葉が嬉しくて、それと同じ位に苦労を掛けてきた事が申し訳なくて、私は知らず知らずの内に涙を流していた。
私達親子を匿わなければ今頃姉さんはこんな小さな家じゃなくて、もっと大きなお屋敷で暮らせていたのに。
そう思うと姉さんには本当に申し訳なくて、涙が溢れて止まってくれない。
「まったく、なに泣いてんだい。泣く様な事なんて何も無いだろうに」
「ごめん…なさい。すぐになきやむから」
「あ~あ~無理するんじゃないよ。ほら、顔をこっちに向けな。アタシが拭ってやるから」
「……うん」
姉さんの優しさに甘えて溢れ出てくる涙を拭ってもらう。
姉さんの綺麗なハンカチが私の涙で濡れていくのを見ると、甘えてばかりで何も返せていないことが本当に心苦しい。……姉さんには幸せに為って欲しいけど、私に何か出来る事は無いのかな。
「……よし、綺麗に為った」
「ありがとう、姉さん」
「このくらい気にしなくて良いって。……それでさっきの話だけど、テファは如何したい?」
「わ、私は……出来るならレイジと一緒に旅をしたい。森の外を見て回りたい。……でも」
「やっぱ、ハーフエルフだってのが気に為っちゃうのか。あの男ならそんなの気にしないと思うけどね」
「私もそう思うけど、もしかしたらって思ったら如何しても返事が出来なくて」
「そうかい。まぁこればっかりはテファの気持ちの問題だからなんとも言えないけど、答えを出すにはまだ時間があるはずだ。アイツが旅に出る前にしっかり考えておくんだよ。アタシはテファが悲しむ所なんて見たくないんだから」
「うん。ありがとう、マチルダ姉さん」
「礼を言われる程の事じゃないさ。……さてっと、そろそろ夕食の準備にでも取り掛かろうかね。今日は食い扶持が一人多いから量を多く作らないと」
「ふふ、そうだね。レイジなら沢山食べそうだから気合を入れて作らないと」
「気合入れすぎて食料を全部使うんじゃないよ」
「分かってるよ、姉さん」
そう言って笑い合った私達は、席と立ち上がって三人分の夕食を作り始めた。
レイジの誘いになんて返事をすれば良いのか分からないけど、姉さんが言っていたようにまだ考える時間はあるはずだから、焦らないでじっくり考えてみよう。
何時まで此処に居てくれるのか分からないけど、決断を迫られたときに後悔しないようにしたいな……。
テファSide out