閃乱カグラ 少女達とCowabunga!!   作:生牡蠣

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たまーーに無性に書きたくなるこの小説……何故なのか?


夕暮れチェイサーズ

「ういぃぃぃー!もうどーにでもなれバカヤロこんちきしょー!!」

 

 

 

 

「せ、先輩、声デカいっすよぉ…」

 

夕日に照らされ、黄昏模様の町中をスーツ姿の2人の男が歩いていた。

片方の男の顔は真っ赤に染まっており、相当酒を飲んでいるということが分かる。その証拠に、近くを歩いていた通行人が男の酒臭さに顔を一瞬しかめている。

もう片方の男は、酒に酔った男の後ろをついて歩いている。その表情からは羞恥と疲れの色が見えていた。

どうやら、この2人はサラリーマンの先輩後輩らしい。

 

「先輩、飲みすぎっすよぉ……今日はもう帰りましょう…」

 

「バッカお前!飲まなきゃやってらんねぇよぉ!!どーせ俺には酒しかねーよ!!」

 

先輩の言葉に、後輩は気付かれないようにため息をつく。

この人、本当に酒癖悪いなぁ…もう帰りたい……

後輩は心の中で嘆く。

別に先輩の事は嫌いではない。仕事もできるし、自分のミスも嫌味を言わずにフォローしてくれる、酒好きな事とこの悪酔いにさえ目を瞑れば良い先輩だと思う。

それに、最近先輩は長年付き合っていた彼女に振られたり、上司に理不尽に怒られたりと気が滅入る事も多かったのだ。日頃世話になっているのだし、せめてストレス発散ぐらいに付き合ってもばちは当たらないだろう。

それはさておき、めっちゃ飲むなこの人……健康面が心配になる。

 

「先輩、そんなに飲んで肝臓とか大丈夫なんですかぁ…?」

 

「おう!この前GDP値がレッドゾーンって言われたな!」

 

「全然大丈夫じゃない!?やめましょうよ先輩!!」

 

「心配すんなって~ほら、もう一軒行くぞ!」

 

そう言ってずかずかと先へ行く先輩。

いくら酒好きでも限界があるだろうに…

 

「待ってくださいよぉー…飲み過ぎは肝臓だけじゃなく脳にもダメージ行くことあるんすからね!その内幻覚とか見えちゃいますよぉ!」

 

「へーきへーき!そんなに俺の身体はやわじゃないって!」

 

「そんなに軽くとらえないでくださいよぉ!大体先輩は…」

 

後輩はくどくどと酒の危険性を語る。

先輩は『こいつは俺のオカンか…』という目を向けながら鬱陶しそうに歩き続ける。

せっかく有給を使ってまで午後から休みにして飲み歩きをしているのだ。難しい事なんて考えたくはない。

脳にダメージ?幻覚?そんなもん、薬とかやってるやばい奴が見るもんだろ!俺は大丈夫!!

そう考えながら、ふと空を見上げてみる。

 

 

 

 

 

 

 

そこには、夕暮れの空とものすごい跳躍力で跳ぶ女子高生くらいの少女と、その少女を追いかける4匹の亀人間の姿があった。

 

 

 

 

 

「…………」

 

「こういうのがあるから飲み過ぎは……先輩?どうしたんですか?」

 

後輩は、空を見上げながら固まる先輩を訝しげに見た。

釣られて空を見るが、そこには夕暮れの空しかない。本当にどうしたんだろうか…

 

「先輩…?」

 

「あー…俺、酒やめるわ」

 

「……えっ」

 

後輩が呆気に取っれているのも無視して、先輩はそのまま飲み屋街とは反対側に歩き始めた。

 

「……えっ、マジでどうしたんすか先輩!?せんぱ~い!?」

 

後輩は数秒固まっていたが、先輩を見失ってはいけないと意識を取り戻し、急いで後を追う。

…その前に、もう一度天を仰いでみた。

 

やはり空には、いつもと変わらない景色が広がっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夕暮れの街は意外と昼間より人が多い。

買い物をする人々やもちろん、友人との遊びや塾から帰る子ども、仕事を終わらせて家路を急ぐサラリーマン、居酒屋や出会いを求めて歩き回る大学生等、様々な人が行き来する。

そんな街のビルや店の屋根の上を、飛鳥は走っていた。

 

「はぁ…はぁ…!」

 

息は荒く、表情が険しいのも余裕が全くない事を物語っている。

ビルとビルの間を跳んだ時、飛鳥は後方を確認する。

 

(ッ!…まだ、引き離せてない……!!)

 

飛鳥の後方には、4体の異常の存在が飛鳥を追いかけるように迫って来ていた。

飛鳥は最初、異形の者達が街の人々に標的を移さぬように近づきすぎず、かといって離れすぎない距離を保ち、仲間と合流して異形の者と対峙しようと考えていた。

しかし、飛鳥の算段とは裏腹に異形の者達の身のこなしは想像以上に素早いものであった。

このままでは追いつかれてしまう。流石に4体の妖魔を相手に出来るほど実力はない飛鳥は、終始逃げに徹することとなった。

しかし、いくら飛鳥が速く走ろうとも、建物の間を高く跳ぼうとも、異形の者達を引き離せる気がしない。異形達は亀の様な見た目に反して、隼のごとき俊足であった。

 

全力で走らなければ追いつかれる。飛鳥は直感でそう感じていた。

 

 

 

 

一方で異形の者達も内心焦っていた。

 

ラファエロのボコってから考えるという案はさておき、あの少女を捕まえてから改めて話し合うという事で方向性を固めて走り出した4体。

しかし、流石は本場日本の忍というべきか、彼らが想像していたより飛鳥は早かったのだ。

もう数十分も追い続け、何度か追いつきそうにはなっているのだが捕まえるまでには至らない。

4体もこれまで逃げ足の速い者たちを相手にしたことがあったが、あの少女はその誰よりも素早い。

おまけにニューヨークの時は違い、辺りは真っ暗闇ではないし、一般人も多い。自分たちの姿を人間に見られるのは避けたい彼らにとっては環境も味方ではなかった。

このまま追いつけなければ、あの少女の仲間に自分たちの事を伝えられてしまうかもしれない。それだけは何としてでも防がなければならなかった。

 

「ちぃっ、すばしっこい女だ!…めんどくせぇ、このまま一気に畳みかけ――」

 

「落ち着けラファ!派手に動くと下の一般人にバレる……だが、この状況が続くのは避け…ッ!」

 

青ハチマキの異形はそう言いかけたが、目の前から飛んで来る手裏剣を防御するために言葉を遮った。

そう、自分たちが追っている少女は素早いだけでなく、自分たちの動きをけん制するかのような手裏剣やクナイを投げて来て、それも異形達がなかなか少女に追い付けない理由でもあった。

 

目の前に目標が居るのに、あと一歩届かない。異形達も歯痒いと感じ始めていた。

 

「……まずいよレオ、この先半蔵学園の敷地内だ!他の忍者に見つかる確率80%!!」

 

紫ハチマキが焦ったように青ハチマキに叫ぶ。

どうやら自分たちに残されているタイムリミットもあと僅からしい。

……こうなれば、一般人に目撃される恐れは高いが荒っぽい手に移るか…

 

「はいはーい!みんな、おいらに任せてよぉ!」

 

そう異形達が考え始めた時であった。

橙ハチマキの異形が、背負っていたタイヤのついた板―――スケートボードを取り出しながら満面の笑みで叫んだ。

本来、スケートボードとは長い板にタイヤを着けたシンプルなデザインが多いが、異形が取り出したそれには、一般的なスケボーには見られない様な大きなエンジンのような機械が搭載されていた。

 

「この間ドナテロに作って貰ったこの“ジェットミケちゃん1号”であの子捕まえてくるー!」

 

「ちょ、マイキー!?それまだ調整中って言ってリビングに置いてたじゃん!なんで持って来たのぉ!?」

 

紫ハチマキの言葉を無視し、橙ハチマキはスケボーに飛び乗り表面に取り付けられたスイッチを押す。

すると“ごおぉぉぉぉ!”という鈍い音が響き始め――――

 

 

 

 

“ボッ!!!!”

 

やがて機械から帆脳が噴き出した!

 

「やっふーーー!早いはやーい!サラマンダーよりはやーい!!」

 

「マイキーやめてぇ!それまだ馬力調整できてないから下手したらジェット機並みのスピードが出て振り落とされるか、最悪爆発しちゃうよぉ!!」

 

「……そんな危険なもん作ってリビングに無造作に置いてたドナテロの倫理観が一番危ないと思うのは俺だけか?」

 

ラファエロのツッコミはさておき、橙ハチマキのスケボーはそのスピードをグングン上げていき、ビルの間も器用に跳び、ついに少女の背中にピッタリとくっ付くかという所まで近づくことが出来た。

 

(よしっ!このまま捕まえて…あれ?これって……)

 

ここで後ろから少女を捕まえようと手を伸ばした橙ハチマキの頭に電流が走る。

頭に浮かぶのは以前見た映画のワンシーン。

戦いに疲れ果てながらも歩き続けるヒロインに、いかした車に乗ったクール系主人公が『またせたなハニー、一緒に行こうぜ』と語り掛け、共に最後の戦いに向かうという自分が大好きなシーン。

そして今の状況、車ではなくスケボーである事や少女は自分から全力で逃げている事などに目を瞑れば、あのシーンの再現になるのでは!?

 

(これはやるっきゃないでしょ!!)

 

橙ハチマキは、少年がアニメや漫画のヒーローに憧れるように目を輝かせながらスケボーを走らせ、少女と並走させた。

 

「ッ!?」

 

飛鳥もまた、自分の右側から異形が現れたことに気が付いたように驚愕の表情を浮かべた。

 

(よしっ!彼女もこっちを見てる、ここで決め台詞だ!!)

 

橙ハチマキは映画と同じセリフを言うべく口を開いた。

 

 

 

さて、突然だがここで質問だ。

自分を害すると思われる存在に追われている状態で、いきなり自分の意識していない場所からその存在がいきなり現れたらどういった反応をするだろうか?

固まって動けなくなる?

ただただ泣き叫ぶ?

……それらもハズレではないが、飛鳥は普通の少女ではなく正義の忍を目指す学生だ。それは正解とは言えないだろう。

では、正解は――――

 

 

 

 

 

 

「またせたなハn「きゃあ!?」(ボコォッ!)ブッ!?!?」

 

A.咄嗟に手が出る!

そう、日ごろの修行の成果というべきか、飛鳥は橙ハチマキにビンタをかましたのである!

 

「ぶっおぉ……!」

 

橙ハチマキは飛鳥の平手打ちを受け、そのままスケボーから振り落とされてしまった。

 

「マイキいぃぃー!?」

 

「……ほっとけ、半分自業自得だろ」

 

紫ハチマキが吹っ飛ばされる橙ハチマキを何とかキャッチする。顔は赤くなっているが、他に大きなダメージはない様だ。

ラファエロはその様子に悪態をつくが、他の異形達が見ていない所でホッと胸をなでおろしたのを青ハチマキは見逃さず、微かに笑みを浮かべる。

 

「ドナ、マイキーを頼む。後は俺とラファで「おいレオ!あれ見ろ!」ッ!?まずい!」

 

ラファエロの指をさす方向に視線を向けた青ハチマキは、驚愕表情を浮かべる。

そこには、コントロールを失ったスケボーがビルの看板に激突した光景があった。

 

瞬間、スケボーに積んであるエンジンが爆発した音が響いた。

 

「な、何が…!?」

 

突然の爆発音に、飛鳥も思わず足を止める。

地上を歩き一般人も「なにが起こった!?」「また不良達が悪さしてんのか?」「この街、控えめに言って治安悪いよね…」と口々に言って、落ちてきそうな看板を視界に入れると蜘蛛の子を散らすようにその場から離れて行く。

 

「…あれって!?」

 

「ッ!?まずい!」

 

 

そして、飛鳥と青ハチマキは気が付いた。看板の下で腰を抜かして動けなくなっている女児の姿がある事を

 

 

看板やビルの瓦礫が重力に負けて落ちてきた時、両者はほとんど同時に動いた。

女児は看板が自らの頭上に落ちてくるとわかってはいるが、恐怖で動くことが出来ないでいる。

女児は目を瞑って、衝撃に備えることしかできなかった。

 

女児に瓦礫がぶつかりそうになった時、2つの影は同時に瓦礫を切り裂いた。

ハッと驚いたように視線を交差させる両者。しかし、それも一瞬の事。

示し合わせたように両者は頷き合い、なおも落ちてく瓦礫を切り裂いていく。

切り損ねた瓦礫が自分たちを襲おうが、目の前に自分の敵かもしれない存在が居ようが関係ない。

 

 

両者の心は1つだった――――この子を、絶対に助ける!

 

 

いつまでも襲って来ない衝撃に「あれっ?」と思いながら少女は目を開けた。

 

そこには、上から落ちてきた瓦礫の山が自分を避けて地に伏している光景が広がっていた。

 

女児はそれからしばらく放心状態だったが、やがて事態に気が付いた大人たちに救助された。

現場の惨状と無傷の女児を見て、大人たちは「奇跡の少女」と女児を讃えた。

女児はそんな大人たちを見ながら、本当に奇跡だったのかと首をかしげるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

「こぉんのバカマイキー!一歩間違えれば大惨事じゃねーかぁ!」

 

「痛いってぇ!わかったからごめんってぇ!!」

 

看板事件から数分後、ビルの上ではラファエロが橙ハチマキを殴りつけていた。

今回の事件で自分たちの正体がバレるだけでなく、幼い命も危機にさらされたのだ。橙ハチマキも心の底から反省している。

しかし、橙ハチマキは顔がパンパンに腫れるまで殴られ続けており、流石に同情する…

 

「あ、あのラファ?マイキーも反省してるだろうしそのくらいに「あぁん?元はと言えばお前の管理不足も原因だろうが?こいつ終わったら次はお前だ」ヒエッ!」

 

紫ハチマキが橙ハチマキを庇うが、どうやら地雷を踏んだらしい。南無。

 

「はぁ…はぁ…!」

 

そんなやり取りをしていると、青ハチマキが息を荒げながら戻ってきた。

その肩には、頭から血を流している件の少女を背負っている。

 

「あっ!レオおかえり……ってその子大丈夫なの!?」

 

「……小さい瓦礫が頭に降ってきて、そのまま気を失ったみたいだ。応急措置はしたから命に別状はない」

 

少女を心配するような声を上げる紫ハチマキを青ハチマキが制す。

 

「はんっ、なら安心だな!……なら、どーすんだ?」

 

ラファエロが青ハチマキに判断を仰いだ。

捕まえてボコるとは言ったものの、流石に気を失っている少女に危害を加えるのは理念に反するらしい。

青ハチマキは少し考えこみ、やがて口を開いた

 

「…………()()()に連れて帰って、先生と相談したいと思う」

 

「ッ!俺は反対だ!こんなどこの誰かもわからない奴、我が家に連れて行けるか!!」

 

そこ言葉に、ラファエロは激しく反抗を示した。

自分たちの住処が特定される。それは自分達に取っても害にしかならないという事はこの場の全員が認識していた。

 

「万が一そこから仲間でも呼ばれてみろ!俺達じゃなく先生も「でもッ!!」…ッ!」

 

「……でも、この子は、あの女の子を命がけで守ったんだ!俺はこの子の中に確かに“正義”を見たっ!……そんな善忍に、危害を加える事は……俺にはできない…」

 

青ハチマキがポツリポツリと語る言葉に、他の異形は何も言わなかった。

いや、言葉はいらなかった。

 

「……ったく、俺は反対したからなっ!」

 

ラファエロは投げやりに叫んでそっぽを向いた。言葉は乱暴だが構えていた武器を仕舞い、もう追撃の意思はないと暗に伝えていた。

 

「ちょっと待ってね~……よしっ!そこのマンホールから入れば我が家に着けるよ。少し遠いけど…」

 

紫ハチマキは腕に着けていた機械を弄くった後、近くのマンホールを指挿しながら言った。

 

「そのルートで行く。みんな、ついてこい」

 

 

 

 

 

 

少女を背負った青ハチマキを先頭に、異形達は次々にマンホールへと入っていった。

 

「よぉ~し、最後はおいら……って、なんだこれ?」

 

最後に橙ハチマキがマンホールへと入ろうとした時、橙ハチマキは地面に落ちている筒状の棒のような物を見つけた。

好奇心旺盛な橙ハチマキは、その筒を拾い上げる。

 

「なんだろこれ?ここを引っ張るのかn『バシュッ!』うわっ!?」

 

橙ハチマキが筒を弄くっていると、突然筒から煙のような物があふれ出てきた。

煙はどんどん天に昇っていき、やがて空に『集』の文字を浮かべた。

その時、橙ハチマキは直感した

 

 

 

 

おいら、またなんかやっちゃいましたぁ……

 

 

「……お、おいらしーらないっ!」

 

橙ハチマキは、そそくさとマンホールの中へ入っていった。

 

 

 

橙ハチマキの失敗は2つ

 

一つは飛鳥が落とした仲間たちへの合図を送る忍具―――忍狼煙を使ってしまった事

 

 

 

 

もう一つは、焦りすぎてマンホールの蓋を閉め忘れてしまった事である…

 




なんかミケランジェロがトラブルメーカー過ぎませんかねぇ…まぁアニメでもこんな感じだったしええやろ!(偏見)

さて…ラストのマイキーのやらかしがどう響くのか、それは次回のお楽しみって事で…
ここまで続けてまだ亀ちゃん達の自己紹介も終えてないとか…
私の推しキャラであるストックマン博士を出せる日は来るのだろうか……というか日本が舞台なのに出せるのか…?


ここまでご拝読ありがとうございました
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