閃乱カグラ 少女達とCowabunga!!   作:生牡蠣

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久々に気が向いたので書いてみたゾ。
クオリティはお察しよ…


静かな予兆

「ぐあっ!?……ぐっ…」 “ガクッ”

 

「ふぅ…この方で最後の様ですね」

 

ビルの壁に叩きつけられて気を失ったモヒカン頭の不良を尻目に一息つく斑鳩。

彼女の周りには他にもバットを持ったままうつ伏せに倒れている男や漫画の様に目を回しながら背中合わせに気絶しているスケバンの格好をした女、文字通り山のような身体を持つ巨大な女といった多種多様の不良が地に伏していた。

それはまさに事件現場や不良同士の抗争の後の様に悲惨で、ここが一目に入らない裏路地でなければ通報されていてもおかしくない程であった。

 

「あぁ、こっちも終わった」

 

「うぅ…ごめんね柳生ちゃん、雲雀あんまり役に立てなくて……」

 

「大丈夫だ、雲雀は俺が守る。だから気にするな」

 

そんな斑鳩に、後輩である柳生と雲雀が近づいて来る。

まるで部活動の練習試合であまりいい結果が残せなかったのを雲雀が残念がり、それを柳生が慰めるという青春チックな光景であるが、それとは裏腹に彼女達の後ろにもまた、幾人もの不良達が倒れていた。

 

「う、うん、ありがとね柳生ちゃん」

 

「やっぱり雲雀は可愛いな(あぁ、気にするな)」

 

「えっ?」

 

「お二人とも、お喋りはそこまでです。後片づけも立派な仕事ですよ」

 

目の前に地獄絵図のような光景が広がっているにも関わらず、彼女達は一切動じていない様子で会話を続ける。

それもその筈である。何故なら、この惨劇を作ったのは、他ならぬ彼女達なのだから。

 

彼女達はまだ未熟者とは言え忍の者。

自分たちよりも大人数であろうが、体格差があろうが、不良退治なんぞお手の物なのだ。

 

「はぁ~い…それにしても、今日は不良さんの人数いつもより多くなかった?」

 

「…確かに。戦っている時は意識してなかったが、言われてみれば結構な数だな」

 

雲雀の言葉に柳生も『そう言えば…』と同意する。

確かにこの町はお世辞にも治安が良い方とは言えない。ぶっちゃけた話結構な頻度で不良な若者を目に出来るという、嫌な特色を持つ町なのだ。

現に彼女達も授業の一環で何度も不良退治を言い渡され、幾度となく成敗してきたのだ。

 

だからこそ分かる。今日はいつもよりも不良の数が多い。いや、()()()()のだと。

確かに不良の絶対数は多いが所属する学校やグループはバラバラであり、意外と個々の集団としては数は少ない。1グループあたり5、6人。多くても10人いるかいないかといった所であろう。

しかし、今回斑鳩達が対峙した不良グループはその数を大きく上回る。その数、およそ20人。

自分たちにとって取るに足らない相手だったとしても、いつもとは明らかに違う特殊な状況なのだ。気になってしまうのも無理はない話である。

 

「それは今考えても仕方がないでしょう?それよりまずは片付けです。結界(工事中の看板)を張っているとはいえ一般の方が誤って入って来てしまう事が絶対にないわけではないのですから、まずは目の前の事に集中しょう」

 

そんな会話して手が止まっている2人を斑鳩は諫めた。

斑鳩自身も内心不良について気になる事はあったが、彼女の言葉通りそれを今追及したところで仕方がない。自分たちに出来る事など、精々霧夜に報告する程度のものであろう。

 

「ほら葛城さんもッ!そんな所で油を売ってないで貴方も手伝いなさい!」

 

思考を素早く切り替えた斑鳩は、少し離れた所でしゃがんでいる葛城に声を掛けた。

 

「…………」

 

しかし、葛城はまるで声を掛けられた事自体に気が付いていないかのようになんのリアクションも見せなかった。

そんな葛城の様子を見て、斑鳩は訝し気な表情を浮かべた。

いつもは五月蠅い位にこちらに絡んでくる、ムードメーカー的な立ち位置の葛城。そんな彼女が何をするでもなくしゃがみ、声掛けにも気が付く様子がない。

唯一の同学年で長い付き合いだが、彼女のそんな様子をあまり見た事がなかったのだ。

 

何かあったのかと彼女に近づく斑鳩。

すると、葛城の目の前に先程倒したスケバンの一人が仰向けで倒れているのが見えた。

 

「………葛城さん?」

 

「ッ………お、おう、どうしたんだよ斑鳩?」

 

斑鳩は再び近距離で声を掛ける。

すると今度は流石に気が付いた様で、葛城は少し驚きつつも斑鳩の方を向いた。

彼女の反応からして、やはり先程の声を気付いてなかったという事を斑鳩は確信した。

 

「いえ、先程声をかけてたのに無反応でしたので……何かあったのですか?」

 

「い、いやッ!なんでもないぞっ!えっと……じ、実はこの倒れてる奴、意外といいモノ持ってるなぁ~って思わず見惚れちまってて………」

 

「………はぁ、貴方という人は…」

 

そう言いながら不良の胸をチラ見する葛城に、斑鳩は深くため息をついた。

まったく、数年間付き合ってきたが本当に彼女はブレない。百歩…いや、一万歩譲って普段は良いとしても、せめて任務中くらいは抑えられないものなのかと。

………少し心配して損をしたじゃないか。

 

「ははっ、なんだ嫉妬かぁ~? 心配しなくても斑鳩の方が良いモノ持ってるって~♪」

 

“もみゅ♪”

 

「ひゃぁ/////」

 

斑鳩の反応を見て何を勘違いしたのか、葛城は彼女の胸を揉んだ。

 

「はぁ~…最近飛鳥のばっかり揉んでたけど、やっぱり斑鳩のも触り心地いいねぇ♪揉む応えがあるぜ~♡」

 

「ちょっと…やめ…んっ♡」

 

嫌がる斑鳩を無視し、葛城は彼女の胸を揉み続ける。

裏路地に突如現れた百合百合しい園。しかし周りはボコボコにされた不良達で囲まれているという、なんとも酷い絵面である。

 

「………はぁ、くだらん」

 

「あわわわ……////」

 

彼女達の様子に、後輩たちの反応も様々。

いつもの事と呆れるもの、いつまで経っても慣れずに顔を赤らめるもの……というか後輩の前ではやめようよ…TPO大事だよ?

 

「あっ、柳生と雲雀!こっちの片づけはアタイ達がやっとくから結界の方頼むわ!あれもずっと出してるわけにはいかねぇからな!!」

 

「…っん、了解した。いくぞ、雲雀」

 

「ま、待ってよ柳生ちゃ~ん!」

 

そんな彼女達の心情を知ってか知らずか、葛城は別の場所の片づけを後輩たちに指示する。

後輩たちもこの空気感の中に居るのが気まずいのか、大人しく結界を張った場所へそそくさと向かって行ってしまった。

 

「こんな時まで何をするんですか葛城さんっ!大体あなたという人は……ッ!」

 

「―――悪りぃ斑鳩。事が事だったから、ちょっと1年達には聞かせられねぇんだわ」

 

こんな時でもセクハラをやめない葛城に対して怒りを燃やす斑鳩であったが、後輩たちが離れたのを確認した後に自分から距離を取った葛城の顔を見て言葉を止める。

葛城は先程までの軽薄そうな様子とは一転、どこか深刻そうな表情を浮かべていた。

 

「………何か、あったんですか?」

 

「………見て貰った方が早い」

 

そう言うと葛城は先程しゃがみ込んだ場所へと再び戻り、倒れている不良少女の元へと戻った。

葛城は再びしゃがみ込んだと思うと、突然その不良少女の上着を“ガバッ!”とたくし上げた。

 

「ちょっ!?何を………ッ!!」

 

彼女の突然の行動に斑鳩はいきなり何をするのかと非難の声を上げようとするが、不良少女の服の下から出て来た()()()()()の存在を認識し、思わず息を飲んだ。

不良少女の服の下、正確にはスカートのベルトと肌の間には、白いタオルで包まれた何かの存在があった。

自分たちとの戦闘で動いたためかタオルが少し開けており、中に入っていた物の正体が確認できた。

それは、アルファベットの『L』の形をしていた。金属特有の光沢は全体を真っ黒に塗られていても健在で、その物が決して軽いものではない事と鉄の持つ不思議な冷たさを物語っていた。

片手に収まる、決して大きくはないサイズ。しかし、それは人の命をいとも簡単に奪えてしまえるもの。

 

「――――拳銃」

 

斑鳩が、その物の名を静かに口にした。

 

「あぁ、不良と戦ってる時に何人か腹から何かを取り出そうとしてる様な妙な動きが見えてな、気になって調べてみたらこれだ。……アタイが調べたのはこいつだけだが、他の奴も同じ動きをしてたのが何人かいた。多分他にも持ってる奴がいると思う」

 

冷静に斑鳩に説明する葛城。しかし、その顔は強張っており、内心抱いている緊張感を隠しきれてはいなかった。

 

「…確かに貴方の言う通りですね。柳生さんはともかく、雲雀さんには刺激が強すぎるでしょう」

 

斑鳩は鼓動が早くなる心臓を抑えながら葛城の判断を肯定する。

学園で忍の修行を3年間やってきた自分たちでも動揺しているのだ。1年生たちのショックはもっと大きいであろう。

 

「まぁ、見ての通り先生に報告は必須の内容なんだが………その前に斑鳩、これについてどう考える?」

 

葛城の言葉に、斑鳩はすぐに答えることが出来なかった。

それもその筈。今彼女達が直面している状況は、それ程までに重いのだから。

 

例えば、アメリカ。

アメリカは銃社会と揶揄される程、国民の銃の保有率が高い。

これは自己防衛の意識や歴史的伝統によるものが強く根付いた結果のよるものであると言われている。

その為、アメリカでは正当な手続きを踏めば銃を手に入れる事自体は比較的簡単な事であった。

 

しかし、ここはアメリカではない。日本という別の国である。

銃刀法という法律が定められており、入手するどころか特別な許可がなければ銃を所持すること自体が罰せられる国、それがこの国だ。

葛城と斑鳩は授業の一環で銃自体は見たことはあったが、普通の一般家庭では銃なんてめったに見れるものではない。せいぜいモデルガンやドラマ等のフィクションの中で辛うじて形などを知っているくらいであろう。

つまりこの国では銃とはそれ程までに日常からかけ離れた存在なのだ。

 

だが、目の前のこの状況はどうだ?

一般人が銃を、それも自分たちとそんなに年齢が変わらないであろう十代の少女が所持している。これを異常だと言わずに、何と言えばいいのか?

斑鳩は背筋に何か悍ましいモノを感じた。

 

 

例えるならば自分たちの知らない場所で、何か大きな悪意が、ゆっくりと、だが着実に近づいて来ているかの様な…

 

 

「――――今は、目の前の事に集中するだけです」

 

そんな嫌な感覚を振り切るかのように、斑鳩は言った。

確かに思う所はある。自分が思うよりも大きな事が動いているのかもしれない。

 

しかし、だからと言って今の斑鳩に出来る事なんてたかが知れている。

そもそも問題の全貌が見えてきていないこの状況で自分たちの様な学生だけで現場判断するのは逆に危険だ。ここは一度学園に戻り、責任者(霧夜)に報告するのがベターであろう。

 

「そうだな………おっし!じゃあさっさと終わらせちまおうぜ!」

 

斑鳩の答えに、葛城も自らの手で頬を叩きながら同意の言葉を発する。

彼女もまた、現時点ではこの問題について考える材料も、立ち回りの方法もわからない状況で動くのは危険だと分かっていたのだろう。

斑鳩の目には葛城がまるで自分に言い聞かせているかのように写った。

彼女も訓練生とはいえ正義の心を持つ忍者。本当はいち早くこの問題に取り組み、何か悲劇が起こる前に何とかしたいと心では思っているのだろう。

しかし、現実は非情だ。葛城にはその問題をすぐに解決する術はないのだ。

 

―――葛城さん、無力なのは貴方だけではありません

 

斑鳩はそう思いながら、拳に力がこもるのを感じた。

自分もまた正義の心を信じ、忍の道に身を投じたのだ。どうにかしたいと思っている事も、自分の不甲斐なさに怒りを感じるのも解るのだ。

言葉には出さない。だが、同じ道を数年間共に歩んできたのだ。同じ思いを持っているという事は2人には分かっていた。

 

「斑鳩ぁ!こっちはアタシが片づけるからそっち頼むわ!!」

 

「はいはい」

 

山の様な巨体を持つスケバンを抱えながら叫ぶ葛城を尻目に、斑鳩も片づけに入る。

まずはこの場を治めて、すぐに学園へ戻ろう。そして先生方にこの事を報告しよう。

きっと、それが自分たちに出来る最善なのだと信じて。

 

 

彼女がそう思った時、頭の上から何かが爆発する音が聞こえた。

斑鳩と葛城は思わず顔を空へと向ける。

 

そこには、夕暮れの空に煙で描かれた『集』の文字が浮かんでいた。

 

2人の頭の中にその文字の正体が―――()()()()()()()()()()()の正体が浮かんだ。

 

自分たち()人で不良達と戦い、この現状を作った。しかし、自分たちは最初()人でこの忍務に望んだはずであった。

集合の合図を送ったにも関わらず、招集に応えなかった仲間の一人。

どこか抜けている人物であったこともあり、大方どこかで油を売っているか、招集に気付かなかったのだろうと高を括り、後で りつけようと軽く見ていた。

 

しかし、もし彼女が招集に応じなかった、気づかなかったのではなく、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「飛鳥さん…!」

 

斑鳩は自分の考えが浅はかであった事を呪うかのように、彼女(ここに来れなかった仲間)の名を呼んだ。

 




本当はタートルズ視点も書きたかったけど、長くなりそうだったからとりあえずここまで。

なんか失踪している内に閃乱カグラのスマホゲーサ終してて草も生えない…
完全にカグラの供給が止まってしまったが大丈夫なのかこのコンテンツ…廃れないで欲しいなぁ……
タートルズもしばらく新作の来日なさそうだし、どんどん好きなコンテンツが消えそうになってて悲しい…悲しい。


ここまでご拝読ありがとうございました
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