閃乱カグラ 少女達とCowabunga!!   作:生牡蠣

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気が向いたら更新のスタンス。
そんな感じで進めてたら前回から約1年経ってたわ…これもカグラも亀も供給少ないのが悪いんや(他責思考)


一難去ってまた一難

水。

それは私達人間が生きていくためには必要不可欠なものである。

ある時は乾きを潤し、身体を清め、素材として別のものを作り、時には水の流れによって物を運んだり、何かの機構(カラクリ)を動かしたり、何かの儀式に使われたりする事もあるだろう。

それ程までに便利で、生命そのものを繋ぐ液体。それは古来から変わる事のない理であった。

 

そして時は流れて現代。人々は何時いかなる時も水を得られるようにと水道を作り、町の地下に使い終わった水を流す為の道を―――――下水道を作り出した。

役目を終えた水や雨水・雪解け水を集め、再び使用できるようにする準備をする為の道。特別目立ちはしないが、まさに現代人の生命線とも言えるだろう。

 

町一つの排水を一手に担う道。それは当然の如く巨大なものだ。それが大都市となればその大きさも桁違いだろう。

だが、それを作る際には当然設計図を入念に作成するし、完成後も当然あらゆる媒体に地図を残す。そうする事で、巨大迷路のような構造の道でも完全な管理が可能なのだ。

 

 

 

―――だからこそ、そこを管理する人々はま(・)さ(・)か(・)自(・)分(・)た(・)ち(・)の(・)知(・)ら(・)な(・)い(・)所(・)で(・)謎(・)の(・)生(・)命(・)体(・)が(・)生(・)活(・)を(・)し(・)て(・)い(・)る(・)な(・)ん(・)て(・)夢(・)に(・)も(・)思(・)わ(・)な(・)い(・)だ(・)ろ(・)う(・)。

 

 

 

 

 

「あ゛ぁ~…ようや゛っと終わった゛~……」

 

そう呟きながら、橙ハチマキの異形は“ボフッ!”と音を立ててソファーへと寝そべった。

その声色から、その異形がとても疲れている事が分かる。

 

「…………」

「…………」

「…………」

 

橙ハチマキの異形の周りには、彼と同じ見た目をした異形が3体、それぞれ思う思うの行動をしていた。

その為か、彼らは橙ハチマキの異形に反応することはなかった。

 

「……ねぇ!可愛い末っ子の兄弟がこんなに疲れを見せてるんだよ!?もっとこう、労いとか慰めの言葉とかないの!?」

 

そんな反応が気にくわなかったのか、橙ハチマキの異形は荒々しく声を上げる。……内容はほとんど八つ当たりである。

 

「んなもんあるわけねぇだろ」

 

「そもそも、今回お前だけ先生に長めに怒られたのはスケボーを勝手に持ち出した挙句、それを爆破させて騒ぎを大きくさせたお前に責任だ。慰めるどころか俺も説教に加わりたい気分だったよ」

 

橙ハチマキに対しラファエロは腕立て伏せをしながらぶっきらぼうに、青ハチマキは刀の手入れをしながら冷たく答えた。

 

「ぐぬぬ……ど、ドナテロぉ!優しいドナテロならおいらを慰めてくれるよねぇ!?」

 

2人に冷たく突き放され、縋る様にパソコンを操作していた紫ハチマキの異形―――ドナテロに声を掛ける。

ドナテロはその言葉に反応するかのようにわざとらしく“タァン!”とパソコンのキーを叩いた。

 

「…………僕、お前に発明品壊された挙句、あの爆発の火消しでSNSハッキングして投稿削除作業を現在進行形でやらされてる今日一番の被害者なんだけど」

 

それだけ言って作業に戻るドナテロ。もう何も話したくないのだという事が彼の発する空気感からこの場の全員が察した。

……どうやらここに橙ハチマキの味方はいない様だ。

 

「うぅ……あぁそうだよっ!どうせおいらが一番悪いですよ~だっ!!」

 

周りの塩対応にいじけた様子でソファに顔を埋める橙ハチマキの異形。完全に逆ギレした子どもの反応である。

そんな幼げな橙ハチマキの様子に、青ハチマキは「はぁ…」とため息をついた

 

「マイキー、まず前提として先生のお叱りを受けたのはお前だけじゃない。全員が無断外出の件で怒られて気が滅入ってるんだ。辛いのはお前だけじゃないだろう?」

 

「………………」

 

「それに、さっきも言ったがスケボーの件については完全にお前に非がある。あの時、下に居た女の子なんか、俺…ともう一人が助けに入らなかったら大怪我をしてたかもしれないんだぞ?」

 

「……それは、そうだけど…」

 

「だけどじゃないだろ。……俺達も先生も、お前を憎くて怒ってるんじゃないんだ。ただ、お前に正しい道を進んで欲しいだけなんだよ」

 

「……正しい道って、なんだよぉ?」

 

「少なくとも一般人に怪我をさせない事だな」

 

青ハチマキは落ち着いた口調で、諭すように橙ハチマキに声を掛ける。

その姿は、まるでいたずらをした弟を叱る兄そのものであった。

 

「正直、お前は賢くはない。だが、それが正しくはないって事は分かるだろ? なぁ、ミケランジェロ」

 

「…………賢くないは余計だい」

 

青ハチマキの言葉で橙ハチマキの異形――――ミケランジェロはソファから顔を上げた。

その顔には先程まであった険しさは薄れ、反省をしている色が見て取れた。どうやら自らの非を認められたようだ。

 

「自分が賢いって言うなら、まずはドナテロに言う事があるんじゃないか?」

 

「…………ごめんよ、ドナテロ。勝手に発明品持ってって」

 

「……………………これっきりにしてよ。マジで」

 

ミケランジェロの謝罪に対し、ドナテロはそっけなく返した。しかしその表情から険しさを消えており、少なくとも謝罪を受け入れているという事が分かった。

先程までのギスギスした空気が一変。3人の異形の間に和やかな空気感が流れる。

 

 

「ケッ!自分の事を棚に上げて説教たぁいい御身分だなぁ自称リーダーさんよぉ…」

 

だが、そんな空気感を壊すようにラファエロがわざとらしく青ハチマキに吐き捨てるように言った。

そんなラファエロの言葉に対し、青ハチマキは顔を顰めて彼に向き直った。

 

「……ラファ、何が言いたいんだ?」

 

「へっ!言葉通りの意味だ。だいたい、今回先生に無断外出がバレちまった原因はお前じゃねぇか。あんな得体の知れない女を俺達の家に連れ込んだお前のよぉ」

 

得体の知れない女。その言葉に4人は同じ人物を頭に思い浮かべた。

自分たちの正体を目撃し、口封じの為に追いかけた彼女。

―――――おそらく忍者であろう彼女の事だ。

 

「つ、連れ込んだって……変な言い方やめろ」

 

「どんな言葉だろうと結果的に同じじゃねぇか。あの女をここに連れて来なきゃ、ここまで面倒な事にならなかったんだからよ」

 

「あ~……それはあるかも」

 

ラファエロの言葉に反応したのはミケランジェロであった。

あの爆発事故の後、気を失った女忍者(仮)を手当てすべく自分たちの家へと連れて帰って来た異形達だが、話はそんなに単純には進まない。女忍者を手当てするにはどうしても自分たちだけで解決する事は出来なかった。

それは何故か? 彼女を手当てするには自分たちの家の長である人物――――『先生』に話をしなければならなかったのだ。

異形達は先生が善人である事を知っている。だから女忍者の手当てについては快諾するだろうという事は何となく分かっていた。

……だが、問題となったのは彼女を連れて来るまでの流れであった。

 

「まさか『女子高生くらいの女の子が下水道で倒れてました』なんて見え透いた嘘、先生には通じないからねぇ…」

 

「正直に話すしかなかったよね!」

 

ドナテロとミケランジェロほぼ同時に呟いた。

そう、あの女忍者を連れてきた経緯について異形達は正直に話すしかなかった。

その結果、先生との間で結ばれていた『無断外出をしてはいけない』という約束を破った事、ミケランジェロがヘマをしてビルを爆破してしまった事も報告せざる負えなくなってしまったのだ。

先生は女忍者の手当を優先し、その場では怒られなかったのだが、女忍者の容態が特に問題がないと判明した後、それはもうこっぴどく叱責されてしまい、現在に至るというわけだ。

 

「言っとくが、俺は今でもあの女を救助したのは納得してないからな」

 

「お前、まだそんな事を…」

 

「だいたい、救助してどうするってんだよ? あの女からしたら俺達はバケモノ。迫害の対象だろうが」

 

「例え助けられた相手と言えどな」と続けるラファエロ。

そんなラファエロの言葉に青ハチマキは俯いた。いや、青ハチマキ程ではないが、他の2人も同じような反応を見せたのにラファエロは気が付いていた。

 

「当ててやるよ。あの女の意識が戻ったら、真っ先にここから逃げる算段を立てるだろうな。そして仲間に報告するだろうよ。『下水道の奥にバケモノがいる。今すぐ退治した方が良い』ってな」

 

「そ、そんな事は…」

 

「あぁ、お前の言う通りあいつは悪忍じゃねぇ。多分善忍だろうよ。だからこそ危ねぇ。善忍はあくまでも表で生きてる人間の為に働く忍者だ。だから、人間なんて簡単にどうにか出来ちまうバケモノの排除に動く。いくら俺らが人間に危害を加えないと主張したところで信じられねぇよ……それはお前も分かってんだろ、レオナルド」

 

ラファエロは青ハチマキの異形――――レオナルドの顔を見ながらそう告げた。

その瞳には様々な感情が詰まっている事にレオナルドは気が付いていた。

『今までも同じだっただろ?』という諦め、『お前の人助けのせいで自分たちが危機にさらされている』という怒り…ありとあらゆる負の感情がレオナルドに伝わって来た。

しばしの間、両者の間に沈黙が流れる。

 

「…………それでもッ」

 

沈黙の時間が数秒流れ、やがてレオナルドは絞り出すように言葉を紡いだ。

 

「それでも、俺は彼女を助けた事に後悔はしない。……心まで、バケモノになりたくないんだ」

 

レオナルドはラファエロを見つめ返しながらそう言った。

それに対してラファエロは何も言わない。いや、何かを言いたげな表情を浮かべるが、何を言ったらよいか分からない。どこかもどかし気な様子であった。

両者の間に気まずい沈黙が流れる。

 

 

「―――――あ~~っ!!夕食のピザのデリバリー頼むの忘れてたぁ!!」

 

 

そんな沈黙を破る様に、ミケランジェロがわざとらしく叫んだ。

 

「……このタイミングで言うの? ソレ…」

 

「言うよ!だって、もうすぐディナータイムだよ!?早く注文しないとラッシュ時間に飲み込まれてデリバリー遅くなるじゃん!!」

 

空気を読まない発現に苦言を表するドナテロを押しのけ、ミケランジェロはピザ屋のチラシを開きながらそう言った。

 

「おぉ、今この店、MサイズからLサイズに変更する料金無料になるキャンペーン中だって!! 今日はこの店にしようよっ! もちろんLサイズで、トッピングはチェダーチーズとハチミツと…」

 

「ちょっと、何どさくさに紛れてトッピング決めてるのさ!?」

 

ピザのトッピングを争い、チラシの取り合いになるミケランジェロとドナテロ。

夕食についての揉め事というくだらない会話内容に、張り詰めた空気感が一瞬にして壊れる。

 

「…………はぁ、お前のその判断、これ以上俺らの首を絞めなければいいな」

 

その空気感に馬鹿馬鹿しくなったように、ラファエロが吐き捨てるようにそう言って「今日のトッピングは激辛ハバネロだろ!」とミケランジェロに絡みに行った。

認めてはいない。しかし、これ以上は何も言わない。遠回しにそう言っているのだとレオナルドは気が付いていた。

 

そんな反応を見ながら、レオナルドは内心ほっとしていた。

もしあのまま睨み合いが続いていたのならば、自分もラファエロもどうなっていた事か分からない。もしかしたら互いに武器を取り、本格的な争いにまで発展していたかもしれない。何故なら、自分と同じように兄弟(ラファエロ)も頑固なのだから。

 

(……ミケランジェロのおかげ、だな)

 

本人にその糸があったかは定かではないが、レオナルドは密かにミケランジェロに感謝した。

 

「……おいおい、ピザのトッピングなら今日のMVPが決めるって話だろ? だったら今日は―――――」

 

先程とは一変したこの空気の流れに乗ろうとピザの論争に加わろうとするレオナルド。

 

 

“Beep!” “Beep!”

 

 

―――しかし、その行動は突如として鳴り響いた甲高い警告音に遮られる。

 

「―――ドナ、今のは?」

 

「ちょっと待っててね……うん、センサーに反応あり。どうやら僕達の家に侵入者が入った様だね」

 

レオナルドの言葉に、ドナテロが手元の機械を操作しながら答える。

 

「……ったく、今日は厄日かよ」

 

「やくびぃ? それってカップラーメンについてくる奴?」

 

「それは薬味だバカ」

 

警報が鳴り響く中、ラファエロとミケランジェロが軽口を叩き合う。

しかし2人の纏う空気感は先程とは全く違う、どこか緊迫したものが漂っていた。

 

「人数は?」

 

「反応的に4(・)人(・)かな?」

 

「侵入者がただ迷い込んだ一般人の可能性は?」

 

「う~ん…どうだろ? この場所、下水道の複雑な所に作ったから普通の人ならまずたどり着けないと思うけど、可能性は0ではないかな?」

 

レオナルドは研いでいた両刀を背に刺し、ドナテロは機械の画面を見ながら愛用の棒に手を伸ばす。

 

「ハッ! ようは自分の目で確かめろってことだろ?」

 

「う~ん……どちらにしろ面倒だねぇ。一般人なら怖がらせないように帰さないとだけどおいら達の姿は見せられないし、もし悪い事を企んでる人間なら懲らしめないとだし…」

 

「どうせなら後者の方がいい。ちょうどイラついてたとこだ。せいぜい憂さ晴らしさせて貰うぜ」

 

ラファエロは両手で2つ釵をそれぞれ器用に回し、ミケランジェロは2つヌンチャクを腰に巻いている紐に引っ掛ける。

 

「先生への報告は?」

 

「先生はあの少女の手当に専念してる。まずは俺達で偵察し、状況によっては撤退。報告は偵察の結果でいいだろう」

 

「戦闘になった場合どーすんの?」

 

「なるべく戦闘は避ける方向でいく。戦闘になった場合は……」

 

「全力で迎え撃つ、だろ?」

 

「…………あくまでも避ける方向で動けよラファ」

 

4人の異形は並び立ち、これからの事について作戦を立てる。

その口調は比較的軽い。しかし、4人の顔は先程ピザのトッピングを言い争っていたものとは全く違う。まるでスイッチが切り替わったかのように真剣なものへと変わっていた。

 

「―――――よしっ、行くぞ兄弟たち」

 

「あぁ」

「了解」

「ロックンロール!!」

 

レオナルドの掛け声と同時に、侵入者を確かめるべく4人の異形の兄弟たちは本日2度目の出撃をした。

 




本当はタートルズメンバーの名前を全員明らかにするのはもっと先の予定だったんだけど、このペースだと全員の名前出すのに後5話以上使いそうだから予定を前倒しにしました(見切り発車)

更新サボってる間にカグラの新作アプリとかラスト・ローニンの映画制作中止という結構デカいニュースあったよね。
前者については完全新キャラスタートで期待と不安が半分ずつなんだけど、後者についてはせっかくのシリアスタートルズが見れる機会が完全になくなって残念でしかないわね…


次回もまた気が向いたらの更新。新作ゲーにハマるかラスト・ローニン復活のニュースが入れば頑張れると思う…


ここまでご拝読ありがとうございました
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