これは嘗てGT悟空が救った未来世界の、ちょっとした続きのお話しです。戦闘シーンとかはほとんど無く、真の平和が訪れた未来の日常を描いてます。
またこの回を執筆する際、2026年7月13日〜2026年9月19日の期間にこの回以前の話の内容を一部修正しました。主に地の文の書き加えと、登場人物のセリフを少し変更しました。
相変わらず台本形式ですが、その辺はもうこの小説の個性って事にして下さい。
作者代行の親父ぃ「腐☆腐。よく見ろ………アニメでも漫画でもこんなに平和な未来は見られんぞ?」
【第27話】何の変哲も無い日常 平和な未来の天下一武道会
エイジ797 ―未来世界―
次元と時空を越えて駆け付けた偉大な英雄と平和を望む幾多の戦士達が、愛と勇気と誇りを持って戦った事で悪しき2人の神が奪った全てを取り戻した未来の世界。その大戦は伝説となり、今の平和な日々が数多の奇跡によって齎された事を、この世界に生きとし生きる全ての人々の記憶に刻まれている。
そしてあれから丁度1年経った今日は、そんな平和な時を刻む新しい歴史で大きなイベントが開かれていた。
アナウンサー「会場の皆さん、大変お待たせ致しました!! 只今より、天下一武道会決勝戦を行いますーーーー!!! それでは早速、孫悟空選手と、ベジータ選手の入場でーーーす!!!」
この天下一武道会において、司会進行役とリングアナと審判員を兼務しているアナウンサーが、マイクを持ってその声を会場に響かせる。彼もまた嘗て恐ろしい人造人間による破壊や、悪しき2人の神々の蛮行から運良く生き残った者の1人で、今ではオールバックの頭髪は全て白髪になり、普段は杖が必要で大声を出すのが厳しいくらいに老いていた。
しかし、天下一武道会で司会進行と審判をするこの瞬間だけは、若者にも負けない元気と、現役時代と変わらない声量があった。
そのアナウンサーが青空の下、この大会で決勝まで勝ち残った2人の選手の入場を言うと、奥の建物から同時に出てくる。
孫悟空(未来)とベジータ(未来)だ。
本来死んで生き返らない運命だったこの2人は、英雄と共に次元を越えてきた神龍の力で再び現世に生を持ち、片方はお馴染み山吹色の道着で、もう片方はルールの関係で上が青色タンクトップに変更した容姿で武舞台で対峙する。
悟空(未来)「まさかオメェとこの大会で戦う事になるなんて……初めて戦った時なら、想像もしてなかっただろうなぁ〜」
ベジータ(未来)「キサマと戦えるのなら、何処だろうとオレには関係ない………だが、こういった場所で決着を付けるのも悪くない。 ……今日こそ白黒ハッキリさせてやるぞ、カカロット!」
偶然か、それとも運命か――別の世界線にて魔人ブウの騒動で出来なかった大会中での2人の対戦が、今此処で実現しようとしている。今日この瞬間の為に両者とも修行を重ねており、万全の体勢を整えている。
しかし今の彼等が本気で激突した場合、少しでも加減を間違えれば余波で大会どころか世界が危ないのは重々承知なので、強化変身や気功弾系の攻撃は無しと事前に決めている。
……とはいえ試合という名の戦闘に夢中になって、そんな決め事を忘れてしまうかもしれないが。
なんやかんやで長らく決着が付けられない時間が続き、ようやくこの時を迎える彼等の決着を、観客席から幸せを掴んだとある2人が見守っていた。
トランクス(未来)「……いよいよ、父さんと悟空さんの決勝戦だ!」
マイ(未来)「どっちも張り切ってるわね」
絶望の運命に最後まで抗い続け、掴み取った真の平和の中で共に生きる事を選んだトランクス(未来)とマイ(未来)が、これから始まる決勝戦を楽しみにしていた。
またふと横を見れば、嘗て人造人間に殺されたものの同じく神龍の力で蘇った仲間も居て、談笑をしながら2人のサイヤ戦士が戦う所を待っている。
しかし、悟飯(未来)とピッコロ(未来)の2人だけは今回この場には居らず、ピッコロ(未来)は天界の神殿で地球の神やポポと共に次期神様候補である「デンデ」の修業を手伝っている。どうやらあの世でピッコロ(未来)と地球の神はお互い過去と向き合ったらしく、この世界では同化はせずとも神殿に顔を見せるくらいには和解していたらしい。
そして悟飯(未来)はというと、何でも事前の連絡で「時の界王神様に呼ばれた」と言って、現在は時の巣がある次元へと行っていた。
2人が居ないのは少し残念だが、それでも嘗て自分が生まれる前に消えた仲間達と共に過ごす日々が訪れるとは、1年前なら思ってもみなかった。
トランクス(未来)「……………」
マイ(未来)「ん…? どうしたんだい、トランクス」
トランクス(未来)「……未だに、信じられないって思う時があるんだ。 父さんや母さんが、そして悟空さん達が生き返って、こうして普通の時間を過ごせるのが……」
マイ(未来)「トランクス………」
静かに語るトランクス(未来)が、このような事を言うのは無理もなかった。
人造人間17号と18号による破壊、セルの目論み、バビディ一味による魔人ブウ復活の阻止、そしてブラックとザマスの蛮行。生まれてから気を休める時間はほとんど無く、いつ死ぬか分からない激動の世界を生き延び、そして戦ってきた彼だからこそ、視線の先の何気ない光景が人一倍かけがえのないものに感じていた。
笑い合う声が聞こえる――、
人々が笑顔に溢れてる――、
音楽が響き渡る――、
試合の熱気が伝わってくる――、
何処を見渡しても悲しみが無く、長らく失われた活気が其処に存在していた。
本来ならその平和は絶対に取り戻す事なく、悪しき神の悪足掻きと全知全能の神の手によって全て消される筈だったが、その運命は1人の人間が全てを覆した。
トランクス(未来)「これも全て……あの日、
目を閉じれは、どれだけ月日が流れようとも、あの日に起きた奇跡が鮮明に蘇ってくる。
世界が絶望に染まり、諦めかけてた時に突如として空から現れた、薄藍色の道着を着た少年。赤き大猿の力を纏い、獣の雄叫びと共に黄金の輝きを放ちながら、悪しき神に挑む勇ましき姿。
何度も倒れようとも立ち上がり、自分を含め人々に希望を与え、世界に光と平和を取り戻してくれた真の英雄が、今でもハッキリ覚えている。
代償として彼が元の世界で仲間達に会う為の時間を失ってしまったが、そこまでしてでも自分達と世界を助けてくれた事に、今でも感謝し切れない。だからこそトランクス(未来)は、そんな誰よりも強く優しい最強の戦士の為に誓う。
トランクス(未来)「オレはもう二度と、この平和を壊されたくない。 たとえまた人造人間やブラックのようなヤツが現れても、あの人が救ってくれたこの世界を…守ってみせる」
マイ(未来)「……でもその時が来ても、あんたは1人じゃない。 あたしやブルマさん、悟空さんやベジータさん、それに悟飯さん……皆んなが居る。 ……もう1人で抱え込まないで、一緒に乗り越えていこう」
トランクス(未来)「……ああ、ありがとうマイ」
そんな彼の決意を見届けつつも、今度からそれはトランクス(未来)だけで齎すものではない。今までのようにたった1人で背負う必要がなく、周りには共に困難を乗り越える仲間達が側にいる。
これからもこの未来世界は元の歴史に関係なく、彼等が居る限り平和な時代が続いてくだろう。
嘗て最後の希望だった青年は、もうひとりじゃない。
アナウンサー「それでは決勝戦、始めてくださーい!!!!」
その声が響き渡った瞬間、2人のサイヤ戦士は瞬時に超高速で姿を消す。直後、武舞台の彼方此方から何かがぶつかり合う破裂音が鳴り、衝撃が響き渡る。
それは2人が超スピードで拳と拳を打ち合う音で、人智を超えた身体能力で技と技の応酬をしている証拠だった。故に一般人からすれば何が起きてるのかすら分からない状況だが、戦士達のは優れた動体視力と彼等の気を捕らえる事で概ね戦況を把握が出来る。
すると、突如として武舞台の空中に彼等が現れた。
悟空(未来)「だりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃりゃ!!!!」
ベジータ(未来)「ずああああああだだだだだだだだ!!!!」
空を飛びながら激しくぶつかり合う、どの世界でも永遠のライバル関係である2人のサイヤ人。悟空(未来)は数多の師匠や経験から学んできた武道家スタイルで、ベジータ(未来)は長年培われてきた戦士スタイルの戦い方をしている。
待ちに待った一騎打ちなだけあって、2人は何も背負うもの等を気にせず純粋に勝負を楽しんでいた。
拳と拳、膝蹴りと膝蹴り、相手の動きを読みながら全力で攻撃の応酬を繰り広げる。汎ゆる攻撃がこの世の全てを砕く威力で衝突して居るにも関わらず周りの人間達が平気なのは、偏に彼等が戦いながら力を上手く分散させて被害を出さないように配慮しているおかげだ。
彼等のあまりに激しい攻防戦に一般の観客は勿論、トランクス(未来)を除いた戦士達でさえ息を呑んだ。
お互い万物を砕く程の打撃に耐え、すかさず反撃を繰り出していく。激しい打ち合いの末、両者のクロスカウンターパンチが相手の頬にヒットし、2人は吹っ飛ばされる。
どうにか耐えて武舞台に着地し、すぐさま立ち上がって身構えるが、そんな2人の表情はニヒルに笑っていた。
ベジータ(未来)「これだ……これでいい。 こうでなくては張り合いがなくてつまらんからな! かああああああぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーー!!!!」
さらなる戦いを望むベジータ(未来)は事前の決め事を無視して、その身に青い炎のようなオーラを纏う。髪と瞳は青色に染まり、放たれる気はクリアで質が高いものへと変わって、神の領域へと足を踏み入れた。
「超サイヤ人ブルー」――過去の時代の自分達が到達した最強形態で、以前合体した時にその力を学んで独自に習得したのである。
悟空(未来)「ベジータのヤツいつの間に……でもオメェ、過去の自分の事はあんなに嫌ってたのに、同じ変身を出来るようにしたんか?」
ベジータ(未来)「ハッ、勘違いするな! あんなヤツよりもこのオレの方が、超サイヤ人ブルーを使いこなしているんだと証明してやる! そんな事より、カカロットもさっさと変身しろ!今更事前の決め事なんぞ不要だ!!」
悟空(未来)「……よ〜し! オメェがその気なら、オラだって!! はあああああああぁぁぁぁぁぁぁーーーーー!!!!」
―グオオオオオォォォォォーーーー!!!!!―
こうなったら此方も変身すべきだと、対照的に悟空(未来)は激しく噴き出す黄金のオーラを纏い出す。上半身は道着が弾けて赤い体毛が胸部と腹部を除いて覆い、腰には尻尾が生えて黒髪は背中まで伸びる。
黒い瞳孔が浮き出た鋭い金色の瞳を宿し、その周りが赤く縁取られると変身が完了した。
「超サイヤ人4」――1年前にこの世界を救った英雄と、瓜二つな最強形態が再び蘇った。
ベジータ(未来)「やはり、既に超サイヤ人4の力をものにしていたか……面白い。 超サイヤ人ブルーと超サイヤ人4……何方が最強の超サイヤ人なのか、此処で決めてやる!!」
悟空(未来)「フフフッ……この姿になったオレは、ちょっと強えぞ?」
ベジータ(未来)「はあああああぁぁぁぁぁぁぁーー!!!!」
悟空(未来)「だああありゃああああぁぁぁぁーーー!!!!」
青い戦神の力と赤き大猿の力―――別々の進化を遂げた相反する最強の二大超サイヤ人が、その力を宿した拳を交える。静かなる青い神の精密且つ正確な攻撃と、迸る赤い本能の剛腕による強烈な打撃が正面からぶつかり、激しい応酬が繰り広げられていく。
その後、何のしがらみも無くただ戦闘を楽しむ2人のサイヤ人達は、このまま制限時間が過ぎるまで心置きなく戦い続けた。
あまりの激しさに審判のアナウンサーは実況がまともに出来なかったが、歴史に残る素晴らしき名勝負に立ち会えた事に「この仕事を選んで本当に良かった」と人生最高の気分だった。
ビルス(未来)「はあ〜、全くおめでたい連中だよ。 おかげでこっちは大変な目にあってるのに……」
ウイス(未来)「ビルス様、そのような事を彼等の前で言ってはいけませんよ。 何せビルス様が放ったらかした事案を、界王神様と彼が尻拭いしたのですから」
そんな中、会場の1番上の通路の手すりに項垂れる紫色の猫型獣人と、その隣りで姿勢正しく立っている長身の男がホットドッグを食べていた。
その人物はこの世界に元から居るビルス(未来)とウイス(未来)で、ビルス(未来)は悪態をつきながら観客のトランクス(未来)達や、試合中の悟空(未来)達を見ていた。
ビルス(未来)「何でオレがこんな目に合わないといけないんだ!! そもそもオレは、何もしてないじゃないか!!!」
ウイス(未来)「そうです、何もしてません………ですが、何もしていないからこそ、今回の騒動が起きたきっかけを作ってしまったのですよ。 それはビルス様もお分かりですね?」
彼がこのような事を言うのは、別にトランクス(未来)達が何か無礼を働いた訳ではなく、寧ろビルス(未来)本人の自業自得である。
1年前、悟空(GT)の世界の神龍がブラック達に殺された各宇宙の界王神を蘇生して、それに伴い生命を共有している破壊神も生き返って付き人の天使も活動を開始した。その中にはバビディ一味に殺されたシン(未来)や、生命を共有しているビルス(未来)もオマケで復活したのだが、そのせいでブラック達の悪行の責任を背負う羽目になってしまったのだ。
理由は以下の通りで――、
・居眠りしたせいで魔人ブウ案件を放ったらかし、本来管轄外のシンが動かざるおえない状況を作った。
・これにより2人共に死亡して、無防備な第7宇宙にブラックの侵入を許した。
・ブラックが現れた事でこの世界のザマスと結託、各宇宙の界王神が殺害されて破壊神も死んでしまった。
・そのせいで神々は全滅して天使も活動停止、人間は絶滅一歩手前まで陥る大惨事となった。
――との事で、元から各宇宙の神々から恨みを買っていたが故に「もしビルスが真面目に仕事をしていれば、このような悲劇は起きなかったのでは?」と思った他の破壊神達は、こぞってビルス(未来)が悪いと全王に意見具申したのである。
そして今回の騒動を重く見た全王は――、
「100万年の間は有事を除き破壊行動の禁止」
「同じく100万年の間は他の神々の業務を手伝う事」
――と、気分屋な性格のビルス(未来)にとってかなり処罰を与えた。
これに対しビルス(未来)も反論しようとしたのだが、神々が殺されるというこの前代未聞の大事件に珍しく全王も怒り心頭で言葉にするのは出来ず、暫くは他の破壊神達の使いっ走り状態である。……とはいえ、他の神々もブラック達の犯行に気付かなかったので、彼等も全員まとめて厳しい指摘を受けたのは言うまでもない。
因みに今日は束の間に許された休日で、美味しい食べ物を求めて地球に来ただけで破壊をする気はなかった。
ビルス(未来)「だからといって、このままじゃオレの身が持たないんだよ!!! ……今試合中の2人のサイヤ人を次期破壊神候補にして、引退したら後は全部押し付けちゃおっかな〜」
ウイス(未来)「……弟子を取る事は禁止にされてませんが、今回の処罰はあくまでもビルス様個人に下されたものです。 それに彼等がもし破壊神になると了承したら私は離れるので、ビルス様への負担が今よりも大きくなりますよ?」
ビルス(未来)「ぐっ………やっぱ止めよう。 それよりもウイス、武舞台の周りにバリアを張っといてくれ。 無論、観戦出来るように透明のヤツをな」
ウイス(未来)「かしこまりましたビルス様。 ほいほいっと、ほほいの……ほいっと♪」
悪知恵を働こうにも今の状況から逃げられないと分かったビルス(未来)は、いい加減に心を入れ替えて全王から下された処罰を受け入れる。しかし今の話を抜きにしても、今試合中の2人の強さは目を見張るものがあるのは本当の事で、しかもまだ何方も完全に全力ではない。
これはいずれ、破壊神以前に1人の武道家として是非とも手合わせしたいと思え、更に見極めるべく今回は目の前の対戦を売店で買った食べ物を頬張りながら楽しむ事にした。
そんなビルス(未来)と悟空(未来)が出会うのは、おそらくもう少し先になりそうである。
一方その頃、コントン都が存在するとある次元にて、1人の未来戦士が時の巣に招かれて刻蔵庫に入ってきた。その戦士が来た事を確認して、時の界王神のクロノアと老界王神が出迎える。
老界王神「おっ、待っとったぞ」
クロノア「いらっしゃい悟飯君。 そっちの世界だと、約1年ぶりかしら?」
悟飯(未来)「お久しぶりです、時の界王神様。 それから老界王神様も、以前はお世話になりました」
刻蔵庫に招かれたのは、悟空(GT)によって消滅から救われた世界から、神龍の力で生き返った上に左腕を取り戻した悟飯(未来)だった。クロノアと老界王神は悟飯(未来)との再会を果たすと、彼が何故呼ばれたかの説明をした。
クロノア「貴方を呼んだのは他でもないわ。 実は、とある歴史改変の修正を手伝ってほしいのよ。 詳細はこの巻物の歴史を見てちょうだい」
悟飯(未来)「この巻物ですね? お借りします」
クロノアから渡された1つの黒いオーラを放つ終わりと始まりの書――それを受け取った悟飯(未来)はゆっくり巻物を広げてみる。
すると、その巻物に記録された歴史の一部が映像のように再生されて、歴史改変された戦いが映し出された。
ゴハンブラック『オマエの怒りは心地良いぞ、孫悟飯! おかげでオレは、さらなる高みへ至る…!』
悟飯(超)『ぐっ……くっそおぉ……!! キサマ、よくもビーデルさんを……パンを……!!!』
悟飯(未来)「これは……過去のオレが2人…!? いや、あの黒服の方は……まさかブラック!!? 時の界王神様、この歴史は一体……」
その歴史に記されていたのは、戦闘でボロボロになって地に伏せる過去の悟飯(超)と、ブラックと同じ黒服の格好をして邪悪な笑みを浮かべた悟飯の2人だった。
それを見た悟飯(未来)が混乱するのも無理はなく、クロノアは先ずその歴史についてを語り出した。
クロノア「今貴方に見せた歴史は……ザマスが肉体を奪った相手が孫悟空ではなく、孫悟飯だった歴史の世界よ。 その歴史の悟飯君は仕事と両立して修業をして、実力もブルーの悟空君と同等レベルまで到達していたんだけど……それをザマスが目を付けて、『ゴハンブラック』が誕生したの」
悟飯(未来)「……オレ自身の潜在能力の高さを目当てに、超ドラゴンボールの力で過去のオレと入れ替えたんですね?」
クロノア「そう。 だから歴史の流れ自体は他と概ね同じなんだけど、ゴハンブラックは超サイヤ人ロゼに成れない代わりに、潜在能力の高さや、あっちの悟飯君が真面目に修業して実力を上げた分、本家のゴクウブラックと遜色ない強さなのよ。 それを、貴方が倒してほしいってわけ」
歴史を管理するクロノアから、異なる次元の歴史のブラックの悪行を知り、悟飯(未来)の目が鋭いなる。父親の肉体を奪った事だけでも充分に許せないが、この歴史が犯したブラックの蛮行は、家族を持ち学者の夢を叶えた過去の自分と、弟子であるトランクス(未来)にとって最大級の侮辱と尊厳破壊だった。
それにこの歴史の彼等の喋り方からして、恐らく妻のビーデルと娘のパンも殺されてると思われ、その事から悟飯(未来)は今すぐに奴等を叩きのめしたいと思うのは自然だった。
悟飯(未来)「そうゆう事か……けど、良いんですか? オレとしては喜んで引き受けて倒しに行きますが、その……歴史の影響とかは……」
老界王神「それなら大丈夫じゃ。 この歴史のザマス達は、最終的に魔封波で封印されて倒される。 じゃからお主はブラックとザマス、そして合体ザマスを追い詰めた後、最後にその封印の手助けをすれば良い」
クロノア「それと……本来なら貴方の世界を救った悟空さんと同様、他の歴史の人間が別の歴史に干渉するのは重い罪なんだけど……私の権限で貴方にも一時的にタイムパトローラーとしての役割を与えれば、何の問題も無いわ」
以前聞いた話から、歴史的に助けて良いのか問いたところ、クロノアと老界王神は否定する事無くOKを出した。実はつい最近になって、宇宙と一体化する事なく合体ザマスが完全に倒されたり、封印されたり等で勝利した別の歴史が複数発見されたのだ。
それによって、未来の全王と過去の全王が友達にならずとも特に歴史に変化は無く、全王1人のまま力の大会が開催されたり、その他の出来事も同じように事が進むと判明されたのである。
今回悟飯(未来)に解決を求めた歴史もその1つで、歴史改変でブラック達に負けた結末になっているが、本来この巻物の歴史は最終的に魔封波で封印されてハッピーエンドを迎えるので、先の事を気にせず倒して良いと悟飯(未来)に説明した。
……ただそれが判明したせいで、全王エンドに納得がいかないタイムパトローラー達から「なら消滅する歴史のブラックとザマスを倒して、消滅を回避しても問題ないだろ」と詰められたのは別の話。
更にクロノアと老界王神は、わざわざ此処まで出向いてくれた悟飯(未来)に、ちょっとした提案をする。
クロノア「そうだわ! ねぇ、せっかくだから倒しに行く前に貴方も、またおじいちゃんのパワーアップを受けてみない?」
老界王神「おお〜! それは名案じゃのう〜。 お主は前にやった時より更に実力を上げてるじゃろうから、その分また隠れてる真の力が目覚めるかもしれんからな」
悟飯(未来)「えっ、それって前にやったあの……潜在能力を限界以上に引き出すやつをですか? 確かにパワーアップはしたいけど、あの1日以上掛かる儀式をまた受けるのは……」
老界王神「な〜に、前に受けてるお前さん相手なら、5時間に渡る事前の儀式を省略しても大丈夫じゃ」
クロノア「それに此処には、時間の神様である私がいるのよ? 私が局所的に時間を早めれば、僅か1時間足らずでパワーアップが完了するわ」
悟飯(未来)「本当ですか!? 是非お願いします!」
2人の界王神の提案により、悟飯(未来)は再び潜在能力を限界以上に引き出すパワーアップを受ける事となった。ブラックやザマス、そして合体ザマスが相手なら、寧ろやりすぎなくらいが丁度良いし、嘗て自分の世界で起きた大戦を考えれば万全に万全を重ねておきたい。
早速2人の神は悟飯(未来)に向けて両手を翳し、彼の更に秘められた潜在能力を解放させる。
老界王神「よし、パワーアップ完了じゃ!」
クロノア「これはとんでもないパワーね……! まだ潜在能力を解放しただけなのに、既に本来の歴史の超サイヤ人ロゼと同等レベル…!? ここから超サイヤ人ブルーや超サイヤ人4に変身したら、どれだけ強くなるのかしら……」
悟飯(未来)「凄い…全身から力が漲ってくる! これがオレに秘められた、真の力……!!」
界王神達のおかげで、悟飯(未来)の秘められし潜在能力は更に引き出された。
もしこの状態から超サイヤ人ブルーや、以前に悟空(GT)から授かった超サイヤ人4の力を解放して合わせれば、神や天使を含めてもダントツの最強戦士となると思われる。
おそらく、これから彼に倒される運命であるゴハンブラックやザマスからすれば、恐怖で震え上がるだろう。
老界王神「ついでに、儂等が此処で栽培してある仙豆も持っていけ。 その歴史の悟飯やトランクス達にもあげると良いぞ」
悟飯(未来)「分かりました。 何から何まで、本当にありがとうございます!」
更に老界王神は悟飯(未来)に、仙豆が数粒ほど入った小袋を手渡した。相手はダメージを受ける度に強くなるブラックと決して死なない不死身のザマスで、これだけ強ければ負ける要素なんて何処にもないが、万が一という事も考え持っていて損は無い筈だ。
老界王神「さあ、これで準備も整った事じゃし、いよいよ出発するかの。 お主なら心配ないと思うが……決して最後まで油断せず、しっかり倒して封印するんじゃぞ」
クロノア「出来れば元の歴史通り、ブラックとザマスが合体した後に倒して、魔封波で封印って流れを汲んでほしいけど………その辺は状況に応じて、ブラックは倒して不死身のザマスを封印する形でも構わないわ」
悟飯(未来)「はい!では、行ってきます!!」
こうしてクロノアと老界王神に見送られながら、悟飯(未来)は光に包まれて手渡された巻物の歴史に突入する。
嘗て悟空(GT)が救った世界の戦士が、新たな希望として別世界の絶望を覆すべく、再び立ち上がる。
エイジ796 ―別次元の未来世界―
悟飯(未来)「此処が歴史改変が起きた世界か………こうして見ると、1年前の戦いを思い出すな………ん?」
歴史改変が起きた歴史に突入した悟飯(未来)は、早速ゴハンブラックとザマス、そして2人に追い詰められた過去の悟飯(超)を発見する。
悟空とベジータとトランクス(未来)は既に倒され近くで気絶しており、戦えるのは彼という絶望的な状況だった。
悟飯(未来)「させるか!!!」
今にも殺されそうな彼等を助けるべく、一気に
そのまま廃墟の倒壊に巻き込まれ、瓦礫に埋もれる2人の悪神を見つめながら、悟飯(超)達を守るように立ちはだかった。
悟飯(未来)「これ以上、お前達の好きにはさせないぞ! ゴハンブラック!! そしてザマス!!」
ゴハンブラック「なっ…!? キサマはこの世界の……いや、そんな事はない!! とっくに死んでいる筈だ……!!」
ザマス「何故だ!? 何故生きている……!!?」
悟飯(超)「キ、キミは――!!」
当然ながら悟飯(超)は勿論の事、瓦礫の山を気で跳ね除けたブラックとザマスは、突如として現れた悟飯(未来)を見て驚く。こっちでは随分前に人造人間の2人に殺されており、ドラゴンボールも無いから生き返らない過去の人間だと認識していたのに、頭上に天使の輪は浮いておらずこの世に存在しているのだ。
その彼は一旦ブラック達から目を逸らし、体力を消耗して地に膝を付けた悟飯(超)に視線を向けると、出発前に老界王神から貰った仙豆の入った小袋を渡した。
悟飯(未来)「此処はオレに任せて、早くこの中の仙豆を父さん達に食べさせてくれ! まだ生きている筈だ」
悟飯(超)「あ…はいっ!!」
目の前に居るもう1人の自分に対してまだ混乱気味だが、戦士の目つきをしつつも父親にも似た穏やかな顔から味方だと瞬時に分かり、小袋を受け取った悟飯(超)は父親達に仙豆を食べさせる為に一旦戦線離脱する。
だが驚くのはそれだけでなく、改めてブラックとザマスに視線を移したかと思えば、悟飯(未来)から放たれる強烈な気がどんどん膨れ上がり、そして濃度を増している。
悟飯(未来)「オマエ達の『人間0計画』は終わりだ!! オレが此処で……オマエ達を倒す!!! はあああああああああああああああっ!!!!!」
周りの彼等が驚く中、
始まりの黄金戦士「超サイヤ人」――しかしその強さは神の領域の変身であるゴッドやブルーを遥かに凌ぎ、この世界の誰よりも高みに位置する凄まじい戦闘力を放っていた。
2人の悪神を討つべく、最強の黄金戦士となった悟飯(未来)は黄金のオーラを爆発させて突撃する。
この男を敵に回してしまった以上、合体を含めたあらゆる手段は最早通用せず、敗北が確定したゴハンブラックとザマス。
数十分後、悟飯(未来)は一度もダメージを受ける事なく、そのままブラックとザマス及び合体ザマスを徹底的に叩きのめした後、魔封波で壺に封印して歴史改変を修正したのだった。
●悟空(未来)VSベジータ(未来)
GT最終回での悟空Jr.とベジータJr.の対決のオマージュであり、ブウ編の天下一武道会で実現しなかった悟空とベジータの戦い。しかもちゃっかり超サイヤ人4と超サイヤ人ブルーの変身を習得しており、ブウ編で魔人ベジータが言った言葉通り何も気にせず徹底的に戦って何方も大満足。
●未来世界のビルスの罪に関して
これはあくまでも漫画版での描写で、アニメ版だとやや不明ですが………もし未来で魔人ブウ復活阻止にビルスが真面目に対処していれば、ブラックは現れずあのような悲劇に繋がらなかったかもしれません。
破壊神の立場で不完全ながらも身勝手の極意が使えるビルスは最も障害となるし、それが居ない完全無防備な第7宇宙はブラックとザマスの活動拠点として利用され、其処を中心に悪事を働く事を許した罪は神々の視点から見ても大きいでしょう。
破壊が許可されない、他の神々の使いっ走りとビルスからすれば屈辱的な処罰ですが、それこそ全王に宇宙ごと問答無用に消されないだけ、落とし所としてはかなり甘い方。
故にこの世界で悟空(未来)と出会うのは、もう少し先の未来になるでしょう。
「ならブウの時に界王神の立場で現場に出たシンも同罪だし、下手したら更に重罪では?」と思う人もいるかと思いますが、そもそもずっと眠ってて本来の職務を放棄し、そうゆう状況を作ったビルスの方が悪いと作者の私は判断しました。
●未来悟飯VSゴハンブラック&ザマス
バチクソ強くなって生き返った上に左腕も直った未来悟飯と、別次元の歴史で誕生して暴れているゴハンブラック&ザマスの対決。
この小説の未来悟飯を敵に回してしまった以上、ゴハンブラック達はどう足掻いても敗北しかないし、戦力差的に一方的な戦いであっという間に決着が付きそうなので、わざわざ戦闘部分は書く必要はないかなと思いました。
(もし需要があって、且つ私にマイナスエネルギーが残っていれば書くかな…?)
この回を執筆する際、改めてアニメ版の超と漫画版の超を見返しましたが、やっぱり旧劇場版やGTまでのアニメ悟空と、超以降の悟空はかなり違うなと思いました。
ZやGTの方は脚本や展開上で正義の味方感を強調されているのであって、本来の原作悟空とはもっと真っ直ぐで純粋ではあるけど、別に一般的なヒーローという性格って感じではないです。
本人はただ強い相手と戦いたいだけで敵を倒す事が目的じゃないから、そういった意味では超の方が原作漫画の悟空の本心に近いのかもしれない。
……でもそうやって自分の頭の中で解釈して納得しようとしても、やっぱり「流石に瞑想の意味や孫娘の名前を忘れるか?」とか、「負けた宇宙が消滅する大会にノリノリで参加するか?」とか、「未来世界が消滅したのにその締め方で納得してるの?」とか大事な場面でのマイナスな部分が強くよぎって、どうしても超の悟空が原作に忠実な性格とは思えないんです。
仮に超の悟空が、パンの事を忘れるギャグ展開をするにしても――、
悟空「……パンって誰だ?」
ズゴーン!(一同が倒れる)
ピッコロ「アホか!! オマエの孫娘の名だろうが!!!」
悟空「あっ…そうだった、すまねぇ。 最近修業ばっかでちゃんと会ってなかったしさ〜」
悟飯「すみません。 偶に会いに行っても父さんは修業で居なかったのもありますが、ボクも最近は研究で忙しかったですし……」
ピッコロ「バカ!!! オマエ達親子共々、少しは家族水入らずの時間を作れ!!」
――とかギャグらしい言動やフォロー、ピッコロの的確なツッコミを挟めば少しだけマシになるかと思います。
最早面白さを出そうとしてギャグが滑ったとかのレベルではなく、超の悟空が「戦闘以外は間抜けキャラ」というステレオタイプ化してる気がして、故に「それだったら極悪の敵と戦う時は正義感が強調されたGTまでの頃が原作の悟空らしくね?」って考えに行き着くのが、全王エンドに対するアンチ末期になった私の考え。
因みに悟空が言ったセリフで好きなのが――、
「未来っちゅうもんは、誰かに与えられるもんじゃねぇ。 だから…その為に絶えず人は努力するし、信じる。 未来があるからこそ、人は命を大切に出来るんだ(Z第263話参照)」
――ていう超では絶対に言わなさそうな、大人になって成長した悟空感が出てるこの言葉が好きです。……まぁ結局この小説では危機的状況だったとはいえ、その言葉と真逆でGT悟空が解決して平和な未来を齎しちゃいましたが……。
(その平和を掴む為に他の皆も一応努力してはいます)