力強い赤い影と、黒みがかった明るい赤紫色の光はぶつかり合うたびに空を照らし、発生した衝撃波は周りの倒壊寸前の建物を破壊、地面を抉り、いくつものクレーターができる。パンチとパンチが交差し、キックとキックがぶつかり、他にも肘打ち、回し蹴り、突き、膝蹴り、手刀等の技を連発しながらガードし、一進一退の攻防が繰り広げ上げていた。
悟空(GT)「ぐっ!! ……はあああっ!!!!」
ブラック「ふんっ!!! はあっ!!!」
現時点での戦局は見たところ、ブラックの方が優勢になっていた。ダメージを受けて更に強くなり、新たな変身を獲得した事で破壊神レベルのパワーアップを遂げたゴクウブラックの前に、完全な劣勢にはなっていないが悟空(GT)はやや押され気味になっていた。
凄まじい攻防の後ブラックと悟空(GT)は互いに両手を掴み、激しく押し合った。それを制したのはブラックの方で、力負けした悟空(GT)が少し苦しそうにうなり声を上げる。
悟空(GT)「ぐぐ……!!」
ブラック「先程の勢いは何処へいった孫悟空!! もっと楽しませてみろ!! そしてオレの力の贄となれ!!!!」
満面ながらも邪悪な笑みをもらし、挑発しながら両腕に力を込めるブラック。サイヤ人の肉体と湧き上がる力の影響か、元のナルシストじみた面は変わらずとも低く落ち着いた雰囲気から打って変わって、多少気性が荒くなった感じになっている。
悟空(GT)「フフフッ……その程度のパワーで勝った気でいるようじゃ…オメェは、まだまだだな!」
しかし、それでも超サイヤ人4孫悟空(GT)の顔からはまだ余裕の表情があり、それを見たブラックは苛立ちながら更に輝きを増してパワーを上げる。
ブラック「ならばその余裕をすぐに消してやるっ!!!」
手を離して左足で悟空(GT)を蹴り飛ばした後、右手から連続で紅色のエネルギー弾を発射して追撃する。打撃と気弾の両方を受けて、距離として200mぐらい吹っ飛ばされた悟空(GT)だがなんとかして勢いを殺して体勢を整え、再度ブラックに突撃。
更に追撃で向かって来る光弾の雨を針を縫うように次々と躱して行き、左手拳でブラックの頬を殴りつける。
悟空(GT)「だああっ!!!!」
ブラック「うごぉ…!!?」
パワーアップしたが、それでも尚強烈な拳の一撃を頬に喰らい、もろに受けたブラックの顔が歪む。しかし、先ほど撃ったブラックの気弾が放物線を描いてUターンし、悟空(GT)に襲いかかった。
悟空(GT)「なっ!!? ぐわぁっ!!!」
後ろから高速で迫りくる気弾を察知したが気づいた時にはもう遅く、気弾は一斉に悟空(GT)の背中に直撃した。それを見たブラックは隙を突いてすぐに接近し、下から振り上げるように拳を悟空(GT)の腹にめり込ませる。
ブラック「はあっ!!!!」
悟空(GT)「がああっ!!!? ぐっ…!!!」
ブラックの拳が腹部に決まって鈍い音が響くも、なんとか堪えきった悟空(GT)はお返しに右手拳で殴りつけ、ブラックは後方へ飛んだ。其処から飛んでいったブラックの軌道先へ瞬時に回り込み、更に打撃を加える。
ブラック「くっ…!!」
赤き剛腕による打撃は凄まじく、受けた箇所がビリビリと痺れて衝撃が広がる。それなりダメージを受けたが、ブラックはすぐに両手を前に突き出して、至近距離から濃いピンク色の気功波を放った。
悟空(GT)「うああああっ!!!」
かなり高い威力の気功波に飲み込まれ、そのまま遠くへ飛ばされていく。そのまま空の彼方まで飛ばされそうになるが、悟空(GT)は気合いで横に身体をずらすようにしてブラックの気功波から脱出する事に成功。
悟空(GT)「だああああああああああああああああ!!!!!」
その勢いを維持しつつ雄叫びを上げながら拳を固め、再びブラックに向かって猛然と飛びかかってくる。ブラックもまた同じように猛然と加速しながら拳を固め、接近する悟空(GT)に突撃。
ブラック「はああああああああああああああああ!!!!!」
そして赤い影と明るい赤紫色の光は、上空で猛烈な速度で迫って行き、突進しながら拳を突き出した。お互い顔面にクロスカウンターが決まったが、ブラックの力が悟空(GT)を上回り、そのまま右手ストレートの正拳突きで殴り飛ばす。
悟空(GT)「ぐああああっ!!!!」
壊れかけの高層ビルを貫いても勢いは止まらず、更にいくつも建物を貫いて吹っ飛んで行く。ブラックは其処からの瞬時に悟空(GT)の背後へ回ってキックをかまし、彼方此方ひび割れたアスファルトの道路に叩き付けた。
ブラック「消え去るがいいっ!!!!!」
そして最後に悟空(GT)に目掛けて、黒みがかったピンク色の極太気功波を放つ。着弾と同時に巨大な光の大爆発が発生し、悟空(GT)を呑み込みながら周りのビル群諸共消し飛ばした。
悟空(超)「くうぅ……! 信じらんねぇくれぇに、とんでもないパワーだ……!!」
シン「こ、コレでは…例え破壊神を過去から連れて来れたとしても、対処出来出来ない可能性が……!」
遠くにいる悟空(超)達は瓦礫の影に隠れて、発生した風圧に耐えて見ていた。今までとは比べ物にならないブラックの強さに、悟空(超)とシンは目を見開くほど驚愕する。
本来このような非常事態は破壊神が対応するのだが、この世界は界王神が全滅して命を共有していた破壊神はもう居らず、しかも破壊神は時間移動する事は神々のルールで固く禁じられている。
更に大神官を含め、破壊神に仕える天使は中立な立場の為、基本的に不干渉で組み手以上の戦闘は出来ず、仕える破壊神が居なくなると後任が現れるまで活動を停止してしまう。もしこれらの神々のルールを破れば、全王によって問題を起こした宇宙ごと消されてしまう可能性があるので、過去の世界から破壊神を連れて来たり、天使に解決を求めたりする事は不可能である。
だが超サイヤ人ロゼ進化となった今のブラックは、仮に破壊神が相手でも返り討ちにしまいそうな程に強くなっており、シンは言葉を詰まらせた。
やがてブラックが気功波を放った場所には、底が見えないくらいの深さはある直径約数百mの穴が出来ていた。普通の人間ならとっくにあの世行き、神に匹敵する強さを持つ戦士でも生存は絶望的だろう。
しかし、穴の奥底から瓦礫と砂埃を巻き上げながら勢いよく赤い影が飛び出し、ブラックと同じくらいの高さまで上昇してきた。
悟空(GT)「ケホッ! ケホッ! ……うへぇ……口ん中がジャリジャリするなぁ……」
穴の奥底から出てきたのは勿論、別次元からやってきた赤き大猿の超戦士――超サイヤ人4の孫悟空(GT)だった。彼は口の中に少し土や砂が入ってしまっただけで、五体満足でほとんどダメージは無かった。
口内がジャリジャリして不快な気分になった悟空(GT)は、ブラックを気にも留めず唾ごと中の土や砂を吐き出していた。
ブラック「チッ! 寸前の所で躱したか………ならばっ!!」
目に見えたダメージが無い事にイラッとしたが、当たる寸前で躱したと推測し、ブラックすかさず次の攻撃に転ずる。自身の輝くオーラを両手に集約させ、外側が黒で内側がマゼンタカラーをした得意技の気の刃「神裂斬」の二刀流Ver「双神裂斬」を作り上げ、それを悟空(GT)に突きを繰り出す。
悟空(GT)「っ!!」
ギリギリの所で避けるがブラックは間髪入れず連続で斬撃を繰り出す。超サイヤ人ロゼの時と違って二刀流になった上に、スピードも切れ味も増しており、今は後退しながら回避に専念する。
悟空(GT)「くっ…! なかなか付け入る隙がねぇ…!」
ブラック「何時までそうやって逃げてる気だっ!!! 攻撃しなければオレは倒せんぞ!!!」
なんとか反撃の機会を狙うがブラックはそれを許さず、両手の刃は複雑な軌道を描きながら悟空(GT)を斬り裂こうと迫る。
連続で超高速の乱れ突きを、時には踊り舞うようなアクロバットな動きで複雑な剣撃を次々と繰り出す。
ブラック「はあっ!!!」
そして遂にブラックは悟空(GT)を捕らえ、右手の気の刃を思いっ切り振りかぶる。悟空(GT)は当たる寸前に真剣白刃取りで受け止めることに成功したが、脅威はまだ去っておらず今度は左手の刃が顔面に目掛けて突き刺してきた。
咄嗟に頭を横に傾けて紙一重で躱す事できたが、その直後に脇腹にブラックの回し蹴りが入り、身体が横に反れるように曲がる。
悟空(GT)「うがぁっ!!!?」
刃の攻撃に意識を向けてたせいで、無防備になった脇腹に強力な一撃を喰らった悟空(GT)は建物に叩きつけられ、壁に大の字でめり込んだ。
ブラック「受けるがいい!! 我が刃ぁっ!!!!!」
動きが止まった隙に、ブラックはエネルギーを集中させて舞い踊りながら刃を振り、無数の針状の気弾を飛ばして突き刺してきた。
悟空(GT)「ぐわぁっ!!!!」
悲鳴を上げるものの、突き刺さった針を引き抜こうと手を伸ばそうする。だがブラックは更に刃を振り回し、悟空(GT)の周りに突き刺す事で完全に動きを封じ込め、拘束させた。
ブラック「はっ!!!!!」
超サイヤ人ブルーの悟空(超)をも圧倒した大技「超神裂乱舞」は見事に決まり、ブラックの掛け声と共に突き刺さった針状の気弾は大爆発を起こす。超サイヤ人ロゼ進化になった事で威力は大幅に上がり、破壊神でさえ致命傷レベルは負うだろう。
ブラック「愚かな人間には……死こそが恵み。 キサマがどれだけ野蛮で醜い姿に変身をしようと、進化したこの美しき至高の我が姿には到底及ばん…」
人間がどんなに足掻こうと、絶対的な存在である神の力の前には無力だと――人間として変身と神だけ変身の差を悟空(GT)に思い知らせたゴクウブラック。やはり人間は限界が付き物だと分かり、そろそろ自分達に楯突く愚か者達を全て粛清し、自分だけでも人間0計画を続行しようとする。
―ジャン拳っ!!!!―
ブラック「ん?」
悟空(GT)「グゥゥゥゥゥーーーーーーーーッ!!!!!」
だが、爆発時に発生した煙と炎を腕で振り払いながら飛び出した悟空(GT)が、目にも止まらぬ速さで突撃してきた。突き出した右手の拳を勢いに任せて、ブラックの顔面にクリーンヒットする。
ブラック「ぐあっ…!!!!?」
突如として喰らった重い一撃による激痛に、左手の神裂斬を解いて顔を抑えるブラック。たった今、悟空(GT)がやったのは「ジャン拳」はジャンケンの手で攻撃という非常にシンプルなもので、どの世界でも孫悟空が育ての親の孫悟飯から教わった最初に覚えた技。
突然の事に少し戸惑ったブラックだが、すぐさま右手の気の刃を振り下ろして反撃するが、悟空(GT)は即座に引っ込めて次の手を出す。
悟空(GT)「チョキっ!!!!」
ブラック「何っ!?」
ブラックが咄嗟に繰り出した斬撃を、今度は左手のチョキで気の刃を挟み込んでガードする。受け止められたブラックは驚きつつも、左手に気を集中させてまた刃を作ろうとしたが、悟空(GT)は素早く先ほど引っ込めた右手を開いて打った。
悟空(GT)「パアアァァァァァァーーーーーーー!!!!!」
右手のグーを解き、指を開いてパーの形に変えた張り手をブラックの胸に撃ち込んだ。約10m程度は吹き飛ばされたブラックだが、すぐに勢いを殺して体制を整える。
よく見ると針状の気弾が刺さった筈なのに外傷は全く無く、ブラックは内心、悟空(GT)に対して若干不気味さを感じ始めるが、そんな感情はすぐに消して余裕の態度をする。
ブラック「あの技を喰らって、ほとんどダメージが無いだと…!? だが……こんな子供の技が効くとでも思ったか? その程度じゃ到底オレに勝つ事は不可能だ!」
悟空(GT)「子供の技じゃねぇ! コイツはオレのじいちゃんから教わった、最初に覚えた技だ!! ……それにな、オメェを倒す方法が見つかったかもしれねぇ」
悟空(GT)のその言葉に反応して、少し意表を突かれたブラックはピクリと眉毛が動いた。倒す方法が思い付くなんてにわかに信じられない上、現状は悟空(GT)に致命傷を与えられずとも未だにに己が有利であるのは火を見るより明らかで、コイツの言っている事はただの強がりだと判断し鼻で笑う。
ブラック「倒す方法だと……? フンッ、どんな事を企もうが所詮オレの前では無力であり、無意味だという事がまだ理解出来ないようだな!」
悟空(GT)「……いいや、今まで戦ってみて、大体の事は分かった。 オメェには、
そう言って悟空(GT)は、ブラックに見せるように右腕を真っ直ぐ伸ばし、人差し指と中指の2本を立てる。
ゴクウブラックに2つの弱点――そんなものが有るとは到底思えない。強いて言えば不死身ではない事ぐらいだが、ダメージを負う度に力が増す肉体を持つ限りそれは弱点が無いに等しい。
仮にあったとしても、破壊神レベルの領域に到達した今の自分は無敵の存在である事に変わりないと、ブラックは絶対的に確信していた。
ブラック「勝てぬと分かって血迷い、虚言を吐くとは……なんと悲しい事だ……。 打たれれば打たれるほど力が高まる、神の恵みの究極であるこの肉体に、死角など無い!」
悟空(GT)「嘘かどうかは、戦ってみれば分かるさっ!!」
今言った言葉が真実だと証明する為に、今度は悟空(GT)から攻撃を仕掛けるが、なんと悟空(GT)が腕を大きく広げると同時に、彼の両腕が8本に増えた。魔族が使う魔術や、妖怪等が使う妖術といった類いではなく、突然腕の数が増えたのだ。
ブラック「なっ…なんだこの技はっ!?」
悟空(GT)「八手拳さ! そんじゃ、続きをやろうぜ!!行くぞっ!!!」
これは嘗て参加した天下一武道会で、決勝戦で天津飯との試合に彼の「四妖拳」に対抗してチャパ王の技を真似て使用した、手が8本に見えるほどの素早い手の動きで拳を繰り出す「八手拳」という技である。
説明を聞けば非常に単純な技だが、元々悟空(GT)が子供時代にのみ使っていたからか意外にもブラックはこの技を知らず、今初めて見た為に少し驚いていた。
ブラック「チィッ…!!」
腕を高速に動かしながら突っ込んで行った悟空(GT)は、8本の剛腕からなる予測不能の攻撃を展開。一瞬戸惑ったブラックも負けじと両手の刃の連続攻撃を仕掛け、相手の手を読みながら拳と刃の攻防が繰り広げられる。
一方その頃、戦闘の邪魔にならない程度に離れた場所で瓦礫の物陰から界王神のシンとゴワスは、ブラックと別次元の悟空(GT)の短い会話を聞き取り、ブラックを倒す方法や、2つの弱点の事を耳にした。
この距離でも聞き取れたのは、界王神の耳が地球人やサイヤ人及び人間とは少し構造が違うからである。
ゴワス「あの方はいったい何をする気でしょうか?」
シン「わ、私にも分かりません…! …ですが、今は彼の考えに賭けるしか方法はありません……。 本来なら我々神が、この事態の責任を取らねばならないというのに……」
ゴワス「うむ……なんとも情けない話だ……。 今や、界王神のみならず、全ての神々のあり方を問われてるのかも知れんな…」
2人の心には悲しさと怒りが渦巻きつつ、自身の無責任さと情け無さに落ち込んでいた。ブラック及びザマスがこの悪行に走ったきっかけは人間だったかもしれないが、大元の原因はそれを止める事が出来なかった自分達神々であり、この事態の尻拭いは人間では無く神々がすべき事だからだ。
だが肝心の神はルールに縛られ何も出来ず、実力すらも手が付けられない今、人間の力に委ねるしかない事に界王神達は己の無力差に嘆いていた。
悟空(超)「…界王神様、落ち込んでるとこ悪いだけんど、アイツ等なんて言ってたんだ? 此処からだとオラ達じゃ聞き取れなくってよぉ…」
世界の危機に何も出来ない神の無責任さに悔やむ中、過去の世界の悟空(超)が2人の界王神に話しかけてくる。悟空(超)達は彼等が何か話していたのは分かっていたが、流石に内容までは聞き取れなかった為、シンから話の内容を聞いてみたのだ。
シン「あっ…すみません。 こんな時に……何でもあちらの悟空さんは、ブラックを倒す方法が見つかったと言っています。 しかも、ブラックには2つの弱点があるらしいです」
シンはブラックと悟空(GT)の話の内容を、悟空(超)に分かりやすく説明した。その内容を聞いて、驚いた悟空(超)は「えっ?」と声が漏れる。
悟空(超)「ブラックの弱点って……ベジータ、アイツに何か弱点なんてあったか?」
悟空(超)は近くで腕を組みながら戦闘を見ていたベジータに疑問を投げかけた。過去の時代で、ブラック対策の為に「精神と時の部屋」へ入って特訓したくらいに対抗心を燃やしてる彼なら心当たりが有るかと思って聞いてみたが、本人は眉間にシワを寄せた顔を向けた。
ベジータ「んなこと知るか! 仮に知っていたら、オレが負ける事なんぞ無かった筈だ!」
ベジータは何か別の事に目を向けており、その事で不機嫌な表情になっていて悟空(超)の質問には乱暴ながらも知らないと答えた。何故そこまで苛ついてるかは分からないが、確かに彼の言う通り攻撃を受ける度に強くなるブラックにこれといった弱点があるとは思えず、試しに過去で特訓したベジータは強くなる前に猛攻撃して体力を削り切る作戦に出たがそれも失敗。
故にトータルで悟空(超)よりも少し多くブラックと戦闘していたベジータでも、検討がつかなかった。
悟空(超)「だ…だよな。 ……なぁトランクス、オメェ1番ブラックと戦ってっけど、何か気付いたか?」
口調からして今のベジータにこれ以上話し掛けるのは止めた方が良さそうと思い、今度はトランクスに気付いた事が無いか話し掛ける。しかし、同じく瓦礫等の物陰から戦闘を見ていたトランクスは顔を向けると、頭を横に振った。
トランクス「いいえ、オレもブラックに弱点があったなんて初めて知りました。 しかも2つあるなんて……」
やはりトランクスも同様で、特にこれといって気付いた事は無く、ブラックに思い当たる弱点は分からなかった。それもそうで、ベジータも言っていたがもし本当にブラックに弱点が存在していたら、いくら強くてもここまで自分達が負ける事は無いからだ。
そこに、双眼鏡で戦闘を見ていたブルマとマイが話に割って入って来る。
ブルマ「2人とも何々? じゃあ今は、あっちの孫君が有利なの?」
マイ「トランクス、どうなんだい?」
一般人である2人からすれば、戦闘風景は速すぎて視覚で追えない為、何方が優勢で不利なのかそして何が起こってるのか分からない。トランクスも悟空(超)も、結局ブラックの弱点については分からず、取り敢えず彼女達に現在の戦局を伝える。
トランクス「何方もあまりにも気が大き過ぎて、実力の差が分からないんですが、今はブラックの方が優勢で、あっちの悟空さんは多少押されながらも互角に戦っている…!」
悟空(超)「ああ、あっちのオラも全然負けてねぇ! 確かに超サイヤ人ロゼ進化になった今のブラックはとんでもねぇパワーだが、それでも結構良い勝負してっぞ!!」
現状での判断だが、悟空(超)とトランクスは何方も同じ意見だった。破壊神クラスと同等かそれ以上の力を手に入れたブラックを前に、悟空(GT)は何度打ちのめされても果敢に立ち向かい、必死に戦っているように見えた。
――だがそんな中、腕を組んでイライラしながら観戦していたベジータだけは彼等とは違う視点で見ていた。
ベジータ「…おい、オマエ達はアレが互角に見えているのか? だとしたらオマエ達の目はとんだ節穴だな」
悟空(超)「ん…? 違うのか?」
トランクス「父さんは、何か気付いたんですか?」
ベジータ「よく見てみろ! ブラックは徐々に勝負を焦り出している…!! 既にほぼ全力に近い勢いで技を出しているが、あっちのカカロットはほとんどエネルギーを使わず、肉弾戦だけで戦っているんだぞ!!」
にわかに信じられないが、ベジータが言っている事は事実だった。実際にザマスがいた時は多少気弾や「かめはめ波」を使用していたが、強くなったブラックと1対1になって既に約10分以上は、気のオーラを纏ってブーストをかけたり、エネルギー波の類いは使っていない。
どの世界の孫悟空も戦闘スタイルは接近戦がメインとはいえ、あれほどの強敵を前にかめはめ波すら使ってないのは明らかにおかしかった。
時折押され気味のように見えるが、アレは恐らくフェイクと思われ、ブラックの弱点を見極めこれ以上強くさせない為に、わざと互角か少し下の実力に抑えている。そして何らかの打開策を思い付き、「八手拳」を皮切りに攻めに転じ始めたと推測した。
それは例え別次元の存在でも、長年ライバルの背中を追いかけていたベジータだからこそ、いち早く気付く事が出来たのだ。
ベジータ「あの野郎……あれほどパワーアップしたブラックを相手に、まだ本当の実力を隠してやがる……! ムカつくヤツだ!」
まだ上の実力があるにも関わらず隠している悟空(GT)に苛つくベジータは、もう一度上空を見る。其処には圧倒的なパワーで押していた筈のブラックが徐々に押され始めていき、戦局が再び悟空(GT)に傾きつつあった。
●双神裂斬
一応オリジナル技ですが、単に原作アニメでブラックがよく使っていた気の刃が二刀流になっただけです。
短いと思いましたか?
本当は1話分にまとめるつもりだったんですが、ちょっと長くなりそうだったんで、2話に割ける事になりました。