ブラック(オレは神だ…!! 神は絶対的存在だ…!! 神が人間に負けるなど、決してあってはならない…!!!)
長い時間を生きてきたザマスことゴクウブラックにとって、人間に命乞いする行為はこれ以上に無いほど屈辱的だったが、それよりも相手を殺したいという殺意に満ちていた。
過去の悟空(超)のように人間でありながら神の力を手にして、神に匹敵する実力を身につけるだけでも痴がましいというのに、目の前の
ブラック(オレにこんな……人間に命乞いをさせて恥を掻かせた事は……万死に値する!!!)
そんな存在は断じて許さず、人間が神より優れているなど認める事は出来ない――だからこそブラックは、命乞いをして悟空(GT)の「甘さ」につけ込み油断させる作戦に出た。どの次元の孫悟空も本質的には勝つ為ではなく、絶対に負けない為に戦ってるのであって相手の命を奪う事に拘っておらず、生死を賭けた戦闘においては相手に対して情けをかけてしまう甘い部分がある。
自身の兄ラディッツや、宇宙の帝王フリーザの時の戦いが良い例で、彼等と同じくブラックもその甘ったるさを利用した。
ブラック「裁きを受けろおぉーーーーー!!!!」
悟空(超)「っ!!! 危ねぇ!!!! 避けるんだ!!!!」
悟空(超)が叫ぶ中、ブラックは通常時の漆黒のオーラを右手に集約して気の刃を生成、それを悟空(GT)のうなじに目掛けて突き刺そうと襲ってくる。此処で別次元の悟空(GT)を仕留めたとしても、過去の世界の悟空(超)もいる以上、もうブラックに後が無い事には誰がどう見ても明らかだ。
しかし、もはやブラックはそんな後先の事なんて考えていないほど、冷静な判断力を失っていた。知らず知らずの内に、孫悟空の肉体に潜むサイヤ人の闘争と殺戮の本能に若干呑み込まれかけており、例え命乞いという愚行をしてまでも尚、目の前にいる悟空(GT)だけは絶対に殺さなければならないという思考に支配されている。
それほどまでにこの男だけは、何に代えてでもこの場で、この手で殺してやりたかった。
悟空(GT)「………………」
――しかし、結局のところ彼の気の刃は、最後まで悟空(GT)に届く事は無かった。
悟空(超)「あっ…!!!」
ブラック「あ゛っ…がっ………あ゛……あ゛……!!!!」
悟空(GT)「………」
いつの間にか刀身は砕かれていて、代わりに振り返った悟空(GT)の右手拳により、ブラックの腹部には大きな風穴が開けられていた。
弱っていたとはいえ、何者にも突破されなかった孫悟空の肉体を持つブラックを、悟空(GT)は気を纏わず純粋な打撃のみで貫いたのだ。
ブラック「ゔっ……ごはっ……!!!」
悟空(GT)の右手が引きずり出されると、ブラックは吐血して倒れてしまう。また腹部からもおびただしい量の血が溢れ出て、ポタポタと地面を紅く染めていく。
悟空(GT)「……残念だったな。 どれだけ騙して不意打ちをしようが、オメェの殺気は誤魔化せねぇぞ……」
ブラック「ゴフッ………ぐ………うぅ……!! キサマ…最初から……気づいて…た……のか……!?」
悟空(GT)「ああ。 オレだって何度も騙されるほど、人生経験ってのを積んじゃいねぇさ。 オメェが『神の瞬間移動じゃないと無人になったナメック星に行けない』って言った辺りで、こうなる事は予想していた。 もし本当に界王神様の瞬間移動が使えるんだったら、とっくにザマスを追って地球から逃げる事だって出来た筈だからな」
悟空(GT)はブラックが命乞いする振りをして騙し、隙を突いて不意打ちしようとしてる根端は最初から大体分かっていた。今までの人生の中で、こういった敵は何度も遭遇しているからか、甘い部分があるとはいえ流石に何時も引っかかるほど悟空(GT)もバカではなかった。
またブラックは「命乞いする相手には情けをかけてしまう」という、ある意味孫悟空という男の共通の弱点の「甘さ」を利用して一矢報いようとしたのだが、別に命を断たない事がモットーではない。
殺さないと悪事を止めない相手には時に命を奪う時もあり、そして別次元からやって来た悟空(GT)は、そういった本当にどうしようもない極悪非道な相手に対しては容赦が無い。
目論みが外れてしまい、逆にカウンターで死に直結するレベルの致命傷を負ってしまったブラック。復活パワーが使えるザマスは超PPキャンディーの影響で第10宇宙の界王神界のトイレに閉じ籠もってしまい、ブラック一人ではザマスの元に行く事が出来ないので、勝ち目は完全に無くなった。
ブラック「くっ……! こ……こんな……ところ…で……、キ……キサマ…なんぞ…に……計画を……潰さ…れ…て……たまるか……!」
――だが、敗北を認めたくないブラックは残った気の力を腹部に集中させて無理矢理止血し、右腕と両足に力を振り絞って立ち上がり、人間に対する憎悪を爆発させる。折れた左腕が力無くだらんと垂れるが、それでもタフさに関しては伊達に孫悟空の肉体を得ているだけある。
ブラック「人間が…人間が支配するこの世界は…間違っている…! 人間は…必ず争いを繰り出し…、星を…滅亡へと導く…! この世界に…人間など…要らぬ! 人間は…存在こそ悪!!! それを正す…我こそが…正義なのだ!!!」
悟空(GT)「……オメェのそれは正義なんかじゃねぇ。 身勝手な理由で気に入らない存在を消す、ただの歪んだ妄想と人殺しだ! そんなモンは独裁者と同じだ!」
ブラック「黙れ……黙れ人間っ!! 神の最大の失敗作…サイヤ人め!! オレは神だ……神は絶対だ!!! 神であるオレの行いは、全て正義だぁぁーーーーーっ!!!!」
自分が正しいと信じて疑わないブラックは人間に対する怒り、それを黙認する神々への怒り、そして人間に勝てない己への怒りと共に、漆黒のオーラが炎のように噴き出す。だがそれは世界を正す神としてではなく、ただ揚げ足を取って人間を悪者扱いしたい哀れな存在でしかなかった。
至近距離からブラックの気を浴びるも、金色の眼で鋭く睨んでいる悟空(GT)は、もうヤツは反省する余地が無いと判断し、止めを刺す事を決心する。
悟空(GT)「……オメェが正義の味方かどうかは、この技で分かる」
そう言って悟空(GT)は少し距離を取りながらゆっくりと飛び、約数十mぐらいの高さまで上昇するとその場で停止する。 両腕を大きく広げながら天に翳し、周囲から、世界から、そして地球の近くにある星々からも気を集め始める。
時間にして約10秒近くほど、集まった気は一度、悟空(GT)の全身に迸った後に右手拳に集約されていき、右手を開くと同時に直径約10mぐらいの高密度なエネルギー光球を作り上げた。
悟空(GT)「コイツはな…生きとし生ける全ての命から、少しずつ気を分けて貰って作った『元気玉』だ! オメェが本当に正義の味方なら、跳ね返せるはずだ!!」
ブラック「………………っ!!」
悟空(超)「凄え……! 超サイヤ人のまま元気玉を作るなんてオラでも出来なかったのに、アイツは変身したまま作れちまうのか……!」
北の界王が界王拳と一緒に悟空に伝授した究極奥義――自然を含めたこの世に存在するあらゆる生命からエネルギーを少しずつ集め、それを球体を作り上げて投げつける「元気玉」
集めた量によっては巨大且つ絶大な威力と化す大技だが、その分時間がかかってしまい、その間は両手を上に掲げる体勢を取るため無防備になってしまうのが欠点で扱いにくい技。
しかしそれを僅か数秒足らずで10m級の元気玉を作り上げた事も驚きだが、悟空(超)が驚いたのはそこではない。それは元気玉は
それはこの次元の悟空(超)も例外ではなく、何度か修業している時に試した事があったが、どの超サイヤ人の形態も上手く作れなかったのに対し、ある意味サイヤ人の本質とも言える形態の超サイヤ人4になっている悟空(GT)は、変身を解かず元気玉を作り上げた。
ブラック「そ…そんなもの……!」
大きさからしても、今の瀕死のブラックには充分すぎるほどの威力は秘めている元気玉を見た彼は、表情を引きつらせる。当たれば確実に死ぬので避けて逃げるべきだが、自分は正義だと言い張るブラックは意地を張り、受け止める体勢に入る。
そんなブラックに目掛けて、悟空(GT)は元気玉を持った右腕を振り下ろした。
悟空(GT)「あばよ、ブラックっ!! これで最後だあああぁぁぁーーーっ!!!!」
偶然にも、あまり知らぬ
――だが、そんな抵抗も虚しく、あっという間に光の球体に呑み込まれた。
ブラック「ぐあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!」
この世界に生きる様々な生命の願いが込められた元気玉は、着弾時に猛烈なスパークを発生させ、飲まれたブラックは全身焼かれるように苦しむ。
更に光で肉体はボロボロと崩壊、消滅していきながら、元気玉はそのままブラックごと上へと打ち上がる。
ブラック「ぎゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!」
強大なエネルギーは重力に逆らって上空に飛んで大気圏外を突破し、断末魔と共に宇宙の彼方へと消えて行くと、暗雲の隙間から光の大爆発が見えた。
星の為に人間を滅ぼすという正義を掲げたブラックだったが、皮肉にもその星々と人間を除く生命の元気から作られた元気玉は、ブラックの行いを善ではなく悪と見做したのだった。
トランクス「やった…!! とうとうブラックを……ブラックを倒した…!!」
マイ「本当に…終わったんだね……。 これでようやく、ブルマさんも、殺された皆んなも報われるはずだよ……」
ブラックの最後を見届けたトランクスとマイは、ようやく長く苦しい戦いに終止符が打てたと思い、張り詰めた緊張が解けて安堵する。その直後にどっと疲労が襲って、ふらふらになりそうなマイをトランクスはそっと支え、お互い肩を寄せ合う。
遂に終わったんだと――トランクス達は別の次元から助けに来てくれた悟空(GT)に、とても感謝しても仕切れなかった。
ベジータ「……待て、安心するのはまだ早い。 不死身のザマスがまだ倒せてない以上、完全に終わった訳じゃない」
とはいえ、ベジータの言う通りザマスの方はあくまで後回しになっただけで倒されておらず、まだ根本的な解決にはなっていないが、ブルマは大丈夫だと確信を持っていた。
ブルマ「平気よ。 あの超PPキャンディーは一度『ピーピー』って声を聞くと、ほぼ丸1日効果は収まらないわ。 その間に今度こそ亀のじいさんから魔封波用の札を貰って来て、ザマスを封印しちゃえば万事解決ね」
ベジータ「そ、そうか………」
ブルマの返答に、表情は変わらずとも一汗流れして若干引き気味に返事するベジータ。 本来ザマスに飲ませた超PPキャンディーは、恐竜や怪獣用に作った為か、人間に使った場合は一度効果が発揮すると1日中下痢の状態になる。
恐らく今もトイレで苦しんでいるだろうから、今すぐザマスが戻って来る事は無い。
その間、もう一度過去の世界に戻って亀仙人の元に行き、今度こそちゃんと封印用の札を貰ってこの世界に来て、ザマスがまた現れた際には再び魔封波を使用し、しっかり封印すれば今度こそ不死身のザマスは倒せ、この世界の脅威は去って平和を取り戻すというのがブルマの考えだ。
だが、まだ課題は沢山ある。
ブルマ「でも、問題はここからね……。 ブラックは最初から罪を償う気は無かったとはいえ、ドラゴンボールを復活する手立てが無い以上は、復興は絶望的だわ……」
嘗ての人造人間は楽しんで殺戮をしていた分、自分達の楽しみを残すために人口の減少は緩やかで、倒した時の地球人にはまだ復興できる余地はあったが、ブラックは積極的に惨殺していったので現在地球の人口は全てかき集めたとしても約数百人程度。
食料や薬などが不足している今のままでは、遅かれ早かれ人類は滅亡してしまい、結果的に人間0計画が完遂してしまうという最悪の結末になるだろう。
トランクス「………それでも、オレは………いや、オレ達は、また1から皆んなで協力して、必ず復興してみせます! 悟飯さん達から託されたこの世界を」
しかし、たとえどれだけ困難な事だとしても、トランクスの意志は固かった。たとえそれが何年、何十年かかったとしても、この世界の悟飯達が積み重ね託していった希望を潰えたくなかった。
それに関してマイもそれに頷き、彼と共に生き残った人々を最後まで支える覚悟を決めている。その揺るぎない彼の素晴らしき人格と前向きな姿勢に、2人の界王神達は非常に深い感銘を受け、いつの間にか自然と声が出た。
ゴワス「それならば、私が最大限のサポートをしよう。 弟子の犯した罪は、私の罪でもある。 この世界の復興の手助けをさせてほしい」
シン「勿論、私も手伝います。 ビルス様は文句を言うかもしれませんが、今回の件は私達神々が責任を負うべき案件ですから」
トランクス「本当ですか!? ありがとうございます界王神様!!」
本来なら人間の文明に過度な干渉や、他の時間軸に関わるのは神々のルールで厳禁だが、ブラックとザマスの蛮行はあまりにも大きく、立て直すにも人間達の力だけでは限界がある。だからこそ、神々の犯した罪は責任を持って神々が償い、彼等の手助けをするのが道理だろう。
その上神の力を持ってすれば、本来なら重たい労働になる作業なども軽々こなせるので人手に困るどころか何万人、何億人分の働きになる。
無論、その事に対してルールを遵守する厳格な神達から反論はあるだろうが、それでも彼等を支え、そして見守っていきたかった。
ブルマ「そ・れ・に、もしビルス様が何か文句を言って来たら、また私に任せなさい。 私の部屋にまだまだ開発中の超PPキャンディーが沢山あるから、それを使って黙らせるわ♪」
ベジータ「なっ!? まだあのキャンディーがあるのか!!?」
ブルマ「ええ、ざっと50個以上はね。 ベジータも食べてみる? 味自体は保証するわよ?」
ベジータ「要らんっ!!!」
関係無いが、あんなとんでもない発明品を見せられたベジータは、もうこれ以降ブルマに、そして後に産まれる妻にソックリな娘の「ブラ」に一生逆らう事は出来なくなったのは別の話。
悟空(GT)「………………………………」
この世界で殺戮を繰り返す、天使の仮面を被った悪魔の神を宇宙へと飛ばした悟空(GT)は、ブラックが消えて行った空を金色の目で無言で見つめる。
諸悪の根源は倒した――だが同時にヤツが最後まで反省せず、改心する気が無かった事に複雑な心境をしていた。今の彼の表情はとても言葉で表すのは難しく、最後まで姑息な手段に頼った救いようのない悪に対する険しさと、分かってたとはいえ情けをかけて見逃した敵をやむなく殺して決着を迎えた虚しさが入り混じっていた。
其処へ、超サイヤ人ブルーの悟空(超)が同じく空を見上げながら、何時もの口調でもう1人の自分に話しかける。
悟空(超)「……ブラックの奴、死んだんか?」
同じ存在だからこそ、目の前のもう1人の自分が今どうゆう事を考えているのか雰囲気で察していたが、それをあえて口にせず何時も通りの自分で接する。そんな彼の質問に対し、別次元の悟空(GT)はやや低い静かな口調で返した。
悟空(GT)「……さあな。 だが、あの怪我で元気玉を喰らったんだ。 たとえ生きていたとしても、人間の身体じゃ宇宙空間で息出来ねぇからな」
悟空(超)「……そうだな」
短い会話のキャッチボールの後、気持ちを切り替えた2人はお互い別々の姿をした自分自身に向き合う。片や神の力を手に入れて神の元で技術を学びつつ、今もさらなる成長を続ける悟空(超)と、片やサイヤ人として究極の力を手に入れ、数多の強敵との戦いで強さも技も限界以上に極めた悟空(GT)。
同じ人間でありながら全く別の進化を遂げたもう1人の自分に、決して興味が湧かないなんてある筈も無い。
悟空(超)「ヘヘっ!」
だからこそ悟空(超)は本能的に、そして自然と構えを取り、それに釣られるように悟空(GT)もまた同じ構えを取った。
悟空(GT)「フッ……、オレと一試合するか?」
それは、何方も根本的に生粋の戦闘バカである故の必然的な行動だった。
ニヒルな笑みを浮かべて、いつでも来いと言わんばかりの悟空(GT)のその堂々たる風格は、年上としての貫禄と、強者に相応しい立ち振る舞いで非常に威厳がある。
対して悟空(超)はやや子供っぽい部分はありながらも、目の前の格上の相手に、己の力が何処まで通じるか試してみたいというその姿勢は、まさに挑戦者という言葉が似合う。
何方も戦闘体勢の構え取って約1分程の沈黙が流れ、最強形態同士ぶつかり合うかと思いきや、悟空(超)は構えを解いて超サイヤ人ブルーから元の黒髪状態に戻る。
悟空(超)「………いや、降参だ。 今のオラじゃ…どうやったって、とてもオメェには勝てねぇや」
穏やかな表情で自ら負けを告げ、その様子に悟空(GT)も戦闘体勢を解いて柔らかい表情になる。戦って負けを宣言した事はセルの時にあったが、戦わずして降参するのはこれが初めてだった。
ブラック達との戦闘を見て、彼の強さは充分過ぎるほど伝わったからこそ、戦わなくても分かる。彼は――孫悟空(GT)の実力は間違いなく、自分が今まで戦ってきた中で一番強かった破壊神ビルスを遥かに上回っている事を。
悟空(超)「オメェ……本当に強えんだなぁ……。 10年ぐれぇ歳が離れてっとはいえ、一体どんな修業したらそこまで強くなれたんだ?」
これほど凄まじい強さに至るまで、相当な努力と経験を積んできた筈だ。
一体どんな修業をしたのだろうか、どれだけ頑張ればその域に辿り着くのだろうか。自分も彼くらい強ければと思うと、同じ「孫悟空」でありながらもここまで力の差があることが少しだけ悔しく、そして羨ましかった。
悟空(GT)「そうだなぁ~……口で説明するよりも、直接見て貰った方が早えだろう」
悟空(超)「見せるって…?」
そう意味深な言葉を言って悟空(GT)は悟空(超)に向けて手をかざし、手のひらから眩い光が放たれる。あまりの眩しさに悟空(超)は反射的に目を瞑ってしまうが、少しして目を開けるとそこは先ほどまでいた荒廃した都市ではなく、辺り一面真っ白の世界になる。
するとその白い世界にて、目の前には幾つもの景色と様々な戦いの光景が浮かび上がってきた。その光景は説明されなくともだいたい分かる――今自分が見ているのは、別次元の悟空(GT)の戦いの記憶だ。
宇宙の帝王「フリーザ」
人造人間「セル」
そして最強の敵「魔人ブウ」
嘗て過去に自分も戦った事がある強敵達も居て、こうして見ると色々な戦いを経験してきたと改めて思うが、その他に自分も知らない敵達が見えてきた。
最初に見えてきたのは黄色の雲が浮かぶ赤い空の下、歪な形をした巨大な城で彼とピッコロが手を組んで戦っている光景。
ガーリックJr『何もかも皆んな、私の造り出したデッドゾーンに吸い込まれるがいいぃ!!! 一条の光も射さず、身も心も凍る闇の地獄に、死ぬまで閉じ込められるのだぁっ!!!』
嘗て神の座をかけて地球の神と争ったものの敗れ、その生まれ変わりの息子が無念を晴らすために永遠の命を手に入れ、さらに世界征服を狙った魔族「ガーリックJr.」
神龍に叶えた願いによって永遠の命を手にし、更に3mほどの巨体に強化変身を遂げ、「デッドゾーン」というブラックホールに似た技で汎ゆるモノを吸い込ませようとした。
それをラディッツの時同様にピッコロと共闘して立ち向かったが、最後は幼い悟飯の爆発した潜在パワーに押し返されて自身が吸い込まれてしまい、永遠に闇の中に閉じ込められた。
次に見えてきたのは、暗くて冷たい要塞とも言える研究施設のような場所で、巨大な人間の脳が機械人形に乗って襲ってくる光景が見える。
Dr.ウイロー『孫悟空…! オマエの肉体を手に入れれば、こんな醜い
ツルマイツブリ山の永久氷壁の中から復活し、ブラックと同様に孫悟空の肉体を手に入れようとした悪魔の科学者「Dr.ウイロー」
助手のDr.コーチンと共に、バイオテクノロジーで造り出した凶暴戦士を使って悟空を捕らえようとしたが全て撃ち破り、最後は地球の気を集めた元気玉の力によってウイローは宇宙のチリとなった。
続いて見えてきたのは、地球中に根を生やして天高く伸びた大樹の下、ゴクウブラックとはまた違う自分とソックリな侵略者が邪悪な笑みを浮かべていた。
ターレス『フッ…! その程度の戦闘力では、今のオレの相手にはなれないぜ! 砂漠と化して行くこの
クラッシャー軍団と共に宇宙を気ままに荒し回り、神族のみ食べる事を許された実を成す木の種を地球に植え付け、滅亡させようとした孫悟空と瓜二つのサイヤ人「ターレス」
「神精樹」という一度根付くと星の栄養を全て吸い尽くし、そのエネルギーが詰まった実と食べることでパワーアップする事で、元気玉すら通じないほどの強さにまでなった。
――だが、その神精樹から貰った高濃度の地球のエネルギーを使って出来た「スーパー元気玉」により、遂に撃ち破る事に成功する。
景色は変わって今度は厚い雲に覆われて、地球全体が寒くなった世界で、ピッコロと同じナメック星人が猛威を振るっていた。
スラッグ『ハッハッハッ!! どうした! その程度か? サイヤ人だと思っていたが、どうやらオレの見立て違いのようだな!!』
善良な種族であるはずのナメック星人の中で唯一悪の心しか持たず、魔族の手下達を引き連れて地球の改造を企てた超ナメック星人「スラッグ」
地球に降り立った時は年老いて寿命も僅かだったが、先代ピッコロ大魔王と同様ドラゴンボールの力で最もパワー溢れた頃の姿を取り戻す事に成功し、その強大な戦闘力と巨大化能力はどれも驚異的な強さだ。
しかし、ナメック星人共通の弱点である口笛を悟飯が吹いた為に形勢逆転、最後は一瞬だけ発動した100倍界王拳と、太陽から貰ったエネルギーで作った元気玉によって消滅した。
次に見えてきたのは大自然の中、巨大な湖にて長身でフリーザによく似た敵が大きな滝をバックに相対している。
クウラ『光栄に思うがいい……オレの究極の変身を見られるのは、オマエが最初で…最後だぁっ!!!』
宇宙最強を誇る弟よりも残忍でプライドが高く、更にもう一段階上の変身が出来る、一族の汚名を晴らすために機甲戦隊を従えて襲って来た宇宙の帝王フリーザの兄「クウラ」
ゴールデンフリーザほどではないが、更に上の変身形態を持つだけあって実力はフリーザ以上。
圧倒的な強さと容赦無い攻撃で次々と技を撃ち破っていったが、フリーザ戦から更に強くなった悟空の超サイヤ人には手も足も出ず、巨大な気弾で地球諸共消し飛ばそうとしたが逆に太陽に落とされて驚異は去った。
また場所は変わって今度は、見渡す限り一面氷の世界で白い肌に辮髪を結った大男と、紫色の肌をし大きな帽子とサングラスをした小さな男、そして彼等を従える銀髪の男が並び立つ。
13号『オレ達はDr.ゲロが使っていたコンピューターが、キサマを殺す為だけに生み出した人造人間だ! Dr.ゲロの復讐心を持ったコンピューターが、その憎しみを更に増大させて生み出されたのがオレ達だ!』
元レッドリボン軍の天才科学者であるDr.ゲロの死後、彼の復讐心が乗り移ったコンピューターによって作られ、同時に作られた14号と15号と共に孫悟空の抹殺を経った人造人間「13号」
自分の知るトランクスとはまた違う、彼の次元の未来から来たトランクスとベジータが協力して14号と15号は破壊するも、彼等のパーツを取り込む事で「合体13号」にパワーアップ。
ほとんど手も足も出ずにボッコボコにされるが、一か八かの賭けで超サイヤ人のまま元気玉を作り上げ、途中までは上手くいくもやはり完成は出来ずに小さくなっていくと思われたが、なんと元気玉を吸収して自身の体内に宿しそれを直接ぶつけて合体13号を破棄する事に成功した。
此処で悟空(超)は、先ほど抱いた疑問の答えが出てきて腑に落ちた。先ほど超サイヤ人4のまま元気玉が作れたのも、おそらくこの時の戦いの経験から何かしらコツを掴んだのだろうと悟空(超)は推測する。
今度は機械の惑星に半分喰われてる新ナメック星にて、疲弊しきった2人のサイヤ戦士の前に崖の上から数百体以上の銀色のクウラが現れる。
メタルクウラ『オマエ達が倒したクウラも全て、ビッグゲテスターの偉大な科学力が生み出したモノだ! これだけのメタルクウラを敵にまわして戦える力が、オマエ達にまだ残っているかな…? フハハハハハハハ……!』
以前倒した筈のクウラがビッグゲテスターの力で機械のボディを得て蘇り、ただでさえ強いのに数百体の大軍団で絶望的な戦力差を見せ付けたアンドロイド戦士「メタルクウラ」
一度はその数の差に圧倒されて負けてしまい、ベジータと共に囚われて超サイヤ人の生命エネルギーを吸い尽くされそうになるが、底力を発揮してオーバーヒートを引き起こし、ビッグゲテスターの核であるメタルクウラコアを破壊し、新ナメック星の平和を取り戻した。
また地球が舞台ではない何処かの惑星にて、黄緑色の逆立った髪型と3m近くある巨漢の戦士が、高笑いしながら破壊と殺戮を楽しんでいる。
ブロリー『フッハハハハハハハ…!!! オマエ達が戦う意志を見せなければ、俺はこの星を破壊しつくすだけだ!!』
悟空の事を目の敵にしているサイヤ人生き残りであり、文字通り1000年に1人生まれる破壊と殺戮を好む伝説の超サイヤ人「ブロリー」
当時のベジータが戦わずして戦意喪失するほど恐ろしいブロリーは、溢れる圧倒的なパワーで新惑星ベジータと地球で二度も悟空や悟飯達を襲う。
散々暴れ回った末に太陽に落とされて死んだが、残った血痕からクローン技術で「バイオブロリー」として蘇る等、三度にも渡って苦しめられたが、その度に仲間と家族と共に乗り越え勝利してきた。
所変わって今度は何処か大きな島、セルが倒れて平和が戻った地球にて天下一武道会よりも更に規模の大きい「天下一大武道会」という大会で皆が参戦し、その決勝戦で事件が起きる。
ボージャック『そろそろ親父の居るあの世が見えて来たか? 2人でこれから始まる殺戮ショーを楽しむんだな!!』
嘗て4人の界王の手によって宇宙の果てに封印されたものの、セルの自爆で界王星が消滅してしまった原因で復活してしまい、東西南北の銀河を仲間と共に5人で渡り歩いて破壊することを目論む悪の気に満ち溢れた銀河戦士「ボージャック」
この時はセルの自爆に巻き込まれて死んでいた為この敵は直接戦ってはいないが、高い戦闘力と超能力、そして超サイヤ人のようにパワーアップする能力で痛めつけられている悟飯を見て我慢出来ず、一瞬だけ現世に戻って悟飯を救出。
「地球はオメェが護るんだ!」と活を入れられた悟飯は超サイヤ人2に変身し、超能力を受け付けない圧倒的な強さでボージャック一味を一掃した。
続いて見えて来たのは、カラフルな楕円形の物体が幾つも浮いた奇妙な空間。自分の知るのとは随分印象が違うが、そこはあの世で閻魔大王が管理する罪人達を裁く所である地獄。
其処では超サイヤ人3と、奇声を上げながら襲いかかって来る邪悪なる鬼が戦っていた。
ジャネンバ『ギィィギャギャギャギャギャギャギャギャーーーーッ!!』
地獄行きの魂を浄化する装置に溜まった悪の気の塊が、閻魔大王の館で働く鬼を媒体に変化し、数々のトリッキーな攻撃で悟空とベジータを苦しめた悪鬼「ジャネンバ」
強さは勿論、紅い剣による斬撃や瞬間移動、空間を操った攻撃で悟空やベジータでさえもまったく相手にならないレベルの強敵。
しかし、悪の気の塊から生まれたにも関わらず何故か悪口でダメージを受けるという意外な弱点を持っており、西の銀河最強の戦士「パイクーハン」の協力もあって悟空とベジータは
また見える景色が変わると黒い雲の下、破壊された西の都にて怪しげな煙が1つの巨大な影を形成し、突如として都市を壊滅状態にした元凶が現れる。
ヒルデガーン『グオオオオォォォォォォーーーーー!!!!』
約1000年前に伝説の兄弟勇者が封印したものの、魔導師一派の手によって復活を果たし、体を煙のように気体化させ攻撃を無力化する幻魔人「ヒルデガーン」
南の銀河の勇者「タピオン」がオカリナの力で体内に封印し、仲良くなった少年のトランクスにヒルデガーンごと自身を殺すように頼むが失敗。
怪獣級の巨体でありながら動きも素早く、厄介すぎる能力で悟飯やゴテンクスすらダウンしてしまったが、攻撃時に実体化するという特徴に気付き、その一瞬の隙を狙って力を一点集中させ、黄金の龍の拳で消滅させた。
時は流れ、子供の姿になった原因の黒星のドラゴンボールを探しに、トランクスと孫のパンと共に宇宙へと壮大な冒険へと旅立つ。訪れた星で出会いと別れを繰り返し、数々の苦難を乗り越えて遂に7つ揃える事に成功し、無事に地球へと帰還したかと思いきや、既にとある侵略者が待ち構えていた。
ベビー『死ぬ前に見せてやるぞ! 原始的なサイヤ人と、進化したツフル人のパワーの違いをな!!』
嘗てサイヤ人の手によって滅びたツフル人の王の遺伝子を持ち、ベジータ(GT)の肉体に取り憑いて全ての人間をツフル人化させようと企んだ
悟飯や悟天、トランクス達はおろかほぼ全ての地球人に自身のタマゴを産みつけて洗脳し、サイヤ人に対する恨みを増幅させてパワーアップしたり、ベジータの肉体を利用して「大猿ベビー」になったりと敗北寸前まで追い詰められたが、キビト界王神のサポートもあって最終的に復活して超サイヤ人4に覚醒した悟空(GT)に倒された。
場面は再び変わって、仲間達が倒れている中、子供の姿の悟空(GT)が黄金の光を放ちながら、長髪オールバックの機械人間に立ち向かっている。
超17号『この程度とは失望したぞ…。 キサマの攻撃は、全て見切った……』
洗脳されたこの世の人造人間17号と、あの世でDr.ゲロとDr.ミューによって無より造られたヘルファイター17号が合体して誕生した究極の人造人間「
実力も然ることながら、以前に戦った19号と同様にエネルギーを吸収する性能を持ち合わさっており、気功波系を封じる事で悟空(GT)を追い詰めた。
最後は18号の援護もあって、エネルギーを吸収する際は一定のポーズを取らなければならないという弱点を突き、なんとか倒した。
そして最後に見えて来たのは、悟空(超)にとって信じられない光景だった。
悟空(超)「あ、アレは…! ま…まさか……ドラゴンボールなのか……!?」
ドラゴンボールを使い過ぎた事でマイナスエネルギーが大量に蓄積し、ひび割れて変化した7つの青黒い龍球から出て来た黒煙の龍が、ドラゴンボールをベースに7体の化身として生み出した最後の敵「邪悪龍」
毒を操り、高い耐久力で攻撃を耐えながら霧状のマイナスエネルギーを周りに発生させ、その力で相手を弱らせる「二星龍」
電気を操り、電気スライムを纏うことで巨大化する事で汎ゆる攻撃をも跳ね返す「五星龍」
風や空気を操り、高速で回転してバリアを出しながら、同時に風の刃で攻撃も可能とする邪悪龍の紅一点(?)の乙姫「六星龍」
大地を操り、他の生物に寄生して乗り移る事で寄生した相手の能力をコピーして強化する事ができ、殺すのが惜しくないほど性悪な性格の「七星龍」
冷気や氷を操り、人質を取るなど勝つためには手段を選ばない卑怯で残忍な性格をした「三星龍」
熱や炎を操り、自分と同じ正々堂々とした勝負を好む武人肌な性格で、出会いが違えば戦友にもなりえたであろう祖父の形見から生まれた戦士「四星龍」
そして――、
一星龍『オレを“許さねぇ!”だと…? そのオレを誕生させたのは誰だ…? オマエだ、孫悟空!! オマエ等がドラゴンボールを乱用した為に生まれたのだ! 地球がおかしくなったのも、皆んなオマエ等のせいだ! 散々ドラゴンボールに助けてもらったくせに……勝手な事を言うな!!』
黒煙の龍そのものが変化した全てを統べる邪悪龍の長にして、圧倒的な戦闘力と破壊力を持った正真正銘の最強にして最後の敵「一星龍」
その絶対的な強さは超サイヤ人4でさえ全く歯が立たず、まるで赤子の手をひねるかのように軽くあしらっただけで変身解除されてしまう。
しかも、悟飯達からエネルギーを貰って限界を超えて倒したと思いきやこれだけに終わらず、他のドラゴンボールを取り込んで「超一星龍」となり、力が10倍以上なっただけでなく他の邪悪龍の技や能力が使える等、やり過ぎなくらいのパワーアップまで至っている。
こんな恐ろしくとんでもない怪物を、どうやって倒せばいいんだ? 今見ているのはあくまで記憶の中の光景なので直接戦ってる訳ではないというのに、悟空(超)はその筋骨隆々の白い姿を見ただけで、背筋が凍るほどの寒気と、上手く言葉に表せない恐怖に襲われた。
途中から現れたベジータ(GT)も超サイヤ人4になって参戦し、フュージョンしたものの完全に倒し切れず時間切れ、再度融合を試みるも今度はエネルギー切れ、一時的に四星龍が復活して味方になるが一星龍は逆に身体を奪って再びフルパワーに。
特大の一撃で地球ごと皆を葬ろうした所を悟空(GT)が受け止め、自らの命を犠牲にから地球を守り抜くが、それと同時に地球を守れる存在が居なくなってしまった。
残った仲間達は勝てないと知りながらも挑むが、次々と倒れていく。最早これまでと思えたその時、底なしの大穴から巨大な希望を背負って浮かび上がる少年が現れた。
悟空(GT)『こいつはなぁ!!! 地球人みんなの願えだ!!! めちゃくちゃにブッ壊された地球の叫びだぁぁっ!!!!!』
神々しい光を纏い、全宇宙中から元気を集めて作られた「超ウルトラ元気玉」のサイズは魔人ブウを倒した時の比ではなく、小惑星レベルまで膨張した希望の塊は超一星龍を押し潰す如くぶつかり、遂に倒された。
壮絶な死闘を終え、元に戻ったドラゴンボールと神龍は最後の願いを叶えた後、まるで役目を終えたかのように悟空(GT)は神龍に乗って何処かへと飛び去って行った。
その光景を最後に、悟空(超)の周りの世界が徐々に未来の荒れ果てた都へと移り変わっていく、意識が現実へと戻る。時間にして約数秒程度だが、悟空(超)は今まで長い夢でも見ていたように錯覚してしまう。
悟空(超)「………………………」
あの光景を見終えて、何故アレだけの実力を悟空(GT)が身につける事が出来たのか、今では分かる。彼の居た世界では破壊神ビルスや天使ウイス、そして全王等は存在せず、宇宙も12個ある訳ではない。
その代わり地球の――引いては宇宙の平和を脅かす敵が次々と現れ、一度でも負ければその時点で滅びてしまいそうな危ない世界だ。
そんな世界で生まれ育った悟空(GT)は必死に立ち向かい、どれだけ傷つき倒れてもその度に限界を超えて立ち上がり、世界を、地球を、宇宙を守って来たのだ。
何時また恐ろしい敵が現れても、絶対に負けないように修業を続けながら。
だが最後に見えたあの光景――正確には超一星龍との戦いで元気玉を作ってる辺りから、悟空(GT)に何処か違和感を覚える。
まるでこの世の存在ではないかのような―――ビルス達とはまた違う、まさに「神」の如き雰囲気を醸し出しているように見えた。
悟空(超)「なぁ、オメェって……もしかして―――」
悟空(GT)「……………」
その違和感は何なのか聞く為に、目の前に居るもう1人の自分である悟空(GT)に問いかけようとしたが、結局のところ悟空(超)はその言葉を最後まで言えなかった。
何故なら彼は自分の口の前に人差し指を添えて、無言で「しーっ」と言い、内緒にしてほしいようにジェスチャーをした。
その動作を見ただけで悟空(超)は、わざわざ口に出して説明されなくとも瞬時に察してしまう。
恐らく彼は―――孫悟空(GT)は、もう………
自分がどれだけ頭が悪くても、それだけは理解してしまって少し虚しい気持ちになる悟空(超)だが、目の前の本人は何時もの穏やかな口調で喋り出す。
悟空(GT)「そんな顔すんなって。 オレは幻なんかじゃねぇ、こうやって今此処に存在してっだろ?」
悟空(超)「……オメェは、後悔して無いんか?」
悟空(GT)「ああ、全力で戦った上で地球を守れたんだ。 皆んなに会えねぇのはちっと寂しいけんどよ、それでも後悔はしてねぇ。 それに……オレが居なくてもあっちの世界には、ベジータやウーブが居るし、悟飯・悟天・トランクス・パンだって居る。 アイツ等皆んなが力を合わせりゃあ地球は絶対に大丈夫だって、オレは信じてるからな」
置いて行ってしまった家族や仲間達には申し訳ないが、あの時に自分が選んだ選択は少なくとも間違ってはいないと思っている。彼等ならきっと自分が居なくたって、これからも地球は守れる筈だと。
何故なら彼等の凄さは、最も近くで見てきた悟空(GT)が一番良く知っているからだ。
悟空(超)「そっか…………オラ達の世界にも、あんなとんでもねぇヤツ等が………邪悪龍が出てくるんか?」
悟空(GT)「そいつは、オレにも分からねぇな……オレの居た世界じゃあ、超サイヤ人ゴッドやブルー、ビルス様や全王様が存在しねぇように、こっちの次元でも邪悪龍とかが、必ずしも現れるとは限らねぇさ。 ………オメェも、アイツ等と戦ってみてぇか?」
悟空(超)「……ヘヘっ、まぁな。 邪悪龍だけじゃねぇ、フリーザの兄貴とか、伝説の超サイヤ人とか……あんな凄えヤツ等といっぺぇ戦って来たなんてよぉ。 オラ、オメェが羨ましいぞ」
悟空(GT)「ハハハッ……オレだって、オメェが羨ましいさ。 オレも超サイヤ人ゴッドや超サイヤ人ブルーになってみてぇし、ビルス様や金ピカになったフリーザ、それと第6宇宙のヤツ等とか、戦って見たかったなぁ~……」
悟空(超)が数多の強敵達と戦って来た悟空(GT)の事を羨むように、悟空(GT)もまた悟空(超)の事が羨ましいと思った。先ほど見せた光景からも分かるように、彼の居た世界では強い奴らは沢山居たが、そのほとんどが分かり合えない極悪非道の敵ばかりで、心の底から戦闘を楽しむ事はあまり無かった。
また自分が強くなっていくに比例して周りの仲間達は年老いて全盛期を過ぎ、悟飯や悟天等の次世代の戦士も自分の人生を歩んで前線から一歩身を引いた為、競い合う相手がどんどんいなくなってしまった。その事に対して不満なんて無いし、唯一彼の次元のベジータ(GT)だけは自分と同様に己の限界に挑戦し続けたり、チビの魔人ブウの生まれ変わりであるウーブも居たので退屈こそしなかったが、それでも少しだけ寂しい気持ちがあった。
だから、仕事で破壊こそすれど分かり合える破壊神ビルスや、そのビルスの師匠でさらに強い天使ウイスの元で修業したり、第6宇宙との武道大会で思いっ切り試合をした悟空(超)が羨ましく見えてしまう。
そんな彼の気持ちを察した悟空(超)は、自分達を助けてくれたお礼になんとかしてあげようと思い、一つ提案をする。
悟空(超)「そうだ! せっかく此方の次元に来たんだからさ、オラ達の世界に来ねぇか? オメェに『モナカ』を紹介してぇんだ!」
悟空(GT)「モナカって確か……オメェの世界に居るっていう第7宇宙で一番強いヤツのことか?」
悟空(超)「ああ、ビルス様が今まで戦ってきた中で一番強えって言ってたかんな! 第6宇宙との武道大会でも、オラが倒し切れなかった殺し屋ヒットを一撃で倒しちまったんだぜ? オメェなら、本気になったモナカと良い勝負が出来ると思うんだ!」
悟空(GT)「そんなに強ぇんか! 楽しみだな~!!」
彼の言う「モナカ」という人物は、超ドラゴンボールを賭けた第6宇宙と第7宇宙の格闘試合で、第7宇宙チームの主将としてビルス達が呼んだ惑星ワガシの宇宙配達員。ビルス曰く長い戦いの歴史の中で最も強かった人物で、普段はその静かで温和な性格からその実力を見せることはないが、ひとたび牙を剥けば破壊神であるビルスでさえ倒すのに手こずる凄まじい戦闘力の持ち主である。
――が、その正体は悟空(超)とベジータを発奮させるために、ビルスによって第7宇宙最強の戦士を演じさせられていただけで、本当は戦闘経験皆無のただの一般人でしかない。
しかし、そんな事もつゆ知らず悟空(超)はもう1人の自分にモナカが強いという誤った情報を教える。
そして悟空(GT)も、モナカに関しては彼の記憶から見た情報しか知らない為、同じくとんでもなく強い存在だと信じて疑わずウッキウキな笑顔になり、どんどん勘違いが広がってしまうのだった。
悟空(GT)「よ~しっ! そうと決まれば、早くこの世界の殺された人達を生き返ぇらせて、皆んなを安心させないとな!」
悟空(超)「…あれ?でもよぉ、この世界にはドラゴンボールが無いから、どうやって生き返らせるんだ? オラ達の世界から持ってくるのか?」
悟空(GT)「いや、実を言うとな、ドラゴンボールは………―――――ッ!?」
しかし彼等2人が話してる中、突如として邪悪な気を感じ取った悟空(GT)は、その気を感じた方向に目を向ける。
悟空(超)「なっ!? まさか……!!」
もう1人の悟空(超)もまた彼が向いた方向を見ると、そこにはよく知る途方もない2つの邪悪な気。
五体満足でいる超サイヤ人ロゼ進化のゴクウブラックと、全く健康状態のザマスが居たのだった。
●超サイヤ人4に変身したまま元気玉を作る
正直これは最後まで悩んでしまい、使うならなるべく原作の設定を遵守して通常状態で且つラストに撃つのが良いと思うのですが、いちいち変身を解くのもめんどくさいし、邪悪龍戦後のGT悟空なら変身したまま元気玉を撃っても不思議じゃないかも?
それに人間を滅ぼして星を救ってると勘違いしているブラックに、その星から貰った元気玉でやられ、星からも見放される展開はどうしてもやりたかったんです。
●GT悟空の戦いの歴史について
今作におけるGT悟空はその異常な強さを裏付ける設定として、アニメ無印・Z・GT+「龍拳爆発」までの劇場版の戦いを経験していることになっています。
一応補足するとGT本編の世界観に劇場版が絡んでいるのは作中でも匂わせており――、
・超17号編でクウラがチラッと映っている
・悟空が龍拳を使える
・超一星龍戦でベジータがすんなりフュージョンを成功
・ファイターズでGT悟空がブロリー(Z)を知っている
――と、ファイターズはともかく他3つは劇場版とも繋がってる事を裏付けるには充分な証拠で、今作ではそれを誇張してガーリックJr.〜ヒルデガーンまで旧劇場版の敵をほぼ全て戦った経験をしている事にしてます。
彼等が何時、何処で戦ったかについては、いちいちそれを説明するのもめんどくさいので皆様の想像にお任せしますが、この小説のGT悟空の強さに説得力を持たせるとしたら、一番これが手っ取り早いと判断致しました。
(こんだけ強敵と戦っていたらドラゴンボールも使いまくってるだろうし、マイナスエネルギーもめちゃくちゃ溜まってそう……)