百合の間に挟まりたかった男、ゲットマシンに挟まれる 作:青川トーン
西暦2040年,月で発見された結晶「ルミナザイト」により技術が飛躍的に発展してついには宇宙進出目前まで辿り着いた。
だが2051年、太陽系外文明による侵略……いや殲滅とでも呼べる苛烈な攻撃が始まる。そして2054年、絶滅の危機に瀕した人類は最後の希望「ルミナスナイト」と呼ばれる少女だけが動かせる二人乗り巨大ロボット兵器による反攻に出る。「ユユカ」と「リリア」はルミナイスナイト・フェニックスのパイロットとして、共に人類の命運を背負い戦う……そして戦いの果てに見たのは未来において銀河文明を滅ぼし無限に進化を続けていく人類の姿と外文明が掲げる宇宙存続という正義。
リリアは人類の暴走を悟り、それを止めるべく親友であるユユカと袂を分かつ覚悟でそれを止めるべく人類に反旗を翻し、激闘の果てにユユカは何もかもを犠牲に外文明を交渉のテーブルに座らせ講和による平和と人類の生存を勝ち取った。
だが俺達は考えた、もっと良い未来があったのではないかと。
少女達の犠牲無しに勝ち得たのではないかと、決められた運命を覆す者が必要だったのではないかと。
そして二人に幸せになってほしいと思った。
あわよくば二人とも幸せにしたいと思った。
そんなことを考えてたせいか、俺はこの
男のままにルミナスナイトに乗れる適性と恵まれた体を得て、だ。
俺はそれはもう鍛えに鍛えた、あらゆる事を学び、原作知識を使って未来に起こりうる事に先手を打とうと努力していた。
そして原作が近づこうとしていた2049年
早乙女博士が「ゲッター線」を発見、炉心を開発して実用化に至らせた。
なんて…?
2年後、外文明との接触と火星コロニーへの攻撃で世間が混乱する中で、16歳となり高校に通っていた俺の元に突然「刺客」が送り込まれた、転生特典と合わせて鍛えに鍛えた体で3人の刺客を撃退した俺の前に現れたのは件の早乙女博士本人。
俺はずっと見ないふりをしていた現実に直視せざるを得なくなった。そして確信とも呼べる予感が最悪の形で的中する。
「
うそだろ(絶望)
なんで他作品にゲッター線があるんだよ!なんで早乙女博士がいるんだよ!なんでゲッターロボが建造されるんだよ!
俺は大いに絶望した、下手をすれば命を失うのは覚悟の上だったがあくまでルミナスナイトに乗ってのことだ、ゲッターロボ……ゲットマシンみたいな危険な機体に乗るなんて考えてなど無かった。
「状況はよくない、火星コロニーは下手すれば全滅の可能性もある。となれば次に襲われるのは当然地球であろう。もう我々には時間が残されていないのだ」
一応ルミナスナイトの開発は外文明連合の襲撃前から行われていた筈だが、実戦投入も完成もまだだ……だがゲッターロボは違った、もう機体は出来ていたのだ。
ついでにいえば俺以外のパイロット二人も決まっているとの事だ、どんな熱い野郎どもなんだ?本当に馴染めるか俺?とある意味でも不安であったが、研究所へ着いた時……俺は更なる驚愕に襲われた。
「あら博士、その方が3号機の……?」
ルミナスナイト・フェニックスのパイロットであるはずのリリア・エレメイト
「はん?男かよ!随分と鍛えてはいるけどマシンに耐えられんのかよ」
つまり俺は図らずとも二人との接点を作る事に成功した、だがゲッターロボというノイズの塊のせいで喜びが微塵も無かった。
どうすんだよこれ……どうすんだよ俺3号機担当だよ……思い浮かぶのは死ぬよりも遥かに残酷なさだめ、終わりなき戦いの世界……とてもではないが原作エンドよりも酷いことになる未来しか見えない。
そんな事を考えていると研究所の警報が鳴る、なんともう外宇宙連合の戦力が地球に……特にこの早乙女研究所めがけて接近しているという。
「話は後だ、宇宙軍は壊滅状態だ!もはやゲッターロボで迎え撃つほかない!」
俺はパイロットスーツを着せられ、3号マシンの座席に座らせられる。
正気か?????最新のニューラルデバイスを使っている上にAIが操作すると説明を受けるも不安しかない、しかないがやるしかねえ。
「フェニックス号!ユニコーン号!クラーケン号!出撃!!」
早乙女博士の号令と共に凄まじい加速とGが俺の体を襲う、体がバラバラのグチャグチャになりそうな中、必死に操縦桿にしがみつく。そんな中ユユカの勝気な声が聞こえた。
「おい!新人!チビるのはいいがハジをかくんじゃねえぞ!」
「ハジとはゲッター用語で死という意味ですわ、あなたの死体を片付ける事になるのはわたくしたちですのよ」
とても穏やかで優しい心を持っており、未来の地球人類が銀河を蹂躙するのを許せなかったリリアから恐ろしく残酷な言葉が放たれた事実に俺は震えた。
クソ!なんでこんなことになった!俺は……俺はこないなダイナミックな世界が見たかったんじゃないんだぞ!!せめてルミナスナイトで死なせてくれ!
そんなことを思いながら、ゲットマシンを連結シーケンスに移行させる。フェニックス・ユニコーン・クラーケンの順に並び速度を調節、だがその時天から光が降り注ぐ。
早い!もう奴らが来たのか!一機の外文明軍戦闘マシンとその取り巻きのドローンが目視できる。こんな状態で合体なんて無茶だ、だが。
「引くんじゃねえぞ!未来はアタシらにかかってるんだ!タケシ!」
「わたくし達が引けば、もう後はないのです!」
推しにそんなことを言われて、引く男がいるか……?そんな奴がなまじ原作通りに行った未来でも二人を救えるか?幸せに出来るか?
「ふざけんな!逃げも隠れもしねえよ!」
答えはNOだ、命をかけて戦うのならば今だろう!
「チェンジゲッター!スイッチオン!!ゲッターフェニックス!」
衝撃と共に俺はリリアの乗るユニコーン号にクラーケン号を接続させ、そしてそのユユカがフェニックス号のドッキングを成功させる。
赤・白・黄色の3色に彩られたソイツは、奇しくもルミナスナイト・フェニックスとよく似たデザインをしていた。
「いくぜ!ゲッターチーム!」
俺達の戦いは今始まる。