百合の間に挟まりたかった男、ゲットマシンに挟まれる 作:青川トーン
ルミナスナイトの敵である外宇宙文明連合は決して無慈悲な侵略者の軍団ではない、むしろあえて言うならば銀河の守護者である。
それが地球人類にだけは徹底的な攻撃を加える、その理由は「ルミナザイト」テクノロジーによる時間遡行だ。未来世界での戦線拡大によって資源に行き詰った人類はなんと過去の宇宙から資源を略奪するという蛮行に走る。
その被害を受けたのが外宇宙文明連合、12個の生命ある太陽系、4つの文明が失われるというその惨劇は彼らが人類を滅ぼすと決めるに不足のない理由だった。
だが彼らも「まだ」この時代では罪を犯していない人類を滅ぼすかでは大きく意見が分かれた。だがルミナザイトテクノロジーによる加速的な進化は……ごく一部の強硬派を動かすには十分だった。
機光戦姫においての敵はこの強硬派の艦隊だけだった、それでもリリアに真実を見せた者やユユカの戦いの果てに交渉のテーブルに着いた者といい決して話が通じない者だけではない。
しかし、原作でもそうであったが未来の人類のせいとはいえ一方的に蹂躙された恨みを持つ地球人類の一部が決起して戦争を起こしたり、禍根は既に生まれ……やがてそれは未来の人類が宇宙を蹂躙していくという救いの無い未来が示唆されていた。
だが、変えられない運命はない筈だ。と俺達は考える。
例えどんなに苦しい道でも、未来をより良いモノにするという意思があれば。
「フレイムトマホーク!レザークローブレイク!ファイアーウイング!」
ユユカの赤い翼と尾羽根を持つ真紅のゲッター・フェニックス
「ドリルランサー!シールドアタック!ソニックシュート!」
リリアのケンタウロスの様な4本脚の騎士のようなゲッター・ユニコーン
「テンタクルアーム!スマートミサイル!メイルシュトローム!」
そして俺の2本の巨腕と4本の副腕を持つ重量級のゲッター・クラーケン
俺達ゲッターチームは外文明連合艦隊の進行を月面基地で迎え撃つ戦いの日々を過ごしていた。
敵もインベーダーやインセクターどもみたいな無限湧きではない、ある程度の損害を与えると撤収していく。そのおかげでこっちも開発や修復といった備えも出来る、地球では現在ルミナスナイト開発が見直され……ゲッター由来技術からなるスーパーロボットを各国が独自に開発しているという。
そのせいで少しばかり政治的な軋みが起きているが、最前線である月ではゲットマシン3機と予備機に現在は新型ゲッターの設計開発が進み、さらにその傍らでルミナザイトの採掘も行われている。
俺達の活躍のおかげで、原作よりは遥かに良い状況ではあった……が決して油断はできない。
本来の歴史でのユユカは科学者の父がルミナザイト技術の出現により職を追われ、心労からこの世を去り、母はそんな父を見捨てて離婚、そしてユユカ自身は喧嘩に明け暮れて過ごしていたが為に自暴自棄な性格をしていた。だがそんな中で戦火に巻き込まれ兵士となり、戦いに身を投じていく。
対してこの世界では大まかには同じだが父の恩師であった早乙女博士に保護されたらしい。
なんで突然早乙女博士が生えてくるんだよってツッコミ所はあるが……原作での常に乱暴でリリア以外には絶望的に心を開かず、自分の命さえもどうでもいいという状態よりは幸せなのだろう。
一方でリリアは令嬢であり、かつては病弱であり誘拐された際に偶然ユユカに助けられて親友となる、その後の医療技術の発展で一気に回復、むしろ並の人間よりも強い体を手に入れたが……。
この世界の歴史では違う、父がゲッター線研究に投資しており見学に来たところゲッター線を浴びてみるみるうちに快方、頑丈になったという。ユユカとはゲッターの良さで意気投合した。
進化してんじゃねーかよお前。
なんで原作の強くも儚い令嬢と乱暴な女の百合がゲッターで熱き友情になってんだよ!!!
俺のバックボーンが一番ショボいまである、なんせちょっとした上流家庭に生まれてとにかく武術武術武術文武両道!の鍛えに鍛えただけで……特にドラマの無い人生だぜ。
だが一方で二つの原作知識と前世がある、何か役立てられないかと考える。
「これは……ゲッターかね」
「はい、俺達のゲッター以外も必要になってくるでしょうしパイロットの視点から見たゲッターを考えてまして」
俺は訓練や出撃の合間を縫って、ゲッターを描いていた。
それは初代ゲッター、ゲッターG、ネオゲッター、そして真ゲッターにアーク。
まあ殆どうろ覚えなんだが、それらしいものを描いてれば早乙女博士が何か受信して開発してくれるかもしれん。
一応マジンガーZも描いてみたがとくに話題になる事はなかった。
とは言ったもののゲッターパイロットの問題は深刻だ、宇宙軍の有力なパイロットを引き抜くわけにもいかんし、現在の早乙女研究所月面基地の扱いとしては日本政府所属の独立部隊だ。
政治的なアレやコレに関してもあんまり口を出せる身分でもなく、一度はゲッターを接収されかけた事もある。まあこれに関してはまあ乗れる奴が誰一人いなかったので特に問題なく帰って来たが……。
とにかく人員が足りねえ、竜馬!隼人!武蔵!もしこの世界にいるなら今すぐにでも来てくれ!という感じである。
「ほーん相変わらず絵描きかよタケシ、お前見た目に対して随分絵が上手いじゃねえかよ」
「人を見た目に決めつけるのはよくありませんわよユユカ、わたくし達だってこのナリでパイロットでしょう?」
「だな、けど結構インスピレーションが湧くな!このシャインスパークとかって技は今のゲッターでもやれんじゃねえか?」
と俺が絵を描いているとユユカとリリアの二人も寄って来る、そうすれば実質的な作戦・開発会議が始まるのである。
「ただ現状の技術ではタイミングを合わせて3機のゲットマシンの出力を最大にせねばならん……失敗すれば爆発の恐れもある」
「んなもんゲッターチェンジにオープンゲットみたいな無茶苦茶やってるあたしらにとっちゃ朝飯前だろ」
「それはもう目をつむってても合体できますわよ、早乙女のおじさま」
すっかりゲッターに染められた推し達、こいつらマジで向こう見ずで生き急ぎすぎだからな……元作品のファンや作者達が見たら一体どう思うかのやら。
「まあマジでやるならお前らの無鉄砲を俺が調節するハメになりそうだがな」
そういう俺も、随分とゲッターに汚染されていた。